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085:砲撃の雨と見下げられた男
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◇
――戦艦ヴァドズの甲板上。そこにヤマトと、わん太郎たちがいた。
「チィ、こいつら今までとは違うぞ。魔法も剣も普通じゃない!」
『主よ、この兵士達は練度が高い様子。ならばもう遠慮はいりませぬぞ?』
「……わかった。わん太郎はまた船を凍らせられるか?」
「んぁ~今はもう無理だワンよ~。あれは妖気をいっぱい使うからして」
「OK、じゃあさっき見たく二人(?)で突っ込んでくれ」
「まっかせるんだワン!!」
「ぴょむ!!」
わん太郎はエマージェの頭に乗ると、全面に氷の鎧を作り出す。
と、同時にエマージェは全速力で走ると、船室へ突っ込んでいく。
無論それを阻もうとした兵士は、漫画みたく吹き飛んでいくのがシュールだが、まぁ骨折程度で終わってほしいものだ。
『ッ!? 主、敵の旗艦より砲撃多数!』
「また性懲りもなく撃って来やがったのかよ! 自分たちの味方だろ、こいつら!?」
阿鼻叫喚とはこの事か。
またしても先程と同じように、船が爆ぜ、燃え、四散する。
だが練度が違うのか、ここの兵士はパニックにならず、襲いかかってくる。アホカ!
「ええい面倒だ! 相棒ゴッド・ルアーの回収を任せる!」
『まさか切り離すおつもりで!?』
「そのまさかだよ! セアッ!!」
魔釣力を最大に込めて、黄金のルアーを飛ばす。
と、同時に〝真・人釣一体〟といえるスキルで、最大にまで広げた空間認識能力を発動。
と同時にすべての動きが情報となり、頭へと流れ込み、情報量の多さに一瞬めまいがする。
しかしそこで見つける、点と点。
それが線となり、そこへゴッド・ルアーを通すイメージが出来上がる。
「そのまま喰い破れゴッド・ルアー!!」
生々しい赤目を激しく上下させ、砲弾のコアを貫通しながら別の砲弾へと向かい、それも貫通させてさらに向かう。
やがて俺の周辺に降るやつは全て排除した後、思い切り相棒を振り上げて、背後から全面へとおもいきり振り抜く。
轟音と共に砲弾を数珠つなぎにした物を、旗艦へとブっ飛ばす!
七つほど連なった砲弾は、そのまま主砲へとぶち当たり、驚くほど鈍く破裂した金属音がした直後、爆発した炎の柱が複数あがった。
と、同時にルアーを切り離したことで、旗艦へと食いんだままになる。
「相棒!」
『御任せを!!』
相棒の力で釣り糸がゴッド・ルアーへと向かう。
まるで意思があると思える動きで即座にそこへたどり着くと、そのまま結束して一体となった感覚が戻る。
「よっしゃ! このまま乗り込むぞ!! わん太郎、エマージェ行くぞ!!」
「わかったんだワ~ン」
「ぴょりり~」
ゴッド・ルアーを思い切り巻取る。すると向こうの柱に刺さったルアーは、俺の体を強烈に引っ張る。
その反動でまるで空を飛ぶみたいに、最後の巨大軍艦へと乗り込むことに成功した。
先程の砲撃返しで混乱の戦艦のメインマストの上から、多分この戦艦の主――アリシアのクソ兄貴を見下ろす。
奴は一際華美な玉座に座り、俺の顔を見た瞬間、青ざめて吠える。
「な……なんだアレは? 見間違いではなく、やはりただのガキではないか!? キサマ降りてまいれ! オレを見下ろすだなど、万死に値するぞ!!」
吠えるクソ野郎。そして見つけてしまう、痛々しい姿のアリシアを。
思わず目に力が入り、その姿を凝視する。
それに気がついたのか、クソ野郎は口角を上げ「ハッ、なんだキサマ。この女が欲しいのか? アン?」と言いながら、アリシアの美しい魚鱗へと足を乗せた。
「……俺は四十数年生きてきた。色々なやつがいた。元の世界にも奪うヤツはいた。こそ泥なんてのはまだマシな部類だ。でもいるんだよ……どうしようもねぇヤツがな。身勝手な考えと思い込みで、人の命を軽く奪うやつまで色々な……」
手に持つ相棒を勢いよく振り抜き、ヤツの顔がひきつるのを見ながら続ける。
「だがな。だがしかしな……人の尊厳をここまで奪うクソ野郎は見たことがねぇ!! アリシアが何をした!? 聖女としてこの国ために身を粉にして尽くしてきたろうがッ!!」
瞬間、相棒――ワーレン・シャール・ロッドマンが輝き出す。
ただの木の棒だったものに無数のヒビが入り始めた。
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