氷の薔薇は愛に目覚める~婚約破棄された令嬢と救国の王子~

イアペコス

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氷の薔薇、最後の戦い 1

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ルシアンからの、血と、そして彼の魂そのものが込められたかのような、あまりにも重く、そしてあまりにも切実な最後の手紙は、エリザベスの、一度は完全に消えかかり、もはや灰燼に帰したかのように思われた心に、まるで神話の中の、自らの炎で蘇る不死鳥のように、絶望の淵から再び立ち上がり、そして以前にも増して力強く燃え盛るための、聖なる炎を灯した。もはや彼女の、涙で濡れながらも、しかしその奥に宿る光は、かつてのような迷いや、諦観や、あるいは恐怖の色を、微塵たりとも宿してはいなかった。そこには、愛する者を守り抜き、この世の不正を正し、そして何よりも、自らの、その鋭敏な知性と、決して屈することのない不屈の勇気と、そしてルシアンとの間にだけ存在する、言葉を超えた愛の絆を武器として、隠された真実を、自らの手で掴み取るという、まるで鍛え上げられた鋼のような、そして何よりも気高く、そして美しい決意の光が、まるで極北の、天空を焦がすオーロラのように、荘厳に、そして力強く揺らめいていた。
彼女は、エドワード王太子や、その背後で全てを操るオルダス公爵、そして、もはや勝利を確信し油断しきっていたリリアが、彼女の、あまりにも突然の、そしてあまりにも劇的な態度の変化に、完全に度肝を抜かれ、戸惑い、そして次なる有効な手を打てずにいる、ほんのわずかな、しかし決定的な隙を突き、老騎士ゲルハルト(王国の兵士たちによる応急手当と、エリザベスへの忠誠心という、何よりも強い精神力によって、奇跡的に意識を取り戻し、その場に踏みとどまっていた)と、彼が率いる、数こそ少ないが一人一人が百人にも匹敵する、シルヴァリア王国の精鋭護衛兵たちの、文字通り決死の、そして神業のような援護を受け、そして何よりも、エルム村の、武器らしい武器も持たないが、エリザベス様を、自分たちの太陽を、決して死なせはしないという、純粋で、そしてあまりにも強い想いを胸に、自らの命をも顧みず、王国の兵士たちの前に立ちはだかり、必死で時間を稼ごうとする、涙ながらの、そして魂からの抵抗を、その痛む胸に深く刻み込みながら、奇跡的に、そしてまるで風のように、王太子軍の、厳重なはずだった包囲網を突破し、夜の、全てを包み込む深い闇の中へと、その姿を消した。それは、傍から見れば、あまりにも大胆不敵で、そしてあまりにも無謀で、そしてあまりにも成功の確率の低い、自殺行為にも等しい脱出行だったが、エリザベスの、もはや死をも恐れることのない絶対的な覚悟と、彼女を心の底から信じ、そして愛する人々の、打算のない、そしてあまりにも美しい献身が、不可能を可能にした、まさに奇跡の瞬間だった。

エリザベスは、その瞬間から、ただひたすらに、王都へと戻ることを決意し、そして実行に移した。ルシアンが、その命と引き換えに彼女に残した、あの血染めの手紙に隠された「暗号」を解き明かし、オルダス公爵とリリアの、この王国を根底から揺るがす、あまりにも邪悪で壮大な陰謀の全貌を、白日の下に完全に暴くためには、彼らの本拠地であり、全ての情報が、まるで蜘蛛の巣のように複雑に集まり、そして巧妙に隠されているであろう、あの偽りの平和と繁栄に満ちた王都の中心部へと、再び潜入する以外に、もはや道は残されていなかった。しかし、今の彼女は、国王自らの勅命によって、王国中から、その首に莫大な懸賞金がかけられ、血眼になって追われる「国賊」「反逆者」そして「魔女」の身。公然と、その美しい姿を白日の下に現すことは、即座に捕縛され、そしておそらくは弁明の機会さえ与えられずに処刑されることを意味していた。
そこでエリザベスは、かつて、彼女が、その繊細で傷つきやすい心を守るために、そして周囲の、時には悪意に満ちた期待に応えるために、最も嫌悪し、そして同時に、誰よりも巧みに、そして完璧に操ってきた、あの「仮面」を、再び、しかし今度は全く異なる目的のために、戦略的に利用することを、冷徹なまでの覚悟をもって決意した。それは、あの、誰をも寄せ付けないほどに冷徹で、全ての感情を完璧に押し殺し、そして誰にも、その美しい心の奥底の内を、決して読ませることのない、あの、かつて彼女の代名詞であった「氷の薔薇」の仮面だった。しかし、今度のそれは、かつてのように、ただひたすらに自分自身を守るためだけのものではなく、愛する者たちと、そして踏みにじられた真実を守るための、鋭利で、そして何よりも美しい、研ぎ澄まされた武器としての、そして最後の切り札としての仮面だった。
彼女は、忠実なゲルハルト老騎士と、数名の、最も信頼の置けるシルヴァリアの護衛兵たちとは、涙ながらに、しかし再会を固く誓って一時的に別行動を取り、彼らには、ルシアンが残した証拠を確保し、そして来るべき時に備えるよう指示を与えた。そして彼女自身は、信頼できる、エルム村から彼女を慕ってついてきた数名の、しかし機転の利く若者たちだけを伴い、その、誰もが息をのむほどの美貌と気品を、粗末な旅装と、巧みな化粧、そして何よりも、彼女自身の、女優顔負けの演技力で完全に隠し、時には物乞いの老婆に、時には旅の薬売りの娘に、時には陽気な旅芸人の一座の一員に、まるでカメレオンのようにその姿を変えながら、夜の、全てを曖昧にする深い闇に紛れて、オルダス公爵の張り巡らせた、執拗で、そしてどこまでも広がる監視の目を、まるで風のようにすり抜け、危険な、そして誰も知らないような山間の間道を辿り、王都へと、一歩、また一歩と、その細い足で、しかし確かな意志をもって向かった。その道中は、常に、背後から迫り来る追手の影に怯え、一瞬たりとも心休まる時とてなく、飢えと、寒さと、そして何よりも、愛するルシアンの安否への、胸を締め付けるような不安と戦い続ける、あまりにも孤独で、そしてあまりにも過酷な、魂をすり減らすような潜行だった。しかし、彼女の、その凍えるほどに冷たい心の中には、ルシアンの、あの血染めの手紙に綴られた、熱く燃えるような愛の言葉と、そして、エルム村の人々の、あの素朴で、しかし何よりも温かい笑顔が、まるで消えることのない、聖なる灯明のように、常に、そして力強く灯り続けていた。それこそが、彼女を支える、唯一無二の力だった。
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