日本最狂の妖刀で、誰も見た事がない異世界・骨董無双~狂気の娘を返品したいがもう遅い!!だから神が宿る骨董品達で、俺が世界を改変してやるッ!!

竹本蘭乃

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第九章:奪還作戦と、国の闇

410:悪いやつ

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「ん~実はなジャバ、俺たちは急ぎの旅の途中なんだよ。出来るなら、その依頼受けたいんだが……」
「そうケロかぁ~。じゃあもし道中で、悪いやつに会ったらやっつけて欲しいケロ」
「それなら引き受けよう」
「わぁ~ありがとうだケロ!! 報酬は討伐証明として、牙を持ってきて欲しいケロ。子供たちを噛んだ憎い牙を墓前に供えるケロケロ」
「わかったよ。それで、その悪いヤツって何だ?」
「あ、言うの忘れてたケロ。そいつは最近この辺りに住み着いた大きいドラゴンだケロ」

 その言葉にL意外、一同は驚愕する。そのLは流の後ろ姿に悶えていた。(ビクン)

「ちょっと待て……ドラゴン? そんなの無理だろ!?」
「何を仰いますか!! マイ・マスターは極武級ですよ!!」
「あ、そうだった!? ぉぉ、まさかのドラゴンかよ。ま、そうそう出会うわけでも無いし、心配いらないだろう」
『流様……あなたって人は……』
「へ?」

 美琴の冷めた一言。その直後だった、向かっている中央の島の山頂から、威嚇するような雄叫びが聞こえる。
 どうやら流の気配に気がついたのか、野生の感で生物としての驚異を排除する覚悟が伝わる轟声が響く。

「うわぁ……俺、立てちゃった?」
『ソレ意外ナニガ? さぁ、フラグがやってきますよ』
「ちょ、ナガレ!? どうするのよ!!」
「ナガレ、頼むぞホント」
「小僧、お嬢様に何かあったら許さんぞ!!」
「……俺が悪いんですね、ハイ。泣きそう」
「ケロケロ!! アイツだケロ、人間さんやっつけてケロ!!」
「ガンバリマス」

 頂上から飛び上がる十五メートルほどの巨体。その姿は焦げ茶色をした、いかにもなドラゴンであった。
 黄色の目はギョロリと見開き流を凝視する。そのデップリとした腹は白く、黒い斑点が所々にあり、肌はゴツゴツと岩のようであった。
 だが羽は意外と繊細で、コウモリの羽のような色艶であり、先端から手が見える。
 形状はプテラノドンのような、翼竜のものだなと流は思う。
 ただ凶悪な牙と、異常に発達した足の爪が恐ろしい見た目だが。

「あれ、なんてドラゴンなんだ?」
「多分エッジドラゴンってヤツだと思うんだけど、ルーセント知ってる?」
「そうですな、エッジドラゴンですわい。普通この状況で出会ったら、死を覚悟するのですがな……」

 ルーセントは流をジロリと睨むと、フンと鼻を鳴らし話を続ける。

「あのドラゴンは、ランク的には下位に属する。トリプルの冒険者が、百人で討伐出来れば御の字だろう。竜滅級なら二部隊で余裕。エド達ならあのままでもイケようか」
「おいおい、結構ヤバイじゃないの。ブレスとか吐いちゃう?」
「ワシが出会ったことがあるエッジドラゴンは吐かなかったが、コイツは知らん」
「まったく、不確定な情報でマイ・マスターを困らせないでください。あれはブレスは吐きませんが、爪でびゃ~ってします!! それはもう、びゃ~って!!」
「お前の情報も大概だぞ? って来たか」
「総員防御態勢!! エルヴィスは私の後ろへ隠れて!」

 セリアの号令で各自防御態勢を取り、魔力で防御専用に剣の強度を増す。
 流はワン太郎を頭に乗せると、櫓の上に登りエッジドラゴンの襲来を待つ。
 それを挑戦と受け取ったのか、エッジドラゴンは異様に発達した足の鉤爪で流に襲いかかる。
 美琴を抜刀し、一気にケリをつけようと妖力を込めて顔の真横に構えた。
 
 エッジドラゴンは、動かないマトである流へとその鋭く大きい爪で容赦なく掴みかかる。
 その爪はよほど自信があるのか、鋭く、とても固く見える。

「しつけのなってない獣は嫌いだね――ジジイ流・刺突術しとつじゅつ! 間欠穿かんけつせん!!」

 流の放った間欠穿は鋭く大気を突き抜けながら、エッジドラゴンの足の爪へとぶち当たる。
 次の瞬間〝ガゴギッ〟と言う、岩が壊れるような音がした後、突如エッジドラゴンは驚きの行動に出る。それは――。

「なッ!? 爪を飛ばした!?」

 真っ直ぐ流を掴むのかと思いきや、その勢いのまま飛来し「爪だけを飛ばし」上空へと飛び去る。
 その様子に一同は驚愕し、Lは苦々しく空を睨む。そして一言「不遜……」とつぶやく。

「Lいい、俺がやる!」
「し、しかしマイ・マスター!! あの無礼なクズは許せません!!」
「あんなのすら倒せないようでは、俺の力もたかが知れている。今後のためにいい経験かせぎだ、だからおとなしくしとけ」
「くッ、マイ・マスターがそう仰るなら、ここはドゴスチンの谷より飛び降りた気持ちで我慢します」

 流はそれに頷くと、ドゴスチンってどこだ? と思いながらもエッジドラゴンが旋回して戻ってくるのを睨みつける。
 見れば飛ばした爪が生え戻りつつあり、どうやら魔法で治癒しているようだ。

「おい爺さん、あんな事も出来るなんて聞いてないぞ?」
「お前の爺さんじゃないわ! ワシも初めての事で驚いているわい。普通あんな攻撃はせなんだが……ッ、まさか上位種か!?」
「そうですよ、あれは上位種。エッジ・エッジドラゴンです。ちなみに爪は毒を持っています」
「安易なネーミングと、情報の小出し……L、あとでお仕置きな?」
「はぅぅぅ!? なんたる至福!!」
『ご褒美あたえてどうするんですか』
「え、俺が悪いの!? さてHENTAIはおいといて、どうするか……」

 流は上空を旋回しているエッジ・エッジドラゴンを見て、今後の戦術を練るのだった。
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