忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています

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ゲレンドの破滅

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アレンディア男爵家。
初代王からの長い歴史を持ち、献身的に国に仕えた由緒ある家柄であった。
だが……汚点となる日がやってきた。

「ふふふ……今日は高名なレストランで接待か。忙しくて敵わんな」

現当主のゲレンドが執務室にて書類に目を通していると、

コンコン!

強いノックの音が部屋に響き渡った。

「なんだ!?うるさいぞ!」

「失礼致しました……!ですが第三騎士団がやってきておりまして……!」

「な、なにっ!?」

第三騎士団といえば貴族の不正を取り締まる機関。
その騎士団がやってきたということは……

全てがバレた……?
いや、そんなことはない。
うまくやってきたはずだ。
堂々と対応しに行けばいい。

ゲレンドはそう確信し、玄関へと向かった。

「当主のゲレンドである。何用か?」

「第三騎士団のハルト・アークだ。貴殿には公共工事に対する汚職により逮捕状が出ている」

「な、なにっ!?証拠は!?証拠はあるのか!?」

「そんなものは取り調べでいくらでも見せてやる。王のサインがある逮捕状に異議があると言うのか?」

「い、いや……」

ここで肯定でもしようものなら不敬罪まで追加される。
ゲレンドはなんとか反論を堪えた。

「ならば大人しくしてもらおう。現時刻を持ってゲレンド・アレンディアを逮捕する」

手枷を持った騎士が近づいてくることにゲレンドは激しい恐怖を覚えた。

「嫌だ!嫌だ!嫌だぁぁぁ!」

「こら逃げるな!」

ゲレンドが屋敷内に逃げようとしたとき、

「ゲレンド!」

二階の通路から大きな声が響き、ゲレンドは腰から崩れ落ちていく。

「お、お祖父様……」

威厳ある老紳士は階段を降りてくると、呆然とするゲレンドを見下ろした。

「儂はお前を甘やかし過ぎた。だが、それでも国への忠誠は持っているものだと思っていたが……この馬鹿者が」

「そ、そんな大げさな……ちょっとだけいい思いをしただけだよ!?」

「そんなくだらん言い訳が通用すると思っているのか!国からの信頼を裏切り、民からの預かりものをかすめ取った貴様はただの盗人だ!大人しく騎士団の方にその身を預けろ!」

「そんな……そんな……」

「手数をかけて申し訳ない。さっさと連れて行ってくれ」

「ご協力感謝します。よし、やってくれ」

ガチャン。

ハルトの指示により、ゲレンドの手に枷が嵌められた。
そうして彼は収容所へと送られ、裁判を待つ身となる。
後日、その裁判が行われ、ゲレンドには大きな罪が科されることになった。

懲役五年。
家名を没収され平民として過ごすことに。

アレンディア家にも罰として横領額の補填が分割で命じられた。
その額は金貨にして三千枚。
返済にはおよそ十年はかかると言われている。

そして贈賄を行った建設会社には公共工事への参加の停止と罰金が命じられた。



「アレンディア男爵家もこれから大変ね」

執務室にて新聞を読むライラックは、そんな感想を漏らした。

「他人事のようにおっしゃいますが、お嬢様が仕向けたことでしょう?」

すると傍に控えていたゼオンが、ライラックに意見する。

「仕向けたなんて人聞きの悪いことを言わないで欲しいわ。そもそも彼が真摯に仕事をしていればこんなことにはならなかっただけじゃない?」

「その通りではありますが」

「なら悪いのはゲレンド。私は良いことをしたお手柄娘ってことね」

「そういうことにしておきましょうか」

ゼオンはご機嫌な主を苦笑しながら見つめるのだった。
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