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第二章 チーム『オリーブの芽』の躍進
戦争にはならないと信じていたのに
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この世界の医療技術は、かなり独自の進歩を遂げている。地球の現代医療とは違い、CT、MRI等の診断装置もなければ、外科手術等もないが、医療の妖精を使って、身体のどこが悪いのかを診断し、妖精や小さい虫を操って、外科手術と同等の治療を施す。
虫使いや、妖精使いは、医師の様に、尊敬される高給取りのエリートで、治癒魔法を使う魔法師は、看護士程度の扱いとなる。
治療費もかなりの高額になるので、庶民はかなりの重症でない限り、治癒舎には行けないが、切断された腕をくっつけたりもでき、大抵の怪我は、治療することができる。
重態のミラとリットは、治癒魔法を掛け続けていたお蔭で、診断の結果、これなら元通りに戻ると言ってもらえたが、比較的軽度と思っていたケントは、脳内血腫ができていて、もう少し搬送が遅れていたら、脳が壊死して危なかったと言われた。
それでも、全員順調に回復に向かい、二週間ほどして、ケントとミラの二人が退舎(退院)となり、メグが迎えに行き、三人で『オリーブの芽』邸に帰ってきた。
言い忘れていたが、先月、リットが、もっと大きい家を買うと言い出したのを機に、四人でお金を出し合って、元貴族の庭付きの広い豪邸を、現金購入した。
メグとミラは、家事をしたくないため、ずっと宿屋生活をしていたが、家事はリットの祖母がしてくれるという話だったので、全員で一緒に住むことに決まった。
ケントもアパートを引き払って、今は全員で、その豪邸で生活している。
リットの家族、妹エマ、祖母ソフィア以外に、使用人の二人も、一緒に生活している。
これだけ大きな豪邸だと、ソフィア一人に家事をさせるわけにはいかないと、家政婦を募集したら、アパという女性が応募してきて、彼女が有能な執事は必要ありませんかと、旦那を売り込んできた。旦那のルーカスは、会計士資格も保有している有能な人だったので、執事兼会計士として雇う事にし、豪邸管理を全て任せている。
そんな訳で、八人で生活しているが、それでも空き部屋が多数あり、研究室や、トレーニングルーム、書庫等を順次、造っていく予定だ。
「お帰りなさいませ」
アパとルーカスが、メグ、ミラ、ケントの三人にお辞儀して出迎えた。
そこに、十二歳になる可愛いエマが駆けつけて、ケントに抱き着いた。
エマは、ケントの事が大好きなのだ。
「お兄ちゃんは、まだ退院できないの?」
「あと五日で退院できるよ。それまで、エマと遊んでやってくれと頼まれた」
「リットが、面倒ばかりかけて、すまないね」
ソフィアも現れて、メグ達にそう謝罪した。
認知症ではないのだが、事有るこどとに、同じ言葉で謝罪する。
「私こそ、彼を守り切れずに、申し訳ありませんでした」
その度に、メグも謝罪する羽目になる。
でも、皆、良い人ばかり。
「メグ様、お聞きになりましたか。ワイバーンの大群が飛来して、ナージ村が滅ぼされたらしいです」
ルーカスが、さっき聞いたばかりの噂話を教えてくれた
ナージ村といえば、ミラの精神安定剤を提供してくる薬師が済んでいる村。その村が滅んだとすると、大問題。
退院したばかりの二人には、内緒にして、メグ一人で、その噂の真偽を確かめに、ナージ村に出かけることにした。
その噂は、本当だった。ナージ村の町は、ほとんど燃え尽き、廃墟となっていて、国王軍が、前線基地をそこに構えていた。
その隊長に話を訊くと、十体程のワイバーンが飛来したそうだが、軍が到着した時は、既に村は壊滅していて、ワイバーンの姿はなかったのだそう。だが、いつロンブル帝国が攻め入って来るか分からないので、ここに防衛基地を建設する予定でいると、教えてくれた。
村人の生死を訊くと、二十人程、生き残っていて、王都の治癒舎に搬送されたという話だった。
薬師の老婆がその中にいるかについては、知らないが、老婆はいなかったと思うと言われてしまった。
急いで、王都に戻ろうと思ったが、もしやと思い、老婆のいた家に出向くと、その家は健在で、老婆もちゃんと生きていた。
ナージ村から、離れていたので、襲撃を受けなかったらしい。
「また、来たか。でも、これからは一本ずつしか、売ってやらん。生活物資の入手が困難になったからな。これからは、この物資と物々交換じゃ」
一万クルーゼ相当の食糧や、生活用品のリストを渡されてしまった。
村が滅びたんだから、王都に引っ越せばと提案してみたが、ここでしか手に入らない薬草があるので、ここから離れるわけにはいかないと言われてしまった。
これからは、遠征の度に、ここに足を運ばなくけてはならなくなったが、やむをえない。
帰還すると、リットが予定より一日早く退舎していて、「師匠、どうする気ですか」と訊かれた。
なんのことか分からず、話を訊くと、ロンブル帝国が、モーリー王国に宣戦布告し、冒険者ギルドにも傭兵募集の依頼が張り出されているのだとか。
王都は、戦争が起きると、大騒ぎになっているのだそう。
四人で相談したが、ミラ以外は、人間を殺す戦争はしたくないと反対し、最終的にメグの決定に従うと言ってくれたが、決められない。
冒険者ギルド長から、詳細な話を聞いてから決断を下すことにして、四人で冒険者ギルドに出向くことにした。
ギルド長によると、ロンブル帝国には、魔獣使いがいるらしく、大量のワイバーンを前線に配して、カーマン山脈を越えて侵攻してくるらしいとのこと。
一応、戦争である以上、敵兵と戦う事は覚悟してほしいが、冒険者の傭兵部隊は、ワイバーン討伐が主な仕事になる筈だと教えてくれた。
「傭兵参加した全員に、地下迷宮と同じ昇格ポイントを出すつもりでいる。だから、君たちには、ぜひ、傭兵として参加して欲しい」
ギルド長から、そう頼まれると、断ることもできず、ワイバーン討伐が主な仕事ならと、傭兵参加することに決めた。
ついに、戦争に巻き込まれてしまった『オリーブの芽』の四人だが、そこにはとんでもない落とし穴が待ち受けていることを、彼らは知らない。
果たして、彼らに待ち受けている運命は……。
それは、次章で語ることにして、この章は、これにて終わりにさせて頂きます。
虫使いや、妖精使いは、医師の様に、尊敬される高給取りのエリートで、治癒魔法を使う魔法師は、看護士程度の扱いとなる。
治療費もかなりの高額になるので、庶民はかなりの重症でない限り、治癒舎には行けないが、切断された腕をくっつけたりもでき、大抵の怪我は、治療することができる。
重態のミラとリットは、治癒魔法を掛け続けていたお蔭で、診断の結果、これなら元通りに戻ると言ってもらえたが、比較的軽度と思っていたケントは、脳内血腫ができていて、もう少し搬送が遅れていたら、脳が壊死して危なかったと言われた。
それでも、全員順調に回復に向かい、二週間ほどして、ケントとミラの二人が退舎(退院)となり、メグが迎えに行き、三人で『オリーブの芽』邸に帰ってきた。
言い忘れていたが、先月、リットが、もっと大きい家を買うと言い出したのを機に、四人でお金を出し合って、元貴族の庭付きの広い豪邸を、現金購入した。
メグとミラは、家事をしたくないため、ずっと宿屋生活をしていたが、家事はリットの祖母がしてくれるという話だったので、全員で一緒に住むことに決まった。
ケントもアパートを引き払って、今は全員で、その豪邸で生活している。
リットの家族、妹エマ、祖母ソフィア以外に、使用人の二人も、一緒に生活している。
これだけ大きな豪邸だと、ソフィア一人に家事をさせるわけにはいかないと、家政婦を募集したら、アパという女性が応募してきて、彼女が有能な執事は必要ありませんかと、旦那を売り込んできた。旦那のルーカスは、会計士資格も保有している有能な人だったので、執事兼会計士として雇う事にし、豪邸管理を全て任せている。
そんな訳で、八人で生活しているが、それでも空き部屋が多数あり、研究室や、トレーニングルーム、書庫等を順次、造っていく予定だ。
「お帰りなさいませ」
アパとルーカスが、メグ、ミラ、ケントの三人にお辞儀して出迎えた。
そこに、十二歳になる可愛いエマが駆けつけて、ケントに抱き着いた。
エマは、ケントの事が大好きなのだ。
「お兄ちゃんは、まだ退院できないの?」
「あと五日で退院できるよ。それまで、エマと遊んでやってくれと頼まれた」
「リットが、面倒ばかりかけて、すまないね」
ソフィアも現れて、メグ達にそう謝罪した。
認知症ではないのだが、事有るこどとに、同じ言葉で謝罪する。
「私こそ、彼を守り切れずに、申し訳ありませんでした」
その度に、メグも謝罪する羽目になる。
でも、皆、良い人ばかり。
「メグ様、お聞きになりましたか。ワイバーンの大群が飛来して、ナージ村が滅ぼされたらしいです」
ルーカスが、さっき聞いたばかりの噂話を教えてくれた
ナージ村といえば、ミラの精神安定剤を提供してくる薬師が済んでいる村。その村が滅んだとすると、大問題。
退院したばかりの二人には、内緒にして、メグ一人で、その噂の真偽を確かめに、ナージ村に出かけることにした。
その噂は、本当だった。ナージ村の町は、ほとんど燃え尽き、廃墟となっていて、国王軍が、前線基地をそこに構えていた。
その隊長に話を訊くと、十体程のワイバーンが飛来したそうだが、軍が到着した時は、既に村は壊滅していて、ワイバーンの姿はなかったのだそう。だが、いつロンブル帝国が攻め入って来るか分からないので、ここに防衛基地を建設する予定でいると、教えてくれた。
村人の生死を訊くと、二十人程、生き残っていて、王都の治癒舎に搬送されたという話だった。
薬師の老婆がその中にいるかについては、知らないが、老婆はいなかったと思うと言われてしまった。
急いで、王都に戻ろうと思ったが、もしやと思い、老婆のいた家に出向くと、その家は健在で、老婆もちゃんと生きていた。
ナージ村から、離れていたので、襲撃を受けなかったらしい。
「また、来たか。でも、これからは一本ずつしか、売ってやらん。生活物資の入手が困難になったからな。これからは、この物資と物々交換じゃ」
一万クルーゼ相当の食糧や、生活用品のリストを渡されてしまった。
村が滅びたんだから、王都に引っ越せばと提案してみたが、ここでしか手に入らない薬草があるので、ここから離れるわけにはいかないと言われてしまった。
これからは、遠征の度に、ここに足を運ばなくけてはならなくなったが、やむをえない。
帰還すると、リットが予定より一日早く退舎していて、「師匠、どうする気ですか」と訊かれた。
なんのことか分からず、話を訊くと、ロンブル帝国が、モーリー王国に宣戦布告し、冒険者ギルドにも傭兵募集の依頼が張り出されているのだとか。
王都は、戦争が起きると、大騒ぎになっているのだそう。
四人で相談したが、ミラ以外は、人間を殺す戦争はしたくないと反対し、最終的にメグの決定に従うと言ってくれたが、決められない。
冒険者ギルド長から、詳細な話を聞いてから決断を下すことにして、四人で冒険者ギルドに出向くことにした。
ギルド長によると、ロンブル帝国には、魔獣使いがいるらしく、大量のワイバーンを前線に配して、カーマン山脈を越えて侵攻してくるらしいとのこと。
一応、戦争である以上、敵兵と戦う事は覚悟してほしいが、冒険者の傭兵部隊は、ワイバーン討伐が主な仕事になる筈だと教えてくれた。
「傭兵参加した全員に、地下迷宮と同じ昇格ポイントを出すつもりでいる。だから、君たちには、ぜひ、傭兵として参加して欲しい」
ギルド長から、そう頼まれると、断ることもできず、ワイバーン討伐が主な仕事ならと、傭兵参加することに決めた。
ついに、戦争に巻き込まれてしまった『オリーブの芽』の四人だが、そこにはとんでもない落とし穴が待ち受けていることを、彼らは知らない。
果たして、彼らに待ち受けている運命は……。
それは、次章で語ることにして、この章は、これにて終わりにさせて頂きます。
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