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一年生
旅路はのんびりとです!
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学園が冬休みとなった日の翌日、俺たちは早速旅行カバンを手に馬車乗り場へと向かった。
するとそこには既に全員が揃っていることに気づき、俺は足早に駆けていく。
「おはよう。みんな早いな」
学園指定のコートで厚着をして、全員制服姿だ。
「おはよう。時間内ではあるがギリギリだぞ」
フレアに怒られてしまった。
厳しい。
「それにしてもクリス先輩が既にいるとは思わなかったな」
「あぁ!ボクのことバカにしたでしょ!ちゃんと早起きできるもん!」
「そんなこと言って、楽しみで寝れなかっただけじゃないんですか?」
「……な、なんで知ってるの?」
図星かい。
よく見てみればクリス先輩の目の下にはクマがある。
よほど今日という日を楽しみにしていたのだろう。
「クリス先輩の予測なんて容易いことですよ」
「むぅ!ボクの方が歳上なのに子ども扱いしないでよね!」
外見はお姉さんそのものなのに中身はお子様。
それがクリス先輩という人である。
「寒いから早く馬車に乗りたい」
「そうだね。全員揃ったことだしそうしようか」
「カイ君、クリス先輩、行きましょう?」
サリアの言葉にルースが同意し、リーナが俺たちを導く。
「わかったよ」
「いざ出発!」
そうして俺たちは三頭の馬が率いる馬車へと乗り込んだ。
横一列の座席に座るとクッションがよく効いている。
他の乗客はそれなりにいて、十五人くらいが乗っているだろうか?
そんな馬車内で待っていると、馬車は静かに出発した。
ガタガタ……
王都の時と比べて、あまり舗装がしっかりしていないためか揺れを感じる。
だが、そんなことが気にならないくらいには話で盛り上がった。
「フェルンって何か遊べる場所あるのか?」
「そうですね。あんまり娯楽施設はありませんが雪の斜面からソリで滑り落ちたりするのが遊びでしょうか?」
「へぇ、俺の地元は雪が積もるってあんまりなかったから新鮮で楽しそうだな」
「私も雪合戦くらいしかやったことがないな」
「ボクもボクも!」
「僕は雪だるま作ったりしたよ?」
「あたしは遊んだことない。寒いから」
「それなら一緒に遊びましょう?きっとみんなで遊べば楽しいですよ?」
「リーナがそう言うならわかった」
「いっぱい楽しみましょうね?」
「ところでシスターってどんな……」
会話の区切りに俺はリーナに質問をしようとしたとき、馬車が止まった。
到着するにはまだ早すぎるし、休憩にしては辺りに何もない。
何かしらのトラブルか?
そう思った俺は御者の人に確認を取りに行く。
「どうかしましたか?」
「ああ、遠巻きに狼の姿が見えてね。少し警戒していたんだ」
「なるほど。僕が隣にいますので気にせずに運転してください」
「そうかい?そうしてくれると助かるよ」
「いえいえ、こういう時の為に運賃を格安にしてもらっていますから」
俺は御者さんの隣に座る。
風防に覆われているとはいえ客席に比べると随分寒い。
さっさと片付けて客席に戻りたいものだ。
俺はガラス越しに見える白い景色をしっかりと見ていく。
「いた。左前方群れが見える。さっきよりも近づいているね」
御者さんの言葉に俺が目をやると、そこには十匹ほどの灰色の毛皮を持つオオカミがいた。
「捕捉しました」
「一応追い払うくらいでしてくれるかい?血の匂いに敏感な熊がやってきたら後続の馬車が危ないから」
「了解です」
俺はこの状況で血を流さない選択を模索する。
その結果。
「ウインド」
風の魔法を選択した。
風防の外から発動した魔法の強風が狼の群れに襲いかかる。
すると狼たちは大きく吹き飛ばされ、視界から消えていった。
「これで大丈夫だとは思いますが、もう少し様子見ておきますね」
「あはは、さすがだなぁ。魔法の扱いが上手だ」
「そ、そう言われると照れますね」
「いやいや、僕にはできないことだよ。ありがとうね」
心からの感謝が単純に嬉しかった。
そして十数分ほど経過を見たが、狼たちは諦めたようで穏やかな道のりを取り戻したようだ。
「うん。もう大丈夫そうだね。客席に戻ってくれていいよ」
「わかりました。それじゃまた何かあれば申し付けください」
「ああ、ありがとう」
小さなトラブルを解決した俺は、客席へと戻っていく。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「何かトラブルでもあったか?」
「ちょっとな。気になるなら見に来てくれたら良かったのに」
「カイのことだから大丈夫でしょ?」
ルースがにっこりと微笑んでくる。
これには何の反論もできない。
「ていうか……クリス先輩とサリア寝ちゃったのか」
「うん。カイが行ってからすぐにクリス先輩眠気に負けちゃったみたいで、サリアもそれに釣られたみたい」
「ははは、それじゃ四人でトランプでもして過ごそうか」
「うふふ、後で二人に怒られそうですね。起こして欲しかったって」
「この様子を見ては、起こせんだろう?」
「うん、そうだね」
クリス先輩とサリアはお互いに頭を寄せ合い、すやすやと眠っている。
これは起こせませんね。
ああ、そうだな。
ところでトランプですが、私も混ざっていいですか?
いいけど。
こっそりと召喚するから、手だけだぞ?
ふふふ……マスター勝負です!
その後、俺の腹の辺りに腕だけ召喚したファーナも混じってトランプをしたが、ババ抜きもポーカーも大富豪も呆れるほど弱かった。
な、なぜですかぁ!?
手の動きでテンションが丸わかりだったことは秘密にしておこう。
するとそこには既に全員が揃っていることに気づき、俺は足早に駆けていく。
「おはよう。みんな早いな」
学園指定のコートで厚着をして、全員制服姿だ。
「おはよう。時間内ではあるがギリギリだぞ」
フレアに怒られてしまった。
厳しい。
「それにしてもクリス先輩が既にいるとは思わなかったな」
「あぁ!ボクのことバカにしたでしょ!ちゃんと早起きできるもん!」
「そんなこと言って、楽しみで寝れなかっただけじゃないんですか?」
「……な、なんで知ってるの?」
図星かい。
よく見てみればクリス先輩の目の下にはクマがある。
よほど今日という日を楽しみにしていたのだろう。
「クリス先輩の予測なんて容易いことですよ」
「むぅ!ボクの方が歳上なのに子ども扱いしないでよね!」
外見はお姉さんそのものなのに中身はお子様。
それがクリス先輩という人である。
「寒いから早く馬車に乗りたい」
「そうだね。全員揃ったことだしそうしようか」
「カイ君、クリス先輩、行きましょう?」
サリアの言葉にルースが同意し、リーナが俺たちを導く。
「わかったよ」
「いざ出発!」
そうして俺たちは三頭の馬が率いる馬車へと乗り込んだ。
横一列の座席に座るとクッションがよく効いている。
他の乗客はそれなりにいて、十五人くらいが乗っているだろうか?
そんな馬車内で待っていると、馬車は静かに出発した。
ガタガタ……
王都の時と比べて、あまり舗装がしっかりしていないためか揺れを感じる。
だが、そんなことが気にならないくらいには話で盛り上がった。
「フェルンって何か遊べる場所あるのか?」
「そうですね。あんまり娯楽施設はありませんが雪の斜面からソリで滑り落ちたりするのが遊びでしょうか?」
「へぇ、俺の地元は雪が積もるってあんまりなかったから新鮮で楽しそうだな」
「私も雪合戦くらいしかやったことがないな」
「ボクもボクも!」
「僕は雪だるま作ったりしたよ?」
「あたしは遊んだことない。寒いから」
「それなら一緒に遊びましょう?きっとみんなで遊べば楽しいですよ?」
「リーナがそう言うならわかった」
「いっぱい楽しみましょうね?」
「ところでシスターってどんな……」
会話の区切りに俺はリーナに質問をしようとしたとき、馬車が止まった。
到着するにはまだ早すぎるし、休憩にしては辺りに何もない。
何かしらのトラブルか?
そう思った俺は御者の人に確認を取りに行く。
「どうかしましたか?」
「ああ、遠巻きに狼の姿が見えてね。少し警戒していたんだ」
「なるほど。僕が隣にいますので気にせずに運転してください」
「そうかい?そうしてくれると助かるよ」
「いえいえ、こういう時の為に運賃を格安にしてもらっていますから」
俺は御者さんの隣に座る。
風防に覆われているとはいえ客席に比べると随分寒い。
さっさと片付けて客席に戻りたいものだ。
俺はガラス越しに見える白い景色をしっかりと見ていく。
「いた。左前方群れが見える。さっきよりも近づいているね」
御者さんの言葉に俺が目をやると、そこには十匹ほどの灰色の毛皮を持つオオカミがいた。
「捕捉しました」
「一応追い払うくらいでしてくれるかい?血の匂いに敏感な熊がやってきたら後続の馬車が危ないから」
「了解です」
俺はこの状況で血を流さない選択を模索する。
その結果。
「ウインド」
風の魔法を選択した。
風防の外から発動した魔法の強風が狼の群れに襲いかかる。
すると狼たちは大きく吹き飛ばされ、視界から消えていった。
「これで大丈夫だとは思いますが、もう少し様子見ておきますね」
「あはは、さすがだなぁ。魔法の扱いが上手だ」
「そ、そう言われると照れますね」
「いやいや、僕にはできないことだよ。ありがとうね」
心からの感謝が単純に嬉しかった。
そして十数分ほど経過を見たが、狼たちは諦めたようで穏やかな道のりを取り戻したようだ。
「うん。もう大丈夫そうだね。客席に戻ってくれていいよ」
「わかりました。それじゃまた何かあれば申し付けください」
「ああ、ありがとう」
小さなトラブルを解決した俺は、客席へと戻っていく。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「何かトラブルでもあったか?」
「ちょっとな。気になるなら見に来てくれたら良かったのに」
「カイのことだから大丈夫でしょ?」
ルースがにっこりと微笑んでくる。
これには何の反論もできない。
「ていうか……クリス先輩とサリア寝ちゃったのか」
「うん。カイが行ってからすぐにクリス先輩眠気に負けちゃったみたいで、サリアもそれに釣られたみたい」
「ははは、それじゃ四人でトランプでもして過ごそうか」
「うふふ、後で二人に怒られそうですね。起こして欲しかったって」
「この様子を見ては、起こせんだろう?」
「うん、そうだね」
クリス先輩とサリアはお互いに頭を寄せ合い、すやすやと眠っている。
これは起こせませんね。
ああ、そうだな。
ところでトランプですが、私も混ざっていいですか?
いいけど。
こっそりと召喚するから、手だけだぞ?
ふふふ……マスター勝負です!
その後、俺の腹の辺りに腕だけ召喚したファーナも混じってトランプをしたが、ババ抜きもポーカーも大富豪も呆れるほど弱かった。
な、なぜですかぁ!?
手の動きでテンションが丸わかりだったことは秘密にしておこう。
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