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第六章:商いをする漢
220:デッド・リ・エスケーション
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「セエエエイッ!! ジジイ流・肆式! 四連斬!!」
先程と寸分違わず、四連の斬撃はオークキングの胸を狙うが、やはり右手の籠手により同じ場所で弾かれる。
それでもめげずに流は斬撃を幾度も放ち、その度にオークキングの右手の籠手で弾かれてしまっていた。
「なかなかどうして、やるではないか。ブルハハハ、人間にしておくのが惜しいぞ?」
「ハァハァ、あり、がとうよ。こっちはまるで巨山を斬っている気分になってるよ」
「山!! それはいい表現だな、うむ、巨山か。威風堂々としているな。よし、今日から巨山の王とも名のろうか? ブルハハハハ!」
「喜んで頂けて何よりですよ、王様」
「ブルハハハ、では褒美に一つ業を見せてやろう。死ぬなよ?」
「出来れば見たくないんですがね……」
オークキングは左手に持った王笏の石突を、床に叩きつける。
「ブルアアア! 《デッド・リ・エスケーション!!》」
そう唱えた瞬間、床が高さ三メートル程の波のようになり、うねりながら流へと襲い掛かる。
その様子は山津波が襲って来るかのような速度と、威力で流を押しつぶそうとする。
流は観察眼で〝デッド・リ・エスケーション〟の脆い部分を探る、すると隆起した一瞬だけ脆くなる個所を見つける。
「そこだあああ! ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
一撃必殺の刺突術は、目の前に迫る〝デッド・リ・エスケーション〟に着斬すると、その衝撃で流がいる場所だけ割れて通過する。
そしてその隙を逃さず流はオークキングへと突撃し、もう一度業を放つ。
「っれならどうだ!! ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
王笏を床に打ち付けた状態の、業を放ったばかりの硬直状態を狙った流は、その刺突術を美琴の妖力を練り上げ撃ち放つ。
そしてそのままオークキングの鳩尾辺りへと、美琴を強烈に穿ち据える。
「ブルアアアア!!」
「なッ!?」
硬直していたはずのオークキングは、またもや右手の籠手で渾身の一撃を弾き飛ばす。
「ブルハハハ! よい、今のは最高に良かったぞ? まさか〝デッド・リ・エスケーション〟を超えるばかりではなく、反撃までもしようとはな?」
そう言うとオークキングは実に楽し気に笑う。
逆に流は絶望に近い感覚に染まる。
「何だその籠手は!!」
「ブルフフフ、これは黒岩の籠手と言ってな。伝説級のアイテムで余の盾と鉾、両方の役割を持つ物だ」
(クソッ! あれで無傷なのかッ!? どうする、どうしたらいい??)
そんな絶望の中、なぜ観察眼を使用して弱点を探らないのか?
それは――
(アリスの言っていた事はこう言う事かよ、観察眼が効かない相手ってのは……)
流は既に初めから観察眼を使用していた。しかし、オークキングにはどこにも弱点らしきものは存在せず、その兆候すら見られなかった。
正に絶望、攻撃も通用せず、逃げる事も恐らく不可能。そんな中さらに絶望が襲って来る。
「もう一つ業を見せてやろう……とも思ったが、それは大人げが無い。ではこのまま相手をしてやろうか。なに、少し力を入れて攻撃するだけだから死ぬなよ?」
歩く度に振動を起こす足音を響かせて、流へと向かって来るオークキング。
そのまま右手を大きく掲げると、流へ押しつぶすように振り落とす。
「ぐ!? 氷盾!」
思わず氷盾を起動し、その絶対防御で凌ぐ――が。
「ぐあああああああ!?」
「むう、何だ? 見えない何か大きな物が邪魔をするな?」
氷盾は流を守ったが、そのまま大きく吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされながらもその思考は止まらず、流は起死回生を狙い隙を窺う。
(くっそ、絶対防御でも相性があるって〆が言ってたな、これは相性最悪か? どこまでもツイテねぇ! だがッ)
吹き飛ばされ、その先に在る壁に激突する直前、流はクルリと空中で体を捻り壁を蹴って疾走する。
その時流はある決断をする、それは「オリジナルの業」の発動であった。
「美琴!! お前の力を貸してくれ!! 行くぞ、オークキング!!」
「ブルアアア、来い人間よ! 全て受け止めてくれようぞ」
流は肆式三連斬の構えのまま、妖力を美琴との間に循環させて威力高める。
「喰らえッ! 俺流・肆式! 七連斬!!」
――肆式七連斬。それは四連の後に三連の斬撃を繋げて使うと言う、一見簡単に見えるが、それは難しいと言うのが連斬を開発した者と、それを継承した者達の総意だった。
それは連斬に込める力が一時枯渇するため、続く業に十分な威力が乗らないからだと言う。
しかし美琴の助力でその問題を解決した流は、ぶっつけ本番でこの業を放つ――
「行っけヤアアアアア!!」
「ブルアアアアアアア!!」
オークキングの鳩尾辺りに向け、流は七連斬を一点に向けて放つ。
そしてそれを堂々と弾くため、オークキングは右手の籠手で同じように弾き飛ばしながら、流へと逆撃を与える。
「グガアアアア!?」
攻撃したはずが逆撃を受け、流は氷盾の加護で吹き飛びながらも体は無事だった。
しかし二度残っていた氷盾の加護は消失し、クールタイムに入ってた。
その再使用までの時間、残り――三分。
先程と寸分違わず、四連の斬撃はオークキングの胸を狙うが、やはり右手の籠手により同じ場所で弾かれる。
それでもめげずに流は斬撃を幾度も放ち、その度にオークキングの右手の籠手で弾かれてしまっていた。
「なかなかどうして、やるではないか。ブルハハハ、人間にしておくのが惜しいぞ?」
「ハァハァ、あり、がとうよ。こっちはまるで巨山を斬っている気分になってるよ」
「山!! それはいい表現だな、うむ、巨山か。威風堂々としているな。よし、今日から巨山の王とも名のろうか? ブルハハハハ!」
「喜んで頂けて何よりですよ、王様」
「ブルハハハ、では褒美に一つ業を見せてやろう。死ぬなよ?」
「出来れば見たくないんですがね……」
オークキングは左手に持った王笏の石突を、床に叩きつける。
「ブルアアア! 《デッド・リ・エスケーション!!》」
そう唱えた瞬間、床が高さ三メートル程の波のようになり、うねりながら流へと襲い掛かる。
その様子は山津波が襲って来るかのような速度と、威力で流を押しつぶそうとする。
流は観察眼で〝デッド・リ・エスケーション〟の脆い部分を探る、すると隆起した一瞬だけ脆くなる個所を見つける。
「そこだあああ! ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
一撃必殺の刺突術は、目の前に迫る〝デッド・リ・エスケーション〟に着斬すると、その衝撃で流がいる場所だけ割れて通過する。
そしてその隙を逃さず流はオークキングへと突撃し、もう一度業を放つ。
「っれならどうだ!! ジジイ流刺突術! 間欠穿!!」
王笏を床に打ち付けた状態の、業を放ったばかりの硬直状態を狙った流は、その刺突術を美琴の妖力を練り上げ撃ち放つ。
そしてそのままオークキングの鳩尾辺りへと、美琴を強烈に穿ち据える。
「ブルアアアア!!」
「なッ!?」
硬直していたはずのオークキングは、またもや右手の籠手で渾身の一撃を弾き飛ばす。
「ブルハハハ! よい、今のは最高に良かったぞ? まさか〝デッド・リ・エスケーション〟を超えるばかりではなく、反撃までもしようとはな?」
そう言うとオークキングは実に楽し気に笑う。
逆に流は絶望に近い感覚に染まる。
「何だその籠手は!!」
「ブルフフフ、これは黒岩の籠手と言ってな。伝説級のアイテムで余の盾と鉾、両方の役割を持つ物だ」
(クソッ! あれで無傷なのかッ!? どうする、どうしたらいい??)
そんな絶望の中、なぜ観察眼を使用して弱点を探らないのか?
それは――
(アリスの言っていた事はこう言う事かよ、観察眼が効かない相手ってのは……)
流は既に初めから観察眼を使用していた。しかし、オークキングにはどこにも弱点らしきものは存在せず、その兆候すら見られなかった。
正に絶望、攻撃も通用せず、逃げる事も恐らく不可能。そんな中さらに絶望が襲って来る。
「もう一つ業を見せてやろう……とも思ったが、それは大人げが無い。ではこのまま相手をしてやろうか。なに、少し力を入れて攻撃するだけだから死ぬなよ?」
歩く度に振動を起こす足音を響かせて、流へと向かって来るオークキング。
そのまま右手を大きく掲げると、流へ押しつぶすように振り落とす。
「ぐ!? 氷盾!」
思わず氷盾を起動し、その絶対防御で凌ぐ――が。
「ぐあああああああ!?」
「むう、何だ? 見えない何か大きな物が邪魔をするな?」
氷盾は流を守ったが、そのまま大きく吹き飛ばされてしまう。
吹き飛ばされながらもその思考は止まらず、流は起死回生を狙い隙を窺う。
(くっそ、絶対防御でも相性があるって〆が言ってたな、これは相性最悪か? どこまでもツイテねぇ! だがッ)
吹き飛ばされ、その先に在る壁に激突する直前、流はクルリと空中で体を捻り壁を蹴って疾走する。
その時流はある決断をする、それは「オリジナルの業」の発動であった。
「美琴!! お前の力を貸してくれ!! 行くぞ、オークキング!!」
「ブルアアア、来い人間よ! 全て受け止めてくれようぞ」
流は肆式三連斬の構えのまま、妖力を美琴との間に循環させて威力高める。
「喰らえッ! 俺流・肆式! 七連斬!!」
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それは連斬に込める力が一時枯渇するため、続く業に十分な威力が乗らないからだと言う。
しかし美琴の助力でその問題を解決した流は、ぶっつけ本番でこの業を放つ――
「行っけヤアアアアア!!」
「ブルアアアアアアア!!」
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そしてそれを堂々と弾くため、オークキングは右手の籠手で同じように弾き飛ばしながら、流へと逆撃を与える。
「グガアアアア!?」
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