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第六章:商いをする漢
104:商売をしよう、そうしよう!
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あれから数日が過ぎ、ガラス張りの開放的なダイニングルームでは、流が優雅にお茶を楽しんでいた。
「そんな訳で商売を本格的に始める事にする!!」
流はいきなりウェッジウッ〇のワイル〇ベリー柄のティーカップを片手に立ち上がり、今後の行動を宣言する。
「壱:いきなり唐突でんなぁ」
「だって壱が既にみんなに状況報告したんだろ?」
「はい、状況は把握しています。それでどのようなご商売を?」
「それなんだが、以前商業ギルドへガラス製品を卸したことがあったろ? あれはどうやら王宮買い取りになるらしいんだ。だからメインで売るには今はまだ無理だな。それに昨日、商業ギルドマスターから聞いたんだが、王都の経済力はトエトリーの半分も無いそうだ。ここがこの国を、経済的に支配していると言っても過言ではないだろうな」
「そこまで格差が……。ここが拠点になって本当に良かったですね。それにガラス製品の販売は確かにそんな話でしたね、王室へ大量に売りつけても高価なので、そのうち買い取りも困難になるでしょうからね」
しばし考え込む面々。そこに壱が提案を出す。
「壱:いや、逆にそれもありなんやないか? 王宮が買えへんようになったら、次は上級貴族やろ? そしてやがては庶民にまで……とかな?」
「フム。確かにそれはありですが、時間がかかるでしょうな。まして王宮が庶民が手に入るような価値まで落とさせない様に、古廻様へ圧力をかけてくるかもしれませんからな」
「……その時は滅ぼしましょう。古廻様への挑戦は許せませんから、私が今から行って滅ぼして来ますね」
「「「オイ!」」」
ここから離れる事が困難な事を忘れたかのような、〆の物騒な思考回路にツッコミを入れつつも、流は次の手を考える。
「そこで考えたんだが、先日屋台で面白いテンプレに遭遇したんだよ」
「テンプレ……ですか?」
「壱:お約束っつー意味や。覚えとき」
「まぁ、そのお約束的な事があってな。屋台のオヤジが言うには香辛料がこの国では貴重品らしい」
「フム。確かに香辛料が少ないとは思っていましたが。嗜好品の類でしたか」
「そうみたいだ。そこで俺は香辛料の屋台を始める事にする!」
「「「お~」」」
ふと目の前を見る。セバスが別のお茶と交換する仕草が、妙にカッコいいので魅入る流。
「しかしセバスはカッコいいなぁ。これこそバトラー・オブ・バトラーだな、うん」
「ありがとうございます。それと……」
セバスはジ・レに視線を向けると、少年執事はハンドベルを鳴らす。
すると空間の歪みが出来上がり、その中から赤髪の執事「アルルギル」が出て来る。
アルルギルは前に大きな車輪の付いた、全て木製で出来たサイドワゴンを押しながら、流のテーブルの所へ運ぶ。
そのサイドワゴンの足には凝った竜の彫刻が施されており、天板の上には沢山の木製の小箱が乗せられていた。
「うぉ!? 空間を割って出て来たぞ!! ま、まさかお前も悪魔……なのか?」
セバスとアルルギル、そしてジ・レは揃って流の前へと来ると、とても綺麗な動作で胸へ手を当てスっと頭を下げる。
「こうしてお話するのは初めてかと思うといささか緊張しますね。あらためましてお館様。私は魔界の大将軍の一人、名をアルルギル・ド・ゲーニッツと申します。辺境伯としてセバスさんの元で戦っておりました。現在はお館様の従順な僕でございますので、お気軽にアルルギル……と、お呼びください」
そう言うとアルルギルは頭を下げる。
「申し遅れました、わたくしは魔界の王の一角を担う者でございます。名はセバス・チャン・ドラミッドと申します。これまで通り気軽にセバスとお呼びください」
二人の爆弾発言に、思わず放心する流。
「は……はい? えっと……魔王様に大将軍様? い、意味が分からない」
「うふふ。昔ちょっとオイタが過ぎて魔界まで遊びに行った時に、仲良くなったんですよ。ね?」
「「「ハイ、ソレハモゥ」」」
三人の悪魔はとても遠く、果てしない空の向こうを開放的な室内から眺める……。
「お前達は魔界の住人にも迷惑をかけたのか?」
「フム。私はちょっとだけですよ?」
「何を言うんですか、兄上も酷かったじゃないですか」
「壱:どの口が言うとんのじゃ、お前ら二人が特に酷いわ」
「まったく……しかしあれだな。そんな偉い人? に色々頼み事をするのも気が引けるな」
するとセバスは微笑みながら流へ言う。
「御館様、我らの事は今まで通りに接してもらうのが一番でございます。数百年前ならいざ知らず、最近はこの生活が気に入りましてな。他の者もそうなのです」
「ええ、セバスさんの言う通りですよ。私はこの世界も気に入りましたしね」
「そうなんですよお館様。ボク達も納得して楽しんでいるので、これまで通りにお願いしますね」
「おおぅ……いいのか〆?」
「ええ、それは勿論……うふふ」
額に冷や汗をかきつつも、執事達の好意に甘える事とする。
「分かった、じゃあこれからもよろしくな!」
三人はスっと頭を下げると、少し下がった位置へ戻る。
「それでセバス、今持って来たその箱は?」
「はい御館様。アルルギルがお持ちした箱、その中身は『香辛料』でございます」
セバスがそう言うと、アルルギルが次々と箱を開けていく。
その様子に流と骨董屋さん組は、セバスの突然の発言に固まる。
コイツは一体何を言っているのだろうと……。
全員が見つめる先にはやはり香辛料の香がする物があり、思わず全員で声を揃えてしまう。
「そんな訳で商売を本格的に始める事にする!!」
流はいきなりウェッジウッ〇のワイル〇ベリー柄のティーカップを片手に立ち上がり、今後の行動を宣言する。
「壱:いきなり唐突でんなぁ」
「だって壱が既にみんなに状況報告したんだろ?」
「はい、状況は把握しています。それでどのようなご商売を?」
「それなんだが、以前商業ギルドへガラス製品を卸したことがあったろ? あれはどうやら王宮買い取りになるらしいんだ。だからメインで売るには今はまだ無理だな。それに昨日、商業ギルドマスターから聞いたんだが、王都の経済力はトエトリーの半分も無いそうだ。ここがこの国を、経済的に支配していると言っても過言ではないだろうな」
「そこまで格差が……。ここが拠点になって本当に良かったですね。それにガラス製品の販売は確かにそんな話でしたね、王室へ大量に売りつけても高価なので、そのうち買い取りも困難になるでしょうからね」
しばし考え込む面々。そこに壱が提案を出す。
「壱:いや、逆にそれもありなんやないか? 王宮が買えへんようになったら、次は上級貴族やろ? そしてやがては庶民にまで……とかな?」
「フム。確かにそれはありですが、時間がかかるでしょうな。まして王宮が庶民が手に入るような価値まで落とさせない様に、古廻様へ圧力をかけてくるかもしれませんからな」
「……その時は滅ぼしましょう。古廻様への挑戦は許せませんから、私が今から行って滅ぼして来ますね」
「「「オイ!」」」
ここから離れる事が困難な事を忘れたかのような、〆の物騒な思考回路にツッコミを入れつつも、流は次の手を考える。
「そこで考えたんだが、先日屋台で面白いテンプレに遭遇したんだよ」
「テンプレ……ですか?」
「壱:お約束っつー意味や。覚えとき」
「まぁ、そのお約束的な事があってな。屋台のオヤジが言うには香辛料がこの国では貴重品らしい」
「フム。確かに香辛料が少ないとは思っていましたが。嗜好品の類でしたか」
「そうみたいだ。そこで俺は香辛料の屋台を始める事にする!」
「「「お~」」」
ふと目の前を見る。セバスが別のお茶と交換する仕草が、妙にカッコいいので魅入る流。
「しかしセバスはカッコいいなぁ。これこそバトラー・オブ・バトラーだな、うん」
「ありがとうございます。それと……」
セバスはジ・レに視線を向けると、少年執事はハンドベルを鳴らす。
すると空間の歪みが出来上がり、その中から赤髪の執事「アルルギル」が出て来る。
アルルギルは前に大きな車輪の付いた、全て木製で出来たサイドワゴンを押しながら、流のテーブルの所へ運ぶ。
そのサイドワゴンの足には凝った竜の彫刻が施されており、天板の上には沢山の木製の小箱が乗せられていた。
「うぉ!? 空間を割って出て来たぞ!! ま、まさかお前も悪魔……なのか?」
セバスとアルルギル、そしてジ・レは揃って流の前へと来ると、とても綺麗な動作で胸へ手を当てスっと頭を下げる。
「こうしてお話するのは初めてかと思うといささか緊張しますね。あらためましてお館様。私は魔界の大将軍の一人、名をアルルギル・ド・ゲーニッツと申します。辺境伯としてセバスさんの元で戦っておりました。現在はお館様の従順な僕でございますので、お気軽にアルルギル……と、お呼びください」
そう言うとアルルギルは頭を下げる。
「申し遅れました、わたくしは魔界の王の一角を担う者でございます。名はセバス・チャン・ドラミッドと申します。これまで通り気軽にセバスとお呼びください」
二人の爆弾発言に、思わず放心する流。
「は……はい? えっと……魔王様に大将軍様? い、意味が分からない」
「うふふ。昔ちょっとオイタが過ぎて魔界まで遊びに行った時に、仲良くなったんですよ。ね?」
「「「ハイ、ソレハモゥ」」」
三人の悪魔はとても遠く、果てしない空の向こうを開放的な室内から眺める……。
「お前達は魔界の住人にも迷惑をかけたのか?」
「フム。私はちょっとだけですよ?」
「何を言うんですか、兄上も酷かったじゃないですか」
「壱:どの口が言うとんのじゃ、お前ら二人が特に酷いわ」
「まったく……しかしあれだな。そんな偉い人? に色々頼み事をするのも気が引けるな」
するとセバスは微笑みながら流へ言う。
「御館様、我らの事は今まで通りに接してもらうのが一番でございます。数百年前ならいざ知らず、最近はこの生活が気に入りましてな。他の者もそうなのです」
「ええ、セバスさんの言う通りですよ。私はこの世界も気に入りましたしね」
「そうなんですよお館様。ボク達も納得して楽しんでいるので、これまで通りにお願いしますね」
「おおぅ……いいのか〆?」
「ええ、それは勿論……うふふ」
額に冷や汗をかきつつも、執事達の好意に甘える事とする。
「分かった、じゃあこれからもよろしくな!」
三人はスっと頭を下げると、少し下がった位置へ戻る。
「それでセバス、今持って来たその箱は?」
「はい御館様。アルルギルがお持ちした箱、その中身は『香辛料』でございます」
セバスがそう言うと、アルルギルが次々と箱を開けていく。
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