氷の薔薇は愛に目覚める～婚約破棄された令嬢と救国の王子～

追放と孤独の現実 5

彼女が、勇気を振り絞って、何か生活に必要な情報を尋ねようとしても、村人たちはまるで汚らわしいものでも見るかのような、冷たく敵意に満ちた目で彼女を一瞥し、ぶっきらぼうに、そして不親切に一言二言だけ答えるか、あるいは、完全に無視して、彼女が存在しないかのように振る舞った。村の唯一の、薄暗く品揃えも悪い小さな店で、なけなしの金で、最低限の食料や日用品を買おうとしても、店主は彼女の顔を見るなり、市場価格の何倍もの、ありえないほど法外な値段を吹っかけたり、「あんたのような、神をも恐れぬ罪人に売ってやる品物なんざ、この店にはひとっつもねえよ！」と、怒鳴り声と共に冷たく追い返されたりすることも、もはや日常茶飯事となっていた。

この、神に見捨てられたかのような、痩せこけて色彩のない土地の現実は、エリザベスの精神を、まるで湿った布でゆっくりと首を締め上げるように、あるいは、冷たい水の中に徐々に沈められていくように、容赦なく、そして確実に打ちのめしていった。
畑は、まるで呪われているかのように石ころだらけで痩せ細り、春に、村人たちがなけなしの種を蒔いても、夏には容赦ない日照りに見舞われ、あるいは長雨による洪水に襲われ、秋になっても、まともな収穫はほとんど期待できない。村人たちは、一年中、慢性的な飢餓線上を彷徨い、子供たちは栄養失調で腹だけが異様に膨らみ、その目は輝きを失い、老人たちは、何の治療も受けられないまま、静かに、しかし確実に衰弱し、次々と死んでいく。そして、冬の訪れは、この村にとっては、まさに死の宣告にも等しかった。想像を絶する厳しい寒さと、全てを白一色に閉ざしてしまう猛吹雪が、何週間も、時には何ヶ月も容赦なく襲いかかり、乏しい燃料となる薪も、あっという間に底をついてしまう。そうなれば、あとはただ、寒さと飢えに耐えながら、春の訪れという、ほとんどありえない奇跡を待つか、あるいは、静かに死を受け入れるかしか、選択肢は残されていないのだった。かつては、村の近くにあった小さな銀の鉱山で、ほんのわずかな期間だけ、ささやかながらも栄えた時期もあったらしいが、それも遠い昔の話であり、その鉱脈はとっくの昔に掘り尽くされ、今はただ、不気味な暗い口を虚空に向けて開けている、危険な廃坑跡が残るのみだった。村全体が、まるで巨大な、そして終わりのない葬列のように、出口のない重苦しい絶望と、全てを諦めきった無気力、そして、この不条理な運命に対する、言葉にならない深い怨嗟の念に、完全に支配されていた。
エリザベスは、自分が、この、まるで地獄の縮図のような呪われた土地で、一体何をすればいいというのか、そもそも、自分に何ができるというのか、全く、皆目見当もつかなかった。領地管理などという、あまりにも空虚で、そして皮肉に満ちた名目上の役職を与えられてはいたが、彼女には、そのための専門的な知識も、実践的な経験も、そして何よりも、彼女の言葉に真摯に耳を傾け、その指示に従い、協力してくれる者など、この村には誰一人としていないという、絶望的なまでに孤立無援の状況だったのだ。