日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第七章:新たな力を求めるもの

260:理と帝

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「こ……ここまでとはっ!? くくく……くははははははは!!!! 何と言う事だ、俺が御物を打つ? 馬鹿な! 妖刀にすら届いていないでは無いか!!」

 典膳は狂ったように笑い続け、その後むき出しの村正を床に突き刺し、微動だにせず村正を睨みつける。
 やがてその絶望の現実に目を背けたくなり、思わず床に刺した村正を引き抜くと、刀身を掴み自分の喉元へと当てる。

 そして――思いきり喉へと村正を突き刺した! そう、突き刺した、はずだった。

 村正が典膳の喉を間違いなく突き破り、刀身はうなじから生えていた。
 が、そこから突如不可思議な現象が起こる。

 まず噴き出した血が体内へと〝ずるりずるり〟とい戻り、突き刺した衝撃で落とした自分の指も滝が逆流するように元に戻る。
 さらには村正自体が完全に典膳から抜け、床に突き刺した場所へと戻るとそのまま沈黙する。

「な…………に……が……?」

御芽出度おめでとウ御座イマス。 特殊条件『ごう』ノ、達成ヲ確認。 申請中…………『可』。 申請ガ受諾、サレマシタ。 此レヨリ、大神ノ祭壇さいだんガ、構築サレマス。 顕現けんげん、マデ、残リ、百二十秒。…………多重領域ヨリノ、干渉ヲ感知。 コレヲ、攻撃ト、確定。 第七種警報ガ発令、サレマシタ。 緊急事態発生、大神ノ祭壇構築ヘノ、外部カラノ干渉ヲ、確認。 此レニヨリ『大神・大禍鎚おおまがつち』ノ降臨こうりんガ、無効トナリマス。再度『大神・大禍鎚』ノ降臨ヲ申請中…………『失敗』。 申請ガ外部ヨリ妨害サレマシタ。 コレニヨリ、大神ノ祭壇ガ『虚無きょむノ祭壇』ヘト変貌、シマス  

 突如ひびき渡る「無機質で感情が一切無い声」に恐怖を感じるも、典膳は目の前に現れた光の本流から目が離せなかった。
 それは無数の光の点が徐々に集まり一つの塊になり、さらに神々しいと言うより、仰々しい祭壇の形へと形成されようとした時に、無機質な声が初めて感情を表し懇願するように警告を発す。

≪虚無ノ祭壇ヘノ、不許可ナ干渉ヲ、確認。 コトワリ:第三億八千九十八項ニヨリ、干渉者ヲ、強制排除…………『失敗』。 続イテ、第五天軍召喚ニヨル、排除ヲ試ミマス…………『失敗』。 干渉者かんしょうしゃニヨル、浸食速度ガ、召喚時間ヲ、上回リ、マシタ。 干渉者ガ、虚無ノ、祭壇権限ヲ、奪取ニ、成功。 ッツ!? 『警告』。 ソノ行為ハ認メラレマセン。 今スグ時空ヘト、オ戻リ下サイ。 『失敗』。 コレニヨリ干渉者『時空神・|万世(ばんせい)ノ帝』ガ、降臨シマス。 虚無ノ祭壇構築開始・完了、マデ。 五・四・三・二・一・完了。 祭壇ガ顕現シマシタ。 同時ニ祭壇ヲ使イ『時空神・万世ノ帝』ガ、降臨シマス…………愚昧もうまいナル人ノ子ヨ。ドウカ、ゴ無事デ  

 目の前意に現れたそれは、強烈な存在を放つ光沢がある鈍色にびいろの祭壇が現れる。
 それを呆然と眺める事しか出来ない典膳に、突如背後から衝撃が走ったかと思うと、左胸から手が突き出しており、典膳の心臓を鷲掴みにしていた。
 驚きと共に、自分の心臓が脈打つ度に弾け飛ぶ血液。それに衝撃を受けながらも、典膳は必死に首だけ動かし背後を見る。

 そこには黄金の瞳に、黄金と金属のような色の青が混ざった色の髪、そして肌は金属のようだが艶めかしい男がいた。

「所詮は人か。こんな霊臓庫しんぞうでは神威刀はおろか、御物すら無理と言うものか。だがその思いだけは御物を打つのに相応しい。だから我はあの子煩い馬鹿共を排して降臨したのだからな」

 そう万世の帝が言うと同時に、その手が引き抜かれる。すると時が戻る様に飛び散った血液も心臓も元に戻り、傷一つ無い体になっていた。
 先程背後にいたはずの黄金の男がいつの間にか目の前に立っており、その絢爛豪華けんらんごうかな衣装は所々が輝き、そこから光が飛び散っていた。

「え? ど……どうなっているんだ……あ、貴方様は一体?」
「矮小なる存在よ、名を申せ」

 万世の帝は、典膳の言葉など無かったかのように問う。

「は、え? あ、はい。私は刀照宮典膳と申します」
「ふむ……。あぁこれか」

 万世の帝は空間に手を伸ばすと、そこから一枚の紙を引き抜く。
 それを見つめながら、口角を上げて典膳へと告げる。

「はっはっは。そうかお前じゃなく娘だったか。典膳と申したか、お前の娘『刀照宮美琴』の命を貰うぞ」
「なっ!! そ、それはお待ちください! 私の命なら如何様にされても結構です! 娘の命だけは何卒ご勘弁を!!!!」

 典膳の願い空しく、万世の帝は右手を一振りすると金属らしき棒が小さな短刀となり、壁をすり抜けて母屋の方へと飛んでいく。
 万世の帝の「娘だったか」と言う言葉を思い出し、典膳は短刀の行く先を見て驚愕と焦りを同時に一言に集約する、つまり――。



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