私って何者なの

根鳥 泰造

文字の大きさ
41 / 56
第三章 裏切りと復讐の果て

聖剣が見つかったと言われても

しおりを挟む
 王都に戻ると、早速、王宮に出向き、ロンブル帝国の状況を報告したが、既にロンブル帝国の難民から、話は伝わっていた。
 同盟の必要性も、既に使者を送り、同盟締結に動いていると話。
 流石は一刻の王だけあって、大したものだと感心した。
「報告はそれだけか。なら、今度は予から、朗報じゃ。聖剣エクスカリバーの場所が、託宣により告げられた。魔物の森、地下迷宮四階層に、眠っておるそうじゃ。そちらで、その聖剣を見つけ出し、取り戻してきて欲しい。勇者マーガレット・ヴィダーよ。宜しく頼むぞ」
 場所がわかれば、勇者になると約束した手前、もう断る訳にはいかないが、よりによって、地下迷宮四階層とは、予想だにしなかった。
 魔人ベルゼブブが、守っていたのは、魔王を倒すことができる唯一の武器である聖剣エクスカリバーで、その聖剣を手に入れない限り、魔人ベルゼブブを倒すことはできないという矛盾に、メグは頭をなやまされることになった。

 王宮を出ると、三人はやる気満々に燃えていたが、どうやっても、今の力では、ベルゼブブを倒すことなんて、できない。
 メグは、ふとかつて勇者の一行だったジェットの事を思い出した。
 勇者も、とんでもなく素早い敵と戦ったことがある筈。打撃も魔法も当てられないのに、どういう風にして戦い、攻略したのかを、教えてもらおうと考えた。
 引退したと言っていたけど、この町のどこかにいるはず。
 メグは独りで冒険者ギルドに行き、彼の住所を訊くことにした。
 受付嬢は、ジェットの住まいも、もう一人の生き残りのミッシェルの家も知らなかったが、ミッシェルと仲が良かった冒険者の所在なら分かると、その住所を教えてもらった。
 その冒険者を訪ね、ミッシェルの家を教えてもらい、そのミッシェルからジェットの自宅を聞き出した。
 彼は、今、南の海岸沿いのリオットという港町で、隠居生活しているとの話で、日を改めて、その街を訪ねることにした。

 帰宅すると、六人が集まっていて、地下迷宮ボスに向けた作戦会議を始めていた。
「こんな時間まで、どこに行ってたんだ。遅いから作戦会議をはじめていたぞ」
「御免。地下迷宮に行くのは、少し待っていて。私、ちょっと急用があって、一週間程、家を開けなければならなくなったから」
「その急用って、なんだ」
 隠していても仕方がないので、もと勇者一行だったジェットから、勇者らがどのように強敵と戦っていたのかの話を聞きに、リオットに行くつもりたと話した。
 すると、リットが、僕も行きたいと言い出し、全員でリオットに行くことになってしまった。
 全員、勇者一行の戦い方から、より強くなるヒントを得ようとしているのは間違いないのだが、リオットは、平和で長閑なリゾート地なんだそう。ケントとミカ以外は、海を見たことすらないなく、海で泳いでみたいと、半ば観光気分だ。

 結局、ソフィアとエマも行くことになり、使用人二人を残して、馬車と馬とで、五日も掛けて、リオットの町に出かけて行った。

 到着したのは、午後三時頃だったが、港町で宿屋を確保すると、早速、ジェットの家を訪ねた。
 だが、お腹の大きな奥さんが小さな子供の手を引いて出てきて、魔物退治に出かけていて、留守だと言われてしまった。
 平和で、魔物なんて出ないと聞いていたので、事情をきいてみると、数日前、突然、巨大なタコの魔物が現れ、町は大騒ぎになっているのだそう。
 ジェットが、リーダーとなって、町の有志を集めて討伐隊を編成し、つい先ほど、その魔物討伐へとでかけていったのだそう。
 この時間から出かけていくという事は、昼間には出てこない夜行性の魔物ということらしいが、今、出たばかりなら、追いつくことができるかもしれない。
 そんな訳で、オリーブの芽も、ジェットら討伐隊に加勢すべく、港に急いだ。
 港に出向くと、丁度、討伐隊が八艘の漁船で出航していったところだった。
 船はまだあるが、操船できる村の漁師は全て出払っていて、あとを追えない。
 困っていると、旅館の女将が、隠居した漁師のお爺さんを説得してくれて、船を出してもらえることになった。
 
 ジェット達に追いついた時には、既に巨大タコの魔物との戦闘が始まっていた。魔物の反応からして、C級程度の弱い魔物だが、海での戦いなので、苦戦している。
 巧みに操船して、タコの足打撃を交わつつ、銛を打ち込んでいるが、何艘もの漁船が既に破壊されていて、救助活動もしなければならない。
「ミカ、行ける?」
「はい」
 船を走らせながら、照準を合わせるのは至難で、なんとか一発撃ちはしたが、やはり命中させることはできなかった。
 近寄ると、船が激しく揺れ始め、もうライフル射撃は困難になる。大ダメージを与えられるメグやコリンは、この海上戦闘では期待できない。
 しかたなく、魔法や銃弾を当てて徐々に体力を削る作戦にでたが、タコが反撃して、この船を叩き壊そうとしてきた。
 船長の巧みな操船で、なんとか交わしたが、そう何度も交わし続けられるとは思えない。
 ここは爆裂魔法を出して一気にかたをつけたいところだけど、他の船を巻き込んでしまうので、出すことはできない。
「電撃で行くよ。ケントはボーガンで仕留めて」
 因みに、今のケントの鉄矢は、以前のものとは違う。研磨した魔宝石を起爆弾として先端に取り付けてあり、バズーカライフルに匹敵する破壊力がある。
 先ずは落雷で感電させたが、タコが沈む時に、大きな波が起きて、放ったボーガンの矢は外れてしまった。
 夜の海なので、かがり火を焚いているとは言え、海中に潜られると、敵がどこにいるのか全く分からなくなる。
 探しているうちに、海中から足で船を攻撃してきて、また一艘、破壊されてしまった。
 たかがC級一体に、こんなに手古摺ることに思わなかった。

 タコが再び海上に頭(腹)をだすと、今度は雷球で動きを止め、同時に海面ごと凍らせた。直ぐに溶けてしまうが、三人で凍結を出しつづけて、海中に逃げられない様にして、その間に、ボーガンの矢や、銛、魔法を集中砲火して、かなり弱らせることに成功した。
 見えない海中からの攻撃は厄介だが、クールタイムの三分間、敵の攻撃を交わしつづけさえできれば、この攻撃の繰り返しで、必ず仕留められると確信した。
 でも、ミラは指を咥えて見ていられる性格ではない。
 二度目の感電、凍結攻撃を仕掛けている時、ミラは、無謀にも船から大ジャンプして、必殺の削岩ハンマーを放ったのだ。
 これで、あっさり、タコは塵となったが、メグはそのまま海に落下する。二十五キロものハンマーを持ったまま放さないので、そのまま海に沈んでいく。
 ケントや漁師が何人も飛び込み、なんとか救出できたが、もう少しでおぼれ死ぬところだった。

「まさか、オリーブの芽が観光にきてたとはな。ありがとよ」
「観光に来たんじゃありません。ジェットさんに会いに来たんです」
 事情を話し、陸に戻ったら、勇者の戦い方を教えてもらえることになった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...