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第七章:新たな力を求めるもの
236:お~に~く~大ぁぃ好き
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「ギョギョギョアアアア!!!」
「あ~煩いねぇ。コイツは餓鬼と言って最下級の鬼さね。コイツと戦って倒して見な」
「了解!」
「チョイ待ちぃガキんちょ。美琴は封印させてもらうが」
「は? いや、そしたら戦えないだろう?」
「あほう、今のガキんちょは美琴だよりだが。それでは何時までたっても美琴だよりで強くなれんちゃ」
「そうさね。だから封印した状態でコイツに勝てれば良し、分かったかい?」
「お、おう……やってやるさ。でも美琴から妖力を、もらってもいいんだろう?」
「そりゃ問題ないさね、最初の課題は『妖力で凌ぐ』だからね。よし、じゃあコイツが消えるまでが修業だよ。じゃあ……始め!!」
そう宣言した瞬間、餓鬼は前に転びそうな勢いで、流の右足にかじりつく体制で襲って来る。
「あ~。言い忘れたけど、そいつは常に腹が減っている。油断していると食われるよ?」
「なッ!? そう言う事は早く言えよな!!」
餓鬼が右足にかじりつきそうになった刹那、流は左膝で餓鬼の顔面を強打する。
それに怯んだのか、いっきに距離を取り、流を品定めするかの様にジットリと見ている。
「ほれ、見ているだけじゃ終わらんが! 妖力を練って戦わんが!!」
「ッ、そんな事言っても――」
「美琴から妖力をもらったまま、体全体に均等に行き渡らせるちゃ!!」
「あ~違う違う。坊や! もっとリラックスしながら避けてみな!」
「軽く言ってくれるッ……うわっ」
リラックスするどころか、意外と素早い餓鬼の動きに翻弄される。
体に妖力を均等にという感覚すらまだ慣れていないが、餓鬼は手加減無く貪りに来る。
そして――。
「いいかい? 妖力が『そこに在る』と思って払いのけな!!」
「妖力も武器だと認識せい!」
「ぐぅッ!! 噛みつくな、このクソ餓鬼があああ」
避けたはずが、左腕に噛みつかれて肉を持って行かれそうになる。
咄嗟に右手で餓鬼の側頭部を殴りつけようとした時、それは起こった。
「何だ!?」
流の右手、正確には右手の甲に鉤爪のような形をした妖力の塊が出来て、餓鬼の頭をスライスする。
そのまま餓鬼は断末魔を上げると、消えてしまった。
「おお~。それだがよ! それが妖力を操るって事だっちゃ!」
「やるね~! もうコツを掴んだのかい?」
「今のは一体……?」
「そいつはね、坊やが餓鬼を『払いのけたい』と言う思いから、体にある妖力を具現化してそう言う形になったのさね」
「そうじゃあ、オイがさっき妖力の刃を飛ばしとうが? あれはそれの応用がよ」
「つまり飛ばしたい……いや、『飛ばせる』と思えばああなると?」
「そうじゃ! その思いが大事だがね」
なるほどと流は思う。だから、ここでも固定観念の壁が邪魔していると悟る。
「白鳥は飛ぶのか? ガラスは割れるのか? 水は落ちるのか? 否! そんな風に思い、常識をぶち破る概念があれば、今のみたいな事は簡単に出来るのさね」
後鬼は後ろで見学していた夜朔達と姉妹へ向くと、こう続ける。
「アンタ達が出来ない理由が分かったかい? 常識が邪魔をするんだよ。そんな常識は餓鬼にでも食わせちまいな!!」
「「「はい!」」」
夜朔たちの常識とは、きっと自分のとは大きく違うのだろうと流は思う。
だから余計に妖力と言う存在を、操る事の難しさがあるのだろうと。
「なるほどな、固定観念の相違か」
「また面倒な言葉だっちゃ。だがその通りだがね」
「じゃあ次は倍出すよ?」
「おう、来い!」
後鬼は黒い空間を作ると、そこから餓鬼を二体召喚する。
その召喚された餓鬼は見た目は同じだったが、明らかに最初の個体より狂暴性が増しているのが一目で分かった。
「肉に苦肉にくぅぅ」「腹らら肉苦肉くぅぅ」
「今度の奴らはさっきより狂暴だ。油断するとあっと言う間に、肉を持ってかれるよ?」
「ッ。分かった!」
「ほらお行き!」
「「キャアアッ肉ううううううう!!」」
迫る餓鬼に恐怖は無く、むしろ迫る速度が酷く緩慢に感じていた。
スローモーション撮影でも見ているかのような時の中、イメージ力で固定観念を打ち払う。
(イメージ力、か……白鳥は飛べない、ガラスは砕けない、水は上る。そして妖力は俺の体そのもの! 妄想を真実に固定……よし、イケルッ!!)
流は美琴を納刀したまま正面から迫る二体のうち、右手の餓鬼の足元に板状の妖力を飛ばし転ばせる。
それに巻き込まれるように、左側の餓鬼もバランスを崩したところで業を試す。
「ジジイ流・投擲術! 飛竜牙!!」
妖力を練って作った、長さニ十センチ程の円錐状の妖力を両手に作り出し二本ずつ投擲する。
さらに流は「ぬっぅ」と唸ると、右手の握り拳から人差し指と、中指を突き出し餓鬼に向けて言い放つ。
「爆ぜろ!!」
それが二匹の餓鬼の頭部と胸に当たると、そこから内部爆発を起こしたように爆ぜた。
「「ぐぎゃあにぐぅぅうう」」
狂暴な二匹の餓鬼は、何が起きたかも分からず、断末魔を上げると消え失せた。
「あ~煩いねぇ。コイツは餓鬼と言って最下級の鬼さね。コイツと戦って倒して見な」
「了解!」
「チョイ待ちぃガキんちょ。美琴は封印させてもらうが」
「は? いや、そしたら戦えないだろう?」
「あほう、今のガキんちょは美琴だよりだが。それでは何時までたっても美琴だよりで強くなれんちゃ」
「そうさね。だから封印した状態でコイツに勝てれば良し、分かったかい?」
「お、おう……やってやるさ。でも美琴から妖力を、もらってもいいんだろう?」
「そりゃ問題ないさね、最初の課題は『妖力で凌ぐ』だからね。よし、じゃあコイツが消えるまでが修業だよ。じゃあ……始め!!」
そう宣言した瞬間、餓鬼は前に転びそうな勢いで、流の右足にかじりつく体制で襲って来る。
「あ~。言い忘れたけど、そいつは常に腹が減っている。油断していると食われるよ?」
「なッ!? そう言う事は早く言えよな!!」
餓鬼が右足にかじりつきそうになった刹那、流は左膝で餓鬼の顔面を強打する。
それに怯んだのか、いっきに距離を取り、流を品定めするかの様にジットリと見ている。
「ほれ、見ているだけじゃ終わらんが! 妖力を練って戦わんが!!」
「ッ、そんな事言っても――」
「美琴から妖力をもらったまま、体全体に均等に行き渡らせるちゃ!!」
「あ~違う違う。坊や! もっとリラックスしながら避けてみな!」
「軽く言ってくれるッ……うわっ」
リラックスするどころか、意外と素早い餓鬼の動きに翻弄される。
体に妖力を均等にという感覚すらまだ慣れていないが、餓鬼は手加減無く貪りに来る。
そして――。
「いいかい? 妖力が『そこに在る』と思って払いのけな!!」
「妖力も武器だと認識せい!」
「ぐぅッ!! 噛みつくな、このクソ餓鬼があああ」
避けたはずが、左腕に噛みつかれて肉を持って行かれそうになる。
咄嗟に右手で餓鬼の側頭部を殴りつけようとした時、それは起こった。
「何だ!?」
流の右手、正確には右手の甲に鉤爪のような形をした妖力の塊が出来て、餓鬼の頭をスライスする。
そのまま餓鬼は断末魔を上げると、消えてしまった。
「おお~。それだがよ! それが妖力を操るって事だっちゃ!」
「やるね~! もうコツを掴んだのかい?」
「今のは一体……?」
「そいつはね、坊やが餓鬼を『払いのけたい』と言う思いから、体にある妖力を具現化してそう言う形になったのさね」
「そうじゃあ、オイがさっき妖力の刃を飛ばしとうが? あれはそれの応用がよ」
「つまり飛ばしたい……いや、『飛ばせる』と思えばああなると?」
「そうじゃ! その思いが大事だがね」
なるほどと流は思う。だから、ここでも固定観念の壁が邪魔していると悟る。
「白鳥は飛ぶのか? ガラスは割れるのか? 水は落ちるのか? 否! そんな風に思い、常識をぶち破る概念があれば、今のみたいな事は簡単に出来るのさね」
後鬼は後ろで見学していた夜朔達と姉妹へ向くと、こう続ける。
「アンタ達が出来ない理由が分かったかい? 常識が邪魔をするんだよ。そんな常識は餓鬼にでも食わせちまいな!!」
「「「はい!」」」
夜朔たちの常識とは、きっと自分のとは大きく違うのだろうと流は思う。
だから余計に妖力と言う存在を、操る事の難しさがあるのだろうと。
「なるほどな、固定観念の相違か」
「また面倒な言葉だっちゃ。だがその通りだがね」
「じゃあ次は倍出すよ?」
「おう、来い!」
後鬼は黒い空間を作ると、そこから餓鬼を二体召喚する。
その召喚された餓鬼は見た目は同じだったが、明らかに最初の個体より狂暴性が増しているのが一目で分かった。
「肉に苦肉にくぅぅ」「腹らら肉苦肉くぅぅ」
「今度の奴らはさっきより狂暴だ。油断するとあっと言う間に、肉を持ってかれるよ?」
「ッ。分かった!」
「ほらお行き!」
「「キャアアッ肉ううううううう!!」」
迫る餓鬼に恐怖は無く、むしろ迫る速度が酷く緩慢に感じていた。
スローモーション撮影でも見ているかのような時の中、イメージ力で固定観念を打ち払う。
(イメージ力、か……白鳥は飛べない、ガラスは砕けない、水は上る。そして妖力は俺の体そのもの! 妄想を真実に固定……よし、イケルッ!!)
流は美琴を納刀したまま正面から迫る二体のうち、右手の餓鬼の足元に板状の妖力を飛ばし転ばせる。
それに巻き込まれるように、左側の餓鬼もバランスを崩したところで業を試す。
「ジジイ流・投擲術! 飛竜牙!!」
妖力を練って作った、長さニ十センチ程の円錐状の妖力を両手に作り出し二本ずつ投擲する。
さらに流は「ぬっぅ」と唸ると、右手の握り拳から人差し指と、中指を突き出し餓鬼に向けて言い放つ。
「爆ぜろ!!」
それが二匹の餓鬼の頭部と胸に当たると、そこから内部爆発を起こしたように爆ぜた。
「「ぐぎゃあにぐぅぅうう」」
狂暴な二匹の餓鬼は、何が起きたかも分からず、断末魔を上げると消え失せた。
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