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第五章:殺盗団を壊滅せよ
135:決戦! オルドラ大使館③
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二階へと上がる途中の広い踊り場で敵と遭遇した流は、本来の目的を思い出す。
「あぁ~、でも一階に戻って殲滅ってのも……ま、とりあえずボルツ! って感じでボスを倒しますかね」
流は「とりあえずビール」的なノリで、ボスである毒蛇のボルツを探す。
そんな適当なノリで標的のボスを探し二階へと到着すると、廊下には品の無い手下が溢れており、ズラリと奥の部屋まで続いている。
(お~これは当りじゃね? しかも高確率で! さて、眼の残存数は……)
『残り四十三柱である!』
(うぉ!? びっくりした。もっと小声で言ってくれよ、見つかるっての!)
(う、うむ。スマヌ)
(残り四十三か。俺ってば忍者失格だな。はぁ~今度忍者検定でも受けようかな……)
(それよりも天井を走るとかの修行が良くてよ?)
(いやいや、煙幕をだな)
(ちょ、ちょい待ち! お前達ウルサイデスヨ!)
(((スマヌ……)))
(もう頼むぜホント……)
そんな付喪神達の前向き(?)な意見を検討しつつ、敵の配置を柱の陰から覗き見る。
敵は廊下の左右に整列し、微動だにもせず立ってた。
(彫像にしては趣味が悪い。どれ、サクッと撤去しますかね)
「……何だ? 風か?」
「窓は閉まっているぞ、ほら」
階段から近い場所で警備している賊は、向かいにいる男へと窓を見ながら言う。
「だよな……」
「気のせいだろ? 今日は厳戒態勢なんだから窓何て開ける訳がな――」
「窓が開いてなくても風は吹くんだぜ? 疾風がな」
窓が開いていないと言った男がいきなり事切れる。
「……は? お前一体どうした? な――」
「――んでも無い、気にせずお前も逝け」
さらに風を最初に感じた男も後を追う。
「!? オイ! 敵しゅ――」
「――スマン、気のせいだ」
それを聞いてハッとこちらを見た護衛の一人は、腰のナイフに手をかける。
「っ!? 何処――」
「――此処」
「敵は見えないぞ! 密集して通路を塞――」
「――ぐ前にお前の後ろだよ」
通路を塞ぐ五人が、支えを無くしたかのように正面へ綺麗に倒れ伏す。
「何だ!? と、とにかく掛かれ!」
「ふざけるな! 誰もいな――」
「――いるんだよ、これが」
階段側から次々と護衛が「何か」に斬られて倒れる。
その速度は徐々に早くなり、護衛の八割がすでに倒れ伏している。
パニックになる護衛達。それを見た護衛の責任者のような、賊らしく無い身なりの良い男が後方から叫ぶ。
「何が起こっている!? 結界師は正面に結界を張れ!」
「りょ、了解! 《敵の悪意を退ける力を! 遮断領域!》」
瞬間、通路に淡い膜のような水色が広がり、直後に光の壁が構築される。
「ハ、ハハ。止まった……」
「や、やったぞ! 怪奇現象が止まった!!」
「ざまあ見ろ!! やるじゃねーか結界師!!」
「でも何で止まったんだ?」
「多分それは、俺の結界がタイミングよく敵を挟んで消滅させたんだろうよ。どうだ、見たか! 端折った詠唱でもこの威力!」
謎の怪奇現象により、通路には斬られた他の護衛達が散乱しているのを見て、パニックに陥りかけていた護衛達は結界師により救われた。
しかもその原因を排除したとの言葉に賊達は安堵を浮かべる。
「落ち着けお前ら! 俺はボスに報告して来る。それまで現状維持だ」
「ヘイ、分かりやした。おい、ロッキー。敵がもういないからって結界に近づきすぎだ。こっちへ来い!」
「分かったよアニキ。でも……結界でアレを止めた?」
落ち着きを取り戻す護衛達、しかし集団の中には慎重な者も存在する。
ここでアニキと呼ばれる二十代後半程の、チンピラ風の痩せた男がロッキーと呼んだその男は、巨漢で金髪と言う容姿でありながらも、とても慎重な男であった。
その慎重はロッキーの場合、臆病の裏返しでもある。
だから、思わずこう口から出てしまう。
「ほ、本当に……やったのか?」
〝パンッ! パンッ! パンッ!〟
それはいきなりだった。そして唐突だった。それが発動キーだった。
突如乾いた拍手が結界のすぐ向こうから、ロッキーの鼓膜を異様に大きく振るわせるように響く。
その乾いた拍手は赤いカーペットを尚赤く、ジットリと血染めにした廊下に響き渡る。
「古来よりヴァンパイアは、家人に招かれないと屋敷には入れないと言う……そして俺もまた、誇らしげに張った結界を壊して入り込んでよいものかと迷っていた、が……」
突如結界のすぐ向こうから声がするが、そこには誰もいない。
「ロッキ・ロッキ・ロッキィィィ! 貴様は見所がある! せっかくのご招待だ、快く応じようじゃないか!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
フラグが立ったら即回収! 流さんは様式美を誰よりも大事にする漢だった。
ロッキーが謎の声にに恐れ慄く刹那、それは起こる。
突如結界が縦に一筋の影が出来たかと思うと、ガラスを割ったような音と共に粉々に砕け散るのだった。
「あぁ~、でも一階に戻って殲滅ってのも……ま、とりあえずボルツ! って感じでボスを倒しますかね」
流は「とりあえずビール」的なノリで、ボスである毒蛇のボルツを探す。
そんな適当なノリで標的のボスを探し二階へと到着すると、廊下には品の無い手下が溢れており、ズラリと奥の部屋まで続いている。
(お~これは当りじゃね? しかも高確率で! さて、眼の残存数は……)
『残り四十三柱である!』
(うぉ!? びっくりした。もっと小声で言ってくれよ、見つかるっての!)
(う、うむ。スマヌ)
(残り四十三か。俺ってば忍者失格だな。はぁ~今度忍者検定でも受けようかな……)
(それよりも天井を走るとかの修行が良くてよ?)
(いやいや、煙幕をだな)
(ちょ、ちょい待ち! お前達ウルサイデスヨ!)
(((スマヌ……)))
(もう頼むぜホント……)
そんな付喪神達の前向き(?)な意見を検討しつつ、敵の配置を柱の陰から覗き見る。
敵は廊下の左右に整列し、微動だにもせず立ってた。
(彫像にしては趣味が悪い。どれ、サクッと撤去しますかね)
「……何だ? 風か?」
「窓は閉まっているぞ、ほら」
階段から近い場所で警備している賊は、向かいにいる男へと窓を見ながら言う。
「だよな……」
「気のせいだろ? 今日は厳戒態勢なんだから窓何て開ける訳がな――」
「窓が開いてなくても風は吹くんだぜ? 疾風がな」
窓が開いていないと言った男がいきなり事切れる。
「……は? お前一体どうした? な――」
「――んでも無い、気にせずお前も逝け」
さらに風を最初に感じた男も後を追う。
「!? オイ! 敵しゅ――」
「――スマン、気のせいだ」
それを聞いてハッとこちらを見た護衛の一人は、腰のナイフに手をかける。
「っ!? 何処――」
「――此処」
「敵は見えないぞ! 密集して通路を塞――」
「――ぐ前にお前の後ろだよ」
通路を塞ぐ五人が、支えを無くしたかのように正面へ綺麗に倒れ伏す。
「何だ!? と、とにかく掛かれ!」
「ふざけるな! 誰もいな――」
「――いるんだよ、これが」
階段側から次々と護衛が「何か」に斬られて倒れる。
その速度は徐々に早くなり、護衛の八割がすでに倒れ伏している。
パニックになる護衛達。それを見た護衛の責任者のような、賊らしく無い身なりの良い男が後方から叫ぶ。
「何が起こっている!? 結界師は正面に結界を張れ!」
「りょ、了解! 《敵の悪意を退ける力を! 遮断領域!》」
瞬間、通路に淡い膜のような水色が広がり、直後に光の壁が構築される。
「ハ、ハハ。止まった……」
「や、やったぞ! 怪奇現象が止まった!!」
「ざまあ見ろ!! やるじゃねーか結界師!!」
「でも何で止まったんだ?」
「多分それは、俺の結界がタイミングよく敵を挟んで消滅させたんだろうよ。どうだ、見たか! 端折った詠唱でもこの威力!」
謎の怪奇現象により、通路には斬られた他の護衛達が散乱しているのを見て、パニックに陥りかけていた護衛達は結界師により救われた。
しかもその原因を排除したとの言葉に賊達は安堵を浮かべる。
「落ち着けお前ら! 俺はボスに報告して来る。それまで現状維持だ」
「ヘイ、分かりやした。おい、ロッキー。敵がもういないからって結界に近づきすぎだ。こっちへ来い!」
「分かったよアニキ。でも……結界でアレを止めた?」
落ち着きを取り戻す護衛達、しかし集団の中には慎重な者も存在する。
ここでアニキと呼ばれる二十代後半程の、チンピラ風の痩せた男がロッキーと呼んだその男は、巨漢で金髪と言う容姿でありながらも、とても慎重な男であった。
その慎重はロッキーの場合、臆病の裏返しでもある。
だから、思わずこう口から出てしまう。
「ほ、本当に……やったのか?」
〝パンッ! パンッ! パンッ!〟
それはいきなりだった。そして唐突だった。それが発動キーだった。
突如乾いた拍手が結界のすぐ向こうから、ロッキーの鼓膜を異様に大きく振るわせるように響く。
その乾いた拍手は赤いカーペットを尚赤く、ジットリと血染めにした廊下に響き渡る。
「古来よりヴァンパイアは、家人に招かれないと屋敷には入れないと言う……そして俺もまた、誇らしげに張った結界を壊して入り込んでよいものかと迷っていた、が……」
突如結界のすぐ向こうから声がするが、そこには誰もいない。
「ロッキ・ロッキ・ロッキィィィ! 貴様は見所がある! せっかくのご招待だ、快く応じようじゃないか!!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
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