恋は盲目、彼女は全盲

蜃気楼

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第七話 分岐

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直樹が風呂でシャワーを浴びながら無意味な考え事をしている最中
直子もまた風呂に入っていた。

「なんで私後悔してるんだろ。
 直樹には”普通の人”と
 幸せになってもらいたいはずなのに」

自分の様な障がい者は一緒に居るだけで相手に負担をかけてしまう。
それが嫌で直樹から離れたはず、なのに胸に残る気持ちは
スッキリするどころか梅雨時の雲のようにどんよりと直子の心の真ん中に居座っていた。
こんな気持ちは早く捨てなくては、そう思えば思うほど直樹と過ごした日々は
直子の中でかけがえのないものとして光を増していく。

しかし昔からよく
「光あるところに闇はある」
と言われるように強い光を放つ思い出の影には深い闇が付きまとっていた。
その闇は直子を極端な発想に向かわせる

”もう、学校には行かない方がいいだろう
 障がい者の自分がみんなと一緒に生活すること自体がおかしな話なのだ
 そうだ両親の勧めていた障がい者支援センターに転校するのもありだろう
 それなら極力波風を立てずに直樹から距離を置くことができる”

その考えに至ってからの直子の行動は早かった。
それはまるで追いかけてくる直樹との思い出から走って逃げるように。

風呂で体を洗い、服を着て髪を乾かしてから
母に
「ちょっと大事な話があるんだけど」
と話し、自室で寛いでいた父を呼んでもらい
先ほどまでの自分の考えを端的に伝えた。
始めは驚いていたのか黙っていた両親だったが
少しすると私の考えを尊重し転校を前向きに考えると言ってくれた。
もちろん幼馴染みである直樹と喧嘩したことは伏せ
最もらしい理由で両親を納得させた。
両親に嘘をついたことで少し心が傷んだけど直樹と一緒に居るよりかは幾分ましに思えた。

「これで良かったんだ」

不意に口から零れたその言葉は決心や決意ではなく
諦めや妥協を含んでいた。

「今はきっと混乱してるだけ、寝れば落ち着く」

自分に言い聞かせるようにして直子は自室のベッドに潜りこみ
掛け布団を頭からかぶった。
その行動は現実から目をそらしたいからなのか
単に寒かったからなのかそれは言うまでもない。
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