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さらに絶望は加速する
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――後頭部に鈍い痛みを感じて目が覚める。
眩しい朝日。そう、いつも侍女が部屋のカーテンを開放してくれたと同じ明るさが、瞳を光で満たす。
「眩しい……そっか。あれは全て悪い夢だったんだよ。うん、いつもと同じ朝が――え?」
『『『ウオオオオオオ!! コ・ロ・セ!! コ・ロ・セ!!』』』
強烈な怒声とともに、すり鉢状の観客席一杯の民衆が私へ向けてコロセと叫ぶ。
驚き体をこわばらせようとするけど、十字にはりつけにされていて動けない。
その異常さに唖然とみつめていると、父上の姿が魔法で空中へと映し出された。
『静まれ。みなも聞き及んだ通り、これより常闇の魔女を火あぶりの刑に処す』
「そ、そんな待ってくださいお父様!!」
力の限り叫ぶ。でもそれも無駄なことだった。
民衆がそれを聞き、歓喜した声で私の声を塗りつぶしたのだから。
『みなの気持ち受け取った。これより刑を執行する。見届人は、この国に降臨せし真の大聖女たる、コレット・フォン・ローデックが見定める。さぁ大聖女コレット。お言葉を』
さらに空中に映像が投射され、足元より浮かび上がるのは私の双子の妹コレット。
目元より涙をおとし、胸の前で両手をくみながら苦しげに口を開く。
『みなさん聞いてください。姉上は王族を……いえ、あなた達民をあざむいていました』
瞬間、嘆きと怒声が会場に響き渡り、恐ろしい感情がうずまく。
『落ち着いてください。でも大丈夫です! ワタクシは女神様に選ばれました。そう、真の大聖女として、この国を闇堕ちした魔女から救うとここに宣言いたします!!』
『『『オオオオオオオオオ!! 聖女コレット万歳!!』』』
『ありがとう、ありがとうみなさん……その気持忘れません。ですから、まずはこの国の汚点にして常闇の魔女――エリーシア・フォン・ローデックを』
そのままコレットは涙を流し言葉を止める。
もしかしたら助かるかもしれない。そう思った矢先にあの娘は言葉を続けた。
『最大の業火で骨まで燃やし、灰までこの世から消し去ると誓います!!』
『『『ウオオオオオオオオオオオ!! コレット!! コレット!! コレット!! 聖女!! 大聖女!! 光の巫女!! コレット!! コレット!! コレット!!』』』
爆発する民衆。それを見渡しニチャリと顔を歪める貴族達。
もう助からない。そう悟ったと同時に、足元のわら束へと火の上級魔法が叩き込まれた。
▷▷▷▷▷▷完結まで残り――3話
21時頃から一気に更新します!!
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