愛する家族を勇者パーティーに惨殺された少年、【最強の魔剣】と【七大魔人の仲間】を手に入れ、勇者パーティーと世界の全てにざまぁ復讐していく

ハーーナ殿下

文字の大きさ
21 / 39

第21話:今後の方針

しおりを挟む
《大賢者》レイチェル=ライザールの研究室から、寮に帰宅。

夕食を食べた後、オレの部屋で緊急の会議を開催する。
メンバーは《嫉妬しっとのレヴィ》と《怠惰たいだのベルフェ》の三人だ。

「……という訳で、あの《大賢者》はなかなか面白い趣味の持ち主だったぞ、レヴィ」

研究室に同行しなかったレヴィに、内容を伝えていく。

洗脳されていた研究生や、ホルマリン漬けの人型の魔族たち。
そして生きたまま解体されていたハーピーのメスのこと。包み隠さず報告する。

「つまりレイチェル=ライザールは、人族の中でも狂っている……ということですか?」
「ああ、そうだな。人族の中でも異質。魔界でも見ない狂気だな、ヤツは」

魔族には規則はないが、ある程度のモラルはある。
“無駄に同族殺しをしない”ことや“趣味のために殺戮を行わない”など、いつくかのモラルがあった。

欲望まみれで戦や、人殺しを行う人族とは、その部分は大きく違う。

「やっぱり、そうですよね。自分の趣味のために生きたまま解剖なんて、魔族だってそんな非道なことはしませんよ」

レヴィの指摘の通り、レイチェル=ライザールは尋常ではない精神構造の持ち主。

だが《嫉妬しっとのレヴィ》が相手を丸飲みするのも、同じような気がする。
まぁ、そこはあまり気にしないでおこう。

「ああ、そうだな。見ていてボクも気分が悪くなった」

ボクは勇者に対して、完全で残虐な復讐の執行者。
だが無益な殺戮や、不必要な殺人は行なわない。

なにより母さんの教えてきてくれた、人としての礼節や想いやりを大事にしている。
だからこそレイチェル=ライザールの研究室には、嫌悪感を抱いていたのだ。

「ベルフェはどう思った? 奴の研究室を見て?」

同席している《嫉妬しっとのレヴィ》の擬体に訊ねる。
中身は自室の本体に繋がっているから、会話をしても問題はない。

「私は特に何も感じませんでした。ですが、彼女の方法と手段は、あまり怠惰の美しさがありませんでしたね。私の研究方法や意義とは反します」

ベルフェは魔界随一の大魔導士。
怠惰な生活をするために、多くの物事を効率よく研究して身につけている。

だからこそ欲望のままに研究を行うレイチェル=ライザールに対して、あまり気分も良くないのだろう。

「ふむ。お前たちの考えは分かった。明日からは、またレイチェル=ライザールの調査を続行。奴のことを全て丸裸にしていくぞ」
「「はっ!」」

ボクの復讐は、相手のことを徹底的に調べてから行う。
相手が望むことを、最高の所まで持ち上げで。
そこから地の底に落ちしてから、最高の復讐のプレゼントなるのだ。



翌日からレイチェル=ライザールの本格的な調査が始まる。

彼女が授業を行う時は、気がつかれないように観察。
積極的に挙手をして、相手の反応を伺う。

同時に優秀な生徒として、ご機嫌取りも兼ねている。
ちなみにボクは学園の中でも成績は優れていた。

理由は《怠惰たいだのベルフェ》のお蔭。
《七大地獄《セブンス・ヘル》》での戦いとの時に、多くの魔導書を読破。
そのお陰で勇者学園程度の授業は、朝飯前になっていたのだ。

「…………」

一方でベルフェは授業中、一言も話さない。
なんの興味も無さそうに、レイチェル=ライザールの授業を受けている。
この男はマイペースすぎるので、あまり気にないでおく。

「うーん?」

あとレヴィは魔法の授業では、いつも頭を抱えていた。
彼女は七大魔人の中でも、魔術関係が不得意な方。

勇者学園の授業の中でも、剣術や接近戦の授業を得意としていた。
身体を動かす方が得意なのであろう。

「では、この問題を分かる者はいるか? まあ、お前ら程度の頭では、永久に理解できないと思うがな?」

「はい、先生! ボクが解いてみていいですか?」

「ライン一回生か。やってみろ。……ほう、正解だ。褒めてやろう」

そんな感じだから授業では、ボクだけが目立っていた。
あえて優等生を演じることで、レイチェル=ライザールへの好感度を上げている。

理由は相手の懐に飛び込むため。
ボクの勘が告げていたのだ。

――――この狂気の大賢者には、まだ更に隠して裏の顔はある……と。

放課後の研究室でも、ボクは優等生を演じていく。

だがレイチェル=ライザールの顔は、なかなか見つからなかった。
相手もさすが《大賢者》の称号を持つもの。



そんなある日、チャンスが訪れる。
クラスのホームルームでのことだった。

担任のバーナード=ナックルから、来週のイベントの説明がある。

「……以上が、《勇者杯ミナエル学園選抜戦》の概要だ。各自で準備をしておくように!」

説明があったのは学園内での、実戦形式の選抜テストについて。
簡単に説明すると一学年の中で、最強の一人を決める、という茶番だ。

(ほほう……優勝の副賞が、ソレなのか。これはチャンスだな)

だが優勝者に与えられる副賞を聞いて、ボクは思わず嬉しくなる。
レイチェル=ライザールの本質を知るチャンスだったのだ。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...