四人で話せば賢者の知恵? ~固有スキル〈チャットルーム〉で繋がる異世界転移。知識と戦略を魔法に込めて、チート勇者をねじ伏せる~

藤ノ木文

文字の大きさ
252 / 254

240話 女神の策謀

しおりを挟む
 息も絶え絶えな高梨がワープゲートから転がるように飛び出ると、そのまま地面に手足を投げ出した。
 場所はバラドリンドの首都から30キロほど離れた乾燥地。
 水辺も無いでこぼことした土と石だけの荒れ地で、農耕には不向きな不毛の大地だった。

「くはっ、はーっ、はーっ、はーっ……」

 酷い頭痛に|苛〈さいな〉まれるも、やり遂げた達成感に右腕に握りこぶしを作り天に突き出す。
 
「見たかタヌァ、ありったけの魔力で爆破してやったぜ!」
「えぇ観ていたわ、あんなの倒しちゃうなんて流石ねヨージ!」

 きわどいデザインの煽情せんじょう的なローブを身にまとった美少女が忽然こつぜんと姿を現すなり、興奮気味に高梨をめもてはやす。
 美しい肌を『けるような肌』と言い表すが、少女のそれは比喩ひゆではなく本当に透けていた。
 
「だろ? 至近距離でのあの爆発、あれで生きてたらそれこそバケモノだよ」
「えぇえぇ、本当にすごかったわ! これならお父様もヨージとのこと認めてくれるわ!」
「ハはハ、そうだと良いんだけど」

 恋人だと思っていた仲間たちに裏切られ、つい先ほどまで人生のどん底だと思っていた高梨が照れくさそうに頭をかく。
『そうだ、あんな奴らのことは忘れて自分は目の前の彼女と結ばれるんだ』と思い直した。

「あとは神の封印を解いて体を取り戻せば良いんだよな?」
「えぇそうよ。あぁ、これで長年の悲願が叶うのね! こんなに嬉しいことってないわ!」

 感極まった少女が両手を天にかかげクルクルと回り、見ていた高梨もつられて顔をほころばせたところではっと気付く。

「そう言やここって何処だ?」
「どうしたの?」
「め、迷宮にワープしたはずが見覚えのないこんなところに居るから変だな~って。はは」
「無我夢中だったからワープゲートの場所を間違えたんじゃないの?」
「そう、かな?」
「気になるならもう一度ワープしてみたら?」
「それもそっか……あれ?」

 タヌァに促され釈然しゃくぜんとしない高梨が再度迷宮へのワープゲートを開こうとするも、ワープゲートの出口はゲートの入口のすぐ前に現れた。

「出口がここに開くってどどどういうことだ!?」
「……ヨージ、嫌な予感がするわ、MPの回復に努めて」
「え、そ、それってアイツがまだ生きてるってこと!? も~マジかよ~」
「愚痴ってないで早くしなさい、でないとまた死ぬわよ」

 タヌァにうながされた高梨が渋々といった様子で立ち上がり、周囲に満ちた黄緑色の魔力の粒子を急速に取り込む。

「タヌァに教えてもらったこの魔力吸収での回復方法って本当にすっげーよな。MPを回復しながら経験値もゲットできるなんて強すぎだよ。はハ」
「慣れれば寝てても出来る鍛錬たんれん法よ、魔物を狩るよりずっとお手軽でしょ?」
「あぁ、体中に力が|漲〈みなぎ〉ってるのを感じる。こんな簡単にレベルアップ出来るなら、高い金払って魔晶石買い集めてたバラドリンド教のジジイたちがバカみたいだ!」

 高梨が見詰めた両手を握りしめ力を実感する。

「この力とタヌァからもらった死に戻りの加護があればなんだって出来そうだぜ。……そうだ、俺を裏切った女たちや子分みたいに扱いやがったナオキたちにもわからせてやろう!」

 顔を大きく歪めて吠える高梨に、一瞬冷めた眼差しを向けたタヌァがすぐに頬を膨らませ怒った仕草を作る。

「もう、調子にノって油断しないでよね? アイヴィナーゼの勇者なんて魔族どもとの戦いの前哨戦ぜんしょうせんですらないんだから」
「わかってるって!」
「それに、ヨージにもしものことがあったら私……」

 不安気にか細い声を絞り出すタヌァに、高梨はこれはなんだかいい雰囲気なので良いこと言って好感度を上げようと下心を出す。

「あ~、その、ほらあれだよあれ、神々タヌァたちの封印は絶対に俺が解いてやるから、だ、だからそんな心配そうな顔するなって、な?」
「ヨージぃ……」
 
 頬を赤らめたタヌァに見詰められ、高梨が正解が言えたと心の中でガッツポーズを決める。

「タヌァ。お、俺はタヌァをあっ愛してるっから、タヌァが体を取り戻すためならなんだってしてみせる! えーっと、そうだ、たとえこの先どんなことがあっても後悔はしない、だから俺を信じてくれ!」
「うん、ヨージなら絶対何とかしてくれるって信じてるから……!」
「その、でさぁ、タヌァの体が戻ったら俺と、その、あの……、けけ、結婚して、ほしいんだ!」
「ヨージ、嬉しい……!」

 感極まった表情で見つめ合う青い肌の青年と半透明の少女。
 高梨は少女が肉体を取り戻した後のお楽しみを想像して口元を歪めていると、空から急降下してきた人影が10メートルほど離れた場所でふわりと着地した。
 降って来たのは青黒い金属の槍を手にした全身黒甲冑の騎士だった。



「居た……」

 高梨を発見したミネルバが、情報共有魔法イージスシステムでその位置を知らせてくれた。
 通常であれば目をらしても見えない距離だったが、視力強化スキルをもってすればヤツの動きまでばっちりだ。
 高梨の居る場所は勇者たちをおびき寄せる予定だった候補地の1つ。
 ほかの勇者たちをほうむった地形と似ているが、岩などの遮蔽物しゃへいぶつが無いため奇襲には不向きと除外したのである。
 そして高梨の隣には薄っすらと少女らしき人影も。

「なんかよく見えないけどアレがタヌァって奴か」

 巨大魔法装甲同士での戦いや言動からして、高梨はお世辞にも戦闘が得意でもなさそうだし頭が良いとも思わなかった。
 だが高梨の口ぶりからタヌァがその欠点を補っているフシがあるためあの少女も油断は禁物だ。
 そもそも高梨自体がステータス的に俺より格上なため、油断なんてナメプ出来る訳が無いが。

「ここからは1人で行こうと思う。ミネルバは影剣さんたちと合流してくれ」
「ん……、わかった……」

 俺の指示にミネルバが返事まで少し間はあったものの、素直に了承してくれた。

 メリティエやトトだったら殺気立ちながら一緒に来たがるんただろうなぁ。

『ラストバトルに1人で向かうのはずるい、私にも混ぜろ』
『あても、あても行くー!』

 両手の関節を鳴らしながら言うメリティエと子供のように駄々をこねるトトがすぐ目に浮かぶフシギ。

「……それじゃ行ってくる」
「ちー……」

 俺はアダマンタイトの槍を握りしめると、ミネルバが高梨たちの頭上に差し掛かったところでその背から飛び降り、飛行魔法を駆使して静かに着地する。

「ひッ、本当に生きてた!?」
「……」
「生きてたとはずいぶんな言いぐさだな」

 小さな悲鳴を上げてしりもちを着く高梨と反応が微妙なほぼ半裸の少女。
 謎の少女の体が透けていることに、嫌な予感が確信に変わる。
 
 このエロいかっこうした少女ヤツ、間違いなく地母神レイティシアさん関係だ。
 俺でなくても見逃さないね。
 もう次から次へ不確定要素出してくるのホント勘弁してつかぁさい。

 次に高梨に目を向けると、周囲の魔力を無差別に吸いまくっている様子と青い肌を見てしまい背筋が凍る。
 それは俺が以前試そうとして即座にイルミナさんに止められた禁忌きんきの経験値入手方法だった。

 高梨こっちこっちの方が全然ヤバイだろ!?

「お前、今すぐそれを止めろ!」
「ひへ、そ、それって?」
「外の魔力を吸ってるそれだ! MP回復程度なら問題ないらしいが、体の深部にまで吸収すると魔族になるぞ!」
「魔族になる? ……は、はい、嘘乙ぅぅぅぅぅぅ! お前の口車には乗らないぜ! 勝てそうにないからって嘘は良くないんじゃないかなぁ?」
 
 立ち上がった高梨が精いっぱいの虚勢を張り、反発心からか魔力の吸引を強める。
 青い肌に黒が混じり、口元は耳まで裂け眼球が大きく飛び出しと、既に人間の域を超えていた。

 ここまで変化して人間に戻れるのか?

「真面目に聞け! 魔族にも2種類居て、今のお前みたいに後天的な魔族に成ると殺人衝動や欲望に支配され最後は自我を持たない化け物になり下がるんだ!」
「それも嘘ぉぉぉぉ! 俺が俺のままなのがその証拠! ハイ論破!」 

 自分が見えていない高梨が魔法で銀色の鎧を形成し、収納スキルから片手長剣を2本取りこちらに向かって疾走。
 高速で襲い来る2振りの剣を俺はチャドさんに習ったマクマレート流の歩法で間をずらし槍であしらう。
 それでもかなりギリギリだったことに驚かされる。

 クソっ、剣筋はド素人なのに無駄に速い!

 斬り結ぶかたわら、魔力吸収を阻止すべく大気の魔力を操作しヤツの周りから魔力を遠ざけようと試みるも、吸引力が強く止められない。

「しつこく追ってきやがって、俺が何したって言うんだ!」

 高梨がナオキたちと同じような口ぶりで自分の非を理解していない言葉を吐く。

「お前のお仲間にも言ったが、お前らは侵略戦争に加担し他国に攻め入ったせいで一般人に多くの犠牲者が出たんだ。その責任は取らないといけないんじゃないのか?」
「こ、こっちの国が攻められそうだったから先手を打ってなにが悪い!」
「先に攻められそうだから攻めたって言い訳になって無いんだよ。それに攻められそうになったなんて事実があるのかを、お前らは自分で調べたのか?」
「うえ? いや、調べるって、教皇の爺さんが、そう言って……」
「調べてないんだな?!」

 しどろもどろな言葉と共に動きに精彩を欠く高梨の腹部に槍を突き立てるも、鋭い槍の穂先はヤツの鎧を貫通出来なかった。

 こいつの魔法装甲どんだけ硬いんだよ!

 腹を抑えて片膝を付く高梨の首へ追撃横殴りで盛大に吹き飛ばした。
 高梨がよろよろとした動きで立ち上がり剣を構えるも、ヤツの首を90°横に折れ曲がっていた。

 おい待て、それ首折れてるよな?
 なんでそれで立ってんだ!?

「ぐうっ!? ……そう言うアンタはどうなんだ、本当に俺たちが先に攻めたって言いきれるのか!」

 高梨の頭が不自然な動きで元の位置に収まるのを目の当たりにしながらも、こちらも平静を装い会話を続ける。

「言えるけど? バラドリンドが影剣さん―ーシャドウセイバーをアイヴィナーゼとウィッシュタニアの二国間会談に送り込んできてからお前らの動向は注視してたし、バラドリンド国内で一時期上層部の不信を煽るビラをばら撒かれてた時なんてこの国に何度か潜入して調査してたからな」
「あ、あれはお前の仕業だったのか!?」
「そりゃそうだろ、敵対国家に加担してんだから。てかワイロでアイヴィナーゼの騎士団長と内通してたり食糧庫燃やされたらあれくらいはするだろ普通」
「普通ってなんだよ、なんでそこまでするんだよ……! 」
「そんなの、お前らが邪魔だからに決まってるからだろ」
「へ、邪魔……?」

 俺からのまさかのド直球に高梨が間抜けな声を漏らす。

「邪魔ってそんな、そんな小学生みたいな理――」
「邪魔でなければ不要と言おうか」

 高梨の言葉を遮って問うと、ますます訳が分からない様子で声を震わせる。

「お、俺にだって生きる権利は――」
「有る訳ないだろ。この世界には俺の嫁や仲間たち、そしてその家族が暮らしているんだ。なのにお前らときたら誰が死のうが自分たちじゃなければ問題ないみたいによく考えもせず戦争起こしやがって。はっきり言ってやる、俺の世界にお前らみたいなクソ&クソは要らないんだよ」
「な、なんだよそれ……なんなんだよ……、さっきから好き勝手に言いやがって! お前こそ俺の邪魔なんだよ! それにこんな世界のヤツらも、レベルも上げずにのうのうと暮らして戦争になったらすぐ死ぬモブとかそっちの方がよっぽどクソだろ!」

 感情を爆発させる高梨の左腕がいびつに盛り上がりうごめくと、複数の青黒い肉の触手が魔法装甲を突き破ってこちらに飛んで来た。
 気持ち悪すぎる不意打ち面食らうも、それを咄嗟に槍で払った。

 こんなの魔族化って言うより魔物化じゃねぇか!?

「へ……? あ、なんだよ、俺の、腕? え、どうなってんだよ……、ごれなんなんだよぉぉぉぉ!」

 左腕が無秩序に動く様にようやくに自身に起きた異変に気が付く高梨。

「だから言っただろ、お前は魔力を吸って魔族化してるって!」
「嘘だ! こんなの、俺が化け物になるなんて聞いてない! 聞いてないんだ! なぁタヌァ、魔族化なんてしてないよな?!」
「いいえ、ソイツの言ってることは本当よ」

 半狂乱となったことで魔法装甲が維持いじできず崩壊させた高梨。
 それを冷徹な眼差しで見詰める半透明の少女が、視線と同じ絶対零度の声で俺の言葉を肯定こうていする。

ヌァ……、今、なん……?」
「でもすごいわね、勇者の力って。普通なら色が変わってから体が変化するまでもっとかかるはずなのに、もうこんなに変わってるなんて」

 タヌァの指さす先では紫の血管が脈打つ触手がうねる。

 勇者の力で変化が加速した? 
 ……勇者の〈経験値UP〉のスキルのせいか!?
 魔力吸収でのレベル上げにも適応してるだけでなく魔族化も促進そくしんさせるとか、どう考えても欠陥スキルじゃねぇか古代魔法人うんえい

「嘘だよなぁ? 俺で化げ物になるなんで!? 夢だ、ごんなの! ごんなの信じない信じないがらな!」
「本当だって言ってるでしょ? アンタは魔素を含んだ魔力を吸い続けたの。魔素ってのはねぇ、神である私たちの怨嗟えんさ、人間どもへの呪いなの。呪う相手の人間がそんなの吸い続けたら魔化するに決まってるじゃない♪」
うぞだ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁぁ!」

 絶対零度のタヌァの表情が一変して満面の笑みと共に無責任にのたまうと、高梨が体に起きた異変に恐怖し夜空にこだます絶叫を上げる。
 こいつは救いようのないクソだが、それでもこれは観ていて気分が悪い。

「良いじゃない、人間なんてつまらない存在から解放されたんだから♪」
「良い訳ないだろぉぉぉぉ!」

 タヌァの口ぶりからして最初から高梨を魔族化させるのが目的の様だが、人間を魔族にして何が狙いだ?
 古代魔法人が手が付けられないほどの強さで暴れても、結局は魔族領から72魔王家が討伐に来るから意味無くないか?
 いや、経験値UPスキルで強さを加速させた後天型魔族なら世界を蹂躙じゅうりんできると踏んでるのか?

「え~、そんなに元に戻りたいのぉ~?」
「戻りだい! 戻しでぐれっ!」
「あはは、ざーんねんっ。そうなっちゃったらもうムリムリムリ~♪ あーそうそう、自我がある内に言っておくわね」

 楽し気だったタヌァの表情からストンと感情が消え、侮蔑ぶべつの眼差しに変わる。

「虫風情が、神である私と結婚? おぞましい妄言を吐かないでくれるかしら? ましてやアンタみたいな顔も中身も最悪なゴミと誰が結婚するのよ、ホント気持ち悪いったらないわね。……はぁぁぁ~、ずっと我慢してたことがようやく言えてスッキリしたーっ!」
「ぞんなダヌァ、お前も俺を裏切るのが!?」
「私の体を取り戻すためならどんなことが起きても後悔しないんでしょ? だったら大量の魔力を蓄えたアンタをダンジョンの最深部で爆発させて、この惑星ほし諸共封印を吹き飛ばすのに使っても本望よね? あっははははは!」

 すがる高梨の希望を断つタヌァは実に楽しそうだった。

 殴りたい、この笑顔。
 てか神の封印を解くのにそんな力技使うとかバカだろ!?
 ヤツの目的が判明しても全然嬉しかない!
 んなもんに巻き込まれてたまるかクソッッ!

「おい高梨、今すぐ魔力の吸収を止めろ!」
「あ、あ、ダメ、まらない、魔力が、勝手に入っでぐるぅぅぅぅ!!」
「あはは、そこまで魔化が進んだらあとは放っておいても魔力を永遠に吸い続けるだけよ。じゃなきゃペラペラと計画を教える訳ないじゃない」
「い、嫌、こんなの嫌だ! 助げで、だずげで、ダズゲデーダズゲテーダズゲテー……? だずげ、欲じイ……?」

 パニックから叫び続けていた高梨の腕やこめかみの部分に新たな目や口が生えたところで、憑き物が落ちたみたいに叫ぶのを止めた。
 代わりに新しく生まれた口から「キィィィィ……」やら「ピギャァァァァ……」だのと変な鳴き声を発している。
 今まで味わったことのない嫌悪感と共に『あれ絶対嫌悪していた物が嫌悪の対象じゃなくなっただけだろ』と口にしそうになったが、それが事実ならあまりの悲惨さに言葉が詰まる。

「ゾうダ、助ゲ、ラらり……。おデにはこのニバゴノぢからガ有れバビ、有レバ、全部ゼンぶの女ヲオでの物、殺ル犯るヤれるルヤルルヤルラルぅぅぅぅぅ!」

 高梨が何を言っているのかわからない絶叫を上げると、体の肉が別の生き物のようにうごめき盛り上がり、増殖する肉の塊がタヌァを呑み込んだ。
 人だった物体がゾウサイズのぶよぶよの肉がうごめくさまに嫌悪感が凄まじい。
 
 イルミナさんに止められてなかったら俺もこうなってたのか……!

「こんなヤツの中に入るなんて、れられなくても最悪の気分ね」

 タヌァが激しく同意したくなる感想と共に高梨だった肉の中からゆっくりとせり上がる。
 半透明な体の時点で今更だが、間違いなくこいつもレイティシアさんと同じ精神体なのだと再認識させられる。

「こうなったら高梨を殺して時間を巻き戻するしか――」
「言っておくけど死に戻り後の時間は今この場にしてるから、こいつを殺しても魔化したこの時間に戻るだけよ」
「ってことは、やっぱりお前が死に戻りの元凶か」
「あは、バレちゃった?」

 あざけりを浮かべたタヌァが目的に続いて秘密までわざとらしくバラす。

 何もできないと思って舐めくさりやがって。
 けどどうする?
 タヌァヤツの力で高梨が死に戻りするってことは、先にヤツを倒すよりほかにない。
 しかし相手は神の精神体、攻撃魔法が通用するとは思えない。
 しかも高梨は魔力を吸ってふくれ続けてるし。

 弱点は無いものかと〈鑑定〉スキルを発動させるも、2人には何の反応も示さなかった。
 
 膨張ぼうちょうする高梨を削りながらタヌァも殺す、果たしてそんなことが可能なのか?
 ……まぁ可能かどうかはやってみればわかることか。

「全力全開、クラウ・ソラス!」
「ヒッ!?」

 俺は魔法装甲エインヘリヤルをもMPに変換して光の散弾を放つが、光弾は何の手ごたえも無く小さな悲鳴を上げたタヌァを透過とうか
 続いて膨れた肉となった高梨に降り注ぐも、光弾が接触と同時に豪雨を浴びた傘のようなバババババババッと連続した音を立てて消えてしまった。

 クラウ・ソラスを皮膚ひふで弾くかー!?

「イィィヒ……?」
「ぷっ、魔化した人間に並みの攻撃魔法じゃ通用するとでも思ったぁ? 魔法を受け付けないから古代魔法人とか呼ばれてた奴らが滅びたのに。そんなことも見通せないなんてアンタ頭弱すぎぃ? ばぁか、ざぁこ、よわよわ人間~」

 調子づくタヌァにイラっとしたことで、逆に攻撃を完封されたショックから立ち直る。

 てかタヌァおまえも攻撃を受けた時ビビッて身をちぢめてたくせに。
 て魔法が身体の表面で弾かれたのは高い魔法防御のせいって感じか?
 魔法無効化の線もまだ捨てきれないけど。
 でもこれで後天性魔族相手に魔法に長けた古代魔法人たちが衰退すいたいに追いやられた理由も納得だわ。 
 だとすると物理攻撃で何とかするしかないか。
 こんなのを処理して回る魔族たちってどんな手を使ってるんだ?

 思考を巡らせている間にも高梨の肉体は膨張ぼうちょうを続け、今では小山なのかと錯覚するほど大きくなっている。
 ぬめり気を帯びた触手も増え続け、不規則にのたうち絡み合う様に迷宮のサンドワームを思い出す。

 向こうは魔法でどうにかなった分、これと比べるとサンドワームの方が全然マシだな……。

「それでどうするの? アンタじゃ私はおろか今の高梨コイツにすら傷を付けられないんじゃない?」

 挑発を口にするタヌァと直接視線を交した俺の眼差しは冷めたものだっただろう。

「あー、たぶんお前はどうにかなるから心配すんな」
「……あはっ、私をどうにかできるって? アンタが? 人間にしては面白い冗談――」

 こちらの下らない挑発をあざけるタヌァが、自身の背後から腹部を貫く緋色ひいろの刀身を見詰めて固まった。
 傷口からは血が滲んで広がるかのように、剣を起点に半透明だった体の透明化が進んでいく。

「な、何よこれ、私が、消える……!?」
「お前の後ろで収納袋様から剣を取り出し魔念動力で突き刺すだけの簡単なお仕事です。本当に略」
「ちょっと、そんな雑に私を殺し――まぁ良いわ。どうせ高梨こいつの暴走は止まらない。この速度なら魔族どもが来る頃には王様気取りの奴らですら手が出せないくらいに成長してることでしょうし、膨張が限界を超えたら地下で爆発させなくても目的は達せられるわ。生きていたらまた会いましょう、無残に散った星屑の中でね。あっはははは―――」

 タヌァが勝ち誇った高笑いと魔族化した高梨という特大の難題を残し、あっさりとその存在を消失させた。

 最後の口ぶりからして封印が解けたら復活すんのかよあの邪神。
 ……もしかして、エキドナって神の化身体が迷宮の魔物に取り付いてああなった説あったり?
 神々こいつらが迷宮で共食いしてる異常個体の存在の原因にもなってるとかシャレになってないだろ。
 ってそんなこと考えてる場合じゃないわ。

「ダヌァがえぢゃっだよぉぉぉぉー! ヒャィーキキキィ!」
 
 高悲しいのか嬉しいのか、梨がわめき肥大した肉体を弾ませながら5本に増えた腕を振り回す。
 振り回した腕につられて何本もの肉の鞭もビュボッと空気の壁を破る音を唸らせ飛んで来たため、それをかがんで回避する。
 さらに5本6本7本8本と連続で打ち出される鞭をギリギリでかわすも、そのあとに続く鞭まではさばききれないと判断し大きく飛びのく形で後退を余儀なくされた。
 尚も追って来る触手を神剣で斬り払うと、肉体から離れた触手が歪な目や口や鼻や手足を生やして向かってきた。

「ヒッ!?」
「ひゃーひひ、切られぢゃっだぁー切られ切られ~」

 触手なんて斬ったらその場で力尽きると思っていただけに驚かされるも、冷静に剣をひるがえし細切れにしてやる。

「これでどう――」
「キキキィィ」
「ピヤー」
「キョヒャヒィー」
「ミジジジ」

 バラバラにした触手が更に小さな触手を生やし向かってきやがった。

「キモ!?」

 俺はそれらをまとめて左手に握る槍で殴り飛ばす。
 入れ違いに飛んで来た高梨本体からの触手連打は飛行魔法を駆使して避けた。

「分裂増殖は流石にダメだろ!?」

 てかこれ完全に詰んでないか?
 魔法が効かない上に剣は奴の増殖を促すだけときたら、これはもういよいよもって打つ手が無いぞ。

 脳裏で嫌味な顔で高笑いするタヌァが浮かびイラっとした。

「最悪な置き土産をしてくれやがってあの邪女神!」

 悪態を吐きながら神剣で触手をあしらうも、避け損ねた触手に神剣を持つ右腕を持っていかれた。
 
「っつ!?」

 肘から先を失った激痛に魔法で痛覚をシャットアウトしながら回復魔法を発動させる
 だが俺の回復魔法では精々傷口を塞ぐのがやっとで、失った腕を生やすような高度な魔法は持ち合わせていない。

 万事休すってか?

 良案はないかと思考を巡らすが空転して全く何も浮かばない。

 ……これはもう開き直るしかないな。

「楽ぢい、いじめ、楽ぢぃ! もっどいじめるぅぅぅ!」

 肥大化を続ける高梨をしり目に、俺は収納袋様から金色の球体を取り出す。
 金属球に付けた名前は〈エーテルドライヴ〉。
 アイヴィナーゼ第五迷宮の最深部で獲得したダンジョンコアに神語を用いて付与した魔道具だ。
 その能力は魔法使い系の初期ジョブにもある〈MP回復〉スキルである。
 MPのMは魔力マナのM。
 レイティシアさんいわく、魔力とは神々の魂からあふれ出る力とのこと。
 それを踏まえて〈MP回復〉スキルを解析したところ、MP回復スキルはスキルを介して自身の魂を活性させることでMPの回復速度を高める効果なのだと判明した。
 だったら『その魂の活性化能力を極限まで高めてやればMP使い放題になるんじゃないか?』と思い至り、レイティシアさんとイルミナさんの協力の元で完成させたのがこの〈エーテルドライヴ〉である。
 ただ2人がそろって「使わない方が良い」と言っていたのには作ってから言わないでほしいと思った。

「でもまぁ、どのみちこのままだと世界が終わるんだ、ここは使わざるを得ないよなぁ」

 デメリットが未知数過ぎて渋々の戦々の恐々だが、新しいアイテムにワクワクするのはさすがに頭イカレているなと我ながら思う。

「……エーテルドライヴ、起動!」

 球体を胸に押し当て発動キーを唱えると、身体よりも深いどこかから熱いモノがあふれ出し、凄まじい量の魔力が身体の隅々まで駆け巡る。
 
「お、あ、っ……!?」
 
 視界が明滅し心拍数も跳ね上がるが、身体に起きた異変とは裏腹に頭は妙にクリアだった。
 
「お、おお、こんな感じか」

 懸念けねんだったデメリットは今のところ感じられない。
 ステータスではMPが完全回復した状態だが、MAXMPが表示以上に上がっているのが良くわかる。
 それでも湧き上がるMPは体には収まり切れず外へと漏れ出ていた。
 
「なるほど、世界が神々のマナであふれてるのってこういうことか」

 満タンでも湧き続けるMPがキャパオーバーし続けている状態だ。

 このあふれた魔力は自分で消費し続ければ結構好き放題出来るのでは。
 例えば――

勇者よ宿れエインヘリヤル!」

 MP不足から崩壊した魔法装甲を再構築。
 そこへ肉の鞭が飛んでくるも強化魔法が各種トッピングされたことで余裕をもって躱す。

 やっぱ二重加速ダブルアクセルは偉大だな。

 さらに失った腕の代わりに魔法装甲の応用で腕を形成すると、収納袋様から愛用の斬撃短槍ショートパルチザンを取り出し力強く迎撃した。
 思い通りに動く魔法の腕。
 感覚こそないがちゃんと機能はしてくれそうだ。
 さらに全てを見渡す高座フリズスキャルヴによる意識の拡張を利用し、魔法で生み出した電をプラスとマイナスに分け圧縮。

「荷電粒子砲!」

 縮退させた電撃を高梨にぶっ放す。
 紫の柱が閃光となって水平に直進し高梨を呑み込んだ。
 全力全開の縮退しゅくたい魔砲。
 今現在、ピンポイントで対象を攻撃する手段でこれを超える魔法を俺は持っていない。
 つまり、この攻撃が通らなければ打てる手が魔族との禁止条約に触れる質量攻撃魔法ラグナロクだけとなる。
 だが戦いが終わっても今度は72魔王が敵に回すことになる魔法だけは使えない。

 頼むからこれで終わってくれ!
 
「うおらあああああああああああ!」

 エーテルドライヴが輝きを増し、増幅された魔力を全て雷撃に転換。
 絞り出した紫電の光が直線状の先にある物すべてを消失させた。
 対象物である高梨を除いて。
 
「うヴぁあぁぁぁぁ~ ぎもぢいいぃぃぃぃ!」

 巨木のごとき腕が雷光を突き抜け天に掲げられると、真っ直ぐ俺に振り下ろされた。
 俺は迫る手の平に荷電粒子砲を撃ち切り奴の攻撃範囲から脱する。
 消失した雷撃から現れた高梨の体躯は、攻撃を受ける前よりも2回りは大きなものとなっていた。

「こいつ、俺の魔法を食ったのか……!?」

 攻撃魔法が通用しないどころか吸収されたとあっては、魔法使いである俺にはどうしようもない。 
 今までは魔力の枯渇に頭を悩ませてきた俺が、魔力が有り余る状況になったら今度は攻撃手段に事欠く事態に陥るとは。
 これはもう超常的な何かからの嫌がらせを疑うレベルである。
 
 ってこの状況を作り出したのがあの邪女神タヌァか。

「うボオォォぉぉォ! ギひィィぃィぃィィ!」

 もう人語すら発しなくなった高梨が何本もある腕を無茶苦茶に振り回し、それに付属する触手が蠢きながら追従するため見切りも困難。
 巨大な生体削岩機と化した高梨に、俺はなす術無く飛行魔法で少し離れた小高い丘に着地すると、デタラメに大暴れする肉塊を遠巻きに見ていることしか出来なかった。

 これは詰んだな。

 使わないと決めたラグナロクの使用にエーテルドライヴ以上の抵抗感から奥歯を噛み締める。

「……星の存続の危機ってことでワンチャン見逃してもらえないかなぁ」
 
 緊急事態だしな、この星の生きとし生ける者にとっての!
 うん、大丈夫だ絶対たぶん!
 ミストリックさんに土下座で許しをえばイケるイケる!

 前向きに捉えようとすればするほど、自分の中の冷静な部分が絶対に無理だと告げてくる。

 ラグナロク使用禁止を言いに来た時のミストリックさんマジ顔だったもんなぁ……。

「……高梨を倒しても俺の異世界人生これで終わりか」

 リシアたちにはどう別れを切り出そうか……。
 もしかしたら誰か俺の子を妊娠してたりするのかな……。
 俺の子か……どんな子育てになってたんだろうなぁ。

「はぁぁぁぁぁ……」

 クソデカため息しか出て来ない。

 俺が思考を高梨を倒す方法の模索もさくから今回のことは自分1人の制裁で済ませてもらえるかの算段にシフトしていると、遥か頭上に巨大な影。

「なかなかどうして、面白いことになっているじゃないか! とう!」

 その陰から覚えのある声とともに人影が降って来た。
 視界強化スキルが人影をはっきりと捉えた、俺は夢でも見てるのかと思考が停止した。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...