日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第六章:商いをする漢

221:落ちた燕は凶悪なケモノになりて

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 さらに今度は相性の悪さからなのかダメージまでも貫通しており、血反吐を吐きつつ流は立ち上がる。

「オオオ! 素晴らしいぞ人間。よくぞあの攻撃より生還した!」
「ぐぽッ……。ペッ……はぁはぁ、それはどうも……そろそろ満足したら、お帰り願えませんかねぇ?」

 そう言いつつ、流はマジックバッグから紫の回復薬を飲む。

「ブルハハハ。それもまぁ良いが、貴様は戦いの中で成長する面白き男よ。なればもう少し見たいと思うのも、武人なれば当然と思うのではないかな?」
「大人しく王様だけしていてくださいよ……」
「ブルハハハ! それは良く言われるのだがな、まぁ性分ゆえ許せ。ふむ、では余に一撃を与えられたら引くとしよう」
「それはまた……一撃で山を吹き飛ばすかのようなご注文で」
「ブルハハハ、本当に面白い男よの。どうだ、やってみぬか?」
「分かったよ、どの道選択肢は無いと同じだからな」

 オークキングは満足気に頷くと、王笏をドンと床だった場所に打ち付ける。

「うむ! それでこそ勇者と言う物よ!! なればその生きざまに敬意を表し、余の拳の一撃をくれてやろう」

 そんなやり取りを見ていた回りのオークは、血を吐いて弱った今がチャンスとばかりに、一斉に流へと襲い掛かる。
 それを一瞥したオークキングは呆れたように怒りの一撃を放つ。

「ブルアアアアアア!! 馬鹿共が、戦士の戦いを汚す事は許さん!!」

 その怒気一発で、オーク達が消し飛び肉片に変わる。
 それを見た流は額に冷や汗を滲ませながらお願いする。

「……お手柔らかにドーゾ」
「うむ」

 鷹揚に頷く豚の王、しかしその姿は威風堂々とした武人そのものであった。
 その堂々とした態度は人間ですら見た事が無いと思う程、その姿は自信と威厳に満ち溢れていた。
 そしてその時が訪れる。

 オークキングは右手に力を込め、流へと打ち付ける。
 それはとてもゆっくりと、実に緩慢に見えるが、実際は早かった。
 あまりの事に脳内の処理が追いつかず、そう見えたのかもしれない。だから災いしたのだろう。
 
 流は回復中の体に鞭を打ち、回避しようと右へ飛とぼうとした。
 しかし思ったよりも体は回復しておらず、読み間違った攻撃速度も合わせ、このまま直撃すると思われた刹那、突如自分と拳の間に青い影が割り込む。

「なッ!? ら、嵐影!!」

 嵐影は流を抱くように庇うと、体毛を針の様に逆立て、オークキングの痛恨の一撃をその身に受ける。
 流は嵐影が庇ったままの姿で壁へとぶつかり、その壁が崩壊すると動きが止まる。

「嵐影! どうしてっ!! お前っ!!」
「……マァ」
「心配したってお前……馬鹿だよ、そんな事で俺を庇うなんて」
「…………マ」
「待っていてくれ、コレを飲んで休んでろ」

 マジックバッグから緑の回復薬を取り出し、嵐影の口元へと運ぶ。
 しかし嵐影は口を開ける元気すらなくなっており、無理やり口を開き中へと入れる。
 すると何とか飲みこんだようで、一瞬目が開くが、そのまままた目を閉じて動かなくなった。

「ブルアアア……。貴様、そのラーマンは友なのか?」
「ああそうだ。こいつはな、俺の相棒の嵐影だ」
「うむ、見事なり! それにしてもラーマンを友と呼ぶ? 確か『書庫』に……コレか。そうか、そのラーマン……。いやそれこそ『聖獣人』と呼ばれる伝説の存在になりうるのか?」
「アンタ、何を言っている?」
「ブルハハハ。そうか、知らずに友となったか。やはり貴様は面白い逸材だ。うむ、そのラーマンに免じて最後の一勝負と行こう。見事この一撃を防ぎきったら貴様の勝ちとする」

 流は倒れている嵐影を一瞥し、返す視線でオークキングを鋭く睨みつける。

「分かった、俺も全力でお相手する」
「うむ、そう来なくてはな! ブルハハハハ!! では行くぞ? ぬぅん!」

 オークキングは力を込め、闘気を右拳に集中する。

 流も美琴を納刀すると、腰から鞘を抜き地面へと静かに正座する。
 そして納刀したまで右側へ美琴を置くと、静かに目を閉じて膝の上に左手を乗せ、右手は美琴の鞘へそっと乗せた。
 
「ブルルル……何の、真似だ?」
「気にするな、これが俺流のアンタへの返事だ」
「そうか。なればその腑抜けた姿勢で逝くがよい! ヌウウウウン!!」

 右手に強大な闘気を纏ったオークキングは、周囲の空間がぼやける程の威力で流へと右の拳を打ち下ろす。

 その砲弾のような質量を持った拳が、頭部へ着弾するまで残り僅かで流は動き出す。

 手を添えて置いてあった「美琴の鞘だけ」を流は右手で後ろへ飛ばすと、即美琴のつかを掴み、刃を上に向けてオークキングの迫り来る右手の籠手の「一部分」を狙う。

「ジジイ流納刀術! 奥義・陸翔燕斬りしょうえんざん!!」

 ――陸翔りしょう燕斬えんざん右側に刀を置いた状態で鞘へ手を触れ、内部へ気を溜める事で刀の重さを極限まで軽くし、右手で触れていた鞘のみを、勢いよく後ろへと飛ばす事で、一気に刃へ気を通し斬れ味を増す。それを流は妖力を使って行い、そして――
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