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第七章:新たな力を求めるもの
279:刀照宮典膳~雷の章
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「参、今だ!! 流様へ『励起術式』を!!」
「承知! 《反魂祭壇を構築し、霊的因子の励起術式を展開! 四つの門より顕現せよ! 来ませい、死門の番人! 永楽銭手観音!! 》」
参が反魂祭壇を構築すると同時に、流の遺体の四方に現れる四つの門。
それは神々しくもありながらも、禍々しさをはらんでいた。
扉を支える柱である「鏡柱と冠木」が、何の骨かは分からないが、動物とも人間とも魔物とも言える、不気味な骨で形成された物で出来ており、扉は慈愛に満ちた観音像が左右に施された白銀色の扉が、氷の床から轟音と共に突き出て来る。
やがて扉の真ん中から神々しい光が漏れだすと、扉が徐々に開き始める。
そこから突如噴き出る禍々しい瘴気と共に、内部から不気味な観音像が現れるが、門を潜り出る最中に壁に阻まれるように止まってしまう。
「チィッ! 『理』めがここぞと言う時に邪魔をするか!?」
「なぜこの空間にあいつらが干渉出来る!? 参、こちらは愚妹の抑えに手一杯だ、頼む!」
「分かっていますよ兄上! 虚無の存在に告げる、管理者権限を要求する!!」
参は左手を上げ、突如「管理者権限」を要求すると宣言すると、空間より無機質な声がひびき渡る。
≪申請ヲ確認、シマシタ。 …………『可』。 申請者ノ要望通リ、ニ、システムコンソールヲ開キマス。 何ガ、オ望ミ、デスカ?≫
「対象者、古廻流の現世への魂の帰還、及びその代償として我が半身を捧げる」
≪承知、シマシタ。只今ヨリ審議、致シマス。 …………『否』申請ハ却下、サレマシタ。 過去改変ニヨル、弊害デ、因果律ガ、大幅ニ狂ッテイル為、ト、思ワレマス。 マタ、対象者:古廻流ハ、現在『理』ノ外ニ、イル為ニ、干渉ガ出来、マセン。 故ニ、反魂祭壇ノ、稼働率ハ、九十五%ト、ナッテイマス≫
「なッ!? それは一体どういう意味だ!!」
≪過去改変ハ上級神ニ、ヨルモノデスノデ、オ答エデキマ、セン。 マタ、対象者:古廻流ハ、ソノ影響デ、自己改変ヲ、行ッテイル最中デス。 改変ガ完了、スレバ、反魂祭壇ノ稼働率ガ、進行シマス。 『告』緊急報告。 オ待チ、下サイ。 …………只今、対象者:古廻流トノ、強制リンク、ニ、成功。 …………現世ヘノ、復活条件ガ『特殊条件』ヘト、変更、サレマシタ。 対象者:古廻流ガ、特殊条件ヲ満タス為ニ、試練、ヲ攻略中。 …………完了予想時間、マデ:六百三十二秒 ≫
その言葉に参と壱は驚愕するが、参はその続きを『理』に問う。
「特殊条件だと? 一体何を言っているんだ!? 魂だけの存在である流様に、そんな事が出来るはずが無い!!」
≪『警告』。 コノ案件ハ、上級神ノ権限デ、禁則扱ニテ、ヲ答エ、出来マセン。 詳細ヲ知リタイ、場合ハ、上位ノ権限ヲ有シテ、下サイ≫
「クッ……。ならば反魂の祭壇はどうなる? 本当に先程の秒数後に、復活なされるのだろうな!?」
≪『告』問題、アリマセン。 ソレマデ対象者:古廻流ト、反魂ノ祭壇、及ビ、永楽銭手観音ノ権限ハ、『理』ニヨル管理ヲ、申請。 …………『可』。 以上ノ理由ニヨリ、時間凍結ヲ、施シマス。…………時間凍結開始、マデ。五・四・三・二・一・凍結ガ完了、シマシタ≫
「なああッ!?」
「古廻はんッ!!」
突然『理』による一方的な時間の凍結をされてしまった流の遺体と、その周辺に展開している永楽銭手観音は、時が止まったままの、半球状に包まれたモノトーンの世界に閉じ込められてしまうのだった。
◇◇◇
未来の異世界との時間のながれが全く違う過去の世界で、流は美琴を手に苦戦していた。妖力は引き出せるものの、何時ものような「手足のように」妖力をなぜか引き出せず、また柄も白鞘のために握りも悪い。
さらに最悪なのが、典膳への攻撃がほぼ無傷だと言う事だった。
「ちぃ、美琴。お前の親父殿は固すぎだろう!!」
『ぇ!? 普通の人だったはずですが……』
「あれが普通なら、俺は素足で逃げ出すね」
典膳は流に斬られた傷を、赤い蒸気のようなもので即座に治療する。
一つ目の大男は典型的なパワーと防御力に優れた怪物らしく、動きは緩慢だが直撃したら骨折以上は確定と思われる、力強い一撃を放って来るのだった。
「お主、あれが普通と申すのか?」
『なぜに江戸時代っぽく話すんですか……』
「なぜって……ノリ?」
『モウイイデス』
「冗談はここまでだ、来るぞ!」
『はい!』
典膳は両の拳を胸の前で叩きつけるように合わせると、そこから雷光が迸る。
そして両手に雷を纏ったような状態になり、流へと襲いかかる。
「なんだ? って電撃攻撃かよ!? 美琴、妖力であれが防げるか?」
『はい、可能です! ですが浜辺で修行していた時と同じ籠手では防げません。もっと強力な妖気でガードしないと貫通されます!』
「マヂデ!? っち、どうする」
尚も典膳の猛攻は続く。薄明かりが灯る室内とは言え、雷を纏った拳はとても眩しく避けやすい。が、先程と違い直接拳が当たらなくても、かすっただけで纏った雷のせいで間接ダメージが蓄積する。
「ぐぅぅ、雷が痛てぇ! くっそ、どうしたらいいんだ!?」
焦る流。だが状況は待ってはくれず、異界骨董屋さんの道具も無い。
さらに刀も不慣れなところに、理不尽な防御力と攻撃力の単純な力の前に、流は徐々に追いつめられいった。
「承知! 《反魂祭壇を構築し、霊的因子の励起術式を展開! 四つの門より顕現せよ! 来ませい、死門の番人! 永楽銭手観音!! 》」
参が反魂祭壇を構築すると同時に、流の遺体の四方に現れる四つの門。
それは神々しくもありながらも、禍々しさをはらんでいた。
扉を支える柱である「鏡柱と冠木」が、何の骨かは分からないが、動物とも人間とも魔物とも言える、不気味な骨で形成された物で出来ており、扉は慈愛に満ちた観音像が左右に施された白銀色の扉が、氷の床から轟音と共に突き出て来る。
やがて扉の真ん中から神々しい光が漏れだすと、扉が徐々に開き始める。
そこから突如噴き出る禍々しい瘴気と共に、内部から不気味な観音像が現れるが、門を潜り出る最中に壁に阻まれるように止まってしまう。
「チィッ! 『理』めがここぞと言う時に邪魔をするか!?」
「なぜこの空間にあいつらが干渉出来る!? 参、こちらは愚妹の抑えに手一杯だ、頼む!」
「分かっていますよ兄上! 虚無の存在に告げる、管理者権限を要求する!!」
参は左手を上げ、突如「管理者権限」を要求すると宣言すると、空間より無機質な声がひびき渡る。
≪申請ヲ確認、シマシタ。 …………『可』。 申請者ノ要望通リ、ニ、システムコンソールヲ開キマス。 何ガ、オ望ミ、デスカ?≫
「対象者、古廻流の現世への魂の帰還、及びその代償として我が半身を捧げる」
≪承知、シマシタ。只今ヨリ審議、致シマス。 …………『否』申請ハ却下、サレマシタ。 過去改変ニヨル、弊害デ、因果律ガ、大幅ニ狂ッテイル為、ト、思ワレマス。 マタ、対象者:古廻流ハ、現在『理』ノ外ニ、イル為ニ、干渉ガ出来、マセン。 故ニ、反魂祭壇ノ、稼働率ハ、九十五%ト、ナッテイマス≫
「なッ!? それは一体どういう意味だ!!」
≪過去改変ハ上級神ニ、ヨルモノデスノデ、オ答エデキマ、セン。 マタ、対象者:古廻流ハ、ソノ影響デ、自己改変ヲ、行ッテイル最中デス。 改変ガ完了、スレバ、反魂祭壇ノ稼働率ガ、進行シマス。 『告』緊急報告。 オ待チ、下サイ。 …………只今、対象者:古廻流トノ、強制リンク、ニ、成功。 …………現世ヘノ、復活条件ガ『特殊条件』ヘト、変更、サレマシタ。 対象者:古廻流ガ、特殊条件ヲ満タス為ニ、試練、ヲ攻略中。 …………完了予想時間、マデ:六百三十二秒 ≫
その言葉に参と壱は驚愕するが、参はその続きを『理』に問う。
「特殊条件だと? 一体何を言っているんだ!? 魂だけの存在である流様に、そんな事が出来るはずが無い!!」
≪『警告』。 コノ案件ハ、上級神ノ権限デ、禁則扱ニテ、ヲ答エ、出来マセン。 詳細ヲ知リタイ、場合ハ、上位ノ権限ヲ有シテ、下サイ≫
「クッ……。ならば反魂の祭壇はどうなる? 本当に先程の秒数後に、復活なされるのだろうな!?」
≪『告』問題、アリマセン。 ソレマデ対象者:古廻流ト、反魂ノ祭壇、及ビ、永楽銭手観音ノ権限ハ、『理』ニヨル管理ヲ、申請。 …………『可』。 以上ノ理由ニヨリ、時間凍結ヲ、施シマス。…………時間凍結開始、マデ。五・四・三・二・一・凍結ガ完了、シマシタ≫
「なああッ!?」
「古廻はんッ!!」
突然『理』による一方的な時間の凍結をされてしまった流の遺体と、その周辺に展開している永楽銭手観音は、時が止まったままの、半球状に包まれたモノトーンの世界に閉じ込められてしまうのだった。
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未来の異世界との時間のながれが全く違う過去の世界で、流は美琴を手に苦戦していた。妖力は引き出せるものの、何時ものような「手足のように」妖力をなぜか引き出せず、また柄も白鞘のために握りも悪い。
さらに最悪なのが、典膳への攻撃がほぼ無傷だと言う事だった。
「ちぃ、美琴。お前の親父殿は固すぎだろう!!」
『ぇ!? 普通の人だったはずですが……』
「あれが普通なら、俺は素足で逃げ出すね」
典膳は流に斬られた傷を、赤い蒸気のようなもので即座に治療する。
一つ目の大男は典型的なパワーと防御力に優れた怪物らしく、動きは緩慢だが直撃したら骨折以上は確定と思われる、力強い一撃を放って来るのだった。
「お主、あれが普通と申すのか?」
『なぜに江戸時代っぽく話すんですか……』
「なぜって……ノリ?」
『モウイイデス』
「冗談はここまでだ、来るぞ!」
『はい!』
典膳は両の拳を胸の前で叩きつけるように合わせると、そこから雷光が迸る。
そして両手に雷を纏ったような状態になり、流へと襲いかかる。
「なんだ? って電撃攻撃かよ!? 美琴、妖力であれが防げるか?」
『はい、可能です! ですが浜辺で修行していた時と同じ籠手では防げません。もっと強力な妖気でガードしないと貫通されます!』
「マヂデ!? っち、どうする」
尚も典膳の猛攻は続く。薄明かりが灯る室内とは言え、雷を纏った拳はとても眩しく避けやすい。が、先程と違い直接拳が当たらなくても、かすっただけで纏った雷のせいで間接ダメージが蓄積する。
「ぐぅぅ、雷が痛てぇ! くっそ、どうしたらいいんだ!?」
焦る流。だが状況は待ってはくれず、異界骨董屋さんの道具も無い。
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