日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第九章:奪還作戦と、国の闇

393:バヂゴンは【強】

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「のんきこいてる場合じゃねんだよドズル! まずはコレを見てくれ!!」
「まったくせわしない。どれ……はぁ? …………ぇ? …………なにいいいいいいいいッ!?」
「どうだ、分かったか?」
「ば、馬鹿野郎!! なんで早く言わねぇ!?」
「だから初めから緊急って言ってるじゃねーかよ! 今すぐトエトリーに通信の魔具で連絡をとってくれ!!」
「わ、分かった。しかし……この内容は本当の事なんだろうな?」
「馬鹿野郎。俺の言うことを信なくてもいいが、その家紋がある以上信じてもらうしかねぇぞ? しかも偽造防止処理までされてるのが分かるだろう?」
「うむ。これは間違いなくセリア様の押印……分かった、信じよう。では俺の部屋へお前も来い」

 そう言うと二人は支部長室へと消えていく。その様子を職員を初め、リザードマン騒ぎで集まっていた冒険者たちは、呆然と見ているだけだった。

「もう一度確かめる。本当の事なんだろうな? 巨滅の英雄++が龍人を倒し、それを配下にしたと言うのは?」
「ああ間違いねぇ。俺もこの目でしっかりと見た」
「そうか……にわかには信じられんが、お前だけじゃなくセリア様まで言うのだからな……分かった、信じよう」

 そうドズルは言うと、壁に魔力をながす。〝ガゴッ〟と硬質な音がして何かのギミックが作動すると、壁がせり上がりもう一つの部屋へとつながった。

「お前も入れ。大丈夫だ、俺が認証したからお前が入っても攻撃されない」
「本当だろうな……っと、大丈夫そうだな」
「あほう。管理者の俺が大丈夫だと言っているんだ、大丈夫だ。それより繋げるぞ?」
「お、おう……リットンハイムさん苦手なんだよなぁ。神経質でさぁ」
「ははは。実はあの人――つながった」

 縦横一メートル四方の、平たい鏡のようなモノが揺らめき出す。次第にそれが人の形に形成されると、リットンハイムが映し出された。

「どうしたドズル。定例会議には早すぎるが?」
「リットンハイムさん、すみません。緊急事態が発生しましたのでご報告と、それに付随する申請を上げます」
「なに……? 緊急事態と申請? 詳しく聞こう」
「それは当事者であるこの男から話させます。エドは知っていますよね?」
「無論だ。竜滅級の冒険者を忘れるはずもない。それでエド、何があった?」
「お久しぶりですリットンハイムさん。じつは――」

 エドは要点だけを丁寧に報告する。その内容に驚き、青い顔をするリットンハイム。
 だがそれを成した人物の名前になると、これまでの硬い表情が一変する。

「ぶッ!? ナガレだと!! ブワッハッハッハ!! そっちでも早速やったのかアイツは」
「えっと……リットンハイムさん?」

 愉快そうに笑うリットンハイムに、エドはあっけにとられて呆然となる。それはドズルも同じであったが、リットンハイムの「本当の性格」を知っていたために、エドよりはましだった。

「はぁ笑ったわ……。うむ、それなら納得だ。ナガレなら龍人でも軽く倒した……そうではないかな、エド?」
「え、あ、そうです。それはもう、こっちが死ぬほど焦って見ていましたが、彼は遊んでいるようでした」
「ククク……だろうなぁ。まったく困った男だ。それで申請と言うのは、セリア嬢からと言うことだが、見せてくれ」

 ドズルはエドから受け取った書簡を開いて、リットンハイムへと見せる。

「なるほど……うむ。悪魔騒動の件で、アリエラちゃんギルドマスターからケチケチすんなって!! って怒られたばっかりだからなぁ……よし、ここは豪快に許可しようじゃないか!! トエトリー冒険者ギルドのサブマスターとして宣言する!! コマワリ・ナガレを――」

 ――そして現在に戻りジェニファーの話は続く。

「と言うわけで、ミーとヴァルファルドがボーイの新しい称号を持って来たってワ・ケ♪」
 そう言うとジェニファーは〝バヂゴン〟と、流へと【強】ウインクを飛ばす。

「ひぃッ!?」
「へ……? ギャバアアアア!!」

 とっさに最大妖気で防御をし、軽い精神汚染ですんだ流。だが巻き込まれたイズンは盛大に吹き飛んだあと、生まれたて子鹿のように足を震わせ嘔吐する。実にお似合いである。

「ちょ、ジェニーちゃん! 今食らったら洒落にならないからやめてくれって!?」
「んまぁ!? 失礼なボーイねぇ。ミーの親愛の証なのにん」
「いやジェニファー……マジデ死ぬからやめてやれ」
「んまぁ!? 失礼しちゃうわん!!」
「はぁ、まったく……。話が進まんから俺から説明するぞ? ナガレ、今日からお前の称号である、巨滅の英雄++は剥奪される」
「え、えええ!? 俺がこんなになってるからかよ!?」
「そうだ。そして新たな称号が授与される。それは俺たち極武級二人が揃って、初めてお前に渡すことが出来るものだ」

 その時だった。また入り口の方から、重い体重を揺らせて必死に入ってくる男が現れた。

「や、やっと追いついた!! エド、早いんだよお前!!」
「今頃来やがって、おせーぞドズル!!」
「くぅ、人が必死で走ってきたというのに」
「あらドズルじゃな~い。久しぶりねん♪ では役者が揃ったところで初めましょうか。コマワリ・ナガレへの『極武級』への昇格祝いを、ネン♪!!」

 その宣言に、流をはじめ民衆や兵士達まで驚き、イズンは嘔吐しながらもそれを聞くのであった。
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