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第八章:塔の管理者達と、新たな敵
316:命を削る戦いを汚す者
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『痛でえええええええ!? このクソ斬撃! 俺サマにここまでダメージを負わせるとは、ますます嫁に欲しくなったぞ? ミコトちゃあああん!!』
『やめてください! こっち見ないで! キモチワルイ!!』
そんな妖刀と魔剣の会話はコミカルだが、使い手たる流とシュバルツはそれどころではない。
渾身の一撃を双方放ち、その結果ギリギリ躱し合う事になったのだから。
「あ~ら……前回より威力激上がりじゃねぇかよ……。ノーマル状態だったら死んでたね、アニキ」
「何を言っている。今の俺が使える抜刀術の中でも二番目に凄いやつだぞ? 単体の威力なら一番かもしれないっつーのに」
「あ~らまぁ、これで二番目かもねぇ? 本当にバケモノかよ」
「まぁそれについては、否定はしないさ」
「……そうかい」
そう言うと、二人はどちらともなく剣戟を積み重ねる。シュバルツは大上段からの炎を纏う一撃を放つと、流はその攻撃を体を半歩ひねり躱し、右膝でシュバルツの鳩尾を蹴り上げる。
だがシュバルツは左手でそれを防いだかと思えば、流の右顔面へ魔剣の柄で殴りにいくが、負けじと美琴の柄で同じ様にぶつけて相殺し合う。
直後、シュバルツは魔剣ドーデスに魔力を込め爆発させるように光らせ――る前に、流は妖力で強化した左小手で、魔剣ドーデスの付け根の腹部分を殴り倒す。
バランスを一瞬崩したシュバルツはのけぞる形なり、そこへ美琴で横薙ぎに一閃するが、シュバルツはそのまま背後へと倒れ、魔法〈エアリアル・ブーツ〉で強化された足を使い、手を使わず足の反動で立ち上がる、ネック・スプリングで立ち上がると同時に、両足で蹴りを放つ。
それを流は両腕の小手で受け止めたが、そのままシュバルツは縦に回転しながら炎の斬撃を喰らわせてくる。
だが、流もそれに合わせるように、寛容版の『羆破斬』で回転しながら業を放って迎撃する。
傍から見たらゾっとするような業と武芸の応酬だった。
剣の業だけでなく、打撃・蹴り・体捌き……これらを駆使しダメージを与えようと、双方まるで精密機械のように「一つのミス」が許されないとばかりに、そのスピードと威力を青天井で積み重ねる。
だがやがてそれにも限界が訪れる……そう、シュバルツの動きが鈍くなってきたのだ。
魔剣・ドーデスを覚醒させ、さらに高度なバフ魔法を発動させその体に注ぎ込む。
それらを駆使し、息をもつかせぬ高度な業と業の応酬に精神力と体力、そして魔力を大量に使った……無理だ。無理すぎた。無理を重ねすぎた、結果――。
「終いだアニキ! ジジイ流・活人術――」
「あ~ら、またその終わり方か!? だが、一度見た業は二度と喰らわん!!」
「――不殺閃・【斬】!!」
「ナッニイイイイイイイイイイイ!?」
――通常の不殺閃は、美琴を納刀したまま「鞘で」相手を打ち付ける。だが、今回の業は美琴を抜刀し「逆刃」で斬るように殴りつけた。結果……。
「ぐっがあああああああああッ!!」
「……そのまま寝ていてくれ、シュバルツ将軍。姉弟ともにな」
見ればワン太郎の方もケリが付いたらしく、姉弟の死体――のように折り重なっている上に立ち、短い両足を振っていた。
流はその姿を見て思わず気が抜けた。そう、抜けてしまった。だから――。
「――ヌ゛ッガアアアアア!! マアアアダ終わらん!!」
「なッ!?」
シュバルツはあれだけの打撃のような斬撃を受けながら、気絶もせず立ち上がる。
それは魔法〈タフネス・アーマド〉で防御力の超強化をしているからだった。
「オタクには感謝しか無いが、受けた仕事はまっとうさせてもらう!! 消し炭となれ! 七号術式開放!! 〈我が身よ燃えよ炎業天下!!〉 奥義・爆華炎神!!」
詠唱済みの魔法を詰め込んだ術式、七号を開放するシュバルツ。直後、その体が燃え上がり、その身を焦がすかと思いきや、魔剣・ドーデスへそれが吸い込まれる。
その身を焦がす恐ろしい豪炎は、ドーデスが吸収することで太陽からこぼれたかのような熱とも物とも言えるような、灼熱すら生ぬるい熱光の塊になる。
だがドーデスが全てを吸い尽くした訳じゃなく、炎業天下の残り火は容赦なくシュバルツを焼く。
その焼けただれた両手で、ドーデスを流めがけて神速とも言える太刀筋で斬りかかる!!
シュバルツはこれまでの人生最大にして、最速で最高の奥義を放ったと確信する。
それはこの漢、コマワリナガレと言う好敵手だからこそだと言うことに、奇妙な感謝をしつつ、迷いなくそのクビへと魔剣・ドーデスを滑り込ませ――。
「取ッタアアアアアアアアアアアアア!!」
完璧だった。絶対に避けられない。例え神でも回避不可能と、シュバルツは胸を爆発するかと思う高揚感に満たされる!
「すまない……」
だが、この場に相応しくない言葉が聞こえた。そう、目の前の漢から。
「何を――」
直後、目の前の漢は「何かをした」のが分かったが、それが何かが分からなかった。
だがそれもすぐに分かる。直撃するはずだった渾身の〝爆華炎神〟は、突如グネリと曲がる。
その斬撃はそのまま飛び中央塔の側面を掠めると、ながれ出ている水柱を巻き込み、魔力で圧縮された空間に取り込まれた大量の水は、どういう原理か不明だが、限定的な空間のみで一気に水蒸気爆発を起こす。
その威力で水塔の屋根と壁の一部が吹き飛び、外気を急速に招き入れる。
飛び散る水しぶき……そして日光により照らされる塔内部。やがて水蒸気が消えると、そこにありえないモノが存在していた。
「お前……その姿は……」
「これがその……バケモノの中身だ」
かすかに残る水蒸気と、パイプから吹き出す水しぶきを巻き込みながら日光に照らされる姿。
髪は言いようのない明るい銀を超えた、金属のような色合いで美しく黒いメッシュが入る人物がいた。
他にも明らかに人じゃない部分ある顔立ちだが、その馴染みの顔に絶句したのだった。
『やめてください! こっち見ないで! キモチワルイ!!』
そんな妖刀と魔剣の会話はコミカルだが、使い手たる流とシュバルツはそれどころではない。
渾身の一撃を双方放ち、その結果ギリギリ躱し合う事になったのだから。
「あ~ら……前回より威力激上がりじゃねぇかよ……。ノーマル状態だったら死んでたね、アニキ」
「何を言っている。今の俺が使える抜刀術の中でも二番目に凄いやつだぞ? 単体の威力なら一番かもしれないっつーのに」
「あ~らまぁ、これで二番目かもねぇ? 本当にバケモノかよ」
「まぁそれについては、否定はしないさ」
「……そうかい」
そう言うと、二人はどちらともなく剣戟を積み重ねる。シュバルツは大上段からの炎を纏う一撃を放つと、流はその攻撃を体を半歩ひねり躱し、右膝でシュバルツの鳩尾を蹴り上げる。
だがシュバルツは左手でそれを防いだかと思えば、流の右顔面へ魔剣の柄で殴りにいくが、負けじと美琴の柄で同じ様にぶつけて相殺し合う。
直後、シュバルツは魔剣ドーデスに魔力を込め爆発させるように光らせ――る前に、流は妖力で強化した左小手で、魔剣ドーデスの付け根の腹部分を殴り倒す。
バランスを一瞬崩したシュバルツはのけぞる形なり、そこへ美琴で横薙ぎに一閃するが、シュバルツはそのまま背後へと倒れ、魔法〈エアリアル・ブーツ〉で強化された足を使い、手を使わず足の反動で立ち上がる、ネック・スプリングで立ち上がると同時に、両足で蹴りを放つ。
それを流は両腕の小手で受け止めたが、そのままシュバルツは縦に回転しながら炎の斬撃を喰らわせてくる。
だが、流もそれに合わせるように、寛容版の『羆破斬』で回転しながら業を放って迎撃する。
傍から見たらゾっとするような業と武芸の応酬だった。
剣の業だけでなく、打撃・蹴り・体捌き……これらを駆使しダメージを与えようと、双方まるで精密機械のように「一つのミス」が許されないとばかりに、そのスピードと威力を青天井で積み重ねる。
だがやがてそれにも限界が訪れる……そう、シュバルツの動きが鈍くなってきたのだ。
魔剣・ドーデスを覚醒させ、さらに高度なバフ魔法を発動させその体に注ぎ込む。
それらを駆使し、息をもつかせぬ高度な業と業の応酬に精神力と体力、そして魔力を大量に使った……無理だ。無理すぎた。無理を重ねすぎた、結果――。
「終いだアニキ! ジジイ流・活人術――」
「あ~ら、またその終わり方か!? だが、一度見た業は二度と喰らわん!!」
「――不殺閃・【斬】!!」
「ナッニイイイイイイイイイイイ!?」
――通常の不殺閃は、美琴を納刀したまま「鞘で」相手を打ち付ける。だが、今回の業は美琴を抜刀し「逆刃」で斬るように殴りつけた。結果……。
「ぐっがあああああああああッ!!」
「……そのまま寝ていてくれ、シュバルツ将軍。姉弟ともにな」
見ればワン太郎の方もケリが付いたらしく、姉弟の死体――のように折り重なっている上に立ち、短い両足を振っていた。
流はその姿を見て思わず気が抜けた。そう、抜けてしまった。だから――。
「――ヌ゛ッガアアアアア!! マアアアダ終わらん!!」
「なッ!?」
シュバルツはあれだけの打撃のような斬撃を受けながら、気絶もせず立ち上がる。
それは魔法〈タフネス・アーマド〉で防御力の超強化をしているからだった。
「オタクには感謝しか無いが、受けた仕事はまっとうさせてもらう!! 消し炭となれ! 七号術式開放!! 〈我が身よ燃えよ炎業天下!!〉 奥義・爆華炎神!!」
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その身を焦がす恐ろしい豪炎は、ドーデスが吸収することで太陽からこぼれたかのような熱とも物とも言えるような、灼熱すら生ぬるい熱光の塊になる。
だがドーデスが全てを吸い尽くした訳じゃなく、炎業天下の残り火は容赦なくシュバルツを焼く。
その焼けただれた両手で、ドーデスを流めがけて神速とも言える太刀筋で斬りかかる!!
シュバルツはこれまでの人生最大にして、最速で最高の奥義を放ったと確信する。
それはこの漢、コマワリナガレと言う好敵手だからこそだと言うことに、奇妙な感謝をしつつ、迷いなくそのクビへと魔剣・ドーデスを滑り込ませ――。
「取ッタアアアアアアアアアアアアア!!」
完璧だった。絶対に避けられない。例え神でも回避不可能と、シュバルツは胸を爆発するかと思う高揚感に満たされる!
「すまない……」
だが、この場に相応しくない言葉が聞こえた。そう、目の前の漢から。
「何を――」
直後、目の前の漢は「何かをした」のが分かったが、それが何かが分からなかった。
だがそれもすぐに分かる。直撃するはずだった渾身の〝爆華炎神〟は、突如グネリと曲がる。
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飛び散る水しぶき……そして日光により照らされる塔内部。やがて水蒸気が消えると、そこにありえないモノが存在していた。
「お前……その姿は……」
「これがその……バケモノの中身だ」
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