日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第九章:奪還作戦と、国の闇

378:心の泉

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「これは……了解した。この内容を伝えればいいんだな?」
「ええ。それとあなた達の証言があれば、高確率で証明できるわ」
「それは任せてくれ。これでも一応竜滅級だからな」

 そう言うとエドは盾職三名の亡骸を回収するために氷の塊へと向かう。それを見つめながらセリアは流の安否を気遣うのだった。

「セリアお嬢様、この後はどうしますかな?」
「ルーセント……そうね、このまま黙ってみているわけにはいかないわ。父上と会います、至急戻る準備を」
「「「ハッ!!」」」

 セリアは遠くに見える騎兵の中にいるであろう、流の顔を思いだす。だからこそ強く思う。

(ナガレ……必ず助けるからね。もう少し待ってて……そのためにはまずは)

 決意を込めた視線で騎兵隊が去った方角じゃない場所、東門へと顔を向ける。

「ルーセント、東門から先回りして城へと戻るわ」
「やれやれ、この歳で走るにはチト遠いですが……やるしかありませんなぁ」

 そう言うとルーセントは鎧を脱ぎ始める。それを見た騎士たちも帯剣のみで、身軽な格好になり整列する。
 うなずくセリア。彼女もまた身軽な格好になり抜刀して東門を指す。

「今度の敵は腐った男だ! だからこそ、まだ私にチャンスはある。必ずイズンはナガレを監禁し、その後殺すだろう。ナガレに邪魔され活躍の機会が奪われた腹いせと、出世の道具に利用するためにだ!! しかし今回はそれが狙い目だ! その間に城へと戻り父上と話してみる……いや、必ず父上を動かして見せる!! お前達には苦労ばかりかけるが、どうか付いてきてほしい!!」
「ハッハッハ。今更ですなお嬢様。なぁ諸君?」
『『『我ら親衛隊はセリア様と共に!!』』』

 ルーセントが肩をすくめて、おどけるようにセリアへと向き直る。それを見てセリアはおかしくて思わず笑ってしまう。
 そんなセリアを見て、ルーセントはあるじの成長を喜ぶ。

(大きゅうなられましたなぁ……将としても申し分ない覚悟と采配。あとは経験のみ……さて。老骨にムチを打ち最後まで育てねば)

「ではお嬢様、ワシが城までエスコートをしましょう。あのいけ好かない男には及びませんがな?」
「もぅ、ナガレはいい人よ? まぁでも、ルーセントもいい男だからお言葉に甘えようかしらね」
「ハッハッハ、老骨冥利につきますなぁ~。では参りましょう」

 その言葉が合図となり、全員は東門へと駆けていく。セリア達が去ったのち、綺麗に並べられた鎧は青空を映し出す。
 それはまるで小さな澄んだ水源のようであり、持ち主たちの心が形となって現れているようだった。


 ◇◇◇◇◇


 その頃、流たちは騎兵に囲まれながらのんびりと歩いている。とは言え、流のみ嵐影の上に鞍を少しずらし寝そべっているのだが……。

「キサマ!! 罪人・・らしく大人しく歩け!!」
「収監されるんだったらやっぱ出るだろ~、美琴は何が出ると思う? 俺はカツ丼に十億ジンバブエドル」
『じゃあ私は、タコが入っていないタコ焼きに十億ジンバブエドル』
「十億ジンバブエドルでは、焼きそばパンも買えないワン」
「オイ!! 聞いているのか!?」
「百兆ジンバブエドル欲しかったなぁ……」
『何するんですか、それで?』
「ラーメン食べた後、釣りはいらねぇってカウンターに置く」
「それなんて嫌がらせってレベルで酷いワン」

 イズンは怒りのあまり抜刀しそうになる。しかしこの男の側にいる娘が明らかにおかしい。
 思わず手を出したくなるような、魅力的な体と妖艶な顔。しかしイズンも武人の端くれである。その一瞬の油断が命取りとも言える殺気未満、脅し以上の雰囲気を感じ取り強く出れなかった。
 しかもよく見れば、背中に小さな羽のようなものが付いているのが気になる。

(あの羽はなんだ? 龍人にしては黒い鳥のような羽だから違うだろう……アクセサリーか?)

「オイ娘。その羽は飾りなのか?」
「はぁ~ん、マイ・マスターの横顔がステキすぎぃ~。今すぐラーマンとマイ・マスターの間に入って布団になりたい」
「おい、聞け!! 一体その羽は飾――がっふぁ!? あ痛だぁ!? な、どこからトカゲの指が? クッソ、お前ら向こうに着いたら覚えておけよ!!」

 突如イズンの鼻に衝撃がはしり困惑した瞬間、鼻が熱く感じ〝ポタリ〟と血が落ちる。
 見ればリザードマンの指がどこから飛んできたようで、それに当たってのことらしい。
 元々恐ろしいヤツかもしれないとの認識と、先程の武器接収での騒ぎ。さらに指揮官の離脱という事から、自然と遠巻きに兵士たちも囲む。

『やっと煩いのがいなくなったね』
「だな。周りも……いい感じだな。で、L。何をした?」
「ぁん、マイ・マスター。地面に落ちていた死体の有効活用です」

 顔を上気させて潤んだ瞳で流へと説明するL。実に見た目がアレだが、見ぬふりをして先を続ける。
 聞けばどうやらリザードマンの落ちていた、破片を足で蹴り飛ばし鼻に当てたらしい。色々酷い……。

「斥候魔法とやらについて知っているかL?」
「はぅッ!? もちろんですともマイ・マスター。よろしければ私の性癖までお伝えしますが? え? それはですね、マイ・マスターの右耳――」
「それはいい。で、会話も拾われるのか?」
「いえ、それは大丈夫です。あくまで上空から見た景色と言った感じでしょうか」

 その事を聞き、流はすこし考えた後に「どうしてココへ来たのか」という疑問を聞くのだった。
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