恋は盲目、彼女は全盲

蜃気楼

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第六話 無限ループ

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直樹は自室の椅子に座っていた。
いきなりの事に対して感情がついてこず
感情のリセットに一時間ほど時間を要した。
心が落ち着いた後は椅子に座り考え事をしていた。

"何か嫌われるようなことをしただろうか"

そんな疑問がずっと
直樹の頭の中で無限ループしていた。

「...き。直樹!」

階下から誰かの声が聞こえる。
正直今は誰とも話したくない。
しかし返事をしないと後々面倒臭そうので
ほぼゼロに近い気力を振り絞り声帯を震わせ声を発する。。

「なに?」

少々機嫌の悪そうな声になってしまったが今だけは許してほしい。
母には届くはずもない願いだが...。
だがそんな願いが少しは通じたのか母が咎めるような事はなかった。

「風呂、早く入っちゃって。お父さんそろそろ帰ってくる頃だから」

長々と考え事をしている間にそんな時間になっていたらしい。
部屋の時計を見てみると短針は文字盤の『11』を指していた。
とても風呂に入れるような気分ではなかったが
少しの逡巡のあと風呂に入ることにした。
あるアニメでは「風呂は命の洗濯よ」というセリフがあるらしい
ならば風呂に入れば少しは気分も晴れるだろう。
そんな言い訳じみた理由をつけてやっと気持ちを立て直し
風呂に入ることにした。

ベランダの物干し竿に干しておいたバスタオルを手に取り風呂場に向かう。
冬の冷気に曝されていたバスタオルは氷のように冷たく、直樹は反射的に手をひっこめた。

「つめたっ。まぁでも冬だし当たり前か」

そんな事を言いながら今度は手を引っ込めないように手に力を込めバスタオルを手に取った。

脱衣所に入ってから扉を振り返り鍵を閉める。
その後は上から一枚づつ脱いで全裸になり浴室に入る。
風呂に入ったらまずシャワーヘッドを右手に手に取り、左手に湯をかけ温度を調整する。
その後は5分ほど少し熱めのお湯を頭にかけ続ける。
これは直樹の悩んでいるときの日課というか癖だった。
それは今日も例外ではなく

「はぁ~~~」

頭からお湯を浴びながら深い深い溜め息が出た。
医学や人体には詳しくないので根拠は皆無だが
お湯を浴びている血行が良くなって考え事が捗る気がする。
あくまで気がするだけだが。
いつもならこうしていればいい考えや解決策が思い浮かぶのだが
今回はそうはいかないようだ。
なぜなら直樹には一切思い当たる節がないのだから。
思い当たる事がないのであれば、解決などできるはずがない。

直樹はこれ以上考えてしかたないと思ったのか、もしくは父親が帰ってくることを思い出したのか
体を適当に洗い風呂を出ることにした。
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