忌み嫌われる夜の令嬢ですが国家の中枢を担っています

think

文字の大きさ
88 / 88

エピローグ

しおりを挟む
時の流れは早いものね。
いつまでも続くと思っていた暮らしは一変し、今で穏やかな日々を送っている。
あの欲と活力にあふれた街は私の手から離れ、ハオルが当主として管理している。
一方で私はというと、

「母様~!アネモネが泣いてますよ?」

二人の子どもの母として日々を生きている。

長男のユリシスに長女のアネモネ。
6歳と1歳の可愛らしい子どもたち。

ユリシスは私に似て黒髪を受け継ぎ、アネモネはセイクに似て金髪。
どちらも私の宝物だわ。

コンコン。

そんな私の一室に訪れる者があった。

「どうぞ」

「ライラ!おはよう!それにユリシスとアネモネも元気かな!?」

「そんなに大きな声を出さないでくれる?アネモネが驚くでしょう?」

「いやぁ!すまない!つい大きな声が出てしまってな!」

「父様、お静かに」

「ははは!ユリシスは今日も大人しいな!もっと子どもらしく甘えてくれていいんだぞ!」

ぎゅっと抱きしめると彼はユリシスを高く持ち上げる。

「やめてください!僕はもう小さい子どもではありませんので!」

「ははは!そうかそうか!」

息子の言葉はまったく響いていないようだ。

「はぁ……貴方も王になったのだから少しは落ち着いたら?」

「もちろん家臣の前では落ち着いている。だが、家族の前でははしゃいでも構わんだろう?」

「限度というものがあるわ」

私は泣くアネモネを抱きながらセイクを叱る。

「そうは言うが、仕方ないじゃないか。とても幸せなのだから」

昔と変わらぬ笑顔を見せたセイクを見て、私はつい絆されてしまう。

「ははは、君がそうやって笑ってくれる。そして私の傍にいてくれて、子も産んでくれた。これ以上ない幸せだ」

「もう……子どもたちの前よ?あまりそういうことは言わないでほしいわ」

「そうだな。二人きりの時にもう一度伝えるとしようか」

朝から元気な人。

「はいはい。今日もしっかりと働きなさいな。この民たちが笑って暮らせるように」

「もちろんだとも!」

忌み嫌われた令嬢は、多くの民から愛される国母となったのだった。










「姉様に会いたい!」

「なりません。弟とはいえもはや軽々しくお会いできる相手ではありませんよ」

「ならばいつ会えるというのだ!」

「そうですね。ハオル様が結婚でもなさればパーティーに参加されるのではないでしょうか?」

「……それ以外は!?」

「さっさと身を固めなさい。このシスコン」

「貴様!執事の分際で当主にシスコンだと言ったな!」

「事実を言って何が悪いのですかな?」

「僕は、僕はシスコンじゃない!姉様を愛しているだけだ!」

「それをシスコンというのです」

一方でレミゼラルムーン邸では、ハオルとゼオンの毎日の争いが繰り広げられているのであった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─

あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」 没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。 しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。 瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。 「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」 絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。 嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...