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第四話
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「はい! という事で、今から二人にはデートをしてもらうぞ!」
午後、最寄りの駅から電車で二駅行った先の大きな駅まで移動すると、泰希は駅の前にある広場の真ん中で楽しそうに言った。俺達が普段住んでいる地域よりも色々な物があることや今日が祝日という事もあってか、駅前は人通りがとても多く、目を惹く容姿をしている秋田姉弟は異性からの視線を多く向けられていた。
元から大人っぽくて綺麗な上に三十歳になった事で更に色気も増した夕希さんはもちろん、運動部に所属している泰希もスポーツマンだけあって体格はよく、顔立ちもアイドルのように整っていて立ち居振舞いも綺麗な事から異性からの人気は高い。
親友としてライバルとして俺もそんな泰希に負けたくないのとどうにか夕希さんに振り向いてほしいという想いから自分磨きという事で筋トレやランニング、知識を深めるための読書が趣味だが、正直異性からの人気があるわけではない。泰希と一緒にいる時もそうだが、一緒にいない時でもそうなのだから、俺にはそんなに異性を惹き付けるような魅力がないのだろう。もっとも、一回りも上の夕希さんを好きになったことで同年代にときめく機会はまったくないので問題はないのだが。
「やるって言ったのはいいけど、デートって何をすれば良いんだ? 異性とのデートで行くようなオシャレな店なんて俺は知らないぞ?」
「ああ、別に今はそこまで考えなくて良い。デートっていうのもあくまでも言い方の問題で、俺だって二人の後ろからついてくし、あくまでも姉ちゃんが気分転換出来れば目標は達成だからさ」
「まあたしかにな。夕希さんみたいに綺麗な人を連れての本当のデートなんて緊張するし、何かいいとこ見せようとして逆にカッコ悪いところを見せてばかりになってただろうし、デートという名前の普通の外出で少しホッとしたかな」
「綺麗だなんて……ふふっ、そういう台詞も言えるようになったんだね、しば君。小さい時から立派に成長しててお姉さんは嬉しいぞ、このこの~」
夕希さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべながらつついてきてからまた無邪気に俺に抱きつく。抱きつかれた事で再び感じた夕希さんの体の柔らかい感触や漂ってくる良い香りにドキドキしていた時、夕希さんはふと何かに気づいたような顔をした。
「ん、あれ……しば君、思ってたより体ががっしりとしてるし、腕とかにも筋肉がちゃんとついてるんだね。お姉さん、驚いちゃったよ」
「泰希に負けたくなくて小さい頃から筋トレやランニングをしてますからね。まあそれでも泰希みたいに異性からの人気があるわけではないですけど」
「ふーん、そうなんだ。泰希が女の子からの人気が高いのはそうだけど、同じくらいにしば君も人気出そうなのにね。私達と同じ年代にしば君がいたら、女の子達は放っておかないと思うよ?」
「……それは夕希さんもですか?」
「え?」
俺は意を決して俺は夕希さんを正面から見つめる。歳の差こそあるけれど、俺の方が夕希さんよりも数cmほど背は高いため、少し見下ろす形になる。
「えっと……し、しば君……?」
「夕希さんも俺が同年代にいたら放っておかなかったですか?」
「え、えっと……」
「どうなんで──」
「はいはい、ストップストップ~」
泰希が俺達の間に割って入ってくる。
「泰希……」
「落ち着け、大和。今の精神状態の姉ちゃんにそんな事を聞いてもよくないのはわかるだろ?」
「……そうだな。すみませんでした、夕希さん」
「あ……ううん、大丈夫。でも……」
「……でも?」
やっぱり怖い思いをさせてしまったのだろうか。そんな不安を感じながら聞くと、夕希さんは頬を赤く染めながら視線を軽くそらした。
「ちょっとだけドキドキしちゃった……かな。記憶の中のしば君よりも男らしく見えて、やっぱりしば君も男の子なんだなと思ったから」
「そ、そうですか……」
「うん……」
俺達は向かい合いながらお互いに俯く。その姿を見た泰希は俺達を交互に見てからニッと笑った。
「それじゃあ早速行こうぜ、二人とも」
「行くのはいいけど、どこに行くんだ? 気晴らしになるところも心当たりはゲームセンターとかくらいだけど……」
「そんなの適当に歩いててもいいんだよ。何かをしないと気晴らしにならないわけじゃない。色々適当に歩きながら色々な物を見て、それを楽しんでればいずれは気晴らしになるって」
「なるほど、そういう事か……」
「そうそう。という事で、大和と姉ちゃんの行き当たりばったりデートの始まりだ」
泰希がにこりと笑いながら言う。たしかに俺も適当に散歩をする時はあるし、そういう時には色々な物に触れて気分転換になることもある。だから、泰希の言う事も理には適っているのだ。
「よし……それじゃあ行きましょうか、夕希さん」
「うん、そうだね」
夕希さんが嬉しそうに笑みを浮かべながら頷く。そして秋田姉弟が周囲からの視線を浴びる中、俺は二人と一緒に歩き出した。
午後、最寄りの駅から電車で二駅行った先の大きな駅まで移動すると、泰希は駅の前にある広場の真ん中で楽しそうに言った。俺達が普段住んでいる地域よりも色々な物があることや今日が祝日という事もあってか、駅前は人通りがとても多く、目を惹く容姿をしている秋田姉弟は異性からの視線を多く向けられていた。
元から大人っぽくて綺麗な上に三十歳になった事で更に色気も増した夕希さんはもちろん、運動部に所属している泰希もスポーツマンだけあって体格はよく、顔立ちもアイドルのように整っていて立ち居振舞いも綺麗な事から異性からの人気は高い。
親友としてライバルとして俺もそんな泰希に負けたくないのとどうにか夕希さんに振り向いてほしいという想いから自分磨きという事で筋トレやランニング、知識を深めるための読書が趣味だが、正直異性からの人気があるわけではない。泰希と一緒にいる時もそうだが、一緒にいない時でもそうなのだから、俺にはそんなに異性を惹き付けるような魅力がないのだろう。もっとも、一回りも上の夕希さんを好きになったことで同年代にときめく機会はまったくないので問題はないのだが。
「やるって言ったのはいいけど、デートって何をすれば良いんだ? 異性とのデートで行くようなオシャレな店なんて俺は知らないぞ?」
「ああ、別に今はそこまで考えなくて良い。デートっていうのもあくまでも言い方の問題で、俺だって二人の後ろからついてくし、あくまでも姉ちゃんが気分転換出来れば目標は達成だからさ」
「まあたしかにな。夕希さんみたいに綺麗な人を連れての本当のデートなんて緊張するし、何かいいとこ見せようとして逆にカッコ悪いところを見せてばかりになってただろうし、デートという名前の普通の外出で少しホッとしたかな」
「綺麗だなんて……ふふっ、そういう台詞も言えるようになったんだね、しば君。小さい時から立派に成長しててお姉さんは嬉しいぞ、このこの~」
夕希さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべながらつついてきてからまた無邪気に俺に抱きつく。抱きつかれた事で再び感じた夕希さんの体の柔らかい感触や漂ってくる良い香りにドキドキしていた時、夕希さんはふと何かに気づいたような顔をした。
「ん、あれ……しば君、思ってたより体ががっしりとしてるし、腕とかにも筋肉がちゃんとついてるんだね。お姉さん、驚いちゃったよ」
「泰希に負けたくなくて小さい頃から筋トレやランニングをしてますからね。まあそれでも泰希みたいに異性からの人気があるわけではないですけど」
「ふーん、そうなんだ。泰希が女の子からの人気が高いのはそうだけど、同じくらいにしば君も人気出そうなのにね。私達と同じ年代にしば君がいたら、女の子達は放っておかないと思うよ?」
「……それは夕希さんもですか?」
「え?」
俺は意を決して俺は夕希さんを正面から見つめる。歳の差こそあるけれど、俺の方が夕希さんよりも数cmほど背は高いため、少し見下ろす形になる。
「えっと……し、しば君……?」
「夕希さんも俺が同年代にいたら放っておかなかったですか?」
「え、えっと……」
「どうなんで──」
「はいはい、ストップストップ~」
泰希が俺達の間に割って入ってくる。
「泰希……」
「落ち着け、大和。今の精神状態の姉ちゃんにそんな事を聞いてもよくないのはわかるだろ?」
「……そうだな。すみませんでした、夕希さん」
「あ……ううん、大丈夫。でも……」
「……でも?」
やっぱり怖い思いをさせてしまったのだろうか。そんな不安を感じながら聞くと、夕希さんは頬を赤く染めながら視線を軽くそらした。
「ちょっとだけドキドキしちゃった……かな。記憶の中のしば君よりも男らしく見えて、やっぱりしば君も男の子なんだなと思ったから」
「そ、そうですか……」
「うん……」
俺達は向かい合いながらお互いに俯く。その姿を見た泰希は俺達を交互に見てからニッと笑った。
「それじゃあ早速行こうぜ、二人とも」
「行くのはいいけど、どこに行くんだ? 気晴らしになるところも心当たりはゲームセンターとかくらいだけど……」
「そんなの適当に歩いててもいいんだよ。何かをしないと気晴らしにならないわけじゃない。色々適当に歩きながら色々な物を見て、それを楽しんでればいずれは気晴らしになるって」
「なるほど、そういう事か……」
「そうそう。という事で、大和と姉ちゃんの行き当たりばったりデートの始まりだ」
泰希がにこりと笑いながら言う。たしかに俺も適当に散歩をする時はあるし、そういう時には色々な物に触れて気分転換になることもある。だから、泰希の言う事も理には適っているのだ。
「よし……それじゃあ行きましょうか、夕希さん」
「うん、そうだね」
夕希さんが嬉しそうに笑みを浮かべながら頷く。そして秋田姉弟が周囲からの視線を浴びる中、俺は二人と一緒に歩き出した。
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