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第九章:奪還作戦と、国の闇
408:虫玉
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楼門の落下で増援もすぐには来れず、どうやら追撃も無くアルザム脱出に成功する。
先行していたセリアたちへと追いつく流。そしてセリアの騎士たちに感謝の言葉で歓迎されるのだった。
「ふぃ~全員無事で何よりだ」
「ふふ、あなたのお陰でみんな無事よ。まさか建物ごと斬っちゃうなんて、想像出来なかったわ」
「まぁあの程度はなぁ。それでこれからどうするんだ? 予定ではこのまま北上しようと思っていたんだが……」
流が来たことで、後方から先頭集団へと上がってきたエルヴィスは、その問に答える。
「本来ならば道なりに、このまま北上する。大体この速さで行けば五日くらいか」
「けど、近道があるって言っていたろう?」
「そうだ、これからお前に見せたい場所がある。そしてそこを通れば二日短縮出来るが、険しい道だ」
そうエルヴィスは言うと、苦々しく西の方角を睨む。どうやら目的の地は西にあるようだ。
「もう少し進むと、湖がある。そこを西側に回り込み、そのまま山間部へと進む。そこは魔物が多く、道も険しい。私にはドラゴンヘッドがいたからよく使っていたがな」
「魔物、か。俺は一応冒険者だが、討伐クエストとか受けたことないし、魔物とはあまり戦った事がないからなぁ。ちょっと不安」
その言葉で一同はドっと笑う。
「あるじぃ。トカゲ人間も魔物だと思うんだワン」
「あ、そうか。あれが魔物か」
『それと蛇娘や、豚の王様たち。それに緑の小人もそうでしょうに』
「おおお!? 懐かしき我が闘争の日々よ!!」
『何かっこよく言ってるですか、忘れてたくせに』
「まったく仕方のない、あるじだワンねぇ」
そんな話しをしながら、岩場が多い平原をひた走る。途中セリアの話しの中で気になることがあり、その話しに自然とながれる。
「――すると、セリアが戦ったのが死人だと?」
「そうだワン。鎧娘が戦ってたのは間違いなく死人だワンね」
「三左衛門、どうなんだそいつ?」
『ワン太郎殿の話しからすると、寄生型でしょうな! そのムカデのような虫が本体であり、獣人はガワとして機能していると言うところですな!』
「またキモチワルイのが出てきたなぁ……それで倒す手段は?」
『虫玉と呼ばれるコアを破壊すればよろしい! お、拙者も西洋かぶれの仲間入りですな! ハッハッハ!!』
『もぅ三左衛門まで……。流様、虫玉って言うのはね、大抵は心臓か頭のどっちかに入っているよ。すっごく気持ち悪いだぁ……ネト~っとしてて』
「うへぇ、確実に戦うフラグじゃんソレ……」
話の内容と、新たなオバケに顔を引つらせるセリア。そんな青い顔で恐る恐る質問する。
「えっと、もし私があの虫に噛まれてたら?」
『ハッハッハ! お嬢さん、噛まれた場所から体内へと入って来て、脳髄を食われますな!!』
「「イヤアアアアアアアア!?」」
『もぅ、流様まで一緒に叫ばないでくださいよ。大丈夫ですよ、噛まれた瞬間に寄生虫を斬り飛ばせば』
「「ほ、本当に?」」
『そんな怯えた顔で見ないでくださいよ。大丈夫ですって、昔から食われた人を見てきた、経験からのお話ですからね』
「「恐ろしい事をサラっと言える、美琴が恐ろしい」」
『もぅ、二人して! まぁ……ほんとにね……色々酷かったんですよ』
美琴は過去にあった凄惨な事件を思い出し、静かにため息を吐く。
そんな言葉の重みに二人も申し訳なく思い、謝罪する。
「あれだ、ちゃかして悪かったな」
「私も怖いとか言っちゃってごめんね」
『あぁいいんですよ、数百年前のことですからね。ただ今でも思い出すんです、あの……グチャグャドロ~な食事風景を。あぁ~キモチワルイ』
「「そっちかい!?」」
「三左衛門、その死人は数は増やせるのか? セリアの話では相当耐久力ありそうだが」
『そうですな。邪法師の力量にもよりますからな、なんとも判断は出来ませぬな! が、エスポワールを生み出した力から考えると、相当な力は持っているかと!!』
「また面倒な……」
アイヅァルムの混乱、死人の投入。今回の一件はどうも実験投入したように感じる。
そうすると、その対策にも今後は注意しないといけないだろうと、流れは考える。だからこそ、その道の専門家達に意見を聞く。
「今回の一件、お前達はどう思う?」
『そうですなぁ、まずは向日葵お答えいたせ!』
『ふぇ~寝てるのに起こさないでくださいょぅ……でぇ、なんです?』
『ふむ、あとで拳骨を褒美につかわす!』
『ひぅ!? そ、そうですね。あの手の死人は量産型と呼んでいます。自我はありませんが、敵中を混乱、壊滅を狙うのに適していますので厄介ですね』
「なるほど、一人から複数へ寄生するのか……。つか亡霊なのに、拳骨痛いのかよ!?」
死人よりもっと謎な存在の、悲恋の中の人に困惑しながら才蔵へと質問する。
「才蔵。話からすると、基本的に隠密行動をとるタイプの死人のようだが、対処法はあるのか?」
『はい大殿。対処法はございますれば……ただこの世界の人族の力は、未だ未知数ですので、もう少し見極めてから判断したいと思いますれば。そして私は忍者です!!』
「あぁ、はいはい。忍者了解。セリアは戦ってみてどうだった?」
「そうね、勝てる……とは思うわ。ただ予想以上に複雑な攻撃をしてくるから、予備知識があれば勝率も上がるでしょうね」
「なるほどな。三左衛門、死人関係はお前に一任する」
『ハッハッハ! 死人のことはお任せあれ!!』
三左衛門の力強い笑いに流もうなずく。そしてこれから確実に遭遇するであろう、死人との戦いに覚悟を決めるのだった。
先行していたセリアたちへと追いつく流。そしてセリアの騎士たちに感謝の言葉で歓迎されるのだった。
「ふぃ~全員無事で何よりだ」
「ふふ、あなたのお陰でみんな無事よ。まさか建物ごと斬っちゃうなんて、想像出来なかったわ」
「まぁあの程度はなぁ。それでこれからどうするんだ? 予定ではこのまま北上しようと思っていたんだが……」
流が来たことで、後方から先頭集団へと上がってきたエルヴィスは、その問に答える。
「本来ならば道なりに、このまま北上する。大体この速さで行けば五日くらいか」
「けど、近道があるって言っていたろう?」
「そうだ、これからお前に見せたい場所がある。そしてそこを通れば二日短縮出来るが、険しい道だ」
そうエルヴィスは言うと、苦々しく西の方角を睨む。どうやら目的の地は西にあるようだ。
「もう少し進むと、湖がある。そこを西側に回り込み、そのまま山間部へと進む。そこは魔物が多く、道も険しい。私にはドラゴンヘッドがいたからよく使っていたがな」
「魔物、か。俺は一応冒険者だが、討伐クエストとか受けたことないし、魔物とはあまり戦った事がないからなぁ。ちょっと不安」
その言葉で一同はドっと笑う。
「あるじぃ。トカゲ人間も魔物だと思うんだワン」
「あ、そうか。あれが魔物か」
『それと蛇娘や、豚の王様たち。それに緑の小人もそうでしょうに』
「おおお!? 懐かしき我が闘争の日々よ!!」
『何かっこよく言ってるですか、忘れてたくせに』
「まったく仕方のない、あるじだワンねぇ」
そんな話しをしながら、岩場が多い平原をひた走る。途中セリアの話しの中で気になることがあり、その話しに自然とながれる。
「――すると、セリアが戦ったのが死人だと?」
「そうだワン。鎧娘が戦ってたのは間違いなく死人だワンね」
「三左衛門、どうなんだそいつ?」
『ワン太郎殿の話しからすると、寄生型でしょうな! そのムカデのような虫が本体であり、獣人はガワとして機能していると言うところですな!』
「またキモチワルイのが出てきたなぁ……それで倒す手段は?」
『虫玉と呼ばれるコアを破壊すればよろしい! お、拙者も西洋かぶれの仲間入りですな! ハッハッハ!!』
『もぅ三左衛門まで……。流様、虫玉って言うのはね、大抵は心臓か頭のどっちかに入っているよ。すっごく気持ち悪いだぁ……ネト~っとしてて』
「うへぇ、確実に戦うフラグじゃんソレ……」
話の内容と、新たなオバケに顔を引つらせるセリア。そんな青い顔で恐る恐る質問する。
「えっと、もし私があの虫に噛まれてたら?」
『ハッハッハ! お嬢さん、噛まれた場所から体内へと入って来て、脳髄を食われますな!!』
「「イヤアアアアアアアア!?」」
『もぅ、流様まで一緒に叫ばないでくださいよ。大丈夫ですよ、噛まれた瞬間に寄生虫を斬り飛ばせば』
「「ほ、本当に?」」
『そんな怯えた顔で見ないでくださいよ。大丈夫ですって、昔から食われた人を見てきた、経験からのお話ですからね』
「「恐ろしい事をサラっと言える、美琴が恐ろしい」」
『もぅ、二人して! まぁ……ほんとにね……色々酷かったんですよ』
美琴は過去にあった凄惨な事件を思い出し、静かにため息を吐く。
そんな言葉の重みに二人も申し訳なく思い、謝罪する。
「あれだ、ちゃかして悪かったな」
「私も怖いとか言っちゃってごめんね」
『あぁいいんですよ、数百年前のことですからね。ただ今でも思い出すんです、あの……グチャグャドロ~な食事風景を。あぁ~キモチワルイ』
「「そっちかい!?」」
「三左衛門、その死人は数は増やせるのか? セリアの話では相当耐久力ありそうだが」
『そうですな。邪法師の力量にもよりますからな、なんとも判断は出来ませぬな! が、エスポワールを生み出した力から考えると、相当な力は持っているかと!!』
「また面倒な……」
アイヅァルムの混乱、死人の投入。今回の一件はどうも実験投入したように感じる。
そうすると、その対策にも今後は注意しないといけないだろうと、流れは考える。だからこそ、その道の専門家達に意見を聞く。
「今回の一件、お前達はどう思う?」
『そうですなぁ、まずは向日葵お答えいたせ!』
『ふぇ~寝てるのに起こさないでくださいょぅ……でぇ、なんです?』
『ふむ、あとで拳骨を褒美につかわす!』
『ひぅ!? そ、そうですね。あの手の死人は量産型と呼んでいます。自我はありませんが、敵中を混乱、壊滅を狙うのに適していますので厄介ですね』
「なるほど、一人から複数へ寄生するのか……。つか亡霊なのに、拳骨痛いのかよ!?」
死人よりもっと謎な存在の、悲恋の中の人に困惑しながら才蔵へと質問する。
「才蔵。話からすると、基本的に隠密行動をとるタイプの死人のようだが、対処法はあるのか?」
『はい大殿。対処法はございますれば……ただこの世界の人族の力は、未だ未知数ですので、もう少し見極めてから判断したいと思いますれば。そして私は忍者です!!』
「あぁ、はいはい。忍者了解。セリアは戦ってみてどうだった?」
「そうね、勝てる……とは思うわ。ただ予想以上に複雑な攻撃をしてくるから、予備知識があれば勝率も上がるでしょうね」
「なるほどな。三左衛門、死人関係はお前に一任する」
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三左衛門の力強い笑いに流もうなずく。そしてこれから確実に遭遇するであろう、死人との戦いに覚悟を決めるのだった。
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