六人の勇者と……

ha-tsu

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第十六話

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蓮、武、雪は近くの交番へ着くと、すぐに武が自衛官である事を明かしこの周辺の地図を見せて貰った。
「一ノ瀬って人の家どこなんだよ……本当にこの辺なのか?」
「でも僕と雪ちゃんはあの木の下で出会っているからココからそんなに遠くからは来てないはず。」
武と蓮が地図を見ながらそんな話をしていると、横から警察官が話しかけてきた。
「あー一ノ瀬さんの家はそこで探しても分からないよ、あの家の人はいま零木れいきさんって言う苗字だから……まぁ住んでる人は一ノ瀬さんだけど。」
その言葉を聞いた二人はすぐに家の場所を聞き向かった。
数十分走ると、すぐにその家へと着いた。
その家はお世辞にも人が住んでいるように見えなかった。
「蓮、一応チャイムあるけど押してみるか?」
武がチャイムを押す。
しばらくすると、中から一人のおばさんが出てきた。
おばさんは三人を見るなり、涙が込み上げてきた。
「あらあら、よくぞここまで来てくれましたね、さぁ中へ入って、話は中でしましょう。」
そう言うとおばさんは中へ入るよう誘導した。
家の中は外の外観と違いとても綺麗で広く見えた。
「うわーすっげえなぁ。」
武がそこまで言うと、蓮が武に肘で脇を突きながら睨む。
「分かってるよ、余計なこと言うな……だろ?」
蓮だけに聞こえる声で伝える。
「驚いたでしょ?外観はまるで人が住んでいるように見えないのに、中は全然違う家のようで……実際はそうなのよ。」
おばさんは笑いながら言った。
「この家の中はあの世界と繋がっているの、あなた達は私が一ノ瀬だと思ってココに来てくれたのだと思うけど……残念ながら私はその一ノ瀬の……勇者の力を継いではいなかったの。」
おばさんはゆっくりと今までの事を話し始めた。
「一ノ瀬の力を継いだのは本当に雪ちゃんなのよ、実は遠い昔にあちらの世界と一ノ瀬は一度だけ婚姻関係があったの、その時からたまにあちらに行った一ノ瀬の家系で力を持つ者が出るようになったの。」
そこまでおばさんが話し終わると蓮は一つ疑問に思った。
「おばさん、でもなぜ雪ちゃんは災いを呼ぶ者なんですか?おかしいですよね?勇者なのに。」
おばさんは少し言いにくそうに口を開く。
「……実はねその……婚姻関係があった相手が……災いの元……魔王だったのです。なのでその時からあちらの世界で勇者の力を持って生まれた子は、一ノ瀬の名を継ぐために一度この世界に来るようになりました、もしかすると自分の兄弟が災いを呼ぶ者として生まれ、倒さなければいけない運命になるからです。今回のような一人の中に勇者と災いを呼ぶ者が居るケースは初めてでした。」
武が頭の上にハテナを浮かべながら、質問する。
「でもよ、災いを呼ぶ者は呼ぶだけじゃないんか?呼んでからオレらで倒せば解決じゃね?」
「災いを呼ぶ者が呼ぶのは魔王なのです、そしてその者の体を使い復活するので、その時点で雪ちゃんそのものが魔王になってしまうのです。今も雪ちゃんの中にある魔王が出てこようと、だんだん獣の見た目に変わって来ているよ。」
おばさんはそう言うと雪のフードを取った、そこには雪の姿はもう欠片も残っていなかった。
「もうすぐ精霊の力も尽きると思う、そうすれば雪ちゃんは元には戻れなくなる。」
それを聞いた蓮はおばさんに詰め寄る。
「どうしたら雪ちゃんを助けられるんですか?僕が出来る事なら何でもします、何とか雪ちゃんを助けられないですか?」
おばさんはその言葉を聞いて少し考えながら答えた。
「助ける方法は一つある……けど。」
少し躊躇いながら言葉を続ける。
「真に雪ちゃんの事を大切に思う心を六つ集めなければならないのだよ。」
「六つ……それって勇者の数と一緒……」
蓮がそう言うと横から武が話しに入ってきた。
「簡単じゃねえか、オレら勇者で五人、おばさん合わせりゃ六人だぜ。」
武が言い終わると、蓮と武はおばさんを見た。
「私は雪ちゃんと同じ家系の者だからダメだよ、今まで雪ちゃんが会ってきた人の中で、雪ちゃんを大切に思ってくれる者じゃ無いとダメなんだ。」
蓮と武は、今まで雪と一緒に過ごした時の事を思い出しながら考える。
「あと一人……くそ!誰も思いつかねぇ、もっと一緒に旅してたら良かったぜ。」
二人は考えるも出てきたのは、獣人族と言うだけで辛い思いをしていた雪の事しか出てこなかった。
「あっ!あの人、ナッツ城の王子……あの人なら……って向こうの世界だから無理だ……」
蓮のその言葉を聞いておばさんは少し不安になりながらも、蓮に話しかける。
「もしかして城に捕まっていたのですか?雪ちゃんは獣人族ですからその王子は雪ちゃんを奴隷として大切にしていたという事ですか?」
「おばさんそれは違うぜ、ナッツ城に捕まっていたのは他の勇者で雪ちゃんはその城に住んでいる王子の凄く大切な存在だったと思うぜ、また会う約束もしてたしな。」
武が笑顔で答える。
「それなら問題は無いですね、では六人をこの家に連れて来て下さい、その間に私はすべき事をしています。」
蓮は一つ疑問に思いおばさんに質問した。
「おばさん、どうやってあっちの世界の人を連れてこればいいのです?召喚してもらうにもどうすればいいのか……」
おばさんは笑いながら答えた。
「大丈夫です、この家の中はあの世界と繋がっています、あの世界への扉があるのです。」
その言葉を聞き蓮は安心した。
「それじゃあ僕があっちの世界に行って説明して、王子を連れてくるよ。」
「……ちょっとまて!オレ蓮の家知らねーから他の奴らをココに連れてこれねーよ、オレがあっちの世界に行って必ず王子を連れてくる!蓮!!オレを信じてお前は他の奴らをココに連れてきてくれ。」
何時になく真剣な表情で武は蓮を見た。
「……分かったよ、武くんを信じてるよ、頼んだよ。」
「任せとけ!!」
そう一言いうと武はおばさんに行き方を聞き、異世界へと行った。
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