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第九章:奪還作戦と、国の闇
409:ジャバ・ケロック
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一行は岩場地帯を抜け、背丈ほどある草原地帯を走る。
草の色は赤紫で綺麗な色をしており、夕暮れ間際の太陽がそれを余計に際立たせた。
その景色に心を奪われていると、エルヴィスが流の隣にやって来る。
「ナガレ、この先に湖がある。そこで一泊がセオリーなんだが、お前も騎士団もいるし、このまま次の町まで強行しようと思うんだが?」
「俺はそれで構わないけど、セリアはどうだ?」
「ええ問題ないわよ。私達はそんなヤワじゃないしね」
「なら決まりだ。エルヴィス、案内よろしく」
「任せてくれ。そうだな、まずは湖に着いたらお前のラーマン……ランエイと言ったか? そいつと、軍馬の休憩を入れよう。私のキャラバンが使うキャンプ地があるから、私たちも少し休もうか」
そのまま草原地帯を走ること数十分。突如開けた視界の先に見える、大きな湖が見えた。
大きさは向こう岸は霞んで見え、湖中央に巨大な島があり、その中央には天険とも言える険しい山があった。
そのまま景色を楽しみながら、浜辺へと到着する一行は雄大な自然に息を呑む。
「こいつはデカイな!! ほぼ向こう岸が見えないぞ? そして中央の島にロマンを感じる、埋蔵金とかありそうじゃないか!?」
『徳川埋蔵金ならぬ、異世界埋蔵金とかありそうですね!! 金属探知機持ってきましょうよ!!』
「女幽霊が俗物的すぎて、ロマンのかけらも無いんだワン」
そんな二人を嵐影の頭の上から、呆れた顔で見るワン太郎。その様子を楽しげに見ながらエルヴィスは湖の中央を指差し、流へと話す。
「ははは、よく分からんが楽しそうでいいな。それでこれからその島に渡り、そこで休憩する」
「え? 行けるのかよ!! でも橋も無いし、船も無いぞ?」
「それは……あぁ来たようだ」
エルヴィスが指を指した先の水面が盛り上がる。流はその巨大な生命力を感知し、美琴へと手をかけた瞬間。
「うおおおお!? でっかいカエルが出たぞ!!」
『うわぁ~おっきい~』
流と美琴が驚くのも無理はない。そのカエルは顔だけで横十メートルほどあり、綺麗な黄緑色をしていた。
その顔つきは実に優しげで、目は◎で外側は黒いが、中央がピンクだった。
「やぁ、ジャバ! 今回もまた頼むよ。報酬は……ほら、コイツでどうだい?」
「ケロケロ。エルヴィスちゃん、しばらく見ないから心配してたケロ。お~今回も上質なモルモル牛の魔力煮込みかい? そりゃありがたいねぇ。味もいいが、魔力も高まるケロ」
「喜んでもらえてよかったよ。今回は馬車はないが、この人達を島まで運んでほしい。その後は対岸まで頼むよ」
「ケロケロ、いいケロよ。んじゃ、ちょっと荷台を取ってくるから待っててケロ~」
そう言うと巨大なカエル、ジャバは水中へと消えていった。
「お……驚いたな。カエルのデカさにも驚いたが、普通に話せるんだな」
『異世界は常識が容赦のかけらも無いですね!!』
「私からすれば、貴女も大概よ? でもまぁ、驚いたわね……噂には聞いていたけど、本当にいたんだ、ジャバ・ケロック」
「ははは、驚いていただけて嬉しいですよ。以前、彼女に襲われましてね。交渉の末、友好的なお付き合いをさせてもらっています」
「流石商人。アレと交渉まとめるとか、その交渉術をご教授願いたいね?」
「何を言う、お前だってスパイスの流通始めたんだろ? 界隈で話題になってるぞ」
「ま、そのお陰でお前の家と揉めて、ここにいるワケだがな」
「お互いアルマーク商会には苦労する」
「違いない」
そう二人は笑う。どう見ても悪徳商人のように。
『もぅ、何をしてるんですか。ほら、カエルちゃんが来た……え゛!?』
「え゛!? あ、あれに乗るのか……」
「なぜ祭りなんだワン!?」
ジャバ・ケロックの背中には、幅二十メートルほどの正方形の白い荷台が乗っており、その中央には櫓のような物があり、そこでは子ガエルが太鼓を叩いていた。提灯つきで。
「おまたせしたケロ~。ささ、乗っておくれケロ」
「ジャバ、そ、それはいったい何だい?」
「ん? あぁ~ケロケロ。これは悪やつよけだケロ。最近悪いやつがこのあたりに出て、困ってるケロ。ま、その話は泳ぎながら話すケロ」
そう言うとジャバはクルリと背中を向けて、荷台のスロープを見せる。そのスロープを上り、全員が乗り込んだの確認すると、背中の子ガエルが太鼓を激しく打ち鳴らす。
ジャバはそれを合図に、ゆっくりと泳ぎだすのだった。
「するとその悪いヤツってのが、最近このあたりに住み着き、ジャバの子供たちを食べちゃうのかい?」
「そうなんだケロ。もぅ許せないケロケロ! ケロがいる時は逃げるくせに、いない時に空から来るんだケロよ」
「そりゃ困ったねぇ。うちの商会も、ジャバが困ってるのは見過ごせないな」
「ありがとうエルヴィス。あ、そうだ!! 背中に乗ってる人間じゃない人、もし見かけたら倒してほしいケロケロ」
いきなり話を振られ、驚く流。だが獣人もおり、自分なのか? と、口を開く。
「えっと、俺のことかい?」
「ん~ちょっと歩いてケロ。他の人はそのままケロ」
流は言うままに歩く。すると「ケロロロロ!!」とジャバが唸ると、流へ話し始める。
「そう、間違いなく今歩いている人間さんのような人ケロケロ!!」
「よく分かるなぁ。一応人間なんでヨロシク」
「わかったケロ! それで頼めるケロリ?」
急ぎの道中に、いきなりの討伐依頼。流は腕を組むと唸り考えるのだった。
草の色は赤紫で綺麗な色をしており、夕暮れ間際の太陽がそれを余計に際立たせた。
その景色に心を奪われていると、エルヴィスが流の隣にやって来る。
「ナガレ、この先に湖がある。そこで一泊がセオリーなんだが、お前も騎士団もいるし、このまま次の町まで強行しようと思うんだが?」
「俺はそれで構わないけど、セリアはどうだ?」
「ええ問題ないわよ。私達はそんなヤワじゃないしね」
「なら決まりだ。エルヴィス、案内よろしく」
「任せてくれ。そうだな、まずは湖に着いたらお前のラーマン……ランエイと言ったか? そいつと、軍馬の休憩を入れよう。私のキャラバンが使うキャンプ地があるから、私たちも少し休もうか」
そのまま草原地帯を走ること数十分。突如開けた視界の先に見える、大きな湖が見えた。
大きさは向こう岸は霞んで見え、湖中央に巨大な島があり、その中央には天険とも言える険しい山があった。
そのまま景色を楽しみながら、浜辺へと到着する一行は雄大な自然に息を呑む。
「こいつはデカイな!! ほぼ向こう岸が見えないぞ? そして中央の島にロマンを感じる、埋蔵金とかありそうじゃないか!?」
『徳川埋蔵金ならぬ、異世界埋蔵金とかありそうですね!! 金属探知機持ってきましょうよ!!』
「女幽霊が俗物的すぎて、ロマンのかけらも無いんだワン」
そんな二人を嵐影の頭の上から、呆れた顔で見るワン太郎。その様子を楽しげに見ながらエルヴィスは湖の中央を指差し、流へと話す。
「ははは、よく分からんが楽しそうでいいな。それでこれからその島に渡り、そこで休憩する」
「え? 行けるのかよ!! でも橋も無いし、船も無いぞ?」
「それは……あぁ来たようだ」
エルヴィスが指を指した先の水面が盛り上がる。流はその巨大な生命力を感知し、美琴へと手をかけた瞬間。
「うおおおお!? でっかいカエルが出たぞ!!」
『うわぁ~おっきい~』
流と美琴が驚くのも無理はない。そのカエルは顔だけで横十メートルほどあり、綺麗な黄緑色をしていた。
その顔つきは実に優しげで、目は◎で外側は黒いが、中央がピンクだった。
「やぁ、ジャバ! 今回もまた頼むよ。報酬は……ほら、コイツでどうだい?」
「ケロケロ。エルヴィスちゃん、しばらく見ないから心配してたケロ。お~今回も上質なモルモル牛の魔力煮込みかい? そりゃありがたいねぇ。味もいいが、魔力も高まるケロ」
「喜んでもらえてよかったよ。今回は馬車はないが、この人達を島まで運んでほしい。その後は対岸まで頼むよ」
「ケロケロ、いいケロよ。んじゃ、ちょっと荷台を取ってくるから待っててケロ~」
そう言うと巨大なカエル、ジャバは水中へと消えていった。
「お……驚いたな。カエルのデカさにも驚いたが、普通に話せるんだな」
『異世界は常識が容赦のかけらも無いですね!!』
「私からすれば、貴女も大概よ? でもまぁ、驚いたわね……噂には聞いていたけど、本当にいたんだ、ジャバ・ケロック」
「ははは、驚いていただけて嬉しいですよ。以前、彼女に襲われましてね。交渉の末、友好的なお付き合いをさせてもらっています」
「流石商人。アレと交渉まとめるとか、その交渉術をご教授願いたいね?」
「何を言う、お前だってスパイスの流通始めたんだろ? 界隈で話題になってるぞ」
「ま、そのお陰でお前の家と揉めて、ここにいるワケだがな」
「お互いアルマーク商会には苦労する」
「違いない」
そう二人は笑う。どう見ても悪徳商人のように。
『もぅ、何をしてるんですか。ほら、カエルちゃんが来た……え゛!?』
「え゛!? あ、あれに乗るのか……」
「なぜ祭りなんだワン!?」
ジャバ・ケロックの背中には、幅二十メートルほどの正方形の白い荷台が乗っており、その中央には櫓のような物があり、そこでは子ガエルが太鼓を叩いていた。提灯つきで。
「おまたせしたケロ~。ささ、乗っておくれケロ」
「ジャバ、そ、それはいったい何だい?」
「ん? あぁ~ケロケロ。これは悪やつよけだケロ。最近悪いやつがこのあたりに出て、困ってるケロ。ま、その話は泳ぎながら話すケロ」
そう言うとジャバはクルリと背中を向けて、荷台のスロープを見せる。そのスロープを上り、全員が乗り込んだの確認すると、背中の子ガエルが太鼓を激しく打ち鳴らす。
ジャバはそれを合図に、ゆっくりと泳ぎだすのだった。
「するとその悪いヤツってのが、最近このあたりに住み着き、ジャバの子供たちを食べちゃうのかい?」
「そうなんだケロ。もぅ許せないケロケロ! ケロがいる時は逃げるくせに、いない時に空から来るんだケロよ」
「そりゃ困ったねぇ。うちの商会も、ジャバが困ってるのは見過ごせないな」
「ありがとうエルヴィス。あ、そうだ!! 背中に乗ってる人間じゃない人、もし見かけたら倒してほしいケロケロ」
いきなり話を振られ、驚く流。だが獣人もおり、自分なのか? と、口を開く。
「えっと、俺のことかい?」
「ん~ちょっと歩いてケロ。他の人はそのままケロ」
流は言うままに歩く。すると「ケロロロロ!!」とジャバが唸ると、流へ話し始める。
「そう、間違いなく今歩いている人間さんのような人ケロケロ!!」
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