四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

文字の大きさ
19 / 254

13話 モリーのお店

しおりを挟む
 今度はガン見しないようにと注意しながら、また人間観察をしつつ歩き始める。
 しばらくすると、表通り沿いに一軒の武器屋を発見した。
 中に入ると広い店内に女性が一人。

モリー
人 女 32歳

 赤味かかった浅黒い肌に栗色の赤髪、胸も大きく背も高い、そして結構な筋肉質と、ベラーナさんに負けず劣らずのワイルド美女だ。
 左手の小指には文字がびっしりと刻まれた銀色の指輪が鈍く光る。

 黒い瞳もエキゾチックで素敵です。

「いらっしゃい」
「お邪魔します」

 とりあえず店内の武器を見て回り、一通り見終わったところで思案する。
 武器を片手で扱うと、どうしても技術的に武器単体での攻撃の幅が狭まってしまう。
 籠手と盾が一体化してるなら兎も角として、そうでないなら出来れば両手で持ちたいところだ。

 かと言って長すぎる武器は洞窟などで威力を発揮しづらい。
 でもまぁ…槍だな。
 なんと言っても《槍は武器の王者》だ。
 中国の有名な拳法家も言っていた気がする(うろ覚え)
 確かただの棒で壁際を飛び交うハエを壁に押し当てることなく鋭い打撃力で全て突き落したとかの逸話が有名だったか。
 …思考が逸れたので武器選びに戻る。
 先にも述べたが長柄すぎるのは避けたいので、やはりここは短槍か。
 ショートスピアは確か――あった。
 木の柄に鉄の刃が付いた物で、金属部分が小さいためかロングソードよりはお安めだ。

鉄のショートスピア
スロット【空き】

 長さは大体140~150cm、先端には少し幅広の刃が付いており、棒の先端にソケットかぶせて固定されている。
 石突の方にも金属のソケットで補強されている。

 ソケットはきっちり金具で留められているので外れそうにないな。
 値札を見ると150カパーと手の出る範囲だ。

 うん、これでいいかな。

 次に鎧だが、あまり高いのは無理だから革製品しかないな。
 良さげな革のベストを発見。
 お値段は100カパーか。
 今はこれでいいかな。

 あと手甲なんかが欲しいなぁ。
 槍はただ突くだけでなく、細かい操作をするつもりなので、グローブなんかで覆うより直に触れるほうがいい。
 手の部分が空いているが手の甲はちゃんと被える感じのが欲しいが……見当たらない。
 仕方が無いので槍を持ってカウンターへ向かう。

「決まったかい?」
「えぇまぁ。あと槍の穂先にカバーが欲しいのですが」
「ナイフ要ので代用できるから銅貨8枚ね」
「それと手甲とかってあそこにあるだけですか?」
「そうさねぇ、簡単なものならすぐ作れるが、今はあそこにあるだけだ」
「んー、こう親指に引っ掛ける感じで手の平部分をあけた、肘くらいまである布に手の甲まで革で覆う感じのが欲しいんですが」
「なんだい、それくらいならお安い御用さ」
「おお、ちなみにお値段とかどれくらいになります?」
「80カパーってところだねぇ。革の上に薄い鉄板を付けても120カパーくらいよ」

(150+100+120+5=375c)

「じゃぁ鉄板付きでお願いします」

 銀貨を4枚取り出し手渡すとおつりで銀貨1枚がそのまま返ってきた。

「いいんですか?」
「初見だし、駆け出しみたいだからサービスしとくよ」

 なかなか気風きっぷのいい女将さんである。

「ありがとう美人のお姉さん!」
「なっ、こんなおばさんをからかうんじゃないよ! ったく、ちょっと待ってな、すぐ作ってくるから。モティナ! 店番してくれるー?」
「はーい」

 照れたのか、顔を赤らめ奥へと行ってしまったモリーさんに代わって、モリーさんの面影を宿した少女が現れた。
 真夏だからか薄着でスカートの丈も膝上よりもやや上と、健康的な服装だ。

モティナ
人 女 15歳

 白い肌にモリーさんと同じ栗色の赤髪。
 胸はやや控えめだが、モリーさん似の愛らしい顔は将来有望である。
 そんなモティナが木製のトレイに水の入ったコップを差し出してくれた。
 左手の中指には、モリーさんと御揃いの指輪がはまっている。

「今日は暑いですねー」

 少女は人見知りすることなく気軽に話しかけながら、薄い服の胸元に指をかけてあおぎ始める。
 その服の隙間からは見えてはいけない愛らしい突起が見えたので、表に目を向けるフリをして自然体で目をそらした。
 
 危うく水を吹くところだった。

「きょ、今日は日差しが強いからね…」
「あ、心配しなくてもお水はサービスですからね♪」

 お兄さんは水の代金なんかよりも君のその無防備さが心配です。

 モティナに革のベストを調整してもらうと、空いた時間で『親指の第一関節から先が離れる』子供だましな手品や、『立てたコインを左の人差し指で押さえ、押さえた指の上を右手の人差し指を走らせながら右手の親指でコインを弾いて回転させる』という、これまた子供だましの手品を見せ、そのタネ明しをして盛り上がる。

 なんだか妹が出来たみたいで少しほっこりする。
 リシアにも見せてあげよう。

 そこへモリーさんが戻って来た。

「すまないね、娘の面倒を見させたみたいで。ちょっと着けてみてくれるかい?」
「いえ、俺もお姉さん似のこんな可愛い子とおしゃべりできて楽しかったです」

 簡単なお世辞を言いながら、モリーさんに渡された手甲を両手に装備する。
 俺が言ったモノに更に改良が加えられており、とても手に馴染む。

「おお、こんな良いのをありがとうございます!」
「ま、まぁ気に入ってくれたみたいで良かったよ……」
「?」

 声に妙な違和感を感じ振り向くと、モリーさん親子は二人共赤い顔をして視線を逸らしていた。

 今日は結構暑いし、暑さに当てられたのかな?

「ではこれで失礼しますね」
「モンスターの素材があれば何か作ってやることも出来るから、良いのが手に入ったら持ってきな」
「お兄ちゃんまたね」
「家の中に居ても熱中症にはなるから水分補給は忘れないようにね」

 そんな注意をしながら、手を振って見送ってくれた二人に手を振り返し店を後にした。

 素材を集めて装備を作る。
 これは楽しみが増えたかも。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...