日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

152:名付けの神秘

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「どうなっているんだ、この空間は? っとお茶が冷めちまうな。って、お茶ウマー!? 紅茶のようだけど、葛湯みたいな喉越し……これは新しいな! それよりお前の名前だな。え~っと……」

(つぶらな瞳……ひとみちゃん! 違うな。カピバラみたいな見た目だから……カピ〇ラサン! ダメだ、著作権団体が飛んで来そうだ。カッコいい路線で行こう! スーパードラゴンキラー号なんてどうだ!? くっこんな時まで発作やまいが出るとは!!)

 ネーミングセンスが全くない事に気が付かない流は、ついつい病が出そうになる所を懸命に抑えつつ、何とか考えをまとめる。

(茶色い体にカピバラはゴワゴワの体毛だから……タワシ! ダメだ美琴に白い目で見られる。もう、栗毛ちゃんでよくね? ……エセ関西弁に『そらないわぁ』って言われそうだ。想像しただけで腹が立つ! じゃあ黒犬運送なんてどうだ? あ、茶色だし犬ですらない!? クッ! 何たる難関だ! 悪魔退治すら生温く感じる!! よし、歴史の名馬から選ぼう……)

 そうこうしていると颯が奥から戻って来るのが見える。手には何か道具をもっているようだった。

(タイムアップか……あぁそう言えば、今日のラーマンは本当に凄かったなぁ。森の中なんて影すら見えない程飛び回ってたし……ッ!? それだ!!)

「流殿、お待たせしましたな。それで良き名は決まったかの?」
「フッ……悩むまでも無し!」
「おお、それは凄い自信じゃて。ではこっちへ来てくだされ」

 危うくスーパードラゴンキラー号になりそうだった事を忘れて、ドヤ顔で長の後をついて行く。

「さて、これじゃよ。この葉っぱをコヤツの頭の上に乗せ、流殿はその上に右手を乗せて命名してくだされ。オマエはその魔法陣へ入るのじゃ」
「分かった、じゃあラーマン頼む」
「……マ」

 颯は流へ虹色の葉っぱを渡すと、ラーマンを魔法陣の中央へ座らせる。
 流はラーマンの頭の上に、そっと葉っぱを乗せると心を込めて命名する。

「ではいくぞ……お前は俺を乗せ嵐のように走り、その影すら置いていくように疾走した。故に命名する。お前の名前は『嵐影らんえい』だ!!」

 流が命名した瞬間、突如巻き起こる嵐のような風と、大自然の息吹を感じる生命力が魔法陣から溢れ出る。

「ふぉふぉふぉ。これはこれは……やはり貴方は……」
「うぁああ、凄い突風だけど大丈夫か!?」
「……マ! マ! マ!」

 数十秒の嵐の猛攻が徐々に治まって来る……その紺碧色の嵐が過ぎ去ると、そこには驚く事に「明るめな紺碧色のラーマン」がいた。

「ッ!? お、お前……嵐影か?」
「……マママ!!」
「色が変わったけど、体大丈夫か?」
「……マ~マ」
「今までの十倍元気になったって!? マジかよ……」
「ふぉふぉふぉ。流殿、これが命名の効果じゃよ。今後コヤツ……いや、嵐影もますます成長していく事じゃろう」

 そう言うと颯は快活に笑うのだった。

「流殿、今後も嵐影をよろしくお頼み申しますぞ」
「無論だ! これからも頼むぞ嵐影!」
「……マッマ!」
「あとこれをお持ちくだされ」

 颯は手に持っていた細長い筒のような物を渡す。

「これは?」
「嵐影を呼ぶときに使える魔具の笛じゃよ。これで奏でた音はラーマンにしか聞こえず、さらにこれは嵐影専用にしてあるから、どこに居ても届くじゃろうて」
「おお~それはまた便利だな! 長老、ありがとう」

 しばらく歓談していたら、もうじき夜も明ける時刻になってくる。

「流殿、話は尽きぬが、そろそろこの入口が閉じる時刻じゃ」
「ああ~もうそんな時間か……。じゃあ帰ろうか嵐影」
「うむ、また何時でも来てくだされよ」
「ありがとう、お茶とお菓子美味しかったよ」

 そう言うと流は入口へと向かう。

「流殿。一つお願いがあるのじゃが」
「ん? なんだ?」
「ワシを……ワシの名を呼んでくださらんか?」
「お、おう? 別に構わんが……じゃあまた来るよ、颯!」
「ふぉふぉふぉ。久しぶりに名を呼ばれるのも、また良いものじゃな」

 流が入口を出て行くのを眺めながら、颯は独り言つ。

「お帰りなさい『お侍さま』……今度こそ不義理はさせませぬぞ」

 颯は先程の流の言葉『なぜも何も、その方が親しみがあるだろ、友達なんだからな?』と言うくだりを思い出し、止めどなく涙を流しながら流の背を見送るのだった。


◇◇◇


 ぽてぽてと歩きながら幽霊屋敷へと向かう流と嵐影は、朝焼けの始まる夜空を眺める。
 流石にこの時間は静かだろうと思っていたのだが、それでも酔っぱらいや、早朝の仕事をする準備をする人や、コンビニ顔負けの二十四時間営業をしている屋台や、店が開いている事に驚きながら帰宅する。

「この世界の人って、みんな生き生きとしてるな」
「……マ」
「本当だなぁ……」

 感慨深くも目新しい風景を見ながら屋敷の前に到着すると、以前は認証制だったが今は門が自動的に開門する。
 中へ入ると、そこには驚きの光景があった。
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