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067:黄昏れ聖女と主を失った船
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「これだから無知な小娘には呆れるわね。いい? その石は鉄鋼錬石と言って、刃物や鎧を作る時に、粉にして混ぜ込めば強度が跳ね上がるわ。しかもここの鉄鋼錬石の純度は高い。価格は倍……いえ、数倍はするでしょうね」
数度見比べて、思わず「ええ!?」と叫んでしまう。
「まぁそういう訳よ。他にも気に事もあるけれど、今日はもう眠いから寝るわ。起こさないでちょうだいね。じゃぁねぇ~」
そう言うと司書さんは神殿と共に消え去ってしまう。
あとに残ったのは、鉄鋼錬石と、海傘草……ウソでしょう、信じられない。
「どうしよう……。でもとりあえず、海傘草を取って陰干ししとこうかな」
そっと大事に拾い上げ、聖女の力を封印しながらエマージェちゃんの所へと戻る。
「ぴよぴよぴよぴよ」
「ふふ。まだ鳥さんだね」
楽しげな声を奏でるエマージェちゃんによりかかりながら、海の向こうを見て時をわすれて黄昏れながら、これからどうしようと考えていた。
◇◇◇
◇
「……どう思います?」
茂みの中からそう声がする。
それに木の裏から黒いローブの男が低い声で答えた。
「わからん、が。この石は俺も知っている。コイツは間違いなく鉄鋼錬石と見て間違いないだろう。しかもあの司書とかいう奴がが言う通り極上ものだ」
「すると隊長。こうなれば話も変わってきましたね」
「あぁ……ひとまず聖女の暗殺は保留だ。一時イグザムへと戻り、宰相閣下に指示を仰ぐ。二人残って動向を見張れ」
「「ハッ」」
不気味で巨大なヒヨコといるアリシアを見ながら、右手に持った聖石を見つめる。
「まさか神聖力を封印していたとはな、どうりで大雑把な位置しか掴めなかったわけだ」
「小娘に遊ばれましたな」
「まぁそれもここまでよ。お陰で有用すぎる情報も得た……戻るぞ」
黒い影は二手に分かれて行動を開始する。
一つはそのまま影に潜み、一つは森を走り抜けた。
森を抜けた影が海岸へと付くと、一艘の漁船があった。
が、その主はおらず、その船のヘリには少し前に血糊がベトリと付着した後が見える。
その不気味な船に乗り込むと、男――密偵の隊長は船を動かし、ベストパーレの領都・イグザムへと舵をきった。
「面白い。これは確実に世界が動き、この島が争いの中心になる」
そうつぶやくと、また隊長は無口になるが船はひた走る。
主がいなくなった事に涙を流すように、白い航跡を引きながら……。
――同日夜。領都イグザムにある宿屋の一室。
入り口に一人を配し、部屋の中で隊長が一人の貴族へと話していた。
しかしこの貴族の男、何か様子がおかしい。
それと言うのも姿がおぼろげであり、時折歪んだりして見えた。
その貴族の男へ隊長は宰相閣下と呼び、丁寧に話す。
『ほぉ……それは真なのか? 冗談では済まされぬ内容ぞ?』
「はい宰相閣下。この目でしかと確認しております」
『して証拠の品は、当然持ってきておるのだろうな?』
「無論です、こちらに……」
テーブルの上に置いてあった袋を取ると、そこへ赤い石を並べていく。
その様子を見た宰相のオルドは、「ほおおお!!」と実に興味深げである。
『それは間違いなく鉄鋼錬石と見て間違いあるまい。それが大量にあると?』
「はい。埋蔵量は想像すら出来ませぬ」
『それほどか……』
「それともう一つ、こちらをご覧ください」
隊長は全長三十センチほどの珍しい草を取り出す。
丁寧に葉っぱを開き、それをオルドへと見せたが、これには反応が薄い。
『ふむ。その草がどうしたのだ?』
「はっ……それがにわかには信じられぬ事なのですが、この草がエクスポーションの材料だと言うのです」
説明が理解出来なかったのか、オルドは『はぁ?』とマヌケな声を上げてから、隊長へとキツク話す。
数度見比べて、思わず「ええ!?」と叫んでしまう。
「まぁそういう訳よ。他にも気に事もあるけれど、今日はもう眠いから寝るわ。起こさないでちょうだいね。じゃぁねぇ~」
そう言うと司書さんは神殿と共に消え去ってしまう。
あとに残ったのは、鉄鋼錬石と、海傘草……ウソでしょう、信じられない。
「どうしよう……。でもとりあえず、海傘草を取って陰干ししとこうかな」
そっと大事に拾い上げ、聖女の力を封印しながらエマージェちゃんの所へと戻る。
「ぴよぴよぴよぴよ」
「ふふ。まだ鳥さんだね」
楽しげな声を奏でるエマージェちゃんによりかかりながら、海の向こうを見て時をわすれて黄昏れながら、これからどうしようと考えていた。
◇◇◇
◇
「……どう思います?」
茂みの中からそう声がする。
それに木の裏から黒いローブの男が低い声で答えた。
「わからん、が。この石は俺も知っている。コイツは間違いなく鉄鋼錬石と見て間違いないだろう。しかもあの司書とかいう奴がが言う通り極上ものだ」
「すると隊長。こうなれば話も変わってきましたね」
「あぁ……ひとまず聖女の暗殺は保留だ。一時イグザムへと戻り、宰相閣下に指示を仰ぐ。二人残って動向を見張れ」
「「ハッ」」
不気味で巨大なヒヨコといるアリシアを見ながら、右手に持った聖石を見つめる。
「まさか神聖力を封印していたとはな、どうりで大雑把な位置しか掴めなかったわけだ」
「小娘に遊ばれましたな」
「まぁそれもここまでよ。お陰で有用すぎる情報も得た……戻るぞ」
黒い影は二手に分かれて行動を開始する。
一つはそのまま影に潜み、一つは森を走り抜けた。
森を抜けた影が海岸へと付くと、一艘の漁船があった。
が、その主はおらず、その船のヘリには少し前に血糊がベトリと付着した後が見える。
その不気味な船に乗り込むと、男――密偵の隊長は船を動かし、ベストパーレの領都・イグザムへと舵をきった。
「面白い。これは確実に世界が動き、この島が争いの中心になる」
そうつぶやくと、また隊長は無口になるが船はひた走る。
主がいなくなった事に涙を流すように、白い航跡を引きながら……。
――同日夜。領都イグザムにある宿屋の一室。
入り口に一人を配し、部屋の中で隊長が一人の貴族へと話していた。
しかしこの貴族の男、何か様子がおかしい。
それと言うのも姿がおぼろげであり、時折歪んだりして見えた。
その貴族の男へ隊長は宰相閣下と呼び、丁寧に話す。
『ほぉ……それは真なのか? 冗談では済まされぬ内容ぞ?』
「はい宰相閣下。この目でしかと確認しております」
『して証拠の品は、当然持ってきておるのだろうな?』
「無論です、こちらに……」
テーブルの上に置いてあった袋を取ると、そこへ赤い石を並べていく。
その様子を見た宰相のオルドは、「ほおおお!!」と実に興味深げである。
『それは間違いなく鉄鋼錬石と見て間違いあるまい。それが大量にあると?』
「はい。埋蔵量は想像すら出来ませぬ」
『それほどか……』
「それともう一つ、こちらをご覧ください」
隊長は全長三十センチほどの珍しい草を取り出す。
丁寧に葉っぱを開き、それをオルドへと見せたが、これには反応が薄い。
『ふむ。その草がどうしたのだ?』
「はっ……それがにわかには信じられぬ事なのですが、この草がエクスポーションの材料だと言うのです」
説明が理解出来なかったのか、オルドは『はぁ?』とマヌケな声を上げてから、隊長へとキツク話す。
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