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第九章:奪還作戦と、国の闇
344:因縁の茶室
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「こいつらは馬鹿なのか? なぜ巨滅の英雄は知っていて俺の名を知らない」
『まぁ、大抵の方は流様を巨滅の英雄って呼びますからね』
それにしても以外とマヌケな奴らだと思いながら、先を読みすすめるが特に目新しい話はなかった。
ただ疑問は「なぜこの街に古廻の者が来る」と予想出来たのか? と言うことである。
後に知ったことだが、この世界に少数の日の民と呼ばれる民族がいるらしい。
特に東方にある国の人種らしいのだが、どうにも姓名が日本人としか思えない。そんな彼らは小国であり、鎖国をしているが、一定数の人間は他国で生活しているらしい。
どうりでこの世界で、流を見ても驚かないわけだとその話を聞いて思う。
そんな状況もあり巨滅の英雄、つまり「コマワリナガレ」の名前で、気が付かれなかったと言うことだったのかもしれない。
「どう思う? この指示書では憚り者は、俺が異世界へ来るのを予想していたのは分かる。だがどうしてこの街だと分かったんだ?」
『私もよく知らないんだけど、むかし〆さんたちの敵だったそうだよ。そして異超門が開いた場所がこの近くの丘だった。それが関係してるのかも?』
「だな……。チッ、一刻も早くメリサの奪還へと向かいたいが、ここは一度〆たちに聞いたほうがいいだろうな」
背中の話を聞いていた嵐影は、速度を早めて幽霊屋敷へと急いで戻る。少しでも早く主の願いを叶えるために。
嵐影が急いでいたおかげで、予想より早く幽霊屋敷へと戻る事ができた流たちは、滑るように正門からエントランスホールへと入る。
そこにはセバスをはじめ、使用人たちがそろっていた。
「セバス、至急三人と会いたい」
「はい、〆様は異怪骨董やさんへ戻られていますが、お二方は三階執務室にてお待ちしております」
流はセバスたちに礼を言い、そのまま階段を嵐影に乗って三階へと急ぐ。
執務室のドアの前に来ると、参のとても大な鎧の式神がドアを開く。
「お帰りやす古廻はん。あらかた報告は夜朔から受けていまっせ」
「フム……で、ついに現れましたか?」
「ああそうだ。アイツ、憚り者が出てきた」
その言葉で壱と参は顔を青くする。もっとも壱は赤い折り紙が青くなったのだが……。
「そうでっか……。古廻はん、一度愚昧のところへおいで願えまへんやろか?」
「そのつもりで来た。いい機会だから話してくれるな?」
「フム、そうですな。では異怪骨董やさんへと向かいましょう」
流は異超門を開く。妙に凝った彫刻が施された障子戸をくぐると、そこは馴染みの異怪骨董やさんの店内だった。
「おっふ!? な、なんだぁ!?」
異超門をくぐると、毎度のことながら一瞬ホワイトアウトする。その隙を狙って? かは分からないが、流へと抱きつく妙に柔らかい存在がいた。
「お客じいいいいん!! お久しぶりなのです!!」
「んあ!? 因幡か!! なんかまた大きくなってないか……一部だけ」
見れば人化した因幡が以前よりさらに大きくなっていた。特に柔らかいところだけ……。
「お客人!? どこを見ているのです!! そ、それより無事で良かったのです。色々聞いて泣いちゃったから目が腫れてしまったのです」
「いや、それは白うさぎだからだろう?」
「酷いのです! でも本当の事だから何も言い返せないのです! ぅぇぇぇぇぇん」
「な、泣くなよ。悪かった! ごめんな? ほ、ほら壱なんとかしろ!」
「そんな無茶ぶりで僕にどうせいと!?」
そんなやり取りを見ていたのか、店の奥へと伸びる廊下から雛人形の折り紙が、牛車の骨董品に乗ってやってくる。
「ハァ~。もぅ何をしているのですか。古廻様おかえりなさいませ、そして因幡も泣き止むのですよ? ほら、古廻様にお渡しする物があるのでしょう?」
「ぐすっ。そ、そうなのです。久しぶりに会えたので嬉しくて泣いてしまったのです」
「「「嬉しかったのかよ!?」」」
思わずつっこむ流たち。その様子にさらに呆れた〆に店内の一室へと案内される。
そこは茶室にしてはかなり広い、十畳ほどの落ち着いた茶室風の部屋だった。
だがよく見るとそこは、流にとって因縁の場所とも言える。
「〆もまた趣味の悪い場所を選んだものだな」
「申し訳ございません。ただ報告からすれば、この部屋が適当かと存じます」
「そう……かもな。それでどこまで聞いている?」
流が案内された部屋。それは流が「憚り者と邂逅した場所」であり、異怪骨董やさんの汚点でもあった場所だ。
以前〆から壊滅的ダメージを受けた様子は無く、ただ柱の一つに【封弐】と札が貼られていた。
その【封弐】札を左横に眺め、流を上座にして三人が横に並び、因幡は流の右斜め後ろに座る。
「あの不逞の輩……憚り者の手先と遭遇したと」
「その通りだ。そしてそいつが俺にこう言った。『お待ちしておりましたよ、古廻……いや、鍵鈴様』とな」
その言葉で三人の表情は曇る。それは確実に古廻家の敵であり、異怪骨董やさんの不倶戴天の滅ぼすべき存在なのだから。
『まぁ、大抵の方は流様を巨滅の英雄って呼びますからね』
それにしても以外とマヌケな奴らだと思いながら、先を読みすすめるが特に目新しい話はなかった。
ただ疑問は「なぜこの街に古廻の者が来る」と予想出来たのか? と言うことである。
後に知ったことだが、この世界に少数の日の民と呼ばれる民族がいるらしい。
特に東方にある国の人種らしいのだが、どうにも姓名が日本人としか思えない。そんな彼らは小国であり、鎖国をしているが、一定数の人間は他国で生活しているらしい。
どうりでこの世界で、流を見ても驚かないわけだとその話を聞いて思う。
そんな状況もあり巨滅の英雄、つまり「コマワリナガレ」の名前で、気が付かれなかったと言うことだったのかもしれない。
「どう思う? この指示書では憚り者は、俺が異世界へ来るのを予想していたのは分かる。だがどうしてこの街だと分かったんだ?」
『私もよく知らないんだけど、むかし〆さんたちの敵だったそうだよ。そして異超門が開いた場所がこの近くの丘だった。それが関係してるのかも?』
「だな……。チッ、一刻も早くメリサの奪還へと向かいたいが、ここは一度〆たちに聞いたほうがいいだろうな」
背中の話を聞いていた嵐影は、速度を早めて幽霊屋敷へと急いで戻る。少しでも早く主の願いを叶えるために。
嵐影が急いでいたおかげで、予想より早く幽霊屋敷へと戻る事ができた流たちは、滑るように正門からエントランスホールへと入る。
そこにはセバスをはじめ、使用人たちがそろっていた。
「セバス、至急三人と会いたい」
「はい、〆様は異怪骨董やさんへ戻られていますが、お二方は三階執務室にてお待ちしております」
流はセバスたちに礼を言い、そのまま階段を嵐影に乗って三階へと急ぐ。
執務室のドアの前に来ると、参のとても大な鎧の式神がドアを開く。
「お帰りやす古廻はん。あらかた報告は夜朔から受けていまっせ」
「フム……で、ついに現れましたか?」
「ああそうだ。アイツ、憚り者が出てきた」
その言葉で壱と参は顔を青くする。もっとも壱は赤い折り紙が青くなったのだが……。
「そうでっか……。古廻はん、一度愚昧のところへおいで願えまへんやろか?」
「そのつもりで来た。いい機会だから話してくれるな?」
「フム、そうですな。では異怪骨董やさんへと向かいましょう」
流は異超門を開く。妙に凝った彫刻が施された障子戸をくぐると、そこは馴染みの異怪骨董やさんの店内だった。
「おっふ!? な、なんだぁ!?」
異超門をくぐると、毎度のことながら一瞬ホワイトアウトする。その隙を狙って? かは分からないが、流へと抱きつく妙に柔らかい存在がいた。
「お客じいいいいん!! お久しぶりなのです!!」
「んあ!? 因幡か!! なんかまた大きくなってないか……一部だけ」
見れば人化した因幡が以前よりさらに大きくなっていた。特に柔らかいところだけ……。
「お客人!? どこを見ているのです!! そ、それより無事で良かったのです。色々聞いて泣いちゃったから目が腫れてしまったのです」
「いや、それは白うさぎだからだろう?」
「酷いのです! でも本当の事だから何も言い返せないのです! ぅぇぇぇぇぇん」
「な、泣くなよ。悪かった! ごめんな? ほ、ほら壱なんとかしろ!」
「そんな無茶ぶりで僕にどうせいと!?」
そんなやり取りを見ていたのか、店の奥へと伸びる廊下から雛人形の折り紙が、牛車の骨董品に乗ってやってくる。
「ハァ~。もぅ何をしているのですか。古廻様おかえりなさいませ、そして因幡も泣き止むのですよ? ほら、古廻様にお渡しする物があるのでしょう?」
「ぐすっ。そ、そうなのです。久しぶりに会えたので嬉しくて泣いてしまったのです」
「「「嬉しかったのかよ!?」」」
思わずつっこむ流たち。その様子にさらに呆れた〆に店内の一室へと案内される。
そこは茶室にしてはかなり広い、十畳ほどの落ち着いた茶室風の部屋だった。
だがよく見るとそこは、流にとって因縁の場所とも言える。
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「申し訳ございません。ただ報告からすれば、この部屋が適当かと存じます」
「そう……かもな。それでどこまで聞いている?」
流が案内された部屋。それは流が「憚り者と邂逅した場所」であり、異怪骨董やさんの汚点でもあった場所だ。
以前〆から壊滅的ダメージを受けた様子は無く、ただ柱の一つに【封弐】と札が貼られていた。
その【封弐】札を左横に眺め、流を上座にして三人が横に並び、因幡は流の右斜め後ろに座る。
「あの不逞の輩……憚り者の手先と遭遇したと」
「その通りだ。そしてそいつが俺にこう言った。『お待ちしておりましたよ、古廻……いや、鍵鈴様』とな」
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