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第五章:殺盗団を壊滅せよ
136:決戦! オルドラ大使館④
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「なぁッ!? 何が起きたあああああ!!」
「アニキ! ど、どうすれば」
「ロッキーのお招きよにより華麗に参上」
「け、結界師! もう一度張り直せ!!」
「くぅ、分かりました! 《敵の悪意を退け――」
「遅い! 疾風発動!」
誰もいない空間から突如巻き起こる突風に、賊達は一瞬怯む。
無意識に風から顔を守るように目を閉じた刹那、残りの賊はロッキーを残して糸が切れた人形のように、正面から顔面を打ち付けながら床に倒れる。
「ひいいいいいああああああ!?」
「動くなロッキー……首が落ちても知らんぞ?」
ロッキーの背後から忍び寄る流は、美琴の切先を少しロッキーの首に当てる。
チクリとした痛みに、たまらずロッキーも金縛りにあったかのように動きを止める。
「よし、いい子だ。それじゃあ質問に答えてくれ。そこの奥にある部屋がボスのいる部屋か?」
「そ、そうです」
「部屋の中には何人いる?」
「メメメメイド、そう世話役のメイドが数人とボスだけのはずです!」
「ロッキー、お前は殺盗団で何をしていた?」
「な、何もしていないです! この屋敷で連絡専門で雇われているだけです。今日は人手不足だからお前も来いって言われて……」
「最後に……言う事はあるか?」
「こ、殺さないでください! 俺は雇われただけの連絡役です、お願いです! お願いです!!」
流は「そうか」と言うと、美琴を一閃する。
ロッキーはそのまま意識を手放すが、どこも傷らしいものは無かった。
「まあ、フラグを立ててくれた恩人だし、悪い奴でもなさそうだ。そうだろ美琴?」
『…………』
「はは、そうか。お前が言うならそうなんだろうさ」
『…………』
「いや、それはアレだ。俺の服装がそうさせるんだよ、この黒装束がな! 〆の狡猾な罠だな。うん違いない、相違ない」
『…………』
「そんな残念な人を見るような言葉を吐くなよ。だから言ったろう? あれだけ人間がいれば一人はロッキーみたいなのがいるんだよ。だって人間だもの」
どこぞの壁に書いてあるポエムのような言葉を彷彿とさせる台詞と共に、美琴を高速で一振りし、血糊を払ってから納刀する。
そんな美琴は結界師が張った結界を斬る事を流に提案したが、「多分誰かがやらかしてくれるだろう」と期待を込めて流はニヤリと笑いながらそれを拒否した。
なので困った人だと流に伝える。
『…………』
「俺の方が悪党ぽいって? そりゃ悪者っぽくなるのは仕方ない。だって相手が悪党なんだもの」
『……#』
「ホントスンマセン! さて、いよいよだ。頼むぜ美琴」
美琴は力強く震える。
流は美琴を納刀したまま、目の前の豪華な扉を両手でゆっくりと押し出す。
(へぇ、こいつは)
内心思わずつぶやく。そこにあったのは意外な光景だったからだった。
「入口に……いらっしゃいますか? 申し訳ございません、主はすでにこの屋敷を捨てました」
扉をあけるといきなり語り掛けて来たのは、中年で茶髪の中肉中背の執事だった。
その執事の後ろには三人の顔立ちが似た美しい娘達が控えている。
一人は十代後半程で凹凸の少ない体形だが、美しい金髪を肩でそろえた娘。
二人目は二十代半ば程で、愛嬌のある顔立ちに似合わない豊満な体形の赤髪の娘。
最後に金髪を背中まで伸ばした娘は、赤髪より少し若い年齢だが、スレンダーだが、主張はしっかりしている体形のメイド達三人が頭を下げて流を迎える。
流は入口から窓辺側へ回る様にして歩き、そのまま立ち止まらずに使用人達へ問う。
「……あんたらはボルツの使用人かい?」
代表して執事が鬼気迫る真剣な表情で、流を見つめ問いに答える。
「はい、その通りでございます。ボルツ様は奥の部屋にある、脱出路より逃れました」
「で、あんたらは捨て駒かい?」
「それはナガレ様が決める事です。私達の命は貴方様次第です」
見るとメイド達は真っ青な顔をしていたが、執事はこれぞ執事の見本とばかりに、平然とした顔をしている。
「……そう、かいッ!!」
突如流は中年の執事に斬りかかる。
メイド達は何が起こったのか理解できなかったが、見えない相手からの攻撃を的確に判断し、その攻撃を躱した執事は懐よりハンカチを取り出して汗を拭う。
「な、何をなさいますか!? 私共が一体何をしたと言うのです!! 私達は殺盗団とは何の関わりも無い、この屋敷の本当の主である『オルドラ大使』にお仕えする者です。決して怪しいものではありません」
流は執事が話している間にも部屋の中を歩く。
すると執事は懇願しながら流へと向き直り、助命を乞うのだった。
「言いたい事は理解した」
「で、では私達を助けてくれるのですね!!」
「ああ助けよう。『お前以外』はな。いい加減その下手な芝いを見るのは飽きたんだが?」
執事は一瞬目を大きく見開き、そしてこう続ける。
「クッハハハハ!! 何故分かった?」
「馬鹿かお前。助命を乞うただの執事が『部屋に入った俺を的確に補足出来る』んだよ。それに俺を完全に目で追っていたろう?」
「お~なるほど、なるほど。それもそうだった! こいつはマイッタなぁ」
執事は中年になり暴食により蓄えた、大きな腹を揺らして楽し気に笑う。
「あ~あ。折角楽しい不意打ちが出来ると思ったが、言われてみればマヌケだったな。どうだナガレ、俺の部下にならないか? いや、対等の立場としてこの町を裏から支配しようじゃないか?」
「……お前がボスのボルツか?」
「そうだと言っているつもりだが?」
にやりと口角を上げるボルツの体から霧のような物が噴き出し、美琴を持つ手に力が入る。
霧が徐々に治まって来ると、その姿が聞いていた通りの容姿になるのだった。
「アニキ! ど、どうすれば」
「ロッキーのお招きよにより華麗に参上」
「け、結界師! もう一度張り直せ!!」
「くぅ、分かりました! 《敵の悪意を退け――」
「遅い! 疾風発動!」
誰もいない空間から突如巻き起こる突風に、賊達は一瞬怯む。
無意識に風から顔を守るように目を閉じた刹那、残りの賊はロッキーを残して糸が切れた人形のように、正面から顔面を打ち付けながら床に倒れる。
「ひいいいいいああああああ!?」
「動くなロッキー……首が落ちても知らんぞ?」
ロッキーの背後から忍び寄る流は、美琴の切先を少しロッキーの首に当てる。
チクリとした痛みに、たまらずロッキーも金縛りにあったかのように動きを止める。
「よし、いい子だ。それじゃあ質問に答えてくれ。そこの奥にある部屋がボスのいる部屋か?」
「そ、そうです」
「部屋の中には何人いる?」
「メメメメイド、そう世話役のメイドが数人とボスだけのはずです!」
「ロッキー、お前は殺盗団で何をしていた?」
「な、何もしていないです! この屋敷で連絡専門で雇われているだけです。今日は人手不足だからお前も来いって言われて……」
「最後に……言う事はあるか?」
「こ、殺さないでください! 俺は雇われただけの連絡役です、お願いです! お願いです!!」
流は「そうか」と言うと、美琴を一閃する。
ロッキーはそのまま意識を手放すが、どこも傷らしいものは無かった。
「まあ、フラグを立ててくれた恩人だし、悪い奴でもなさそうだ。そうだろ美琴?」
『…………』
「はは、そうか。お前が言うならそうなんだろうさ」
『…………』
「いや、それはアレだ。俺の服装がそうさせるんだよ、この黒装束がな! 〆の狡猾な罠だな。うん違いない、相違ない」
『…………』
「そんな残念な人を見るような言葉を吐くなよ。だから言ったろう? あれだけ人間がいれば一人はロッキーみたいなのがいるんだよ。だって人間だもの」
どこぞの壁に書いてあるポエムのような言葉を彷彿とさせる台詞と共に、美琴を高速で一振りし、血糊を払ってから納刀する。
そんな美琴は結界師が張った結界を斬る事を流に提案したが、「多分誰かがやらかしてくれるだろう」と期待を込めて流はニヤリと笑いながらそれを拒否した。
なので困った人だと流に伝える。
『…………』
「俺の方が悪党ぽいって? そりゃ悪者っぽくなるのは仕方ない。だって相手が悪党なんだもの」
『……#』
「ホントスンマセン! さて、いよいよだ。頼むぜ美琴」
美琴は力強く震える。
流は美琴を納刀したまま、目の前の豪華な扉を両手でゆっくりと押し出す。
(へぇ、こいつは)
内心思わずつぶやく。そこにあったのは意外な光景だったからだった。
「入口に……いらっしゃいますか? 申し訳ございません、主はすでにこの屋敷を捨てました」
扉をあけるといきなり語り掛けて来たのは、中年で茶髪の中肉中背の執事だった。
その執事の後ろには三人の顔立ちが似た美しい娘達が控えている。
一人は十代後半程で凹凸の少ない体形だが、美しい金髪を肩でそろえた娘。
二人目は二十代半ば程で、愛嬌のある顔立ちに似合わない豊満な体形の赤髪の娘。
最後に金髪を背中まで伸ばした娘は、赤髪より少し若い年齢だが、スレンダーだが、主張はしっかりしている体形のメイド達三人が頭を下げて流を迎える。
流は入口から窓辺側へ回る様にして歩き、そのまま立ち止まらずに使用人達へ問う。
「……あんたらはボルツの使用人かい?」
代表して執事が鬼気迫る真剣な表情で、流を見つめ問いに答える。
「はい、その通りでございます。ボルツ様は奥の部屋にある、脱出路より逃れました」
「で、あんたらは捨て駒かい?」
「それはナガレ様が決める事です。私達の命は貴方様次第です」
見るとメイド達は真っ青な顔をしていたが、執事はこれぞ執事の見本とばかりに、平然とした顔をしている。
「……そう、かいッ!!」
突如流は中年の執事に斬りかかる。
メイド達は何が起こったのか理解できなかったが、見えない相手からの攻撃を的確に判断し、その攻撃を躱した執事は懐よりハンカチを取り出して汗を拭う。
「な、何をなさいますか!? 私共が一体何をしたと言うのです!! 私達は殺盗団とは何の関わりも無い、この屋敷の本当の主である『オルドラ大使』にお仕えする者です。決して怪しいものではありません」
流は執事が話している間にも部屋の中を歩く。
すると執事は懇願しながら流へと向き直り、助命を乞うのだった。
「言いたい事は理解した」
「で、では私達を助けてくれるのですね!!」
「ああ助けよう。『お前以外』はな。いい加減その下手な芝いを見るのは飽きたんだが?」
執事は一瞬目を大きく見開き、そしてこう続ける。
「クッハハハハ!! 何故分かった?」
「馬鹿かお前。助命を乞うただの執事が『部屋に入った俺を的確に補足出来る』んだよ。それに俺を完全に目で追っていたろう?」
「お~なるほど、なるほど。それもそうだった! こいつはマイッタなぁ」
執事は中年になり暴食により蓄えた、大きな腹を揺らして楽し気に笑う。
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「そうだと言っているつもりだが?」
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