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第37話:反撃
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未知なる能力を使う危険な“女神の使徒”ダークスによって、ボクは窮地に陥っていた。
「それじゃ消えてちょうだい、ライン!」
攻撃魔法【漆黒地槍】を同時に四つ、ダークスは発動してきた。
漆黒の槍が豪雨のように襲いかかってくる。絶対に回避も防御もできない、全方位攻撃だ。
「母さん、ありがとう……」
だがボクは愛する母に感謝しながら、目を閉じて精神を集中。内なる魂の力を燃え上がせる。
「ふう……いくぞ!【全能力解放】!」
カッと目を見開き、全魂の力を解放。
《七大地獄》で入手した全能力を、瞬時に発動。
――――直後、ダークスの放った【漆黒地槍】が目の前に迫る。
シュ――――ン!
だが漆黒の槍が炸裂することはなかった。何事もなかったかのように、ボクの目の前で消滅したのだ。
「なっ……今のは⁉」
必殺の一撃を消滅させられ、ダークスは言葉を失う。奴が初めて見せる、動揺した表情だ。
「ライン……キサマ、今、いったい何を⁉」
今まで相手を上から見下してきた不遜なダークス。
だが今は違う。驚異的な力を見せたボクに、明らかに完所をむき出しにしてきた。
「はっはっは……まだ気がつかないのか、ダークス? キサマと同じトリックを発動させただけさ」
「『同じトリック』だって⁉ まさかオレ様の“この力”を気がついたのか⁉」
ダークスは更に動揺していた。
さて、そろそろ相手の種明かしの時間とするか。
「“女神の使徒”ダークス。キサマが先ほどから使っていたのは【暴食】の力……魔族の力だ!」
【暴食】は七大魔人の一人《暴食のベルゼ》だけが有する特殊能力。
効果として相手の攻撃をすべて吸収。そのまま自分の力としてコピーしてしまうのだ。
《七大地獄》で七大魔人《暴食のベルゼ》に挑んだ時、ボクもこの【暴食】にかなり苦しめられた。
何しろ攻撃すればするほど、《暴食のベルゼ》はボクの攻撃を食らいパワーアップしてくるのだ。
ボクが偶然見つけた攻略法がなければ、未だに《暴食のベルゼ》を倒せずにいたかもしれない。
そして《暴食のベルゼ》を倒したボクだからこそ気がついたのだ。
ダークスが防御に使っていたのは【暴食】の力だと。
(母さん、ありがとう……)
そして気がついた一番の理由は、母さんの存在。ボクが眠れない時に、いつも母さんが歌ってくれた歌詞に、ヒントがあったのだ。
……『女神様の使いの子には、偉大なる力あり。その力は鏡の力なり』という歌詞だ。
なぜ母さんが、この歌を歌ってくれたかは不明。
だが女神の使徒には“鏡の力”……能力をコピーする力があったのだ。
歌詞を思い出し瞬時に逆算。簡単な推理をしてダークスの能力を解明した。
あと《暴食のベルゼ》の使う【暴食】と、ダークスの発動が違うために、気がつくのが遅くなってしまった。
しかし相手のトリックさえ分かってしまえば、対処は可能なのだ。
「くっ……さすが、ラインだね。でも、【暴食】を見抜いただけでは、ボクを倒すことは出来ないよ! 【漆黒地槍】の他にも、オレ様は全ての術を同時に発動できるんだから!」
隠していた能力を見破られ、ダークスは必死になる。自分の強大な力を見せつけて、戦いの上を取ってこようとしていた。
「『オレ様は全ての術を同時に発動できる』……か。そのトリックも既に見破っている」
「な、なんだって……⁉」
「ダークス、キサマが魔界の術を同時に発動できるのは、《怠惰のベルフェ》の力だろ? あと他に《嫉妬のレヴィ》の力も要所で発動していたな」
「なっ⁉ ま、まさか、そこまで見抜いていたのか……⁉」
ダークスは第二地獄に潜入する時に、そして戦闘中も多くの特殊な能力を発動していた。
元の力とは少し違うが、全て七大魔人の力なのだ。
「さて結論から言い当ててやろう。キサマの能力の正体は『七大魔人の力をコピーした“女神の使徒”』だ!」
これはボクが見破った結論。
理論は分からないがダークスは女神の使徒でありながら、七大魔人の力を発動可能。
ただし魔族のように魔界の魔力ではなく、女神力を使い発動していた。だからボクも気がつくのが遅くなってしまったのだ。
「くっくっくっ……さすが、オレ様が見込んだ存在だよ。たしかにキミの言う通り、オレ様は七大魔人の力を使うことが出来る! だが見破ったところで、それがそうしたんだい? オレ様の優位は変わらないだろ⁉ 何故ならオレ様は七大魔人の能力と、“女神の使徒”の力を同時に使えるんだ! どうあがいてもキミには勝ち目はないんだよ、ライン!」
自分の隠していた全ての能力を見抜かれて、ダークスは逆切れをしてくる。先ほどまでのクールで余裕さはどこにもない。
まるで大声を出して恫喝してくる街の三下チンピラのようだ。
「ふん。ダークス、何を勘違いしている。『七大魔人の能力を使える』だと? その力を誰に貰ったか知らないが、キサマのその力は“ハリボテの劣化版”だということに、まだ気がつかないのか?」
「なっ……オレ様の力が劣化版だと⁉ どういう意味だ⁉」
「ふっ。ここまで説明しても、まだ分からないのか? それなら身をもって教えてやる。さぁ、括目せよ! これほそが本当の七大魔人の力……偉大なる魔界の力の結晶だ! いくぞ、【第七剣】!」
ボクは腰の剣を抜き、全ての力を解放。
先ほどまで何の変哲もなかった長剣が、一瞬で形を変える。
「な、な、なんだ……その禍々しい剣は? いや、剣なのか、それは⁉」
【第七剣】は剣でありながら剣の常識を超越した形状。
誰にも見せたことがない、この真なる姿を目にして、ダークスは後ろにたじろぐ。この魔界の結晶たる力に、恐怖を感じているのだ。
「さて、お仕置きの時間だ。覚悟はいいか、ダークス?」
「な、舐めるな、ライン! オレ様は“女神の使徒”の中でも最高位《天帝徒》ダークス様だぞぉお! キサマのような半魔とは、訳が違うんだぁああ!」
半狂乱になりながらダークスは突撃してくる。腰から神剣を抜き、ボクを斬り殺そうとしてきた。
「ふう……いくぞ……【全能力解放】……【第七剣・最終形態発動】!」
《七大地獄》で得た力と、最強の魔剣【第七剣】の全ての力を解放。
凄まじい魔力が発射されていく。
ズシャァアアアアアアアアア!
無謀にも突進してきたダークスを、魔力の斬撃で迎撃。
「うぎゃああああああああ!」
断末魔を上げながら、ダークスの全身は斬り裂かれていく。
「ど、どうして、【暴食】で吸収できないんだぁあ⁉」
死に至りながらダークスは、顔を歪めていた。
「ふっ。だから言っただろう。キサマの力は“ハリボテの劣化版”だと。魔族の力を舐めるな」
「ラ、ライン……キ、キサマ……」
――――ビュン!
直後、ダークスの肉体が消滅する。
【第七剣】の攻撃を受けて、魂まで消し飛んでしまったのだ。
「さて、少しやりすぎたかもしれないな?」
今の斬撃の衝撃波の影響で、第二地獄の時空が歪んでいた。
強力な結界が守られている地獄でさえ、この異常な破壊力。
地上で【第七剣】の力を使うのは、今後は気を付けた方がいいかもしれない。
「さて、後処理をするか……」
こうして危険な“女神の使徒”ダークスを倒すことに成功するのであった。
「それじゃ消えてちょうだい、ライン!」
攻撃魔法【漆黒地槍】を同時に四つ、ダークスは発動してきた。
漆黒の槍が豪雨のように襲いかかってくる。絶対に回避も防御もできない、全方位攻撃だ。
「母さん、ありがとう……」
だがボクは愛する母に感謝しながら、目を閉じて精神を集中。内なる魂の力を燃え上がせる。
「ふう……いくぞ!【全能力解放】!」
カッと目を見開き、全魂の力を解放。
《七大地獄》で入手した全能力を、瞬時に発動。
――――直後、ダークスの放った【漆黒地槍】が目の前に迫る。
シュ――――ン!
だが漆黒の槍が炸裂することはなかった。何事もなかったかのように、ボクの目の前で消滅したのだ。
「なっ……今のは⁉」
必殺の一撃を消滅させられ、ダークスは言葉を失う。奴が初めて見せる、動揺した表情だ。
「ライン……キサマ、今、いったい何を⁉」
今まで相手を上から見下してきた不遜なダークス。
だが今は違う。驚異的な力を見せたボクに、明らかに完所をむき出しにしてきた。
「はっはっは……まだ気がつかないのか、ダークス? キサマと同じトリックを発動させただけさ」
「『同じトリック』だって⁉ まさかオレ様の“この力”を気がついたのか⁉」
ダークスは更に動揺していた。
さて、そろそろ相手の種明かしの時間とするか。
「“女神の使徒”ダークス。キサマが先ほどから使っていたのは【暴食】の力……魔族の力だ!」
【暴食】は七大魔人の一人《暴食のベルゼ》だけが有する特殊能力。
効果として相手の攻撃をすべて吸収。そのまま自分の力としてコピーしてしまうのだ。
《七大地獄》で七大魔人《暴食のベルゼ》に挑んだ時、ボクもこの【暴食】にかなり苦しめられた。
何しろ攻撃すればするほど、《暴食のベルゼ》はボクの攻撃を食らいパワーアップしてくるのだ。
ボクが偶然見つけた攻略法がなければ、未だに《暴食のベルゼ》を倒せずにいたかもしれない。
そして《暴食のベルゼ》を倒したボクだからこそ気がついたのだ。
ダークスが防御に使っていたのは【暴食】の力だと。
(母さん、ありがとう……)
そして気がついた一番の理由は、母さんの存在。ボクが眠れない時に、いつも母さんが歌ってくれた歌詞に、ヒントがあったのだ。
……『女神様の使いの子には、偉大なる力あり。その力は鏡の力なり』という歌詞だ。
なぜ母さんが、この歌を歌ってくれたかは不明。
だが女神の使徒には“鏡の力”……能力をコピーする力があったのだ。
歌詞を思い出し瞬時に逆算。簡単な推理をしてダークスの能力を解明した。
あと《暴食のベルゼ》の使う【暴食】と、ダークスの発動が違うために、気がつくのが遅くなってしまった。
しかし相手のトリックさえ分かってしまえば、対処は可能なのだ。
「くっ……さすが、ラインだね。でも、【暴食】を見抜いただけでは、ボクを倒すことは出来ないよ! 【漆黒地槍】の他にも、オレ様は全ての術を同時に発動できるんだから!」
隠していた能力を見破られ、ダークスは必死になる。自分の強大な力を見せつけて、戦いの上を取ってこようとしていた。
「『オレ様は全ての術を同時に発動できる』……か。そのトリックも既に見破っている」
「な、なんだって……⁉」
「ダークス、キサマが魔界の術を同時に発動できるのは、《怠惰のベルフェ》の力だろ? あと他に《嫉妬のレヴィ》の力も要所で発動していたな」
「なっ⁉ ま、まさか、そこまで見抜いていたのか……⁉」
ダークスは第二地獄に潜入する時に、そして戦闘中も多くの特殊な能力を発動していた。
元の力とは少し違うが、全て七大魔人の力なのだ。
「さて結論から言い当ててやろう。キサマの能力の正体は『七大魔人の力をコピーした“女神の使徒”』だ!」
これはボクが見破った結論。
理論は分からないがダークスは女神の使徒でありながら、七大魔人の力を発動可能。
ただし魔族のように魔界の魔力ではなく、女神力を使い発動していた。だからボクも気がつくのが遅くなってしまったのだ。
「くっくっくっ……さすが、オレ様が見込んだ存在だよ。たしかにキミの言う通り、オレ様は七大魔人の力を使うことが出来る! だが見破ったところで、それがそうしたんだい? オレ様の優位は変わらないだろ⁉ 何故ならオレ様は七大魔人の能力と、“女神の使徒”の力を同時に使えるんだ! どうあがいてもキミには勝ち目はないんだよ、ライン!」
自分の隠していた全ての能力を見抜かれて、ダークスは逆切れをしてくる。先ほどまでのクールで余裕さはどこにもない。
まるで大声を出して恫喝してくる街の三下チンピラのようだ。
「ふん。ダークス、何を勘違いしている。『七大魔人の能力を使える』だと? その力を誰に貰ったか知らないが、キサマのその力は“ハリボテの劣化版”だということに、まだ気がつかないのか?」
「なっ……オレ様の力が劣化版だと⁉ どういう意味だ⁉」
「ふっ。ここまで説明しても、まだ分からないのか? それなら身をもって教えてやる。さぁ、括目せよ! これほそが本当の七大魔人の力……偉大なる魔界の力の結晶だ! いくぞ、【第七剣】!」
ボクは腰の剣を抜き、全ての力を解放。
先ほどまで何の変哲もなかった長剣が、一瞬で形を変える。
「な、な、なんだ……その禍々しい剣は? いや、剣なのか、それは⁉」
【第七剣】は剣でありながら剣の常識を超越した形状。
誰にも見せたことがない、この真なる姿を目にして、ダークスは後ろにたじろぐ。この魔界の結晶たる力に、恐怖を感じているのだ。
「さて、お仕置きの時間だ。覚悟はいいか、ダークス?」
「な、舐めるな、ライン! オレ様は“女神の使徒”の中でも最高位《天帝徒》ダークス様だぞぉお! キサマのような半魔とは、訳が違うんだぁああ!」
半狂乱になりながらダークスは突撃してくる。腰から神剣を抜き、ボクを斬り殺そうとしてきた。
「ふう……いくぞ……【全能力解放】……【第七剣・最終形態発動】!」
《七大地獄》で得た力と、最強の魔剣【第七剣】の全ての力を解放。
凄まじい魔力が発射されていく。
ズシャァアアアアアアアアア!
無謀にも突進してきたダークスを、魔力の斬撃で迎撃。
「うぎゃああああああああ!」
断末魔を上げながら、ダークスの全身は斬り裂かれていく。
「ど、どうして、【暴食】で吸収できないんだぁあ⁉」
死に至りながらダークスは、顔を歪めていた。
「ふっ。だから言っただろう。キサマの力は“ハリボテの劣化版”だと。魔族の力を舐めるな」
「ラ、ライン……キ、キサマ……」
――――ビュン!
直後、ダークスの肉体が消滅する。
【第七剣】の攻撃を受けて、魂まで消し飛んでしまったのだ。
「さて、少しやりすぎたかもしれないな?」
今の斬撃の衝撃波の影響で、第二地獄の時空が歪んでいた。
強力な結界が守られている地獄でさえ、この異常な破壊力。
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