日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

199:前門の虎? 後門の狼?

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 あれから数時間バーツ達と話し、確かな手応えを感じつつ、全員が今回の計画は成功するだろうとの見解だった。
 話し合いも終わり商業ギルドから戻ると、流は早速屋台の準備に取り掛かる。
 まずは参に新たに頼んでいた、調理師と販売員を二名用意してもらう。

「フム。古廻様、この者達でどうでしょうか?」
「うん、良いんじゃないか? 二人とも綺麗な顔立ちだし、客受けしそうだ」
「「ありがとうございます」」

 参が新たに用意してくれた人材は、この世界基準で見ても、とても美しく、調理師は愛嬌のある顔立ちの娘達だ。
 でも中の人はどなたか存じませんが! と、流は思うが、素直に受け入れる事にする。
 執事達の事もあり、深く追求すると精神的な意味合いで疲弊しそうなので……。
 そんな事を思いながら販売車を眺めると、どこか寂し気な感じがする。

「う~ん、販売車にペイントが欲しいな。そうだな……スパイスの絵とカレーの絵を書いたらどうだろうか?」
「壱:そりゃあ分かりやすくて良いんちゃいまっか。カレーの店っちゅうこって!」
「フム。では早速その通りにいたします」
「後は俺も一緒に行って呼び込みでもするかな。そう言えばミレリアとロッティはどうしてる?」
「フム。今は夜朔と共に、妹の特訓中ですな」
「それは大変だな。場所はどこだ?」
「壱:それは僕が案内しまっせ」

 壱の案内で屋敷の中へ来ると、昇降機ホールの前へと来る。
 屋敷の中で特訓? と疑問に思う流であったが、壱がそそくさと乗り込むので、流も中へ乗り込むと、ミレが現れ階層を聞く。

「お帰りなさいませ……何階……ですか?」
「壱:あ~地下十階や、たのむでぇ」

 地下十階と言うありえない言葉に、一瞬聞き間違いかと思い、もう一度聞き直そうとするが……。
 ミレはこなれた手つきでパネルを操作しながら頷くと、勢いよく地下へと昇降機は滑り落ちる。


「うおおお!? 結構怖いんだがー? それに地下十階って何だよ、何時の間にそんな所を作ったんだ!?」
「壱:あれ? 言っていまへんでしたか? ミレリア達を鍛えるために妹の奴が張り切りましてん。それで特訓場を作りおったんでっせ」
「そんな簡単に出来る物なのかよ、しかも地下って土砂はどうした!?」

 相も変わらずの出鱈目な骨董屋さんの面々に呆れる流。
 やがて落ちる速度もゆっくりになり、地下十階へと辿り着く。
 ミレは一仕事をやり終えたと言う、陰鬱いんうつだが満足そうな顔で乗客へと到着を知らせる。
 しかし、その眼前に飛び込んできた世界は、まさに「異常」としか表現出来ないものが広がっていた。

「お待たせしました……楽しんで来てください……」
「何だ、ここは……。地下なんだよなぁ?」

 そこには青い空と、白い雲がある白いビーチが広がっていた。
 遠くにはガレオン船が浮かんでおり、日差しが海をきらめかせ、カモメが楽し気に飛んでいる。

 良く見れば海の真ん中に誰かが立っており、その下を泳ぐ人影が何かから逃げ惑う。
 そして砂浜ではとても大きい四阿が建っており、その下では夜朔が鬼と戦っていた。そう、鬼と。

「壱よ、ありゃあ一体何の冗談だ? 小さい鬼がいるぞ、赤鬼と青鬼が!」
「壱:お~? あれはぜんちゃん、っちゃんやないかい!」

 壱は懐かしい友人を見つけたように、ビーチに作られた大きい四阿へと飛んで行く。
 四阿の下は石で出来た舞台があり、その中心部では二人の小さい鬼にボコボコされているキルト達がいた。

「壱:お~い。前ちゃん、後ちゃん、久しいやん。元気しとったかぁ?」
「あら~。久しぶりだねぇ、っちゃんも元気してたかい?」
「オウ、壱。久しいのう! ぬしも元気そうじゃのう」
「おお!? 可愛い鬼だ」

 近くで見ると身長がどちらも一般的な小学三年生程の身長で、青い鬼は男で、赤い鬼は女のようであった。
 青い鬼は、黄色い二本の角に雷に打たれた後の髪型のような、気合の入った黒い天パで、上半身裸のポヨっとした体形に似合わない凶悪な顔をした鬼。

 対して赤い鬼は、紫色の髪から白い角が二本生えた、可愛らしい子供のような外見であったが、容姿は将来美人になるであろう、整った顔つきの美少女がいた。

 そんな二人が流を凝視して、明らかに敵対的に睨みつける。

「なんがぁ~。こん餓鬼は~?」
「生意気にもアタシを見て欲情しているよ」
「壱:や、やめんかい!? この方はウチらのある……こほん、大変尊敬している方なんや、失礼があってはならんで!!」
「なんじゃと~? こんなクソ餓鬼がかい?」
「ふ~ん……。目つきが気に入らないねぇ……」

 瞬間、小鬼二人の妖力が恐ろしい程に膨れ上がる。
 その妖力を感じられるようになった夜朔の面々は、苦しそうに床に膝を付きその様子を見ている事しか出来ない。

 そして流は――。

「何だこの躾の悪い狂犬は? ま~怖い! 噛まれる前に狂犬病のお注射しましょうね?」
「オイ達が犬コロ……」
「口だけは一丁前かい……」

 ますます膨れ上がる妖力、それに激怒した存在が急速に存在感を増す。

『………………!!!!』
「ほ~ぅ」
「ふぅん」
「おぉ~。美琴が激おこって見た事無いぞ?」

 美琴の妖力を受けても微動だにしない小鬼達。
 その姿は一目で強者のソレと分かる、実に堂々とした様子で次の言葉を放つ。
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