日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第五章:殺盗団を壊滅せよ

162:追跡者

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「さてどうする……ネズミは逃がしてしまったしな。あ、そうだ!! もしかしたら出来るかもしれないぞ」

 流は急いで一階へと戻り、一応アニキ達が落ちた場所に行ってみるが、やはりそこには誰もいなかった。
 やれやれとため息をつき、空を睨むように見つめながらも、今後の事をどうするかと思案しながら戻る。
 やがて商業ギルド前に到着したその目線の先には、広場で寛いでいるラーマン達の中に嵐影を発見する。

「おーい嵐影! こっちへ来てくれ!」
「……マ?」
「そうだ、緊急だ! そっちの騒がしい建物の前で待っててくれ!」
「……マッマ」

 嵐影は分かったと首を縦に振ると、周りのラーマンへと何か話し始めていた。
 流はそのまま商業ギルドへと向かうと、メリサとバーツに会いに行く。
 建物の入り口は堅く封鎖されていたが、除き窓がありそこから流は叫ぶ。

「バーツさん、それとメリサはいるか!? 隣は片付いた、至急確認をして欲しいことがあるから出てきてくれ!」

 すると建物の中が慌ただしくなり、ガラガラと荷物をどかす音や引きずる音がし、程なく入口は開く。

「おお!! ナガレ無事だったか?」
「ナガレ様!! お怪我はありませんか??」
「ああ無事だ、それよりすみません。アレハンドを逃がしました」
「クッ……そうか。それよりお前が無事で何よりだ。メリサ、至急憲兵に連絡してゴミの跡片付けを依頼してくれ」
「はい、分かりました!」

 メリサはそのまま駆け足で中へ戻ると、職員に指示を始める。

「実はバーツさん、まだ追える当てがあります」
「何だと!? それはどうするんだ?」
「答えはアイツです……」

 流は振り向きもせず、右手を顔の前まで持っていき親指を対象へと当てる。
 バーツは不正会計局の方を見ると、不思議な色のラーマンがいた。

「あれはラーマンなのか?」
「ええ、俺の相棒で嵐影と言います」
「あ、相棒!? (伝説通りではないか……)」
「え、今何と?」
「いやいや気にしないでくれ、それでラーマンをどうするんだ?」
「それにはバーツさんにアレハンドの持ち物を探して欲しいのですが、特に匂いがしみ込んだものがいい」
「なるほど、そう言う事か! ならヤツが座ってた椅子がいいだろう。オイ! お前達二人付いて来い」

 そうバーツがギルドの中の職員へ叫ぶと、駆け足で二人がやって来る。

「会計局からアレハンドの椅子を持って来てくれ、間違えるなよ?」
「間違えませんよ、何時も偉そうにふんぞり返っていましたからね」
「ふむ、よし頼む」
「「はい」」

 二人を見送りながら、不正会計局の入り口まで二人で歩く。

「……凄い音がしたが、この警備の詰め所が壊れた音か?」
「いえ、これはまぁ……多分中は酷い事になっているので、その詰め所は憲兵隊に任せたほうがいいかと。多分ですが、詰所の奴以外は全員生きていますので、後はお任せします」
「おお、それは凄いな! 了解した。で、その音の原因は?」

 思わず言葉に詰まる流だったが、隠せるものでもないし正直に打ち明ける。

「う、それは……二階に大穴を開けてしまいました。予想以上の強敵が魔法剣? のような物で業火を放って来たので、それを斬り伏せ、その後の打撃業で……すみません」
「何!? 業火の剣士だと? まさか……その男の傍に二人の獣人はいたか?」
「ええ、いましたよ。白猫みたいな姉弟が二人」
「やはり……」
「知らなかったのですか?」
「ああ、アレハンドはそう言うのを見せたがらない性格だったからな。ギルドを通さず個人で雇ったのだろう。それにしても……」

 バーツはしばらく考え込むと、流の肩をに手を置く。

「多分、ナガレが戦ったそいつの名前は『シュバルツ』と言う。元・王国騎士団の団長の一人だった男だ。よくその相手に無傷で生還したな、流石だと言わせてもらおう」
「元とは言え、王国騎士団長がなぜ殺盗団の用心棒なんて?」
「用心棒と言ってたのか? フム。話せば長くなるので今は割愛するが、ヤツは嵌められたのだよ。それで仕方なく逃亡の身の上になった……と、言ったところか」

 そう言いながらバーツは内心、「出来ればこちらで接触したいものだが」と思う。それと言うのもその人柄は有名であり、話し合う価値があると思ったからだ。

「なるほどねぇ。悪い奴に見えなかったので殺しはしていませんが、大怪我はしたかもしれませんね」
「そうか……お、椅子が来たようだぞ」

 職員二人が椅子を持ってバーツの前に置く。

「ふぅ、お待たせしました。これで間違いないはずです……でも中が凄い事になってますね。見た事ある奴ら全員気絶していますよ。それと二階は壊滅的でした」
「まあそれだけの手練れがいたって事だ。そうだろ、ナガレ?」
「まぁそんな感じですかね。さて嵐影、これなんだけど匂いで追えるか?」

 すると嵐影は嫌そうに匂いを嗅ぐと、流へ問題無いと返事をする。

「……マ~」
「おお、そうなのか? なら手伝ってもらってくれ」

 流がそう言うと、嵐影は広場にいるラーマンを呼び寄せる。順に匂いを嗅がせるが、全員嫌な顔をしていた。

「ナガレ、お前ラーマンと話せるのか?」
「ええ、話せますよ? 俺以外にも話せる人がいると言う事を、先日屋台のオヤジから聞いたばかりで驚いていますよ」
「むぅ……(これもまた伝説通り、か)」
「え、何か?」
「いや気にするな。それで追えそうか?」

 嵐影は他のラーマンへと指示を出すと、こちらへと戻って来る。その顔は自信があるように見える。それを見た流は、嵐影は表情の豊かなやつだと思う。毛むくじゃらなのに……。

「……マ」
「おお! それは良いな。バーツさん、大丈夫みたいですよ。いま他のラーマンが足取りを追っています」
「ラーマンって凄い生き物だったんだな……」
「俺も知らなかったよ、しかも話せるとはなぁ」

 職員二人も驚いているが、流はそのままバーツへ今後の予定を話す。

「あ、そうだった! 重要な事を忘れていた。アレハンドはオルドラへ逃げると言っていましたね」
「なに!? それなら予測は付きやすい、憲兵と衛兵に連絡して道を封鎖してもらう事にしよう。おい、お前達はこの事を憲兵隊に伝えてきてくれ。メリサは通信の魔具で関係機関へ連絡を」
「「はい、了解しました!」」

 職員はギルド専用馬を小屋から連れてきて騎乗する。
 それに乗って手分けして両隊へと報告へ向かうのだった。
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