日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

145:最終決戦! オルドラ大使館~EX.ⅳ

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「俺を騙すとはますます許せん!! 殺盗団が壊滅したのは痛手だったが仕方ない、次はあの人形共を使って新しい盗賊を仕立て直すか」
「つまり、お前は殺盗団を使って人間を誘拐して良質な魂とやらを手に入れて居た訳か?」
「それが何か? オマエは知るまい、死の国へ連れて行く前に懇々とあちらがどんな世界を教えてやるのだよ。ククク……するとな、どんな奴でも恐怖で顔が絶望に染まる。特に若い娘と子供がイイッ!! あれらの魂は絶品だぁ! そう、極上の酒をさらに熟成させたかのような芳醇な香りと奥深い味わい! さらに未練と言うスパイスが後引く美味さで楽しませる! もぅ、最・高・デスッ!!」
「……最後に一つ聞かせてくれ。オルドラは他にも悪魔を使役しているのか?」
「かもしれぬなぁ~? クックック。それを知りたくば私――」
「良く分かったッ!!」

 ゲスの言葉はこれ以上聞くのは無駄だとばかりに斬りかかる流。
 モーリスはとっさに三本の腕に持った短剣で受けめる。
 本当に容赦ない漢である。

「クッ!? また不意打ちとは卑怯者め! 悪魔か貴様ぁぁ!?」
「黙れ、悪魔が悪魔って言うな。プライドが無いのか悪魔め!」

 会話はコミカルだが、その間にも剣戟は積み重なる。

 モーリスは六本の腕をムカデの足のように上段からうねらせ、流へと襲いかかる。
 まずは左上から襲いかかる短剣を斬り上げ、剣戟の波を熟年の漁師が荒波をいなすように的確に弾き返す。
 
「オノレィィ!!」

 それがダメだと悟ったモーリスは、刺突攻撃へと変更し襲いかかる。

「オイ、馬鹿にしているのか?」

 流もまた美琴を霞みに構えると、まるで機関銃の如く美琴を突き撃ち、短剣の切先へと当て弾く。

「ナラバァアア!!」

 それも無理と悟ると、モーリスは正攻法へと切り替える。つまり――

「おっと、さながら六腕乱舞ってところか?」

 縦横無尽に襲いかかる太刀筋に一瞬ひやりとしつつも、それらを順番に弾き、隙あらば切り落とそうとするが、上質な金属らしくそれは無理だった。

「いい短剣じゃねーか、それは全部魔法か何かで強化した短剣か?」

 話しながらも斬り合いは加速する。
 加速が更に早くなると周囲には火花が散り始め、鍛冶場の様相を思わせる光景になる。
 
 鍛冶場で高速でつちを振るうことで、烈火が飛び散る幻影が見えそうになる程の、熱い火花が盛大に舞い散る打ち合い。
 その一瞬の打ち合いの間をモーリスは見逃さず、蜘蛛が獲物を捕捉するように、六本の腕を流へと覆うように向かい刺す。
 それを半歩後ろへ下がり、全ての刃が交差する一点を美琴で突き返す。

「クッ! なぜそんな細剣一本で、この魔剣・・レプリカーズを防げる!?」
「あぁ~それが答えですね。それと几帳面に一点集中アリガトウゴザイマス」

 六本の短剣を美琴の切先で受け止めていた流は、更に半歩下がる事でバランスを崩させる。
 モーリスはたまらず、短剣の鳥籠とも言える形を前に押されたように崩す。
 そのチャンスを逃さず、美琴を左から右へと薙ぎ払う様に短剣を弾き上げ、その間からモーリスの驚愕した顔と左胸が覗いた。

「チャーンス! 食らえ! ただの突きぃぃぃ!!」

 ガードに入る前に、素早く踏み込み美琴をモーリスの左胸へと突き立てる。
 何の抵抗も無く左胸を貫く悲恋美琴に、モーリスは目を剥いてそのまま背後へ倒れた。

「……あっけなかったな。悪魔ってみんなこうなのか?」

 釈然としないが、それでも倒れた悪魔を一瞥いちべつして部屋を後にしようと出口へと向かい十数歩歩いたその瞬間――。

「ツツゥ!?」

 流の第六感がまたしても警鐘を激しく鳴らす。
 咄嗟とっさに上半身を左にひねりその原因を目視すると、目の前に二本の短剣が通り過ぎて行ぎ、更には倒れたモーリスが息を吹き返して幽鬼の様に立っていた。
 さらに今投擲とうてきしたであろう短剣は、モーリスの手の中へと戻っている。

(どうなってやがる!? キルトが持ってる手裏剣みたいな物か? それよりモーリスは死んだはずだろ……チッ。ミスった、確認忘れだ)

 流は観察眼の発動をしなかった事を後悔しつつも、雰囲気が豹変ひょうへんしたモーリスから目が離せなかった。
 元々あった腕と新たに生えた腕、計六本がさらに太く隆起するように筋肉が膨らむ。
 更に足も大腿・腓腹筋が若木の丸太のようになり、品の良いスラックスは見る影も無く膝下から破けていた。

「やってくれたな。これ以上は手加減せん……」
「手加減してくれてたのか? それじゃあ俺も前言撤回だ……お前はタフで強い、だから俺も本気を出す事にする」

 美琴を納刀し、そのまま腰を少し落とす格好になる。
 それが合図とばかりにモーリスは、先程と全く違う冷静さで攻撃を仕かけて来る。

「……シネ!」

 あっという間に開いた距離を詰め寄りながら、モーリスは左右の上腕と下腕に持った短剣を投擲する。
 恐ろしい速さで迫る短剣。だがそれを冷静に見つめる流は、吐き捨てるように一言つぶやくのだった。
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