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53.勘違い
しおりを挟むリーディアは、いつの間にか部屋へ戻っていた。どうやって戻ったのかはよく覚えてはいないが、ライナス様が連れてきてくれたようだ。
シリウス様の行動が、とてもショックで頭が真っ白になってしまった。
このままシリウス様は、あの令嬢とどうにかなってしまうのかと、1人の部屋で、リーディアは考えてしまい、塞ぎ込んだ。
そのころ、シリウスは再度転移し、レティシアに報告した。無事にリーディアを助けた事と、探していた少女、今は立派な令嬢になった人を、見つけることができたと言った。
レティシアは話を聞いて、意味がわからなかった。兄が探していた令嬢がいた事は聞いてなかったし、兄が探していたと言った少女との思い出の内容が、リーディアが話してくれた話の内容と同じだったからだ。
だから、何故そこに、オレンジの髪の令嬢がでてくるのか分からなかった。
「お兄様は何をおっしゃっているの。何故髪の色がオレンジなのよ。違うでしょ」
「シアこそ、何を言うんだ。初めて話した事なのに、何を知っているというんだ」
シリウスは妹がいう事に怪訝な顔をした。
「だって、その話はその少女本人から聞いたことだし。彼女の髪はオレンジではないわよ」
レティシアは呆れたように話す。
「本人だと?彼女は確かにオレンジ色の髪だ。間違いない。それに何を聞いたっていうんだ」
「私のために練習してた、氷華の魔法を、先に見せたんでしょ?泣かなかったからって、特別にみせてやるんだから感謝しろって」
レティシアは、リーディアから聞いたことを兄にそのままつたえる。
「どういう、事だ・・・。シアがいう彼女とは誰の事を言っている」
「オレンジ色の髪の子ではない事は確かよ。お兄様の言う、その子がオレンジ色の髪だとしても、あの魔法を覚えていないって事は絶対にないと思うわ。騙されてるんじゃないの?お兄様は、その令嬢と会って、髪の色以外に何か感じられたの?ジル様にも聞いて見るといいわよ。知ってらっしゃるはずよ」
レティシアは突き放すようにいう。
「なぜ、あいつが知っている。それこそおかしいだろう」
シリウスはジルベルトが知っているという、レティシアの発言に不愉快な表情をした。
「お兄様は頭が硬いわね!つべこべ言わずに、戻りましょう。ジル様帰ってるんでしょ」
レティシアはシリウスを急かして、辺境伯領にもどるのだった。
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