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第九章:奪還作戦と、国の闇
362:三人の美しい女神
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そう言いながら龍人の男は両手を高らかに広げ、ターンをした後にセリアへと右人差し指をさす。
「ねぇ~指揮官さ~ん。キミ、かわいいから俺の嫁にしてあげるよ~ん! 無論三食昼寝付きだぜぇ? た・だ・し! 体型が変わったら食べちゃうからねぇ? ガオー♪」
龍人の男はそうおどけながら、両手でピースサインのようにした指を折り曲げ、エアクオーツをしながらセリアへと近づいてくる。
どうやらよほど自分に自信があるらしく、その顔は余裕の笑みが溢れ出ている。
たしかに身長も高く赤い髪が美しい、とても顔立ちが整った若い男だった。
「どーしたんだぁねぇ? キミィ、さ~おいでよ……黙ってたんじゃ分からないじゃなぁい?」
「……だれが……誰が行くものか!!」
「ナイス・ジョ~ク!! ハーハッハッハ――死にてえのか、テメェ?」
瞬間この場の温度が急激に下がった気がする……いや、実際に下がっていた。目の前の龍人が冷気の塊を体から放出し、周囲を凍てつかせる。
思わず膝をつく負傷者たちはすでに限界に近づいており、このままなら命も危ういだろう。
「おーいおーい? ダイジョーブデスカー? ちゃんと手加減してあげてるんだから死ぬなよ?」
「クッ、黙れ!! 総員、盾三名を全面に押し出し、騎士を中心に攻撃! 冒険者たちはドラゴンヘッドとして攻撃開始!!」
『『『ハッ!!』』』
「ドラゴンヘッドとしてねぇ……了解!!」
その様子を面白そうに見ている龍人の男。しまいには頭に両手を乗せて口笛まで吹くしまつだ。
「ねぇ~、まぁ~だぁ~? 俺もう飽きてきた~」
「うるさい!!」
「わしらのお嬢様をからかうのは関心せんのぅ。生きて帰れるとは思うなよ? セイアアアアアアアアアッ!!」
ルーセントをはじめ、騎士たちが龍人へと斬りかかる。その数十五名は個々の判断で一撃を入れようと、戦場で鍛えた感と腕をここぞとばかりに龍人の男へと叩き込む! が。
「あいたたたた~。俺怪我しちゃうよ~ひぃぃぃ♪」
「ふざけおって!! 囲み斬れ!!」
『『『ハッ!!』』』
「うわっ!! こわいこわい。俺後ろに目が無いからムーリー」
龍人の男が顔を強張らせて、冷や汗を拭う――仕草をする。それにイラツキながらも、騎士たちは交互に入れ替わり、龍人を囲みながら斬り刻む。
しかし龍人は踊るように手と足を使い、剣が振り抜かれる前に持ちてや剣の腹を殴り、または蹴りを入れて途中で止めてしまう。
「クゥッ!! 何という技力と膂力ッ!?」
「ハーッハッハッハ!! そうだ、龍人だぞ俺は? 凄んだ、エライんだ! 崇め奉れ!!」
「怯むな!! 私達はこんな場所で倒れるわけにはいかない!!」
「健気だねぇ~。いいぞぅ、気が済むまで付き合ってやる。その後は俺の嫁な?」
「誰がお前なんかとッ!!」
「むむむ? その自信は――あぁそうか、『コイツラ』か」
龍人の男はセリアが折れない原因を突き止める。それはセリアを守る騎士団の存在であり、それが心の支柱だと理解する。
「いいねぇ……ならソイツを、叩き折ってあげたくなるぢゃああああああないかあああ!!」
今までルーセント達騎士の攻撃を全て躱していた龍人は、その途方も無い力で一気に突き崩す。
囲んでいた騎士の十名ほどが一気に吹き飛ばされ、落ち葉のように空中を舞落ちる。
その隙をつき、ルーセントが龍人へと飛び込み袈裟斬りに剣を叩き込む――。
「なにぃ!?」
「手癖が悪い老人だなぁ……アアアン?」
「グガアアアアアアッ!?」
龍人は持っていた短剣を腰から抜くと、それでルーセントの攻撃を受け止めてから縦に一閃する。
鋼の鎧の上からだったが、それすらやすやすと斬り裂きルーセントの体に大ダメージを与える。
「ルーセントオオオオオ!?」
「はっはっは、や~っぱりコイツらが指揮官チャンの心の支えだったわ・け・だぁ」
「クッ!! だが私一人になったとて負けはせぬ!!」
セリアは残り四名の騎士と、冒険者の盾役のドーガ・イズム・ガッゾを従えて龍人へと突貫する。
「ドーガ、イズム、ガッゾはそのまま押し込め!!」
「「「おおおおお!!」」」
三方から身の程もある大盾で押し込むように潰す三人。
「ただの盾職となめるなよ!! 湖の底より来たれ来たれ来たれり!!」
「その固執なる聖なる思いよ、形とならん絶叫壁!!」
「我らの思いよ、貴女の全てを拒絶する絶壁たらん!!」
「「「≪盾魔法! 固執する女神の瞳!!≫」」」
三人の大柄な男たちは、同時にそう唱えると龍人めがけて盾で押しつぶす。
その動作が三人揃うと同時に、盾を覆うように実に嫌そうな表情の女神が顕現する。
女神は龍人を睨むと、その美しい顔がさらに歪み、恐ろしい老婆のような顔つきになる。
ほっそりとした腕から伸びた手のひら。その指は、爪を尖らせ龍人へと食い込ませて動きを止めた。
「クッ!? この高貴な私にふれるなババア共があああああああ!!」
「「「黙れ!! 女神の力はここからだ!!」」」
食い込んだ爪で左右から覗き見み、さらに背後から頭上を超えて真上から逆さまに龍人の瞳を睨む三人の女神。
『『『フリ゛リ゛リ゛リ゛リ゛ズ』』』
およそ女神とは思えない不気味な声で、龍人の男へと魂を削るようにまとわりつく。
初見でコレを見たら、間違いなくホラーであるような恐ろしげな容姿と声で気絶するか、心の弱い者なら死ぬだろう。
そんな狂気の盾魔法が発動し、龍人を容赦なく遅うのだった。
「ねぇ~指揮官さ~ん。キミ、かわいいから俺の嫁にしてあげるよ~ん! 無論三食昼寝付きだぜぇ? た・だ・し! 体型が変わったら食べちゃうからねぇ? ガオー♪」
龍人の男はそうおどけながら、両手でピースサインのようにした指を折り曲げ、エアクオーツをしながらセリアへと近づいてくる。
どうやらよほど自分に自信があるらしく、その顔は余裕の笑みが溢れ出ている。
たしかに身長も高く赤い髪が美しい、とても顔立ちが整った若い男だった。
「どーしたんだぁねぇ? キミィ、さ~おいでよ……黙ってたんじゃ分からないじゃなぁい?」
「……だれが……誰が行くものか!!」
「ナイス・ジョ~ク!! ハーハッハッハ――死にてえのか、テメェ?」
瞬間この場の温度が急激に下がった気がする……いや、実際に下がっていた。目の前の龍人が冷気の塊を体から放出し、周囲を凍てつかせる。
思わず膝をつく負傷者たちはすでに限界に近づいており、このままなら命も危ういだろう。
「おーいおーい? ダイジョーブデスカー? ちゃんと手加減してあげてるんだから死ぬなよ?」
「クッ、黙れ!! 総員、盾三名を全面に押し出し、騎士を中心に攻撃! 冒険者たちはドラゴンヘッドとして攻撃開始!!」
『『『ハッ!!』』』
「ドラゴンヘッドとしてねぇ……了解!!」
その様子を面白そうに見ている龍人の男。しまいには頭に両手を乗せて口笛まで吹くしまつだ。
「ねぇ~、まぁ~だぁ~? 俺もう飽きてきた~」
「うるさい!!」
「わしらのお嬢様をからかうのは関心せんのぅ。生きて帰れるとは思うなよ? セイアアアアアアアアアッ!!」
ルーセントをはじめ、騎士たちが龍人へと斬りかかる。その数十五名は個々の判断で一撃を入れようと、戦場で鍛えた感と腕をここぞとばかりに龍人の男へと叩き込む! が。
「あいたたたた~。俺怪我しちゃうよ~ひぃぃぃ♪」
「ふざけおって!! 囲み斬れ!!」
『『『ハッ!!』』』
「うわっ!! こわいこわい。俺後ろに目が無いからムーリー」
龍人の男が顔を強張らせて、冷や汗を拭う――仕草をする。それにイラツキながらも、騎士たちは交互に入れ替わり、龍人を囲みながら斬り刻む。
しかし龍人は踊るように手と足を使い、剣が振り抜かれる前に持ちてや剣の腹を殴り、または蹴りを入れて途中で止めてしまう。
「クゥッ!! 何という技力と膂力ッ!?」
「ハーッハッハッハ!! そうだ、龍人だぞ俺は? 凄んだ、エライんだ! 崇め奉れ!!」
「怯むな!! 私達はこんな場所で倒れるわけにはいかない!!」
「健気だねぇ~。いいぞぅ、気が済むまで付き合ってやる。その後は俺の嫁な?」
「誰がお前なんかとッ!!」
「むむむ? その自信は――あぁそうか、『コイツラ』か」
龍人の男はセリアが折れない原因を突き止める。それはセリアを守る騎士団の存在であり、それが心の支柱だと理解する。
「いいねぇ……ならソイツを、叩き折ってあげたくなるぢゃああああああないかあああ!!」
今までルーセント達騎士の攻撃を全て躱していた龍人は、その途方も無い力で一気に突き崩す。
囲んでいた騎士の十名ほどが一気に吹き飛ばされ、落ち葉のように空中を舞落ちる。
その隙をつき、ルーセントが龍人へと飛び込み袈裟斬りに剣を叩き込む――。
「なにぃ!?」
「手癖が悪い老人だなぁ……アアアン?」
「グガアアアアアアッ!?」
龍人は持っていた短剣を腰から抜くと、それでルーセントの攻撃を受け止めてから縦に一閃する。
鋼の鎧の上からだったが、それすらやすやすと斬り裂きルーセントの体に大ダメージを与える。
「ルーセントオオオオオ!?」
「はっはっは、や~っぱりコイツらが指揮官チャンの心の支えだったわ・け・だぁ」
「クッ!! だが私一人になったとて負けはせぬ!!」
セリアは残り四名の騎士と、冒険者の盾役のドーガ・イズム・ガッゾを従えて龍人へと突貫する。
「ドーガ、イズム、ガッゾはそのまま押し込め!!」
「「「おおおおお!!」」」
三方から身の程もある大盾で押し込むように潰す三人。
「ただの盾職となめるなよ!! 湖の底より来たれ来たれ来たれり!!」
「その固執なる聖なる思いよ、形とならん絶叫壁!!」
「我らの思いよ、貴女の全てを拒絶する絶壁たらん!!」
「「「≪盾魔法! 固執する女神の瞳!!≫」」」
三人の大柄な男たちは、同時にそう唱えると龍人めがけて盾で押しつぶす。
その動作が三人揃うと同時に、盾を覆うように実に嫌そうな表情の女神が顕現する。
女神は龍人を睨むと、その美しい顔がさらに歪み、恐ろしい老婆のような顔つきになる。
ほっそりとした腕から伸びた手のひら。その指は、爪を尖らせ龍人へと食い込ませて動きを止めた。
「クッ!? この高貴な私にふれるなババア共があああああああ!!」
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食い込んだ爪で左右から覗き見み、さらに背後から頭上を超えて真上から逆さまに龍人の瞳を睨む三人の女神。
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およそ女神とは思えない不気味な声で、龍人の男へと魂を削るようにまとわりつく。
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