日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
361 / 486
第九章:奪還作戦と、国の闇

361:天災

しおりを挟む
「セリア様、煙が晴れます!」
「チィ! 限界か。が、よく持った! これよりここへ陣を敷き・・・・・・・、各個撃破しつつ、最終プランを発動する!!」
「魔法師二人は詠唱に入れ! 盾は魔法師専属で、残りは防壁となってここを死守せよ!!」
『『『ハッ!!』』』
「任せておけ!」
「ジャジャ馬姫様の仰せのままに~」
「お前らは俺らが守ってやる!!」

 即座に動き、各々配置につく。同時に魔法師二人は、同じ詠唱を始める。
 リザードマンは見た。煙幕が晴れると、そこには自分たちが敷いている陣の小型版が、いきなり現れたことに驚愕する。
 その陣形の様子は自分たちよりも洗練されており、槍や剣が突き出た針の要塞であった。

「ジャギャ!? 人間ダト?? 何ヲしてイる、排除シろ!!」
『『『ジャハッ!!』』』
「させるかよ!! ドリャアアア」
「確実に屠れ!」
「こいつら、俺を狙って――グァアアッ!?」
「ヤリス!! クソッ、後衛ヤリスを引き下げろ!!」
「敵は個別では敵わないと判断したわ! こちらも三身一体となって防御!!」
『『『ハッ!!』』』
「俺らも姫さんの指示通りに!!」
『『『オウ!!』』』

 煙幕から回復しつつある敵のど真ん中。その無謀とも言える状況を、覆す一手まで残りわずか。
 だがそれが果てしなく遠く、また永遠に感じるほど、時間が強烈に緩慢に思えるのだった。
 押し寄せる汚くギラついた鱗の群れに、徐々に疲弊していくセリアたち。個々での戦闘力はこちらが有利だが、数の暴力に次第に押されつつある。
 
(クゥッ、まだなの!? だめ、私がこんな気持じゃみんなに伝播でんぱしちゃう!)

 セリアは吠える、心の叫びを魂の咆哮に変えるように。

「かかってきなさいトカゲ共!! そんなヌルイ攻撃じゃ、私に片膝をつかすことすら出来ないわ!!」
「カッカッカ! お嬢様も言うよになりましたな~っと、セイッ! さぁ皆の者、お嬢様に負けてられぬぞ!!」

 ルーセントはセリアの意図をくみ、全員を鼓舞する。すると全員の士気が熱気のように上がるのを感じ、押され気味だった陣が再生するように盛り返す。それと同時に朗報がセリアへ届く。

「セリア様、魔法師整いました!」
「よし!! 目標、敵中央! トカゲ共の統率者へ向けて放てええええええ!!」
「「了解!!」」
「リリーナ、俺に合わせてくれ!」
「わかったわカイル、合図はいつもので!!」
「おうよ!! 竜のあぎとは!」
「凍え吹く!!」

≪≪竜滅魔法! 氷凍結盤! ラ・グラス・レクイエム!!≫≫

 魔法師二人、カイルとリリーナの合成魔法。〝ラ・グラス・レクイエム〟がついに発動する。
 敵中心部から轟く大地が破壊される〝バゴゴゴゴ〟という、硬質なモノが砕かれては結合するような音と共に、氷の壁が次々と隆起する。
 それに巻き込まれ、リザードマン共は千切られ、氷付き、氷の中へ封じられ動けなくなりながらも必死に脱出しようするが、次々に氷が形成されそれも無駄に終わる。
 やがて氷の大地が出来上がるように、直径五十メートルほどの範囲でいびつだが、巨大な楕円形の氷の台座のようなモノが出来上がる。

「ルーセント!!」
「……強者の圧が消えましたな」
「よっしゃあああああ!!」
「わたし達やったのね!!」

 沸き返るセリア達。見ればこの魔法の影響・つまり「寒さ」により範囲外のリザードマン達も、寒さで目に見えるほど動きが鈍くなっている。
 これを機と見たセリアは、急速離脱を試みる。

「総員負傷者を担ぎこの場を離脱する!! 殿しんがりは私とルーセントが務める! 指揮は副長に任せる! かかれ!!」
『『『ハッ!!』』』
「おいおい、マジでうまくイッチまったぞ!? 俺らも指示に従え!! 当然リーダーの俺はジャジャ馬様と残る! あと三名、死にたがりは付いて来い!!」
「なら魔法師二人のお守りで、活躍の機会をとられた俺らだな」

 エドの募集に応じたのは盾役の三名。ドーガ・イズム・ガッゾであった。

「お前ら……よし! 攻撃は俺らにまかせて、お前らは俺らを守れ」
「「「おうよ!」」」
「ドラゴンヘッドのみんなありがとう、助かる。では行動開始!!」

 セリアがそう指示を出し動き出す瞬間だった。突如〝ぐらり〟と地面が揺れたかと思えば、氷の台座に一筋の線が入り込む。
 その直後〝ガギン゛!!〟と耳障りな音が一度鳴った瞬間、冗談みたいに巨大な氷の台座が左右に割れ、幅十メートルほどの空間が出来上がる。
 セリア達は固まる。その冗談みたいな状況に、まるで自分たちが氷の台座に入っているリザードマンのように動けなくなる。
 
 その原因が足音も静かに、ゆっくりとこちらへと歩を進める。
 ひたり、ひたり……一歩ずつ確実に迫る。それは恐怖、それは恐れ、それは死そのもの――つまり、絶望である。

「ん~クール!! ぢつにイイ!! こ~んな気分はひ・さ・し・ぶ・りだなぁ~!! いいねいいね、キミタチぃ~」
「な……なぁ……もう一人……」
「あ~はははは。指揮官のお嬢さ~ん? そんなアホ口開いてると、可愛い顔が台無しだぞぅ?」
「くぅッ……お嬢様。最早これまで、せめて一太刀浴びせて今後の糧になりましょうぞ」
「おやぁ? 老将殿はもうろくされたかなぁ? わたしを……この龍人たるわ・た・し・をどうこう出来るとでもぅ?」

 目の前に現れたもう一人の龍人の男に、全員が顔面蒼白になる。
 まるで貴族のような真っ赤な衣装や宝飾を身に着け、これからパーティーに出席するかのような龍人がそこにいたのだから。
 その実力は誰もが知るところであり、現れると大抵その場所が大惨事になる存在だ。
 だが目撃例はあまりなく、神出鬼没のある意味天災のような存在であったのだから。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...