日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

文字の大きさ
409 / 486
第九章:奪還作戦と、国の闇

409:ジャバ・ケロック

しおりを挟む
 一行は岩場地帯を抜け、背丈ほどある草原地帯を走る。
 草の色は赤紫で綺麗な色をしており、夕暮れ間際の太陽がそれを余計に際立たせた。
 その景色に心を奪われていると、エルヴィスが流の隣にやって来る。
 
「ナガレ、この先に湖がある。そこで一泊がセオリーなんだが、お前も騎士団もいるし、このまま次の町まで強行しようと思うんだが?」
「俺はそれで構わないけど、セリアはどうだ?」
「ええ問題ないわよ。私達はそんなヤワじゃないしね」
「なら決まりだ。エルヴィス、案内よろしく」
「任せてくれ。そうだな、まずは湖に着いたらお前のラーマン……ランエイと言ったか? そいつと、軍馬の休憩を入れよう。私のキャラバンが使うキャンプ地があるから、私たちも少し休もうか」

 そのまま草原地帯を走ること数十分。突如開けた視界の先に見える、大きな湖が見えた。
 大きさは向こう岸は霞んで見え、湖中央に巨大な島があり、その中央には天険とも言える険しい山があった。
 そのまま景色を楽しみながら、浜辺へと到着する一行は雄大な自然に息を呑む。

「こいつはデカイな!! ほぼ向こう岸が見えないぞ? そして中央の島にロマンを感じる、埋蔵金とかありそうじゃないか!?」
『徳川埋蔵金ならぬ、異世界埋蔵金とかありそうですね!! 金属探知機持ってきましょうよ!!』
「女幽霊が俗物的すぎて、ロマンのかけらも無いんだワン」

 そんな二人を嵐影の頭の上から、呆れた顔で見るワン太郎。その様子を楽しげに見ながらエルヴィスは湖の中央を指差し、流へと話す。

「ははは、よく分からんが楽しそうでいいな。それでこれからその島に渡り、そこで休憩する」
「え? 行けるのかよ!! でも橋も無いし、船も無いぞ?」
「それは……あぁ来たようだ」

 エルヴィスが指を指した先の水面が盛り上がる。流はその巨大な生命力を感知し、美琴へと手をかけた瞬間。

「うおおおお!? でっかいカエルが出たぞ!!」
『うわぁ~おっきい~』

 流と美琴が驚くのも無理はない。そのカエルは顔だけで横十メートルほどあり、綺麗な黄緑色をしていた。
 その顔つきは実に優しげで、目は◎で外側は黒いが、中央がピンクだった。

「やぁ、ジャバ! 今回もまた頼むよ。報酬は……ほら、コイツでどうだい?」
「ケロケロ。エルヴィスちゃん、しばらく見ないから心配してたケロ。お~今回も上質なモルモル牛の魔力煮込みかい? そりゃありがたいねぇ。味もいいが、魔力も高まるケロ」
「喜んでもらえてよかったよ。今回は馬車はないが、この人達を島まで運んでほしい。その後は対岸まで頼むよ」
「ケロケロ、いいケロよ。んじゃ、ちょっと荷台を取ってくるから待っててケロ~」

 そう言うと巨大なカエル、ジャバは水中へと消えていった。

「お……驚いたな。カエルのデカさにも驚いたが、普通に話せるんだな」
『異世界は常識が容赦のかけらも無いですね!!』
「私からすれば、貴女も大概よ? でもまぁ、驚いたわね……噂には聞いていたけど、本当にいたんだ、ジャバ・ケロック」
「ははは、驚いていただけて嬉しいですよ。以前、彼女に襲われましてね。交渉の末、友好的なお付き合いをさせてもらっています」
「流石商人。アレと交渉まとめるとか、その交渉術をご教授願いたいね?」
「何を言う、お前だってスパイスの流通始めたんだろ? 界隈で話題になってるぞ」
「ま、そのお陰でお前の家と揉めて、ここにいるワケだがな」
「お互いアルマーク商会には苦労する」
「違いない」

 そう二人は笑う。どう見ても悪徳商人のように。

『もぅ、何をしてるんですか。ほら、カエルちゃんが来た……え゛!?』
「え゛!? あ、あれに乗るのか……」
「なぜ祭りなんだワン!?」

 ジャバ・ケロックの背中には、幅二十メートルほどの正方形の白い荷台が乗っており、その中央には櫓のような物があり、そこでは子ガエルが太鼓を叩いていた。提灯ちょうちんつきで。

「おまたせしたケロ~。ささ、乗っておくれケロ」
「ジャバ、そ、それはいったい何だい?」
「ん? あぁ~ケロケロ。これは悪やつよけだケロ。最近悪いやつがこのあたりに出て、困ってるケロ。ま、その話は泳ぎながら話すケロ」

 そう言うとジャバはクルリと背中を向けて、荷台のスロープを見せる。そのスロープを上り、全員が乗り込んだの確認すると、背中の子ガエルが太鼓を激しく打ち鳴らす。
 ジャバはそれを合図に、ゆっくりと泳ぎだすのだった。

「するとその悪いヤツってのが、最近このあたりに住み着き、ジャバの子供たちを食べちゃうのかい?」
「そうなんだケロ。もぅ許せないケロケロ! ケロがいる時は逃げるくせに、いない時に空から来るんだケロよ」
「そりゃ困ったねぇ。うちの商会も、ジャバが困ってるのは見過ごせないな」
「ありがとうエルヴィス。あ、そうだ!! 背中に乗ってる人間じゃない人、もし見かけたら倒してほしいケロケロ」

 いきなり話を振られ、驚く流。だが獣人もおり、自分なのか? と、口を開く。

「えっと、俺のことかい?」
「ん~ちょっと歩いてケロ。他の人はそのままケロ」

 流は言うままに歩く。すると「ケロロロロ!!」とジャバが唸ると、流へ話し始める。

「そう、間違いなく今歩いている人間さんのような人ケロケロ!!」
「よく分かるなぁ。一応人間なんでヨロシク」
「わかったケロ! それで頼めるケロリ?」

 急ぎの道中に、いきなりの討伐依頼。流は腕を組むと唸り考えるのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...