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26話 装備強化
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冒険者ギルドでいくつかのアイテムを購入し、意気揚々と訪れたのは、やはり武器屋モリーであった。
「あ、お兄ちゃん!」
現れるなりモティナが駆け寄ってきた。
小動物じみててかわいい。
「もう、昨日も来てくれたらしいじゃないですか、私が来るまで待っててくれたらよかったのに!」
「ははは、ごめんごめん」
頬を膨らませるモティナに謝り頭を撫でる。
「それで、御用はなんですか?」
「うん、ちょっと彼女の装備を見にね」
そこで初めてリシアに気が付いたモティナは、俺の腕にしがみ付きながらリシアを見つめる。
「わ、綺麗な人!? お兄ちゃんの恋人ですか?」
「恋人と言うか「トシオ様の妻でリシアと申します」
俺の言葉を遮るようにして前に出ると、にこやかにそう宣言した。
二人は初対面の様だ。
普通ならこの場合、にこやかな微笑みに威圧感を込めるところなのだろうが、その雰囲気はとても涼しげで何事も無く笑顔を向けている。
これはアレだ、強者故の余裕的な奴だ。
てかケットシーのルーナに嫉妬する彼女がモティナにこの余裕ってことは、リシアにとってモティナは……。
「お兄ちゃんってもう結婚してたの!? じゃぁ私は2号さんに立候補します!」
リシアに猫以下認定を受けた少女が、なにやらとんでもない事を口にしたが、リシアのその表情に微塵の揺らぎもなかった。
これが絶対王者という奴か……。
「ありがとう、考えておくよ」
モティナを軽くあしらい腕に取り付けたまま店の中へ突き進む。
敵と戦う上で背後からの奇襲は非常に怖いものがあるので、そういう想定はして然るべきであろう。
そして当面はリシアには後ろを任せることになるため、彼女の装備にお金をケチる訳にはいかない。
「リシア、お金は気にしなくていいから選んでくれ。……しかし金属盾ともなると結構重いな」
適当な盾を手に持って構えてみる。
「ライトウェイト化すれば軽くなりますよ?」
「なにそれ?」
「ある魔法鉱物を用いて装備に付与する事で、重量を軽くできるのさ」
モティナに聞き返すと、娘さんの首根っこを掴んで俺から引き剥がしたモリーさんが応えてくれる。
そのモリーさんに掴まれたモティナだが、じたばたしながら俺のほうに手を伸ばす。
すまんなモティナ、実は結構邪魔だったのでそのままで居てくれ。
「てことは、完成品に後からでも付与出来ます?」
「そいつは可能だが鉱物が少しばかり高い。その辺の鉄製装備に使うのはお勧めしないねぇ」
一体いくらするんだろ?
「で、欲しいのは金属盾かい? ジスタの旦那んとこのお嬢さんにってんなら良いのが一つあるわ」
と言って奥に引き込み、解放されたモティナが再び腕にしがみ付く。
モリーさんが戻ってきたその手には、直径70センチ程の円形の金属盾があった。
ミルトライトシールド
打撃軽減(中)
斬撃軽減(中)
刺突軽減(小)
炎軽減(小)
ライトウェイト付与
スロット【空き】【空き】
「でもお高いんですよね?」
「まぁ駆け出しのあんたじゃ手が出ない程度にはね」
モリーさんが初心者相手に高額商品を見せたことに、言ってからしまったという顔をする。
「とりあえず、ちょっと着けさせてもらえます?」
「構わないよ」
モリーさんがリシアに盾を装着させる。
途端、リシアの顔に驚きが浮かんだ。
「どう?」
「金属製とは思えないくらいに軽くて扱い易いです!?」
構えたり少し振り回したりしてその感触を確かめるリシア。
「ちなみにお値段は?」
「3万カパー」
「買った」
「「え!?」」
モリーさんはまさか俺がそんな大金を持っているとは思っていなかったことに、リシアは自分にそんな高額装備を買い与えられるとは思わなかったことに、それぞれが驚きの声を上げた。
「それと同じような装備は他にもありますか?」
「あ、あぁ、あるにはあるけど……、鎧だけでも4万カパーはするよ、本当に大丈夫なのかい?」
「えぇ。でも、2つセットだから少しは勉強してくれますよね?」
モリーさんを笑顔で見つめてみた。
「……はぁ、かなわないねぇ。鎧は3万5千にしといてやる。あと店頭にあるものならどれでも好きなの一つ持って行きな」
「さすが美人のお姉さん!」
「だから揶揄うなって言ってんだよ!」
モリーさんに怒鳴られながらも、鋼鉄製のチェインメイルを選び、金貨7枚を手渡しお釣りをもらう。
「あと、こいつなんですが」
収納袋様からエアレーの角を取り出しモリーさんに渡す。
「おや、エアレーの角じゃないかい。加工後アドアリナの樹液に漬けて乾かすと、軽い上に鋼鉄以上の強度と木の様なしなやかさを持つから武器の柄に重宝されてるね」
「これでなにか作れます?」
「あんたは確かショートスピアだったね? 一本丸ごと使えば短槍の柄ぐらいなら作れるよ。家にある手持ちの特殊鉱石を使えばそこそこのなら出来なくはないけど……特殊鋼も高いよ?」
「お手柔らかにお願いします」
流石に所持金を全て使うわけにはいかないので、出来れば程々に押さえておきたい。
「まぁショートスピアなら刃を付け替えるだけで強化していけるし、鉱物も少しで済むから高くは無いけどね」
「ちなみに一番高いのでどれくらいになります?」
「そうだねぇ……さっきの鎧と同じミルトライト鉱を使えば刺突と斬撃強化、トクルライトなら身体強化。どちらにも防錆付与で2千カパー、さっきのもあるし1千700にまけといてやるよ」
「刃はパルチザンくらいの大きさになりません?」
パルチザンは槍だが剣のように斬ることも可能なシンプルな複合武器だ。
「それならもう4千追加ってところだ」
「ではトクルライトでしたっけ? でお願いします」
「はいよっ」
金貨5枚と銀貨7枚を渡す。
「じゃぁ三日後に来てくれたら朝までには完成してるよ」
そう言いながらモリーさんはチェインメイルのサイズを鍛冶師のスキル〈フィット〉で調整してくれた。
手直しとかではなくスキル一発でサイズ調整とは、さすがファンタジーな世界である。
そして三日後なら、丁度モーディーンさんに勧めて頂いたクエストにも参加できそうだ。
若干遠足気分になってしまうが、少し楽しみである。
「あ、お兄ちゃん!」
現れるなりモティナが駆け寄ってきた。
小動物じみててかわいい。
「もう、昨日も来てくれたらしいじゃないですか、私が来るまで待っててくれたらよかったのに!」
「ははは、ごめんごめん」
頬を膨らませるモティナに謝り頭を撫でる。
「それで、御用はなんですか?」
「うん、ちょっと彼女の装備を見にね」
そこで初めてリシアに気が付いたモティナは、俺の腕にしがみ付きながらリシアを見つめる。
「わ、綺麗な人!? お兄ちゃんの恋人ですか?」
「恋人と言うか「トシオ様の妻でリシアと申します」
俺の言葉を遮るようにして前に出ると、にこやかにそう宣言した。
二人は初対面の様だ。
普通ならこの場合、にこやかな微笑みに威圧感を込めるところなのだろうが、その雰囲気はとても涼しげで何事も無く笑顔を向けている。
これはアレだ、強者故の余裕的な奴だ。
てかケットシーのルーナに嫉妬する彼女がモティナにこの余裕ってことは、リシアにとってモティナは……。
「お兄ちゃんってもう結婚してたの!? じゃぁ私は2号さんに立候補します!」
リシアに猫以下認定を受けた少女が、なにやらとんでもない事を口にしたが、リシアのその表情に微塵の揺らぎもなかった。
これが絶対王者という奴か……。
「ありがとう、考えておくよ」
モティナを軽くあしらい腕に取り付けたまま店の中へ突き進む。
敵と戦う上で背後からの奇襲は非常に怖いものがあるので、そういう想定はして然るべきであろう。
そして当面はリシアには後ろを任せることになるため、彼女の装備にお金をケチる訳にはいかない。
「リシア、お金は気にしなくていいから選んでくれ。……しかし金属盾ともなると結構重いな」
適当な盾を手に持って構えてみる。
「ライトウェイト化すれば軽くなりますよ?」
「なにそれ?」
「ある魔法鉱物を用いて装備に付与する事で、重量を軽くできるのさ」
モティナに聞き返すと、娘さんの首根っこを掴んで俺から引き剥がしたモリーさんが応えてくれる。
そのモリーさんに掴まれたモティナだが、じたばたしながら俺のほうに手を伸ばす。
すまんなモティナ、実は結構邪魔だったのでそのままで居てくれ。
「てことは、完成品に後からでも付与出来ます?」
「そいつは可能だが鉱物が少しばかり高い。その辺の鉄製装備に使うのはお勧めしないねぇ」
一体いくらするんだろ?
「で、欲しいのは金属盾かい? ジスタの旦那んとこのお嬢さんにってんなら良いのが一つあるわ」
と言って奥に引き込み、解放されたモティナが再び腕にしがみ付く。
モリーさんが戻ってきたその手には、直径70センチ程の円形の金属盾があった。
ミルトライトシールド
打撃軽減(中)
斬撃軽減(中)
刺突軽減(小)
炎軽減(小)
ライトウェイト付与
スロット【空き】【空き】
「でもお高いんですよね?」
「まぁ駆け出しのあんたじゃ手が出ない程度にはね」
モリーさんが初心者相手に高額商品を見せたことに、言ってからしまったという顔をする。
「とりあえず、ちょっと着けさせてもらえます?」
「構わないよ」
モリーさんがリシアに盾を装着させる。
途端、リシアの顔に驚きが浮かんだ。
「どう?」
「金属製とは思えないくらいに軽くて扱い易いです!?」
構えたり少し振り回したりしてその感触を確かめるリシア。
「ちなみにお値段は?」
「3万カパー」
「買った」
「「え!?」」
モリーさんはまさか俺がそんな大金を持っているとは思っていなかったことに、リシアは自分にそんな高額装備を買い与えられるとは思わなかったことに、それぞれが驚きの声を上げた。
「それと同じような装備は他にもありますか?」
「あ、あぁ、あるにはあるけど……、鎧だけでも4万カパーはするよ、本当に大丈夫なのかい?」
「えぇ。でも、2つセットだから少しは勉強してくれますよね?」
モリーさんを笑顔で見つめてみた。
「……はぁ、かなわないねぇ。鎧は3万5千にしといてやる。あと店頭にあるものならどれでも好きなの一つ持って行きな」
「さすが美人のお姉さん!」
「だから揶揄うなって言ってんだよ!」
モリーさんに怒鳴られながらも、鋼鉄製のチェインメイルを選び、金貨7枚を手渡しお釣りをもらう。
「あと、こいつなんですが」
収納袋様からエアレーの角を取り出しモリーさんに渡す。
「おや、エアレーの角じゃないかい。加工後アドアリナの樹液に漬けて乾かすと、軽い上に鋼鉄以上の強度と木の様なしなやかさを持つから武器の柄に重宝されてるね」
「これでなにか作れます?」
「あんたは確かショートスピアだったね? 一本丸ごと使えば短槍の柄ぐらいなら作れるよ。家にある手持ちの特殊鉱石を使えばそこそこのなら出来なくはないけど……特殊鋼も高いよ?」
「お手柔らかにお願いします」
流石に所持金を全て使うわけにはいかないので、出来れば程々に押さえておきたい。
「まぁショートスピアなら刃を付け替えるだけで強化していけるし、鉱物も少しで済むから高くは無いけどね」
「ちなみに一番高いのでどれくらいになります?」
「そうだねぇ……さっきの鎧と同じミルトライト鉱を使えば刺突と斬撃強化、トクルライトなら身体強化。どちらにも防錆付与で2千カパー、さっきのもあるし1千700にまけといてやるよ」
「刃はパルチザンくらいの大きさになりません?」
パルチザンは槍だが剣のように斬ることも可能なシンプルな複合武器だ。
「それならもう4千追加ってところだ」
「ではトクルライトでしたっけ? でお願いします」
「はいよっ」
金貨5枚と銀貨7枚を渡す。
「じゃぁ三日後に来てくれたら朝までには完成してるよ」
そう言いながらモリーさんはチェインメイルのサイズを鍛冶師のスキル〈フィット〉で調整してくれた。
手直しとかではなくスキル一発でサイズ調整とは、さすがファンタジーな世界である。
そして三日後なら、丁度モーディーンさんに勧めて頂いたクエストにも参加できそうだ。
若干遠足気分になってしまうが、少し楽しみである。
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