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厄災というナニカ
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一気に燃え上がる炎。ノドを塞ぐ熱風。髪を散らす灼熱。皮膚を焦がす業火。それらが一気に押し寄せ視界が紅蓮一色に染まる。
もうダメ。このまま死んじゃう……そう、思った時だった。
まばゆい光を落とす太陽を、一筋の黒い影が横切ったように感じた次の瞬間。
「――レイヤード・ファルサード・シ・スク・ハンセ・ドルク・シルク……氷神の一柱よ、我が名にもとにその力を存分に振るうがよい! 業火よ、焦げ付きながら荒ぶり凍り付け! 大氷結魔法! ジ・クォリタス!!」
突如上空に氷の魔神が現れ、それが五体に分身したと同時に、大気が水滴になり、さらに凍りつく。
そのまま高音をはなつ振動と共に、無数の氷の槍がふりそそぎ、業火へと突き刺さった瞬間、驚くことに炎が凍りついた。
何が起きたのか誰もわからない。誰も理解できない。
だがただ一人、この現象を起こした者だけが理解をしていた。
その人物は、黒く驚くほど大きな帽子をかぶり、肌の露出度が高い黒いローブを小粋に羽織る美女が、そのまま空からほうきに横座りになって降りてくる。
そして私の前へと来て指を鳴らした瞬間、四肢の拘束が吹き飛び、私が驚く間もなく彼女は口を開く。
「お迎えに上がりました常闇の魔女殿下。さぁ、貴女を自由な空へと解き放ちましょう」
「な、何を言っているの? それにあなたは誰なの?」
するとニコリとほほえみ、彼女はこう言った。
「これは失礼を。私は厄災の魔女。貴方様の忠実なしもべにして、永久の従者」
そう言うと厄災の魔女は右手を差し出しこう告げた。
「世界は無限に広く、好奇心と探究心に満ちあふれている……そんな最高の物を味わえずに、貴女はここで惨めに焼け朽ちますか? それともこの手をとり、共に星の大海へと征きますか?」
その問に無意識に右手を伸ばした瞬間、王族専用の席から金切り声でコレットが叫ぶ。
(あの女は厄災の魔女!? どうしてあの女がお姉さまを助けにきたのよ!! こ、このままではマズイッ!!)
「魔法師は何をしている!! 厄災の魔女もろとも早く焼き殺すですわ!!」
「ッ!? ハッ! 全部隊最大火力で魔女共を焼き殺せ!!」
急速に練り上がる魔力。その力にゾっとするが、厄災の魔女さんは左まゆをあげながら、「やれやれ無粋ね」と苦笑い。
「さ、魔女殿下。決めるのは貴女様です」
いまだ手を差し出したままの厄災の魔女さん。
こんなときだけど、その差し出された右手に強く惹かれ、心が弾む不思議な気持ちが心臓から体を駆けめぐる。
だから迷いなんてものは無く、力強く「はい!!」と頷き手を取る。
▷▷▷▷▷▷完結まで残り――2話
もうダメ。このまま死んじゃう……そう、思った時だった。
まばゆい光を落とす太陽を、一筋の黒い影が横切ったように感じた次の瞬間。
「――レイヤード・ファルサード・シ・スク・ハンセ・ドルク・シルク……氷神の一柱よ、我が名にもとにその力を存分に振るうがよい! 業火よ、焦げ付きながら荒ぶり凍り付け! 大氷結魔法! ジ・クォリタス!!」
突如上空に氷の魔神が現れ、それが五体に分身したと同時に、大気が水滴になり、さらに凍りつく。
そのまま高音をはなつ振動と共に、無数の氷の槍がふりそそぎ、業火へと突き刺さった瞬間、驚くことに炎が凍りついた。
何が起きたのか誰もわからない。誰も理解できない。
だがただ一人、この現象を起こした者だけが理解をしていた。
その人物は、黒く驚くほど大きな帽子をかぶり、肌の露出度が高い黒いローブを小粋に羽織る美女が、そのまま空からほうきに横座りになって降りてくる。
そして私の前へと来て指を鳴らした瞬間、四肢の拘束が吹き飛び、私が驚く間もなく彼女は口を開く。
「お迎えに上がりました常闇の魔女殿下。さぁ、貴女を自由な空へと解き放ちましょう」
「な、何を言っているの? それにあなたは誰なの?」
するとニコリとほほえみ、彼女はこう言った。
「これは失礼を。私は厄災の魔女。貴方様の忠実なしもべにして、永久の従者」
そう言うと厄災の魔女は右手を差し出しこう告げた。
「世界は無限に広く、好奇心と探究心に満ちあふれている……そんな最高の物を味わえずに、貴女はここで惨めに焼け朽ちますか? それともこの手をとり、共に星の大海へと征きますか?」
その問に無意識に右手を伸ばした瞬間、王族専用の席から金切り声でコレットが叫ぶ。
(あの女は厄災の魔女!? どうしてあの女がお姉さまを助けにきたのよ!! こ、このままではマズイッ!!)
「魔法師は何をしている!! 厄災の魔女もろとも早く焼き殺すですわ!!」
「ッ!? ハッ! 全部隊最大火力で魔女共を焼き殺せ!!」
急速に練り上がる魔力。その力にゾっとするが、厄災の魔女さんは左まゆをあげながら、「やれやれ無粋ね」と苦笑い。
「さ、魔女殿下。決めるのは貴女様です」
いまだ手を差し出したままの厄災の魔女さん。
こんなときだけど、その差し出された右手に強く惹かれ、心が弾む不思議な気持ちが心臓から体を駆けめぐる。
だから迷いなんてものは無く、力強く「はい!!」と頷き手を取る。
▷▷▷▷▷▷完結まで残り――2話
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