日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

203:水着回の始まり、漢達の終わりの始まり

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「このような物を着るのは初めてですが、どうでしょうか?」
「うん、いいんじゃないか? モデル見たいだぞ。なあキルト?」
「ええそうですね。あのパメラとは思えない程に洗練されている」
「パメラ、孫にも何とやらってやつだぜ。なぁドルージ?」
「ああ、ラスカの言う通りだな。ぷっ、あのパメラさんがねぇ」
「ドルージ、後で話し合おう、トコトン」

 思わず地雷を踏み抜くドルージを見た、他の夜朔のメンバーは押し黙り、ドルージの冥福を祈るのだった。

 そして最後にあの娘、傾国の悪女が満を期して登場する。

「うふふ。盛り上がっていますね。どうでしょうか古廻様?」

 そこには粉雪のような白さを持つ、赤子より上等のその素肌を、惜しげも無く披露した魅惑のキツネさんがいた。
 その水着は黒を基調とした物で、デザインは攻めているが決して下品と言うより、むしろ上品な感じのアダルティで、どんな男女でも虜にする魅力が駄々洩れだった。

「お~。相変わらず美しいな。その腰の飾り紐がまたいいな」
「お褒めいただけて嬉しゅうございます♪」

 そんな中ボソボソと背後で話す漢達がいる。

「フム。あれではただの痴女では? よくて露出狂と言った感じですな」
「うちのカーチャンも大きゅうなったらあんなんだがよ。でもお嬢はウチのよりスゲーがね」
「壱:あれは国をも狂わすアブナイ女やさかい、見たらあかん! 見たら目の消毒をせなな」

「……ナ・ニ・カ?」
「「「……ベツニ」」」

 そんなハートフルなやり取り後、流達は海辺へ行って泳いだり、ビーチチェアで寛いだりと自由に過ごすのだった。



「本当にどうなっているんだろうな、この空間は。遠くに船が走っているし、カモメも飛んでいる。あ、くじらが塩を吹いた……」
「うふふ。ここは本物の海であり、偽物でもあるんですよ。異界骨董屋さんの露天風呂がございましょう? あれと似た術で固定してあるのです」
「はぁ~。もう何でもありありっすなぁ~。そういえば因幡はどうした? こっちに来ればいいのに」
「残念ながら、因幡は薬草の採取に出かけています。何でも新しい物を開発するとか言っていましたね」
「そっか~。それは残念だな」

 流は因幡がここにいたら喜ぶだろうなと、とても残念に思いながらビーチチェアから空を見る。
 遠くの雲に因幡が見え、そこで元気に「お客じーん」と手を振っているように見えた。



 やがてセバス達とメイドが食材を用意し、何時の間に出来ていたのか、Uの字の巨大な焼台を囲み歓迎会は始まる。
 ちなみにメイド達まで、フリルが付いた小さなエプロンをした水着になっており、唯一参とセバスのみ執事服のままだった。

「よし! じゃあ新たな仲間と、おかしな空間に海まである意味が分からない世界に乾杯!!」
「「「カンパーイ!!」」」
「さぁ皆さま。焼台も良い感じに温まっておりますので、どんどんお食べください」

 セバスがそう挨拶すると、メイド達はUの中に入り次々と肉や魚、そして野菜を焼いて行く。
 実に食欲をそそる弾ける肉汁音に胃袋を刺激され、落ちた肉汁が備長炭に落下する事で広がる魅惑の香に酔いしれる。
 その音と香の攻撃により、口の中一杯に広がる「食欲の塊」があふれ落ちそうになる。
 それを見越したかのように、メイド達は絶妙な焼き加減で、流達へ焼きあがった食材を提供する。

「これは美味いな! セバス、これはオークと牛肉を合わせたような味わいだが?」
「はい、これはこちらの世界に野生で生息する肉食牛で、味は絶品みたいですね。こちらの世界は調味料こそ不足していますが、素材自体の味がとても優れているので面白いですね。それを一頭買い付けましたので存分にお食べください」

 その話を聞き、以前流星屋台で食べた絶品料理を思い出す。

「ああ、それは俺も思ったよ。単純な味付けなのに素材自体が異常に美味いんだよな! ファンと前に食べた肉料理も凄かったし、その肉と一緒に並んだ茸なんて旨味の塊だったぞ? しかしあれだな……。肉食牛って響きがスゲー怖いんだが」
「本当だが。オイは鬼なのに不気味に感じるのは何故がね?」
「野生の白菜みたいな怖さがあるねぇ」
「でもこの牛はとても美味しいですよ、ねぇ古廻様?」
「ああ美味い! 赤身なのにこの柔らかさとジューシーさ、そして広がる旨味が癖になるな!」

 肉食の牛と言うインパクトと、野生の白菜と言う恐怖に盛り上がる面々。
 そんな屋敷のメインメンバーの食事を対面で見ながら、夜朔のメンバーも舌鼓を打つ。
 夜朔の今年十九歳になる紅一点の娘、パメラが思わずボソリと話す。

「美味しいですねキルトさん」
「ああ美味い……。ジルは食べているか?」
「ええ食べてますよ~。食べなれた肉ですが、調理次第でここまで変わるもんなんスね。隣のドルージなんて肉を山盛りですよ、ほら」
「あっふ、ウメエです!」
「ああ!? 俺の分も取るなよドルージ!」
「遅いラスカが悪ぃんだぜ? この世は弱肉強食だからな。ハハハ」

 五人は極上の焼肉を食べながら思う。あの時、誠心誠意心を尽くして良かったと。
 そしてあの地獄に送られた元同僚達を思うと、ここはヴァルハラなんじゃないかと思う。
 そんな事を考えていると、〆が流の顔を自分の胸に埋めるシーンを目撃する。

(この国の誰より美しく、可憐でスタイルもいいのに、あんなに恐ろしいお方なんて……)
(お、御館様は恐ろしくないのか……)
(普通なら欲情する所なんだろうが、あの方にはそんな気がちっとも起きねぇ)
(この異常な空間や、オニ? と言う教官も恐ろしいお方ばかりだと言うのに、御館様のなんと堂々とした事か)
(あぁ、女としてあの体には憧れるわぁ。いいなぁシメ様)

 五人共色々思うのだったが、大体は同じような事を考えていた。一人を除き。

「あらあら? キルト達は私を見つめてどうしたのかしら? いくら魅力的でもダ・メ・よ? うふふ」

「「「誓ってそのような事を思っておりません!!」」」

「そうなの? 少し……寂しいわね」

 残念そうにしながらも、その目は挑発するような視線をキルト達へ向けるお狐様。
 その視線を受け、訓練されたアーミーのように一糸乱れず、直立不動で答えるキルト達を見て、流が苦言を呈する。
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