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第五章:殺盗団を壊滅せよ
113:凶賊はアトラクションを楽しむ
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幽霊屋敷と呼ばれる場所の正面、その入口にいるはずの門番も誰もいない正門前へと、賊は音も静かに集まっていた。
その中に一人、悪党にしては一際品の良い風体の男の下へと、賊の一人が報告に来る。
「キルトさん、全員揃いました」
「よし、では打ち合わせ通りに行動するぞ。パーニャは一階、ヒクターは二階、ドルドは三階だ。そして俺は地下へ行く」
屋敷に侵入した賊は四人のリーダー各がいた。
全体を統率するキルトと呼ばれる男は年齢は四十頃で、短髪に無精ひげを生やしているが、不潔さが無い体格のいい人物で、盗賊だが何処か頭が切れる顔立ちの男だった。
「オレは二階かよ、ハズレっぽい気がする」
「そう言うなヒクター。斥候の話では二階にもお宝を運んだらしいぞ?」
ヒクターと呼ばれた三十代ほどの男は見た目は細マッチョな風体で、緑色の短髪で片目に女性の化粧を施している変わった人物だ。
「ゲッフ。あれ、もう無いのか。もっと買っておくんだった」
「まったくお前はまだ食ってたのか……。荷物を油でベトベトにするなよ?」
前身は細身だが腹だけが異様に出ている二十代後半くらいの男。ドルドはヤレヤレと言わんばかりのゼスチャーで「三階まで面倒だな」とボヤク。
「キルトさんは地下に行くのかい? この屋敷に地下なんてあったの?」
「そうか、パーニャは知らなかったか。あるんだよ、前の持ち主から使っている、堅牢でお宝を隠すにうってつけのがな」
最後はこの女、パーニャと呼ばれる美しい黒髪が特徴の、妖艶で情婦のような若い女だった。
最近殺盗団に拾われたが、仕事の丁寧さと機転の良さで十人規模の指揮をとっていた。
「さてと、お喋りはここまでだ。仕事の時間だ、いつも通り気楽に楽しんで来い」
キルトがそう命じると、大声を出すでもなく静かに屋敷の中に人が雪崩れ込んで来る。
互いが目配せで合図を送りながら移動しながらも、部屋に置いてある品の検品は忘れない。
ヒクターとドルドの手勢十名ずつの合計二十人で、中央階段から上階へと上がっていく。
キルトの手勢は二十名、パーニャは十名で目的の場所へと移動する。
「パーニャ、何か感じるか?」
「……キルトさんもですか? アタイも何か変な感じが、あ。そうか! 誰もいないんだ」
「そうだな、それが原因だ。気を付けろ、何か不穏な感じがする」
「了解だよキルトさん。じゃあとっとと済ませて例の場所で」
「ああ、また後でな」
キルトが地下への扉を開け去って行く姿を数秒眺めたパーニャは、斥候からの報告にあった、金塊がある部屋へと屋敷の見取り図を見ながら進む。
奥へと続く部屋への大きな扉を発見したパーニャは、一端止まり見取り図を確認する。
「あれかい? 随分大きな扉だね。お前達、伏兵がいるかもしれない。気を抜くんじゃないよ?」
部下達は無言で頷く。そしてその中から一人の男がドアを〝そっと〟開ける。
「おおお……これは凄いですよパーニャさん……」
「っ!? ああ……なんて量の金塊だよ」
そこには黄金のうず高い塊が見る者を圧倒するように、部屋の中央に鎮座していた。
「いいわねぇ♪ さっさと運び出すよ!」
パーニャがそう命ずると、部下達は一気に部屋の中へと入る。
部下達が嬉々として金塊を持ち上げて移動しようとした時、部下達に異変が起こる。
「おほ! 凄く綺麗だなぁ俺もひとつほしいよおおお」
「早くしろ! 何をボーっとみてやがりますかあぁぁぁ」
「お前ら遊んでないでは~~やくいっぱああいふふふふふふあ」
「きんだ! おうごんだ! たのしいああああああぷぷぷぷ」
突然、部下達が狂ったように踊りだす者もいれば、金塊をしゃぶりだし、頭を打ち付けて出血する者までいる。その光景にパーニャは恐怖を顔に貼り付かせる。
「お、お前達!? 何をしているのよ! は、早く持って部屋から出なさい!!」
すると黄金に狂喜乱舞している部下の一人が「ありえない角度」で首をグルリと回して答える。
「ぱぱぱぱ~にゃああさまあああ は~いど~~~~ぞおおお」
曲がっちゃいけない首の方向で話す部下から、猫ほどの大きさの「黄金の蛆虫」が投げつけられる。
「ひいいいいい!? な、何よコレ!!」
床に落ちた蛆虫はモゾモゾと動くと、そのまま固まって動かなくなった。
その「おぞましい」光景に恐怖にするも、懸命に状況を立て直そうとパーニャは頭を使う。
「一体何が起きてるの!? と、とにかく一度戻って相談しないと」
結論が出なく、結果的にキルトと合流する事を選択したパーニャは、入口の方へ体を向けて逃げようとした時……それはいた。
「「「ようこそ、いらっしゃいませお客様。本日は歓迎致します」」」
いつの間にいたのか、大勢のメイドが一糸乱れずそこに整列していた。
その中に一人、悪党にしては一際品の良い風体の男の下へと、賊の一人が報告に来る。
「キルトさん、全員揃いました」
「よし、では打ち合わせ通りに行動するぞ。パーニャは一階、ヒクターは二階、ドルドは三階だ。そして俺は地下へ行く」
屋敷に侵入した賊は四人のリーダー各がいた。
全体を統率するキルトと呼ばれる男は年齢は四十頃で、短髪に無精ひげを生やしているが、不潔さが無い体格のいい人物で、盗賊だが何処か頭が切れる顔立ちの男だった。
「オレは二階かよ、ハズレっぽい気がする」
「そう言うなヒクター。斥候の話では二階にもお宝を運んだらしいぞ?」
ヒクターと呼ばれた三十代ほどの男は見た目は細マッチョな風体で、緑色の短髪で片目に女性の化粧を施している変わった人物だ。
「ゲッフ。あれ、もう無いのか。もっと買っておくんだった」
「まったくお前はまだ食ってたのか……。荷物を油でベトベトにするなよ?」
前身は細身だが腹だけが異様に出ている二十代後半くらいの男。ドルドはヤレヤレと言わんばかりのゼスチャーで「三階まで面倒だな」とボヤク。
「キルトさんは地下に行くのかい? この屋敷に地下なんてあったの?」
「そうか、パーニャは知らなかったか。あるんだよ、前の持ち主から使っている、堅牢でお宝を隠すにうってつけのがな」
最後はこの女、パーニャと呼ばれる美しい黒髪が特徴の、妖艶で情婦のような若い女だった。
最近殺盗団に拾われたが、仕事の丁寧さと機転の良さで十人規模の指揮をとっていた。
「さてと、お喋りはここまでだ。仕事の時間だ、いつも通り気楽に楽しんで来い」
キルトがそう命じると、大声を出すでもなく静かに屋敷の中に人が雪崩れ込んで来る。
互いが目配せで合図を送りながら移動しながらも、部屋に置いてある品の検品は忘れない。
ヒクターとドルドの手勢十名ずつの合計二十人で、中央階段から上階へと上がっていく。
キルトの手勢は二十名、パーニャは十名で目的の場所へと移動する。
「パーニャ、何か感じるか?」
「……キルトさんもですか? アタイも何か変な感じが、あ。そうか! 誰もいないんだ」
「そうだな、それが原因だ。気を付けろ、何か不穏な感じがする」
「了解だよキルトさん。じゃあとっとと済ませて例の場所で」
「ああ、また後でな」
キルトが地下への扉を開け去って行く姿を数秒眺めたパーニャは、斥候からの報告にあった、金塊がある部屋へと屋敷の見取り図を見ながら進む。
奥へと続く部屋への大きな扉を発見したパーニャは、一端止まり見取り図を確認する。
「あれかい? 随分大きな扉だね。お前達、伏兵がいるかもしれない。気を抜くんじゃないよ?」
部下達は無言で頷く。そしてその中から一人の男がドアを〝そっと〟開ける。
「おおお……これは凄いですよパーニャさん……」
「っ!? ああ……なんて量の金塊だよ」
そこには黄金のうず高い塊が見る者を圧倒するように、部屋の中央に鎮座していた。
「いいわねぇ♪ さっさと運び出すよ!」
パーニャがそう命ずると、部下達は一気に部屋の中へと入る。
部下達が嬉々として金塊を持ち上げて移動しようとした時、部下達に異変が起こる。
「おほ! 凄く綺麗だなぁ俺もひとつほしいよおおお」
「早くしろ! 何をボーっとみてやがりますかあぁぁぁ」
「お前ら遊んでないでは~~やくいっぱああいふふふふふふあ」
「きんだ! おうごんだ! たのしいああああああぷぷぷぷ」
突然、部下達が狂ったように踊りだす者もいれば、金塊をしゃぶりだし、頭を打ち付けて出血する者までいる。その光景にパーニャは恐怖を顔に貼り付かせる。
「お、お前達!? 何をしているのよ! は、早く持って部屋から出なさい!!」
すると黄金に狂喜乱舞している部下の一人が「ありえない角度」で首をグルリと回して答える。
「ぱぱぱぱ~にゃああさまあああ は~いど~~~~ぞおおお」
曲がっちゃいけない首の方向で話す部下から、猫ほどの大きさの「黄金の蛆虫」が投げつけられる。
「ひいいいいい!? な、何よコレ!!」
床に落ちた蛆虫はモゾモゾと動くと、そのまま固まって動かなくなった。
その「おぞましい」光景に恐怖にするも、懸命に状況を立て直そうとパーニャは頭を使う。
「一体何が起きてるの!? と、とにかく一度戻って相談しないと」
結論が出なく、結果的にキルトと合流する事を選択したパーニャは、入口の方へ体を向けて逃げようとした時……それはいた。
「「「ようこそ、いらっしゃいませお客様。本日は歓迎致します」」」
いつの間にいたのか、大勢のメイドが一糸乱れずそこに整列していた。
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