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第二十二話
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「それでは改めて、新たな生徒会の発足を祝して、かんぱーい!」
『かんぱーい!』
俺達は手に持った飲み物を掲げながら乾杯をする。選挙から二週間後、俺や他の役職の候補者はなんとか生徒会役員になることが出来、それを真夏さん達、前生徒会メンバーの厚意でファミレスでお祝いをしてもらっていた。それに茉莉ちゃんも呼んでもらったが、前副会長を含めた新旧の生徒会メンバーは初対面でありながら茉莉ちゃんにメロメロになっていて、度々話しかけたり運ばれてきた食べ物を勧めたりしていた。
「ふふ、茉莉ちゃんは人気者ですね」
「そうですね。もう茉莉ちゃんが主役みたいな感じですもんね」
「本当の主役としてはちょっと妬いちゃいます?」
「それはないですけど、あんな風にすぐに色々な人を惹き付ける辺り、やっぱり真夏さんも茉莉ちゃんもすごいなと思って」
「生徒会長になれた冬矢さんも十分すごいじゃないですか。これまでの頑張りを近くで見てきたからこそよりそれは感じてますよ」
「真夏さん達が応援してくれたからですよ。俺一人だったら何も出来ませんでしたから」
俺は真夏さんを始めとした生徒会メンバー、そして茉莉ちゃんを見回す。みんなが色々な気遣いをしてくれたからこそ頑張れたし、みんなの応援があったからここまで来られた。みんなにはもう感謝しかない。
「けど、これからもっと頑張らないとですね。他に当選した生徒会メンバーの事も考えながら引き継ぎもして、みんなの模範になるような過ごし方もしないとですし」
「そんなに気を張らなくていいですよ。たしかに生徒会長たるもの成績もよくて品行方正でないといけないイメージはありますけど、それにばかり囚われていると自分の好きなように動けなくなります。そして自分自身がなくなっていき、学校以外でも周囲が求める生徒会長そのものになってしまいますから、冬矢さんは自分らしさを残した生徒会長になってください。それが一番ですから」
「自分らしさを残した生徒会長……たしかにそうですね、そうじゃないと俺じゃなくてもよかった事になりますから」
「直近では10月の文化祭がありますし、それが生徒会長として初めての大きなお仕事になります。そこが冬矢さんらしい生徒会長としての腕の見せ所ですし、私達も楽しみにしてますね」
「はい、頑張りますね」
話をしながら俺達が笑い合っていると、副会長達に構われていた茉莉ちゃんが俺達を見ながら頬をプクッと膨らませた。
「パパとママだけお話ししてズルい! 私もまーぜて!」
「ごめんね、茉莉ちゃん。そういえば、生徒会も毎年出し物をしているんだけど、茉莉ちゃんはどんな物がいいと思う?」
「出し物? 私達がやった劇みたいな物?」
「そうだね。劇でもいいし楽器の演奏でもいいし」
「うーん……」
茉莉ちゃんが腕を組みながら考え始める。その姿に副会長達がほんわかする中、茉莉ちゃんは顔をパアッと輝かせながら手をパンと叩いた。
「パパとママが主役の劇が観たい!」
「俺達が主役の劇?」
「うん! パパが王子様でママがお姫様!」
「俺が王子様で……」
「私がお姫様……なるほど、それはそれでありかもしれません」
「え?」
真夏さんが乗り気な事に驚く。もちろん真夏さんが相手役なのは嬉しいけれど。
「出来そうですか?」
「はい。去年の文化祭の時も思ったのですが、新しい生徒会メンバーだけが何かをやるのではなく、新旧の生徒会役員が手を取り合って一つの物を生み出すというのは前例がないのが疑問だったんです。誰も思い付かなかっただけなのかもしれませんが、こうやってアイデアを出してもらったのはいいきっかけですし、これを機に新旧の生徒会役員が協力して出し物をする形に変えてもいいと思うんです」
「たしかに……その中で新しい生徒会メンバーが先代の生徒会メンバーの動きを見ながら勉強して、それを活かして自分達なりの生徒会を作っていく。たしかにありですね」
「はい。毎回新旧の生徒会長がメインとなるわけではないことにすれば、生徒会長や副会長以外の役員が主役になる機会も増やせます。是非実現させましょう、冬矢さん!」
真夏さんが目を輝かせながら俺の手を握ってくる。その姿に前生徒会メンバー達がまたやってるという顔で見る中、新しい生徒会メンバーは生徒会長としての真夏さんしか知らない事で目を丸くしていた。真夏さんから手を握られているのは少し照れ臭かったが、それでも真夏さん達と協力して何かが出来るのは嬉しかったし、このやる気に水を差すのもよくないと思った。
「わかりました。やりましょう、真夏さん」
「はい! こうなれば徹底的にやりましょう! 文芸部に脚本をお願いして家庭科部に衣装を依頼し、演劇部に演技指導をお願いしないと! 生徒会長としての最後の大仕事、張りきっていきましょう!」
真夏さんが情熱の炎を燃やす中、それを見た茉莉ちゃんは更に目を輝かせた。
「わあ、スッゴいやる気だね! ねっ、パパ!」
「そうだね。でもまあ、これが生徒会の新しい歴史の1ページになるなら俺も頑張らないとな。茉莉ちゃんも見に来てね。真宙さん達にその日はお願いしておくからさ」
「うん!」
茉莉ちゃんが大きく頷く。その姿を見ながら俺もやる気を出していく。そして俺達新生徒会のお祝いの会は文化祭での生徒会企画の会議の場となったが、それでもやっぱり楽しかったし、その場の空気が盛り上がったのもあったからか色々な企画案も出て俺達はとても盛り上がった。
二時間ほど経ってそんな企画の会議も終わると、また後日話し合う場を設ける事を決めて俺達は解散した。他のメンバー達がバラバラと帰っていく中、俺は眠ってしまった茉莉ちゃんを背負いながら真夏さんに微笑んだ。
「それじゃあ俺達も帰りましょうか」
「はい。それにしても、本当に盛り上がりましたね。みんなもやる気十分ですし、これはいい出し物になりそうです」
「そうですね。えーと、台本は文芸部で衣装を家庭科部、演劇部にはそれの手伝いをお願いしながら演技指導も依頼。それで新しい試みということで新聞部にも宣伝をお願いして……やる事が山積みですね」
「それでもやると決めた以上はやりましょう。私もとても楽しみになってきました」
「俺もですよ。茉莉ちゃんの思い付きではありますけど、観てみたいと言われた以上は実現させたいです」
背負われながらスウスウと寝息を立てる茉莉ちゃんを見ながら言うと、真夏さんはクスクスと笑った。
「この半年と少しでだいぶ茉莉ちゃんの保護者も板についてきましたね。これだとこの生活が終わった時に離れたくなくて駄々こねちゃいそうですね」
「茉莉ちゃんは普段から聞き分けのいい子ですし、松也さん達がいない寂しさをおくびにも出しませんが、それでもやっぱり寂しいからこそ俺達により懐いてくれてる気はしますから、そうなる可能性もありそうですね」
「はい。けれど、私達だって遊びには行きますし、茉莉ちゃんが逆に遊びにきてくれてもいいわけですから、一生離ればなれというわけでもないですからね」
「ですね。ただ、俺は真夏さんの事を一生離さないつもりですからね?」
その言葉に真夏さんは一瞬キョトンとする。そして軽く頬を赤らめると、俯きながら静かに頷いた。
「……はい、私もです。もう話す機会すらないと思っていたところに再会出来て、こうして共同生活が出来ているわけですから、私だって冬矢さんを離しません。私から他の人に視線を移さないでくださいよ?」
「もちろんです。真夏さん以外の女性になんて心奪われるわけないですよ」
その言葉に真夏さんは安心したように笑う。そうして茉莉ちゃんの可愛らしい寝息をBGMに俺達は話をしながら綺麗な星空の下を歩いて家へと帰った。
『かんぱーい!』
俺達は手に持った飲み物を掲げながら乾杯をする。選挙から二週間後、俺や他の役職の候補者はなんとか生徒会役員になることが出来、それを真夏さん達、前生徒会メンバーの厚意でファミレスでお祝いをしてもらっていた。それに茉莉ちゃんも呼んでもらったが、前副会長を含めた新旧の生徒会メンバーは初対面でありながら茉莉ちゃんにメロメロになっていて、度々話しかけたり運ばれてきた食べ物を勧めたりしていた。
「ふふ、茉莉ちゃんは人気者ですね」
「そうですね。もう茉莉ちゃんが主役みたいな感じですもんね」
「本当の主役としてはちょっと妬いちゃいます?」
「それはないですけど、あんな風にすぐに色々な人を惹き付ける辺り、やっぱり真夏さんも茉莉ちゃんもすごいなと思って」
「生徒会長になれた冬矢さんも十分すごいじゃないですか。これまでの頑張りを近くで見てきたからこそよりそれは感じてますよ」
「真夏さん達が応援してくれたからですよ。俺一人だったら何も出来ませんでしたから」
俺は真夏さんを始めとした生徒会メンバー、そして茉莉ちゃんを見回す。みんなが色々な気遣いをしてくれたからこそ頑張れたし、みんなの応援があったからここまで来られた。みんなにはもう感謝しかない。
「けど、これからもっと頑張らないとですね。他に当選した生徒会メンバーの事も考えながら引き継ぎもして、みんなの模範になるような過ごし方もしないとですし」
「そんなに気を張らなくていいですよ。たしかに生徒会長たるもの成績もよくて品行方正でないといけないイメージはありますけど、それにばかり囚われていると自分の好きなように動けなくなります。そして自分自身がなくなっていき、学校以外でも周囲が求める生徒会長そのものになってしまいますから、冬矢さんは自分らしさを残した生徒会長になってください。それが一番ですから」
「自分らしさを残した生徒会長……たしかにそうですね、そうじゃないと俺じゃなくてもよかった事になりますから」
「直近では10月の文化祭がありますし、それが生徒会長として初めての大きなお仕事になります。そこが冬矢さんらしい生徒会長としての腕の見せ所ですし、私達も楽しみにしてますね」
「はい、頑張りますね」
話をしながら俺達が笑い合っていると、副会長達に構われていた茉莉ちゃんが俺達を見ながら頬をプクッと膨らませた。
「パパとママだけお話ししてズルい! 私もまーぜて!」
「ごめんね、茉莉ちゃん。そういえば、生徒会も毎年出し物をしているんだけど、茉莉ちゃんはどんな物がいいと思う?」
「出し物? 私達がやった劇みたいな物?」
「そうだね。劇でもいいし楽器の演奏でもいいし」
「うーん……」
茉莉ちゃんが腕を組みながら考え始める。その姿に副会長達がほんわかする中、茉莉ちゃんは顔をパアッと輝かせながら手をパンと叩いた。
「パパとママが主役の劇が観たい!」
「俺達が主役の劇?」
「うん! パパが王子様でママがお姫様!」
「俺が王子様で……」
「私がお姫様……なるほど、それはそれでありかもしれません」
「え?」
真夏さんが乗り気な事に驚く。もちろん真夏さんが相手役なのは嬉しいけれど。
「出来そうですか?」
「はい。去年の文化祭の時も思ったのですが、新しい生徒会メンバーだけが何かをやるのではなく、新旧の生徒会役員が手を取り合って一つの物を生み出すというのは前例がないのが疑問だったんです。誰も思い付かなかっただけなのかもしれませんが、こうやってアイデアを出してもらったのはいいきっかけですし、これを機に新旧の生徒会役員が協力して出し物をする形に変えてもいいと思うんです」
「たしかに……その中で新しい生徒会メンバーが先代の生徒会メンバーの動きを見ながら勉強して、それを活かして自分達なりの生徒会を作っていく。たしかにありですね」
「はい。毎回新旧の生徒会長がメインとなるわけではないことにすれば、生徒会長や副会長以外の役員が主役になる機会も増やせます。是非実現させましょう、冬矢さん!」
真夏さんが目を輝かせながら俺の手を握ってくる。その姿に前生徒会メンバー達がまたやってるという顔で見る中、新しい生徒会メンバーは生徒会長としての真夏さんしか知らない事で目を丸くしていた。真夏さんから手を握られているのは少し照れ臭かったが、それでも真夏さん達と協力して何かが出来るのは嬉しかったし、このやる気に水を差すのもよくないと思った。
「わかりました。やりましょう、真夏さん」
「はい! こうなれば徹底的にやりましょう! 文芸部に脚本をお願いして家庭科部に衣装を依頼し、演劇部に演技指導をお願いしないと! 生徒会長としての最後の大仕事、張りきっていきましょう!」
真夏さんが情熱の炎を燃やす中、それを見た茉莉ちゃんは更に目を輝かせた。
「わあ、スッゴいやる気だね! ねっ、パパ!」
「そうだね。でもまあ、これが生徒会の新しい歴史の1ページになるなら俺も頑張らないとな。茉莉ちゃんも見に来てね。真宙さん達にその日はお願いしておくからさ」
「うん!」
茉莉ちゃんが大きく頷く。その姿を見ながら俺もやる気を出していく。そして俺達新生徒会のお祝いの会は文化祭での生徒会企画の会議の場となったが、それでもやっぱり楽しかったし、その場の空気が盛り上がったのもあったからか色々な企画案も出て俺達はとても盛り上がった。
二時間ほど経ってそんな企画の会議も終わると、また後日話し合う場を設ける事を決めて俺達は解散した。他のメンバー達がバラバラと帰っていく中、俺は眠ってしまった茉莉ちゃんを背負いながら真夏さんに微笑んだ。
「それじゃあ俺達も帰りましょうか」
「はい。それにしても、本当に盛り上がりましたね。みんなもやる気十分ですし、これはいい出し物になりそうです」
「そうですね。えーと、台本は文芸部で衣装を家庭科部、演劇部にはそれの手伝いをお願いしながら演技指導も依頼。それで新しい試みということで新聞部にも宣伝をお願いして……やる事が山積みですね」
「それでもやると決めた以上はやりましょう。私もとても楽しみになってきました」
「俺もですよ。茉莉ちゃんの思い付きではありますけど、観てみたいと言われた以上は実現させたいです」
背負われながらスウスウと寝息を立てる茉莉ちゃんを見ながら言うと、真夏さんはクスクスと笑った。
「この半年と少しでだいぶ茉莉ちゃんの保護者も板についてきましたね。これだとこの生活が終わった時に離れたくなくて駄々こねちゃいそうですね」
「茉莉ちゃんは普段から聞き分けのいい子ですし、松也さん達がいない寂しさをおくびにも出しませんが、それでもやっぱり寂しいからこそ俺達により懐いてくれてる気はしますから、そうなる可能性もありそうですね」
「はい。けれど、私達だって遊びには行きますし、茉莉ちゃんが逆に遊びにきてくれてもいいわけですから、一生離ればなれというわけでもないですからね」
「ですね。ただ、俺は真夏さんの事を一生離さないつもりですからね?」
その言葉に真夏さんは一瞬キョトンとする。そして軽く頬を赤らめると、俯きながら静かに頷いた。
「……はい、私もです。もう話す機会すらないと思っていたところに再会出来て、こうして共同生活が出来ているわけですから、私だって冬矢さんを離しません。私から他の人に視線を移さないでくださいよ?」
「もちろんです。真夏さん以外の女性になんて心奪われるわけないですよ」
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