四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

文字の大きさ
47 / 254

41話 思考する凡才

しおりを挟む
「顔合わせは済みましたかにゃ?」

 俺達第三班が一通り挨拶を終えると、見計らったかのようにモーディーンさんが全員に声をかけてきた。
 事実に見計らっていたであろう。

「はい」
「では皆さん、大パーティの申請を出しますにゃ。PTリーダーの人は挙手をしてくださいにゃ」

 大パーティ?

「〈大規模PT作成〉ですにゃ」

 手を挙げながらも聞き慣れない単語に首を傾げていると、モーディーンさんはすぐにスキルを発動させた。
 すると目の前にシステムポップが現れる。

《大規模PTの申請が届きました》
《承認しますか?》
>はい  いいえ

 まぁ問題なさそうなので承認しておく。

「今のはなんですか?」
「〈大規模PT作成〉と言うのはですにゃ、冒険者ランクが4になってから使えるPT拡張スキルですにゃ。通常の6人1PTでは攻略が困難な敵が居る迷宮最深部に挑むときなどに使われる事が多いスキルで、最大8PTまで同じPTとして纏めることができるようになりますにゃ。当然同じPTとして扱われるため獲得経験値や範囲効果がPT全員にかかる魔法なども共有できますにゃ」

 なん…だと……!
 つまりそれは6人×8PT=48人のハーレムPTが理論上可能ということか……!?
 流石に48人も嫁や恋人の相手するなんて面倒すぎて嫌だけど、従属魔物込みで2PT分はあると今後便利かも。

「メンバーとの距離が離れすぎると経験値や魔法の効果は得られないので、そこは気をつけてくださいにゃ」
「「はい」」

 PTリーダーの俺とレスティーが返事をし、他のメンバーも頷いた。

「今は私達スタッフの2PTと君達の6PTを合わせて8PTですにゃ」

 今は参加者全員〈大PT〉で纏まってる状態か。
 そりゃ管理も楽だな。
 あとでどんな奴が居るのかステータスウィンドウで確認してみようかな。

「私の干渉はこれくらいにしておきますにゃ。ここからは自由行動、班で話し合って決めてくださいにゃ。最後に、お昼ご飯が欲しい方はあちらの赤い旗の見えるギルドスタッフの本部であるコテージの前に来てくださいにゃ。簡単な食べ物が支給されますにゃ。それで足りない場合は自炊するか夕食まで我慢してくださいにゃ」

 そう言うと、3歩下がって傍観モードに入った。

 お昼は結構いい加減だな……。

「とりあえず食べ物貰ってから考えようか?」

 俺の提案に皆が頷いた。


 俺達はスタッフ本部の前で果物とパンを受け取ると、井戸の水をコップに汲んでから近くにあった長テーブルに向かった。
 木製の長テーブルを囲むように丸太の椅子があり、俺はテーブルの中心に陣取りその右隣にリシアとフィローラ左隣にククとトトが座ると、対面にレスティー達が座っていった。

 井戸の水を汲んだついてに手を洗い、手拭いで拭いてからリシアの頭をなでさせてもらった。
 上書き上書き。

 それを見ていたユーベルトが、うらやまし気に俺をにらんでいたが、今は無視しておく。 

 リシアを愛でる権利は誰にも渡さん。

 なぜかククも羨ましそうに見ていたので頭を撫でてあげると、尻尾を高速で振っていた。
 可愛い。 
 
 ちなみに今の彼女達は紐パンのようなもので局部を隠している。
 やはり日中出歩く際にドロワーズみたいなのでは、気温と体毛のせいで蒸れるようだ。

 ここでトトが後ろから抱き着いてきた。

「トシオ、あてのことも撫でていいよー?」
「情けない奴に撫でられて嬉しいのか?」
「えーなんのことー?」

 トトに嫌味で返したが、本人はここに到着してすぐの発言を忘れているのか、全く悪びれる様子が無い。

 ガッデム!
 まぁ…撫でてあげるんだけどね。

「こほん、そ、そう言うのは他所でやってもらえないないか?」
「あぁ、すまない」

 ユニスに窘められたのでトトの頭から手を放す。

「それでぇ~、これからどうしよっか~?」

 レスティーが皆を見ながら意見を求める。

 正直なところ、面子が個性的すぎて夕飯までみんなとしゃべってるだけでもたぶん楽しめそうではあるのだが、目的は俺達の仲間作りと強化である。
 なら遊んでないでその辺を散策するのも良いかも知れない。
 夕飯まで自由と言うことは、この合宿の趣旨からしても初心者に〈夜のトンボ狩り〉なんて変な夜間演習はさせないだろう。
 今日はたぶんだが夕飯食ってさっさと寝ろで終わりそうだ。

 なので早速そう提案してみることにした。

「狩りに行こうぜ」

 俺の機先を制してそう提案したのはユーベルトだった。

「あたしも狩りには賛成だ」
「あても行きたい!」 

 それにリザードマンのクサンテとトトが賛同した。

 お前らなにも考えてないだろ…。

 人の行動パターンって大まかに分けて三通りだ。
 何も考えずやりたい事をやる奴と考えてから行動する奴。
 そして誰かに任せる奴。

 考えずに行動する奴は思考と行動が直結している為に無鉄砲だが行動に移すまでの時間が速い。
 考えて行動する奴は計画的だが最終決断まで思考しないといけないため行動が遅い。
 前者には実行力、後者には総合的な知力が求められる。
 あと後者でも素早く結論にたどり着ける人も居るが、そんなのは余程場慣れしているか極一部の秀才天才だ。

 そして今の俺達には実力が無いため即決できず、経験が無いので判断力に乏しい。

 俺は自分を思考型だと思っているので、ここでの役割に徹したほうが良いだろう。
 役割、具体的には同じ思考型の人間と話し合って無難な意見を出し、無思考型の人間と他人に任せる流され型を制御することだな。 
 ベストではないがベターであろう。

 この中で思考してから行動するタイプを探すために一同を見ると、俺と同じく何かを探すような目をしたレスティーとユニスに視線が絡まる。

 この二人だな。

「トシオちゃんはどう思う?」

 レスティーがワザとらしく俺に意見を求めてきた。

「そうだなぁ…、夕食後に〝夜間のトンボ狩り〟なんてのはまずないだろうし、村の近くを散策して皆の動きを見ておくのも良いと思う。ユニスはどう?」
「うむ、私もトシオ殿と同意見だ」

 俺のパスから大仰に頷くユニス。

 完全に三文芝居です。本当にありがとうございました。
 しかも芝居までして単に無計画型の意見を採用しただけである。
 だが間違いなく、俺達三人の中で小さいが確かな絆が芽生えたのを実感した。

 そしてこれは今後に関わる試金石になるであろう。

 隣に居るククが「えっ……」と小声で引いているのが聞こえたが、あえて無視する。
 戦いに対する恐怖があるククには荒療治も兼ねて、このビッグウェーブに乗っておく方がいいだろう。

「あ、あの……!」

 行くにしても情報収集はしないといけないなと考えていた矢先、フィローラがおずおずと手を上げて発言許可を求めてきた。

「どうかした?」
「は、はい! あの、散策する前にこの周辺の敵の種類や強さを誰かに聞いたほうが良いと思いましゅ……」

 彼女の言ったことは今正に俺が考えていた事だった。
 恥ずかしがりやなのか強く言えない様だが、言わなければならないことはきちんと言ってくれた。

 うん、この子欲しいな。
 ハーレム云々ではなく情報参謀や作戦参謀として、エレメンタラー抜きにしてもPTに是非加えたい。
 ホントに決して全然これっぽっちも可愛いからとかそんなんじゃないからね?

 小説や漫画なんかに出てくる化け物級の司令官や指導者は、誰かに言われなくても全部一人でこなしてしまいうが、そんな超人なんてまず居ない。
 どんな優れた司令官や指揮官だって、実際には参謀や周りの人材に頼るものだ。
 そして俺は凡才だ。 
 当然思考から抜け落ちたり忘れたりなんて常である。
 そんな時こそ、こう言う気が付く子には是非傍に居てもらいたい。

「俺もフィローラの意見に賛成だ。情報収集はしておこう」

 レスティーとユニスに目を向けると、二人も頷く。

「この中でここらの情報に詳しい人は居る~?」
「僕この村の教会の子だから知ってるよ~」

 レスティーの声にアレッシオがニコニコ顔でパンを頬張り手を上げた。 

 まさかの第一村人がここに居たー!?

「あらやだそうだったわねん」
「じゃぁアレッシオ、この辺りにはどんな魔物が居るのか教えてくれると助かるよ」
「うん!」
  
 アレッシオは笑顔で頷きパンを咀嚼する。

 この子あれだ、誰かに似ていると思ったらローザだ。

 脳裏にローザの顔を思い浮かべると、途端にあのわがままなお腹が恋しく思えてきた。
 昨晩リシアと二人でアレだけ揉みしだいたのにな。

 それとずっと無視していたが、俺達が話し合っている最中、リュートを奏でながらめちゃくちゃいい声でバラードを歌っているアーヴィン。

 初めは面白かったのだが、途中から感極まって泣きはじめたのが素直に気持ち悪かった。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

処理中です...