家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下

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第19話:城へ

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家出したボクは都市国家ダラクで、憧れの冒険者のなることが出来た。
隣街との交易ルートの足がかりを作り、の城壁の防衛の任務も完了。

そんなある日、騎士ハンスさんが冒険者ギルドに駆け込んできた。
昨夜、城に賊が侵入して、王族の人が危ない状態だという。



王家の人を助けるには、優れた聖魔法の使い手が必要だという。

「急いでいくぞ、ハリト君!」

「えっ? ボク……ですか?」

「もちろんだ、さぁ、私が同行するから、城に行きます!」

「早くしろ、ハリト! 人命救助だ!」

「は、はい!」

よく分からないけど、人命が危うい。
騎士ハンスさんとゼオンさんに連れられて、ボクも城に向かっていく。

街の中心部に向かうにつれて、段々と城が大きく見てきた。

「うわ……あれがダラク城か……大きいな」

街の中心部の丘の上に、ダラク城はある。
周囲を何重も城壁に囲まれて、かなり堅牢だ。
城壁の中には王宮や詰所などもあり、規模はかなり大きい。

そんな様子を見ながら、城の正門に到着。

「おい、止まれ!」

数人の番兵に止められる。
昨夜の賊の侵入で、かなり殺気だっている。

「あっ、これはハンス殿。失礼しました!」

だが、こちらの先導人は街の守備隊長のハンスさん。
番兵の態度から、ハンスさんは地位は高いのであろう。

「ハンス殿、後ろの方々は?」

「彼らは冒険者ギルドのメンバー。特務で城に中に案内する。これが許可証だ」

「はっ、失礼しました! どうぞ、お通りください!」

おお、無事に通過できた。
普通は一介の冒険者は、城には入ることは出来ない。

Sランク冒険者など、よほどの英雄クラスじゃないと、格式ある城には入れないのだ。

「こっちです。皆さん!」

ハンスさんの案内で、城の中を進んでいく。
正門を潜り、中庭を通り、また曲がって門をくぐっていく。

まるで迷路な行き方だ。

「ハリト、城は敵のあざむくために、ワザとこうした複雑な作りをしているんだ」

「あ、なるほどです、ゼオンさん」

またボクは顔に出ていたのであろう。
移動しながら、ゼオンさんが説明してくれた。

「この建物の中です!」

ハンスさんが案内してくれたのは、敷地内にある建物の一つ。
貴族が住みそうな作りの、豪華な屋敷だ。

「止まれ! ん? これはハンス殿⁉」

屋敷の周囲は、今まで以上に厳重な警備。
話によると昨夜の賊は、まだ捕まっていない。

未だに城の中は臨戦態勢なのだ。

ここもなんとか、ハンスさんの顔で通ることが出来た。

だがボクに対する、警備の人の視線が痛い。
一行の中で子どもっぽいのはだけだ。
異質で怪しく見えるのであろう。

(うっ……こんな事になるのなら、もう少し、ちゃんとした服を着てくればよかったな。あっ、でも服は、これしか持っていないからな)

ここ毎日、着ているのは、家出の時に着ていた服。
シンプルな作りで動きやすいけど、見た目は少し地味だ。

ちょっと恥ずかしい。
そんなことを考えながら、屋敷の廊下を進んでいく。

「この部屋の中です」

屋敷の奥の部屋に到着。
扉の前に衛兵が立っていて、ひと際厳重な警備の場所だ。

ここもハンスさんの顔で、なんとか許可が出る。

「ハリト君、ここから先は口調や態度に、気を付けて。王族の方がいます」

「あっ、はい。分かりました」

最年少なボクは釘を刺された。
そうか……王族の人と、これから対面するのか。

かなり緊張してきたぞ。
部屋に入る前に、頭の中で予習しておこう。

参考にするのは愛読書“冒険王リック”の冒険譚。

あの本によると……たしか王族の人には、こちらから話しかけてはいけないはずだ。

あと大きな声を出したり、許しがあるまで相手の身体を触ってはいけない、はず。

とりあえずは、こんなところだったなかな?
とにかく部屋に入ったら、礼儀正しい子でいこう。

「それでは中に入ります。失礼します、ダラク守備隊長、騎士ハンス。入ります」

ギギギー。

重厚な扉を開けて、ハンスさんを先頭に部屋に入っていく。

中も豪華な感じだ。
ここは女の人の部屋かな?

家具の色合いや、部屋の雰囲気が女性的だ。
しかも若い感じの雰囲気だ。

中には女性の騎士や、メイドさんたちも控えている。
王族の人の世話係だろう。

ここにいるのは、どんな王族の人なんだろう?

「ハリト君、それではこちらに来てください」

「あっ、はい、失礼します」

ハンスさんに案内されたのは、奥にある寝室。
大きなベッドの周りに、カーテンみたいな幕で囲ってある。

侍女の人が、その幕を開けてくれる。

そこにいたのは銀髪の少女。
しかも見たことがある。

「えっ……マリア?」

なんとベッドの脇に立っていたのは、神官着の少女マリア。

えっ……もしかして、マリアは……王族だったの⁉
今まで身分を隠して、一緒に暮らしていたの⁉

ど、どうしよう。
ボク不敬罪で逮捕されてしまう。

「いえ、違います。ハリト君。私も治療のために呼ばれたのです」

「えっ、そうか。ふう……心臓が止まるかと思ったよ」

そういうことか。
今やマリアは噂の【次世代の聖女候補様】。

王族の人の治療のために、ボクよりも先に呼ばれていたのであろう。

それならマリアと一緒に治療の作業をしよう。

「えーと、マリア。どんな感じ? もしかしたら、もう治しちゃったかな?」

「それがハリト君……この方の容態は少し複雑で、今の私でも対応できないのです」

「えっ……マリアでも?」

これには驚いた。
何しろ今の彼女は、【次世代の聖女候補様】と呼ばれる聖魔法の使い手。

普通の賊が使う毒なら、一瞬で解毒できるはずなのだ。

「えーと、ボクも見ていいかな? 触らないから」

ベッドの枕元には、厳しそうなメイド長さんがいた。

「……はい、どうぞ」

その人に確認しながら、枕元に近づいていく。
ベッドに寝ている人の顔が、見えてきた。

「ん……これは……」

その人の顔を見て、思わず声を漏らしてしまう。
何故ならその日は……その少女は“普通の状態”ではなかったのだ。

(これは……たしかに。マリアが言っていたとおり、複雑な状態だな)

ベッドにいたのは少女だった。
歳はボクやマリアより、少し下であろう。

でも異様に痩せすぎていて、正確な年齢が分からない。
成長が滞って、普通に発育をしていないんのだ。

(原因は間違いない。この子の顔と身体に浮かんでいる、コレか)

ボクが驚いた理由は、少女の身体の様子にあった。
幾何学《きかがく》模様のような文様が、全身に浮かんでいたのだ。

(これは賊の毒の影響じゃない。これはこの子が幼い時から施された……呪印だ!)

少女の身体の浮かんでいたのは、人工的な呪印だった。
呪印を得意とするウチのお婆ちゃんから、前に教わったことがある。

(全身を見ないと分からないけど、この形式は何だろう? でも何故、誰が、こんな酷いことを⁉)

普通は人の身体には、呪印なんて施さない。
何故なら力を得る以上に、危険が大きいのだ。

これほどの大規模な呪印なら、命の危険性もある。
間違っても、王族の少女に施すものではない。

――――そんな時だった。

寝室に誰かが入ってきた。

「あなたたち、早く出ていきなさい!」

ヒステリックな叫びと共に、飛び込んできたのは大人の女性。
豪華で派手なドレスを着た、貴族風の人だ。

いったい誰だろう?
ハンスさんが女性に駆け寄る。

「王妃様、どうぞお静まりください。この者どもは、クルシュ姫様の治療のために……」

「そこをどくのだ、ハンス! 我が娘クルシュには、誰にも触れさせないわ!」

王妃様?
えっ、ということは、この国の王様の奥様な人⁉

そして呪印のこの少女は、王女様?

なんか……普通の治療は不可能な感じになってきた。


















 ◇



 ――――あとがき――――


 ◇




読んで頂きありがとうございます!

 同じような痛快ファンタジーもスタートしました。

こちらも是非よろしくお願いします!



 《タイトル》

『パワハラ幼馴染の聖女を絶縁、【一万倍の次元】も突破、最強剣士は学園生活を満喫する』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/832153235/115369945

《あらすじ》

 昔は素直だった幼馴染エルザが、聖女として覚醒してから態度が激変。聖女のストレスを解消するために、同居人のオレに罵詈雑言な日々を。このまま人生が終了する前に彼女を絶縁、憧れの剣士学園を目指す。
  
 だが道中、漆黒の穴に落下。そこは【時間が一万倍で進む】“次元の狭間”。偶然、落ちていた剣を振り続け、何万回も窮地を回避、なんとか元の世界に帰還。

  無事に剣士学園に入学できたが、オレは何か変になっていた。ぽっちゃり系だったのに、一万倍の修行で凄腕イケメン剣士に激変を? お蔭で女の子が多い学園生活で、活躍しそうな予感だ。

  一方、絶縁の後遺症で幼馴染の様子が変だけど、彼女自身のために無視することに。
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