日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
408 / 486
第九章:奪還作戦と、国の闇

408:虫玉

しおりを挟む
 楼門の落下で増援もすぐには来れず、どうやら追撃も無くアルザム脱出に成功する。
 先行していたセリアたちへと追いつく流。そしてセリアの騎士たちに感謝の言葉で歓迎されるのだった。

「ふぃ~全員無事で何よりだ」
「ふふ、あなたのお陰でみんな無事よ。まさか建物ごと斬っちゃうなんて、想像出来なかったわ」
「まぁあの程度はなぁ。それでこれからどうするんだ? 予定ではこのまま北上しようと思っていたんだが……」

 流が来たことで、後方から先頭集団へと上がってきたエルヴィスは、その問に答える。

「本来ならば道なりに、このまま北上する。大体この速さで行けば五日くらいか」
「けど、近道があるって言っていたろう?」
「そうだ、これからお前に見せたい場所がある。そしてそこを通れば二日短縮出来るが、険しい道だ」

 そうエルヴィスは言うと、苦々しく西の方角を睨む。どうやら目的の地は西にあるようだ。

「もう少し進むと、湖がある。そこを西側に回り込み、そのまま山間部へと進む。そこは魔物が多く、道も険しい。私にはドラゴンヘッドがいたからよく使っていたがな」
「魔物、か。俺は一応冒険者だが、討伐クエストとか受けたことないし、魔物とはあまり戦った事がないからなぁ。ちょっと不安」

 その言葉で一同はドっと笑う。

「あるじぃ。トカゲ人間も魔物だと思うんだワン」 
「あ、そうか。あれが魔物か」
『それと蛇娘や、豚の王様たち。それに緑の小人ゴブリンもそうでしょうに』
「おおお!? 懐かしき我が闘争の日々よ!!」
『何かっこよく言ってるですか、忘れてたくせに』
「まったく仕方のない、あるじだワンねぇ」

 そんな話しをしながら、岩場が多い平原をひた走る。途中セリアの話しの中で気になることがあり、その話しに自然とながれる。

「――すると、セリアが戦ったのが死人だと?」
「そうだワン。鎧娘が戦ってたのは間違いなく死人だワンね」
「三左衛門、どうなんだそいつ?」
『ワン太郎殿の話しからすると、寄生型でしょうな! そのムカデのような虫が本体であり、獣人はガワとして機能していると言うところですな!』
「またキモチワルイのが出てきたなぁ……それで倒す手段は?」
『虫玉と呼ばれるコアを破壊すればよろしい! お、拙者も西洋かぶれの仲間入りですな! ハッハッハ!!』
『もぅ三左衛門まで……。流様、虫玉って言うのはね、大抵は心臓か頭のどっちかに入っているよ。すっごく気持ち悪いだぁ……ネト~っとしてて』
「うへぇ、確実に戦うフラグじゃんソレ……」

 話の内容と、新たなオバケに顔を引つらせるセリア。そんな青い顔で恐る恐る質問する。

「えっと、もし私があの虫に噛まれてたら?」
『ハッハッハ! お嬢さん、噛まれた場所から体内へと入って来て、脳髄を食われますな!!』
「「イヤアアアアアアアア!?」」
『もぅ、流様まで一緒に叫ばないでくださいよ。大丈夫ですよ、噛まれた瞬間に寄生虫を斬り飛ばせば』
「「ほ、本当に?」」
『そんな怯えた顔で見ないでくださいよ。大丈夫ですって、昔から食われた人を見てきた、経験からのお話ですからね』
「「恐ろしい事をサラっと言える、美琴あなたが恐ろしい」」
『もぅ、二人して! まぁ……ほんとにね……色々酷かったんですよ』

 美琴は過去にあった凄惨な事件を思い出し、静かにため息を吐く。
 そんな言葉の重みに二人も申し訳なく思い、謝罪する。

「あれだ、ちゃかして悪かったな」
「私も怖いとか言っちゃってごめんね」
『あぁいいんですよ、数百年前のことですからね。ただ今でも思い出すんです、あの……グチャグャドロ~な食事風景を。あぁ~キモチワルイ』
「「そっちかい!?」」
「三左衛門、その死人は数は増やせるのか? セリアの話では相当耐久力ありそうだが」
『そうですな。邪法師の力量にもよりますからな、なんとも判断は出来ませぬな! が、エスポワールを生み出した力から考えると、相当な力は持っているかと!!』
「また面倒な……」

 アイヅァルムの混乱、死人の投入。今回の一件はどうも実験投入したように感じる。
 そうすると、その対策にも今後は注意しないといけないだろうと、流れは考える。だからこそ、その道の専門家達に意見を聞く。

「今回の一件、お前達はどう思う?」
『そうですなぁ、まずは向日葵お答えいたせ!』
『ふぇ~寝てるのに起こさないでくださいょぅ……でぇ、なんです?』
『ふむ、あとで拳骨を褒美につかわす!』
『ひぅ!? そ、そうですね。あの手の死人は量産型と呼んでいます。自我はありませんが、敵中を混乱、壊滅を狙うのに適していますので厄介ですね』
「なるほど、一人から複数へ寄生するのか……。つか亡霊なのに、拳骨痛いのかよ!?」

 死人よりもっと謎な存在の、悲恋の中の人に困惑しながら才蔵へと質問する。

「才蔵。話からすると、基本的に隠密行動をとるタイプの死人のようだが、対処法はあるのか?」
『はい大殿。対処法はございますれば……ただこの世界の人族の力は、未だ未知数ですので、もう少し見極めてから判断したいと思いますれば。そして私は忍者です!!』
「あぁ、はいはい。忍者了解。セリアは戦ってみてどうだった?」
「そうね、勝てる……とは思うわ。ただ予想以上に複雑な攻撃をしてくるから、予備知識があれば勝率も上がるでしょうね」
「なるほどな。三左衛門、死人関係はお前に一任する」
『ハッハッハ! 死人のことはお任せあれ!!』

 三左衛門の力強い笑いに流もうなずく。そしてこれから確実に遭遇するであろう、死人との戦いに覚悟を決めるのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...