【完結🍺釣り無双】異世界最強の島を釣り上げると、もふもふ+虐げられた聖女×お侍=SSSランクまでHITした結果が激ヤバだった件

竹本蘭乃

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055:三つ巴

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 宰相のオルドの楽しみの一つ。
 それは庭園のバラを見ながらの赤茶を楽しむ時間である。
 だからこそ、よほどの事がない限りは邪魔をすることは許されないのは周知であった。

 そこへやってきた知らせは、事の重要さを物語る。

「お楽しみの所、失礼します」
「……それほどか?」
「ハ。皇女殿下の部隊につけておりました影ですが、消息を絶ちました」
「影が消えた? ほぉ……すると私の手のものだと気がついたか。隊長は誰だ?」
「ハーロックという、腕は確かですが性格がならず者との評価の男です」

「ふむ。ただのならず者というワケではなさそうだな。して、そのハーロックはどうしている?」
「皇女殿下へ伝書魔法を送った後、出奔しゅっぽんしたそうです」
「内容は?」
「聖女の最後を詳細に伝えたとの事。〝聖女殿下はオレや貴女と違い、実に堂々と最後を迎えた〟……そう記されていたようです」

 その報告を受け、オルドは快活に笑う。

「傑作だな。その男、是非とも配下に迎い入れたいものだ」
「……いかが致しましょう?」
「なびけば我もとへ。あらがえば……」

 そうオルドはそう言いながら、大輪のバラの花の首を落とす。

「委細承知致しました」

 一陣の風と共に、オルドの背後に居たおぼろげな影は消え去る。
 テーブルに置いたティーカップを持ち、香りを楽しみつつ一口。

「実によきフレーバーだ。そう、この帝国も私の好みに香りになりつつある。もうすぐだ、もうすぐ熟れた果実を収穫できよう」

 そう言いながらオルドはエリザベートの元へと向かう。
 今頃は彼女の部屋は足の踏み場もないほどに、八つ当たりの象徴で満ちているだろう。
 
「馬鹿どもめが。おかげで邪魔な聖女も消え去り、後はこのオルドが……」

 裏の皇帝とまで言われた、稀代の悪党――オルド・フォン・ドックスは、口角を上げながら静かにバラ園を後にした。


 ◇◇◇


「フザケルナ!! 何が、どこが、ワタクシがあの泥棒アリシアに劣るというのですか?!」

 部屋の前まで来ると、案の定な様子に左眉を上げながらわらう。
 呆れながらもドアをノックすると、「取り込み中よ!!」と返事があったが、構わず入室した。

「おお……なんと言うことでしょうか。聞きましたぞエリザベート様。このしんも、あのようなゲスの戯言に心を痛めておりまする」

 それで気を良くしたのか、エリザベートは怒りを沈めつつ早口で話す。

「そう、そうですわオルド! 今スグにあのような、ゲスな伝書魔法を送り付けた者の首をハネなさい!!」
「承知致しました姫殿下。それともう一つ……聖石はどうなりましたかな?」

 その言葉でハっとしたようで、エリザベートは自身の胸に手を当てた。

「……感じませんわね。伝え聞いた話ですと、聖石の所有者が変われば、胸の中が焼けるように熱いと聞いた事があります」
「さもありましょう。それが無いとなれば……」
「まさか……まさかあの泥棒アリシアが生きているというのですか?!」

 エリザベートが激怒したと同時に、ドアが激しくノックされた。
 このような乱暴な事をするのは、この城の中に一人しかないだろう。
 その者もまた、部屋の主に断りもなく入ってきた。

「聞いたぞエリザベート! 不埒者ふらちもののそっ首、今スグ叩き落とそうぞ!!」
「おぉ……兄上様。よくぞこのエリザベートの心を……ありがとうございます、その思いかならず形にいたしましょう」

 うるわしき兄妹愛に、嗤いがこみ上げるのを必死に我慢したオルドは、とてもいい笑顔で話す。

「なんとも美しき兄妹愛でございますなぁ……して、皇太子殿下。わざわざお越しになったと言うことは、何かございましたかな?」

 図星を付かれ「ぬッ」と一言漏らした後、ヴァルマークは左顔をさする。
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