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第六章:商いをする漢
185:古廻流、犯罪者になる!?
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「「「「はいぃ?」」」」
「もしかしたら香辛料の商いを始めるかもと思いまして、事前に用意させておいたものです」
「ぉぉぅ。セバスが有能すぎる」
「くぅぅッ!! セバス、やりますねぇ……」
「フム。これはやられましたな」
「壱:僕の次くらい有能すぎて、セバスが怖いわぁ」
一部不穏な空気を発するケモケモしい何かがいるが、セバスは額に一筋の冷や汗を流しながらも、その称賛を素直に受け止める。
「ありがとうございます。とりあえず元世界でも有名所から、六十四種を取り揃えました」
「それは凄い!! ではこちらのマーケットを調べて、被らない物から売りに出そう。参は式神を使って調べてくれ、セバスはメイド達を使ってくれ」
「「承知しました」」
「じゃあリサーチの件はこれでよし、後は現金なんだが……。今回の仕事での報酬だが、王貨を三枚もらったんだよな。大体だけど、日本円換算すれば三億円だ。ヤバくないこれ?」
その瞬間〆達は視線を逸らす。
まるで何かもっとヤバイのがあるかのように……。
「……オマエタチ。なぜ視線をそらした?」
「ええっと~。実はぁ」
〆から殺盗団の財宝の事を聞く。
そしてその額に顎が外れる程驚愕した。
「つまり殺盗団の保管庫の奴らが『献上』したと言う訳か?」
「ありていに言えばそうなります、かと?」
「お前ら……盗賊から巻き上げるとか、どこの大盗賊だよ」
流は頭を抱えてとても長い溜息を吐く。
「あ、そうだ。キルトを呼んでくれないか?」
「承知致しました。アルルギル……」
セバスはアルルギルをそっと呼ぶと、一礼して空間へと消えていく。
それから数分後、扉がノックされ、アルルギルがキルトを連れてきたようだった。
時間からすると、直接この部屋に連れて来るのではなく、扉の外へゲートを開いたのだろうと流は思う。
「入ってくれ」
「お呼びでしょうか、御館様」
「忙しところ悪い。少し聞きたいんだが、盗賊を討伐した時の事についてだ。盗賊を討伐したら、その持ち物は誰の物になるんだ?」
「はい、この国の法では討伐者に第一の権利が発生します。また憲兵へ盗品の届け出があれば、討伐者の許可があれば売買も可能ですが、無償で渡す事は基本ありえません」
「そうなのか? なら今回お前達から〆が巻き上げた財宝はどうなる?」
〆が「巻き上げたなんて人聞きが悪いですよ」と言い出すが、壱が「どの口が言うとんねん!」とツッコミが入り顔を背ける。
「その件は問題ありません。正式に御館様の所有物となります。憲兵に届けてもいいですが、手元に引き渡されるまで、あの量ですと年単位の時間が掛かると予測されます。届けなくても問題なく所有する事が可能ですので、そのままお持ちになるのをオススメします」
「そうか、異世界の法ってそう言う感じなのか……。ありがとうキルト。何か困った事があれば何時でも言ってくれ」
「はっ! お心遣い感謝致します」
元盗賊とは思えない流暢な仕草で一礼すると、キルトは部屋を後にする。
「だ、そうだが。良かったな、俺が犯罪者にならなくて、な?」
「申し訳ございません」
「フム。しかし古廻様を害する法なぞ」
「壱:潰してしまうにかぎるやん」
「そうですね、古廻様に仇なす国など滅びればよいのです……ふふふ」
「はぁ~。まったく、お前達はそう言うところだけは仲がいいんだから困る」
やれやれと、溜息を先程より長く吐いた流は確信に迫る。
「で、殺盗団の遺産は一体どれ程あるんだ?」
「はい、日本円に換算すれば大体四八億円程かと」
「……え? 王貨四八枚分? うっそだろ……」
「キルトの話では、すでにオルドラへ移した物もあったので、本来はもっとあったようですね」
「金がどんどん増えている……何だこの世界……」
今日、何度目の絶句だろうか。流は異世界の金の動きに頭を抱える。
「はぁ~。お前達のお陰で金が簡単に集まるな」
「うふふ。でも全然足りないかと思いますよ? 大きな使い道は二つ。一つは地下の封印解除資金。そして……人形との闘い、ですかね」
「あ! そう言えばアリスは元気か? 最近会ってやれなかったな」
「ええ元気ですよ。お暇な時にでも、たまにお顔を見せてやってくださいな。喜びますので」
「ああ分かったよ、今日これから商業ギルドへ行くから、その前にでも顔を出してみる」
もう一杯お茶を飲みながら、流達は雑談をして午後の一時を楽しむ。
その後、商業ギルドへ用意と、嵐影へ出かける事を伝えてから地下のアリスの元へと流は向かう。
地下には相変わらず奇妙な卵のような物が壁に付着しており、その中に人影が見える。
その周りにはいつの間にか木箱が以前より多く置いてあり、その近くにはメイドが一人小さなテーブルで本を読んでいたが、流れが地下に降りると立ち上がり一礼をして待っている。
「おーい。アリス~。生きてるかぁ?」
「む!? その失礼な声はナガレじゃな!! ちっとも遊びに来んで、アタクシは寂しかったのじゃ」
「あぁごめんな。最近忙しくてなぁ」
「都合のいい男は皆そう言うのじゃ!」
「ははは、違いない。まぁ本当に忙しかったんだよ、凶賊退治やら悪魔を殲滅したり、蛇娘の王女様を討伐したり、本当大変だったのさ」
アリスはそれを聞くと、唸る様に流へと問い始めるのだった。
「もしかしたら香辛料の商いを始めるかもと思いまして、事前に用意させておいたものです」
「ぉぉぅ。セバスが有能すぎる」
「くぅぅッ!! セバス、やりますねぇ……」
「フム。これはやられましたな」
「壱:僕の次くらい有能すぎて、セバスが怖いわぁ」
一部不穏な空気を発するケモケモしい何かがいるが、セバスは額に一筋の冷や汗を流しながらも、その称賛を素直に受け止める。
「ありがとうございます。とりあえず元世界でも有名所から、六十四種を取り揃えました」
「それは凄い!! ではこちらのマーケットを調べて、被らない物から売りに出そう。参は式神を使って調べてくれ、セバスはメイド達を使ってくれ」
「「承知しました」」
「じゃあリサーチの件はこれでよし、後は現金なんだが……。今回の仕事での報酬だが、王貨を三枚もらったんだよな。大体だけど、日本円換算すれば三億円だ。ヤバくないこれ?」
その瞬間〆達は視線を逸らす。
まるで何かもっとヤバイのがあるかのように……。
「……オマエタチ。なぜ視線をそらした?」
「ええっと~。実はぁ」
〆から殺盗団の財宝の事を聞く。
そしてその額に顎が外れる程驚愕した。
「つまり殺盗団の保管庫の奴らが『献上』したと言う訳か?」
「ありていに言えばそうなります、かと?」
「お前ら……盗賊から巻き上げるとか、どこの大盗賊だよ」
流は頭を抱えてとても長い溜息を吐く。
「あ、そうだ。キルトを呼んでくれないか?」
「承知致しました。アルルギル……」
セバスはアルルギルをそっと呼ぶと、一礼して空間へと消えていく。
それから数分後、扉がノックされ、アルルギルがキルトを連れてきたようだった。
時間からすると、直接この部屋に連れて来るのではなく、扉の外へゲートを開いたのだろうと流は思う。
「入ってくれ」
「お呼びでしょうか、御館様」
「忙しところ悪い。少し聞きたいんだが、盗賊を討伐した時の事についてだ。盗賊を討伐したら、その持ち物は誰の物になるんだ?」
「はい、この国の法では討伐者に第一の権利が発生します。また憲兵へ盗品の届け出があれば、討伐者の許可があれば売買も可能ですが、無償で渡す事は基本ありえません」
「そうなのか? なら今回お前達から〆が巻き上げた財宝はどうなる?」
〆が「巻き上げたなんて人聞きが悪いですよ」と言い出すが、壱が「どの口が言うとんねん!」とツッコミが入り顔を背ける。
「その件は問題ありません。正式に御館様の所有物となります。憲兵に届けてもいいですが、手元に引き渡されるまで、あの量ですと年単位の時間が掛かると予測されます。届けなくても問題なく所有する事が可能ですので、そのままお持ちになるのをオススメします」
「そうか、異世界の法ってそう言う感じなのか……。ありがとうキルト。何か困った事があれば何時でも言ってくれ」
「はっ! お心遣い感謝致します」
元盗賊とは思えない流暢な仕草で一礼すると、キルトは部屋を後にする。
「だ、そうだが。良かったな、俺が犯罪者にならなくて、な?」
「申し訳ございません」
「フム。しかし古廻様を害する法なぞ」
「壱:潰してしまうにかぎるやん」
「そうですね、古廻様に仇なす国など滅びればよいのです……ふふふ」
「はぁ~。まったく、お前達はそう言うところだけは仲がいいんだから困る」
やれやれと、溜息を先程より長く吐いた流は確信に迫る。
「で、殺盗団の遺産は一体どれ程あるんだ?」
「はい、日本円に換算すれば大体四八億円程かと」
「……え? 王貨四八枚分? うっそだろ……」
「キルトの話では、すでにオルドラへ移した物もあったので、本来はもっとあったようですね」
「金がどんどん増えている……何だこの世界……」
今日、何度目の絶句だろうか。流は異世界の金の動きに頭を抱える。
「はぁ~。お前達のお陰で金が簡単に集まるな」
「うふふ。でも全然足りないかと思いますよ? 大きな使い道は二つ。一つは地下の封印解除資金。そして……人形との闘い、ですかね」
「あ! そう言えばアリスは元気か? 最近会ってやれなかったな」
「ええ元気ですよ。お暇な時にでも、たまにお顔を見せてやってくださいな。喜びますので」
「ああ分かったよ、今日これから商業ギルドへ行くから、その前にでも顔を出してみる」
もう一杯お茶を飲みながら、流達は雑談をして午後の一時を楽しむ。
その後、商業ギルドへ用意と、嵐影へ出かける事を伝えてから地下のアリスの元へと流は向かう。
地下には相変わらず奇妙な卵のような物が壁に付着しており、その中に人影が見える。
その周りにはいつの間にか木箱が以前より多く置いてあり、その近くにはメイドが一人小さなテーブルで本を読んでいたが、流れが地下に降りると立ち上がり一礼をして待っている。
「おーい。アリス~。生きてるかぁ?」
「む!? その失礼な声はナガレじゃな!! ちっとも遊びに来んで、アタクシは寂しかったのじゃ」
「あぁごめんな。最近忙しくてなぁ」
「都合のいい男は皆そう言うのじゃ!」
「ははは、違いない。まぁ本当に忙しかったんだよ、凶賊退治やら悪魔を殲滅したり、蛇娘の王女様を討伐したり、本当大変だったのさ」
アリスはそれを聞くと、唸る様に流へと問い始めるのだった。
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