日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第八章:塔の管理者達と、新たな敵

301:その内容

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 そこにはこう書いてあった。

【無様な巨滅の英雄様よ、キサマがこの街を留守にしているのは知っている。だから大人しく、スパイスから手を引くんだな。なぁに、攫った女はお前の心がけ次第で、無事に戻してやろう。それにあの女にはなぜか触れないしな。モチロンお前の出方次第では、無残な死体になるかもしれないがなぁ? 触れないからと言っても、殺す方法はいくらでもある事を忘れるなよ?】

「クソッ……。大体どうやって俺の留守を知ったんだ?」
「どうやらエルシアと、メリサが話していたのを聞いたらしいのよん。それでそんな虚勢をはったんでしょうねん」
「なるほどね。サブマスはなんと?」
「リットンハイムはクエストを発行したわん、ただし裏に潜むやつらの事アルマーク商会を考えて、極秘裏にねん。内容はメリサの奪還と、攫った敵の壊滅……生死は問わないそうよん」

 なるほどと流は思う。このギルドの雰囲気はクエスト内容を知らずとも、エルシアの不在と、一部の冒険者に発行されたクエスト内容からの行動で、獣じみた冒険者たちの嗅覚が肌で感じているからなのだと。

「情報に感謝するよ」
「アハン。ミーも行きたいんだけどん、この街を離れる許可がおりないからねん……。まったくギルマスちゃんしか許可が出せないって言うのは不便だわん」

 ジェニファーはやれやれと筋肉モリモリな首を左右にふると、こう続ける。

「王都に行ったら、私の親しい子がお店をやっているの。そこへ顔を出してみなさいな、きっと力になってくれるはずよん?」

 そう言うと紹介状を手渡しながら軽めの悩殺ウインクで、精神を文字通り悩殺しに来る。やめてほしい……。

「ウヴォ!? あ、ありがとう。じゃあ行ってくるよ」
「気をつけてねん」

 ジェニファーから貰った手紙を胸にいるワン太郎へと渡すと、そのまま外へと向かおうとした時だった。
 ギルドにいた冒険者、そしてカウンターの職員が全員立ち上がる。

「おいナガレ! エルシアを泣かせたヤツをぶちのめしに行くんだろう? 頼んだぜ!」
「俺のエルシアちゃんを泣かせたクソ野郎共に、鉄槌を食らわしてこい!」
「馬鹿、あいつは剣士だよ。ナガレさんよ、あの娘を早く笑顔にしてくれや」
「ナガレ様、エルちゃんは私の友達なの。だからお願いしますね」

 そう言うと、冒険者たちは持っている武器を床に〝ドン〟と一度打ち付け、一斉に願う。

『『『『『頼んだ!!』』』』』

 一瞬驚いた流だったが、その意味を理解しこう返事する。

「あいよ、頼まれた!!」
「ナガレ様これを持って行ってニャ」

 いつも、いつの間にか背後にいる娘、ミャレリナは流へと丸められたクエスト証を手渡す。その目はいつもの陽気さは無く、真剣な眼差しであった。

「まったく……秘匿してる意味ないだろこれじゃ?」
「ニャハハ、もうバレてるからいいニャ。冒険者たちは鼻がききますからニャ」
「違いないな。じゃあ行ってくる!」

 そう言うと流れは冒険者ギルドを後にする。その後姿を全員が見送るのだった。

「あるじ~、次はどこへ行くのだワン?」
「次は商業ギルドだ。間違いなく情報は持ってるだろうからな」

 流は嵐影に頼み、商業ギルドへと移動する。街は平穏だったが、どうも冒険者ギルドを出た直後から不穏な気配を感じる。

(……つけられているのか? 人数は……分からんな、相手はプロか? それとも魔法か何かなのか……)

 そう思いながら、あえて普通の速度で街を進む。感覚的に尾行人数は増えていない気がするが、どうにも霧の向こう側にいるような感じで、相手がどこにいるのかが分からなかった。
 やがて商業ギルドへと到着すると、その気配が消える。

「隠れたか……。ワン太郎、嵐影の上に乗ってろ。理由は……分かるな?」
「分かってるのだワン! ワレはこう見えても偉いんだワン」
『わんちゃん、本当に大丈夫なんですか?』
「もぅ、馬鹿にしちゃってさ! 氷の大船に乗った気分で、ワレに任せておくのだワン!」
「『沈む未来しか見えない』」

 日曜夕方に会える有名女子小学生のように、ワン太郎は顔に縦陰を入れてショックを受ける。ガーン。

「信頼してるから」
『信用してるから』
「うるさいワン! さっさと行くんだワン!」

 すねたワン太郎を一撫でし、流は商業ギルドへと入る。相変わらずジットリとした視線は感じるが、どこからかは不明のままで……。
 ギルド内はいつもどおりに営業しているようだが、商人に見えない冒険者が数名見える。

「よう、ナガレじゃねぇかよ。お前もクエストを?」
「そんなところだ。それで状況は?」
「お前も気がついてるだろう? アイツらからの護衛さ」
「なるほど、な。それでどうして捕まえない?」
「それがどうも『嫌がらせ』に終始一貫してるみてぇでな、見てろ」

 冒険者の男は入り口から外へ出ると、気配のする方向へ追跡型の召喚獣を出した瞬間、気配は霧散する。
 やがて男は戻ってくると、流へ肩をすくめながら話す。

「と、言うわけだ。無論俺たちも馬鹿じゃないからよ、罠をしかけたり、気配を消して潜んだりしてとっ捕まえようとしたんだが、ダメだったってワケだ」
「なるほどな。すでに人質がいるから、これ以上邪魔するなってことか……」
「だろうな、ったく姑息な奴らだぜ。できるだけ荒事は避け、嫌がらせ特化だからな」

 その後冒険者たちから情報を得て、今後の対策をしにギルドマスターであるバーツの元へと向かう。
 いつもならメリサが対応してくれるのだが、それがいない事にあらためて寂しく、そして悔しく思う。その双方からくる怒りをなんとか抑えつつ、他の職員に案内されたのだった。
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